未経験からでも事務職に転職できますが、年代が上がるほど前職の経験を具体的に示す準備が要ります。事務職の選考では資格の有無よりも、仕事の進め方やパソコンの基本操作、学ぶ意欲が重視されます。自分に合う事務の種類と年代ごとのポイント、前職の強みを生かした事務職の志望動機の書き方を解説します。
事務職への転職は未経験でも可能?
事務職への転職は未経験でも可能です。ただし、残業が比較的少なく休日が暦どおりの職場が多いことから人気があり、ひとつの求人に応募が集まりやすい傾向があります。また、事務職の求人には、事務の経験者も多く応募します。とくに正社員の求人では即戦力が優先されやすく、パソコンの基本操作が求められることも多いため、未経験からの転職は競争が激しくなります。
一方で、研修体制を整えて未経験者を受け入れる企業もあります。こうした企業では事務経験の有無より学ぶ意欲や素直さといった人柄、ほかの仕事で培った社会人の基礎が見られます。
事務職に採用されたとしても、転職後に理想とのずれを感じる人もいます。事務職は売上で評価されにくく、成果に応じた手当も付きにくいため給与が上がりにくいことや、決まった作業の繰り返しに物足りなさを覚えることがあります。入力作業中に電話対応や急ぎの依頼が重なる忙しさもあるため、業務の特性が自分に合うかを確かめておくことが大切です。
事務職の種類と仕事内容
事務職は種類によって仕事の中身が違い、求められるスキルや経験も種類ごとに変わります。未経験の人には、未経験を歓迎する求人が多い一般事務が挑戦しやすいといえます。
| 種類 | 主な仕事 |
|---|---|
| 一般事務 | 書類の作成や整理、データ入力、電話・来客・メールの対応、郵便物の仕分け、備品の管理など、会社の事務全般 |
| 営業事務 | 営業担当者を支える立場で、見積書や請求書の作成、商品の受発注、納期の管理、顧客情報の管理、営業資料の作成 |
| 経理事務 | 伝票の整理、経費の精算、帳簿の作成、入出金の管理、決算の時期の専門的な処理 |
| 総務事務 | 備品の発注、建物の管理、社員の机やパソコンの用意、社内行事の運営など、会社全体の運営に関わる事務 |
| 人事事務 | 入社と退社の手続き、勤怠の管理、社会保険の手続きなど、社員に関わる実務 |
| 貿易事務 | 輸出入に関わる受発注、通関の手続き、倉庫の手配、代金の回収と支払い |
| 受付 | 企業の顔として、来客の対応や代表電話の取り次ぎ |
| 医療事務 | 病院やクリニックで受付、会計、診療報酬の請求など |
| 調剤薬局事務 | 薬局で受付、処方せんの内容の入力、会計、調剤報酬の請求など |
事務職で求められるスキルと資格
事務職の選考では、資格を持っているかより、仕事の進め方と、パソコンの基本操作ができるかが見られます。
採用されやすい人の特徴と前職の生かし方
事務職に採用されやすい人は、細かい作業を正確に続けられる人です。実務ではWordでの文書作成やExcelでの表作成・基本関数、タイピング、ビジネスメールの作成が求められます。また、依頼を正確に聞き取って報告・連絡・相談を行う力や、期限から逆算して優先順位を組み替える力、敬語や電話・来客対応などのビジネスマナーも欠かせません。
前職の経験は、事務の仕事で使える力に言い換えて伝えます。たとえば接客業での復唱確認をミス防止の工夫として伝えたり、混雑を見越した事前準備を段取り力として伝えたりできます。
| 前職 | 事務で生きる力 | 合いやすい事務の種類 |
|---|---|---|
| 営業 | 取引先とのやり取りへの理解、スケジュール調整力 | 営業事務 |
| 販売・接客・美容 | お客様の要望を聞き取る力、売上集計や在庫管理で数字を扱う力 | 一般事務、営業事務、受付 |
| コールセンター | 通話しながら素早く入力する力、問い合わせ対応の経験 | 一般事務、営業事務 |
| 介護 | 現場の言葉への理解、利用者や家族への丁寧な接し方 | 医療事務 |
パソコン操作の身につけ方と資格
パソコンを仕事で使ったことが無い人は、応募の前に自宅のパソコンで準備できます。Wordの文書とExcelの表を作り、合計や平均の関数を練習しておくと面接で答えられます。また、離職中の人はハローワークの公共職業訓練(ハロートレーニング)、派遣会社に登録した人はその会社の無料研修で、基本操作を身につける方法もあります。
