ADHDの方が就職しようとしても、
「ADHDでも就職できるかな…」
「就職支援はどこを利用すればいいだろう…」
といった悩みを持つことはよくあります。
結論、就職活動でADHDが障害になることはあるかもしれませんが、ADHDの特性を強みとして活かす方法を理解していれば、あなたに合った就職先は見つかります。
そこでこのページでは、キャリアのプロとしてADHDの方の就職支援をしてきた私が、「ADHDの方が就職する前に知っておくべきこと」と「おすすめの就職支援サービス」を紹介していきます。
全て読めば、満足のいく就職を実現できるでしょう。
尚、先に具体的な就職エージェントと就労移行支援を知りたい方は、6章『ADHDの方におすすめの就職エージェント』、もしくは9章『すぐに働くのが心配な方におすすめの就労移行支援』に進んでください。
目次
1. ADHDの方の強み・弱み
ADHDの方が就職を考える際には、ADHDの就職における強みと弱みを理解することが大切です。
というのも、ADHDは常にマイナスの影響があるわけではなく、活かし方次第では強みとなることもあるからです。
そこで本章では、就職活動を進める上で考えるべきADHDの強みと弱みを確認していきましょう。
順に説明していきます。
1-1. ADHDの方の強み
ADHDの方には、以下のような強みがあると言われています。
- 独創性に富んでいて発想力がある
- 好奇心旺盛でチャレンジング
- 感覚に優れていて周囲の環境に敏感
- 興味のある分野にはとことん没頭できる
- 決断力があってスピーディーに物事を判断できる
「過集中」は不注意の症状と一見矛盾するように見えますが、自分の興味、関心の有無によって集中力と意欲が一気に高まる、ADHDに典型的な特徴です。
ADHDの新奇追求や独創性は、過集中傾向も併せてうまくプラス方向に活用できれば、優れた成果に繋がると言えます。
上記の強みを活かせる職種や就職先を選ぶことができれば、ADHDの方も活躍できるはずです。
1-2. ADHDの方の弱み
ADHDの方には、以下のような弱みがあると言われています。
- ケアレスミスをしやすい
- 仕事の優先順位をつけるのが苦手で先延ばしにしがち
- マルチタスクが苦手
- 整理整頓や片付けが苦手で、書類や物を失くす
- 他人の意見を聞かずに応答したり行動する
上記の特徴は、ADHDの方の職務上の困難としてよく挙げられるものですが、工夫次第でいくらでもカバーすることは可能です。
もし「なりたい職業がある」のであれば、これらの弱みをカバーしつつ働く方法を考えることが大切です。
一方で、「特にこだわりがない」のであれば、就職先を探す際には、こうした弱みが極力表に出ない職業を選ぶようにしましょう。
2. ADHDの方に向いてる仕事
前章でお伝えした特徴を踏まえ、ADHDの方に向いてる仕事を以下でご紹介します。
職種職業系統 | 具体的な職種 |
クリエイティブ系 |
|
エンジニア系 |
|
マスコミ・メディア系 |
|
アーティスト系 |
|
それぞれ見ていきましょう。
2-1. クリエイティブ系
ADHDの方は、Webデザイナーやインテリアデザイナーと言った、クリエイティブな仕事に適しています。
なぜなら、デザイナーの仕事は、ADHDの強みである独創性や豊かな発想力を活かすことができるからです。
さらにデザイナーは、フレックスタイムやフリーランスなど、他の仕事と比べて柔軟に働けるケースが多いのも魅力といえます。
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2-2. エンジニア系
エンジニアは他の職種と比べると、コミュニケーションが少なく、一人で作業に打ち込む時間が長いです。
そのため、プログラミングが好きであれば、興味のある分野に没頭できるという点で、エンジニアはADHDの方に向いています。
また、IT系は自由な社風であることが多いため、規則が厳しい職場を好まないADHDの方にとって魅力的と言えます。
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2-3. マスコミ・メディア系
カメラマン、ライター、テレビ関係などの仕事も、ADHDの方におすすめです。
なぜなら、ライティングや撮影は特定の業務に打ち込む時間が長いため、興味があれば没頭して仕事を楽しむことができるという、ADHDの特徴に合っているからです。
また、ADHDの人が得意とする発想力や独創性を活かしやすいのも魅了と言えます。
ただし、メディア系の仕事ならなんでもいいというわけではないので、注意が必要です。
例えば、テレビディレクターやプロデューサーなどは、ADHDの人が苦手とするマルチタスクやスケジュール管理が必要になるので、避けるべきでしょう。
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2-4. アーティスト系
ミュージシャン、作家、画家、漫画家などのアーティストの仕事は、ADHDの方におすすめです。
なぜなら、ADHDの方の独創性を活かして、他の人には考えられないアイデアを生み出すことができるからです。
実際に、アーティストとして活動しているADHDの方はたくさんいます。
ADHDの方は、興味のある分野で優れた能力を発揮できることが多いため、アーティスト系の仕事を目指すのも一つの手段です。
3. ADHDの方が就職で困ることと解決策
就職活動においてADHDの方は、ADHDでない方よりも問題に直面することが多い傾向にあります。