事務職の求人の多くは、資格が無くても応募できます。企業が見るのは資格の名前より実際に作れるかどうかですが、資格は勉強した範囲を示す裏付けになります。取得する資格は、目指す事務の種類に合わせて選びます。パソコン操作に自信が無い人は、基礎の目安としてMOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)が使えます。経理事務を目指す人には日商簿記、受付を目指す人には秘書検定が役立ちます。まだ取っていない資格も、履歴書に「取得に向けて勉強中」と添えて書けます。
年代別のポイントと働き方の選び方
事務職の選考では、応募者の年代によって、企業が事務の仕事に求める準備の程度が変わります。また、正社員に限らず、派遣やパートといった働き方から事務職に入る選択肢もあります。
年代ごとの事務職転職のポイント
20代の応募者は、社会人の経験が短いぶん高いスキルを求められにくく、将来性や意欲を見て採用されるポテンシャル採用となることがあります。
30代の応募者は、事務の経験が無くても評価につなげられます。パソコンの基本操作や前職の業界の知識、似た業務の経験を示し、入社後すぐに仕事を覚えられる裏付けを伝えます。30代後半の応募者は、未経験を受け入れる求人でも選考で厳しく見られる場面が増えるため、これまでの経験と重なる事務を選ぶと強みを伝えやすくなります。
40代以降は事務の求人でもすぐ任せられる経験を求められやすいものの、事務以外の仕事から移れます。パソコンのスキル、人とのやり取りの力、スケジュール管理の力を、前職でしてきた仕事で具体的に示します。結婚や出産の前に事務の仕事をしていた人は、その経験を、働いた時期と担当した業務と一緒に応募書類に書けます。何年も前の経験でも、どんな事務をしていたかは評価の材料になります。子育てなどで仕事を離れていた期間がある人は、離れていた理由を正直に伝え、パートの仕事や家庭で身につけたことのうち事務に通じることを添えます。40代・50代の応募者は、入社後に長く働きたい理由と、新しいやり方を素直に覚える姿勢を伝えます。
正社員・派遣・パートの違い
正社員の事務の求人は応募が集まりやすく、事務の経験者と競うことが多くなります。派遣の事務の仕事には未経験を受け入れるものが多くあり、働く間に一般事務や営業事務の実務を経験として積めます。紹介予定派遣は、派遣で働いたあとに派遣先の企業へ直接雇われることを前提にした求人で、事務の求人にもあります。パートの事務の求人は短い時間から働けて未経験でも挑戦しやすいものがあり、結婚や出産のあとにパートで事務の仕事に戻る人も多くいます。
正社員にすぐ受からない場合は、派遣社員や契約社員で1〜2年実務を積み、経験者として正社員を目指す道もあります。「正社員登用あり」の求人は、面接で登用実績や判断基準を確認しておくと安心です。
求人の探し方と志望動機・面接
事務職の転職活動では、自分に合う求人の探し方と、志望動機や面接に向けた準備を押さえて進めます。
求人の探し方と転職エージェント
事務職の求人は、転職サイト、転職エージェント、派遣会社、ハローワークで探せます。転職サイトで事務職の求人を探す人は、職種で「事務」を選んだうえで、「未経験歓迎」などの条件で絞り込めます。同じ「一般事務」の求人でも、電話や来客の対応が多い職場、データ入力が中心の職場など、会社によって仕事の中身が違います。事務職の求人は応募が集まりやすいので、転職エージェントの担当者に、未経験から応募できる事務の求人の紹介と、事務の仕事に合わせた応募書類の添削を頼む人もいます。条件面だけで選ばず、求人票の仕事内容を読んで1日の業務の流れを思い描いてから応募しましょう。
志望動機と面接で聞かれること
事務職の志望動機は、なぜ事務職を選んだのかと、これまでの経験をどう生かすかで組み立てます。座って働きたい、残業が少ないから、といった条件だけの志望動機は、会社にどう役立つかが見えないため、評価が下がります。転職理由に「体力的にきつい」「土日に休みたい」などの本音がある人もいます。その本音は、これまでの経験を生かして長く働ける仕事で力を伸ばしたい、のように前向きに置き換えて伝えます。
データ管理の正確さや調整力など、自分の強みが生きる業務を求人票からつかみ、応募先ごとに書き分けましょう。職務経歴書には売上集計やシフト作成など事務に通じる業務を、数字や担当範囲を入れて具体的に書きます。
面接では、志望動機や退職理由、パソコン操作の程度、電話やメールの対応経験がよく聞かれます。指示通りにこなしたという答え方は受け身に映る場合があるため、工夫した経験や自発的に学んでいる姿勢を添えて答えます。


