しかし、ツールの活用や周囲の人を上手く頼ることで、就職活動を順調に進めることができます。
本章では、ADHDの方が就職で困る5つのことと、その解決策をご紹介します。
順に見ていきましょう。
3-1. スケジュール管理がうまくできない
スケジュール管理がうまくできないというのは、ADHDの弱みの筆頭に挙げられるものです。
本格的な就職活動においては、複数企業のエントリーシート締切や、面接の日程を管理しなければなりません。
しかし、ADHDの方はこうした日程調整が苦手な傾向にあるため、ダブルブッキングして困ってしまうことなどが往々にしてあります。
解決策
スケジュール管理がうまくなりたいという方は、まず手帳にメモをつける習慣をつくりましょう。
胸ポケットに入るくらいのサイズで構いませんので、手帳とペンを常に携帯して日程を書きこむようにしてください。
その上で、日程調整の場面では必ず手帳を見ながら話すようにすると、スケジューリングの失敗を防げます。
また、すぐにメモを取ることで、慎重で信頼できる人だという好印象を与えることもできます。
3-2. 遅刻が多い
遅刻が多いというのもADHDの方が直面しやすいケースです。
これは、当日の予定確認や目的地に到達するまでにかかる時間の見積もりが甘いという、主に不注意傾向から生じる問題になります。
電車遅延や渋滞などが理由で時間に間に合わないということは、誰しも日常的に起こることですが、遅刻の頻度が「あまりに多い」のがADHDの特徴です。
解決策
遅刻が多い方は、スマートフォンのカレンダーのアラームやリマインダーアプリを活用することがおすすめです。
大切な約束や面接があるときには、スマートフォンのカレンダーなどにアラーム付きで設定しておきましょう。
このとき、一緒に確認事項なども付記しておくと効果的です。
画像を添付できるようであれば、目的地までの交通経路をスクリーンショットして貼っておくとよいでしょう。
3-3. 忘れ物や見落としが多い
忘れ物や見落としが多いことも、ADHDの方が就職活動でよく困ることの一つです。
提出すべき書類を忘れたり、締め切りを見落としたりすることは誰にでもあることですが、ADHDの方はそういったことが特に多いです。
しかし、就職活動では些細なミスが原因で採用プロセスから外れてしまうこともありますので、入念な対策が必要です。
解決策
忘れ物や見落としを防ぐためにおすすめなのは、玄関のドアに、その日の持ち物や予定をメモして貼っておくことです。
絶対に忘れてはならないような物や面接があるときには、確認のためにも紙に書きだしてみてください。
そして外出する際に、必ず目につくような場所にリマインダーを貼っておくようにしましょう。
ご家族と同居している人であれば、予定や持ち物を前もって伝えておき、当日一声かけてもらうというのも、忘れ物や見落としの防止策として効果があります。
3-4. 面接やディスカッションが上達しない
面接やディスカッションが上達しないという悩みも、ADHDの方によくある問題です。
原因としては、面接中にそわそわして落ちつきがないこと、人の話を聞かずに考えなしで意見を述べてしまうことが挙げられます。
これでは悪印象を与えるだけでなく、協調性のない人と判断されかねません。
解決策
面接やディスカッションが上達しないというADHDの方が意識すべきポイントは、以下の5点です。
- 話し手の目を見つめて集中力を長く保つ
- 相手がどういう想いで話をしているか考える
- 空返事ではなく、相手が話した内容をリピートする
- メモをとりながら聞く
- 質問することを心掛ける
これらを意識しながら練習を積むことで、面接やディスカッションが上達します。
ただ、面接やディスカッションの練習をする相手や、練習の仕方がわからないという方もいると思うので、そのような方は、無料で選考対策をサポートしてくれる「就職エージェント」を利用するのがおすすめです。
尚、具体的な就職エージェントを知りたい方は、6章『ADHDの方におすすめの就職エージェント』を先にご覧ください。
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3-5. 就職しても長続きしない
一つの企業で長期間働けず、転職を何度も繰り返すことも、ADHDの方に多くあることです。
3年以上仕事が続かないADHD
出典:Twitter
ADHDで仕事が続かず転職を繰り返す
現実生きていくのは凄く難しいですよね。
私も仕事が続かず転職繰り返すうちに自尊心ボロボロ。おまけにADHD, 今はひきこもりです。
出典:Twitter
このように、ADHD就職には「職場定着」という課題があることがわかります。
解決策
ADHDの方の職場定着を実現するためには、一人ひとりが抱える問題を理解し、長く働くことを考えた仕事探しが必要になってきます。
そのためにも、ADHDの就職に詳しい人に相談し、特性に合った職種を探すことが重要です。
具体的には、就職エージェントや就労移行支援といった就労支援サービスは、これらを無料でサポートしてくれるので、利用することがおすすめです。
参考までに就職エージェントと就労移行支援の主な特徴を下の表にまとめてあるので、ご確認ください。
就職エージェント | 就労移行支援 | |
求人紹介 | 非公開求人を含む、エージェント保有の求人を紹介 | ハローワーク等と連携しながらの求人紹介 |
就職支援 |
|
|
料金 | 完全無料 | 障がいの度合いによって異なるが、9割以上の方が無料 |
尚、具体的な就職エージェントについては6章『ADHDの方におすすめの就職エージェント』で、就労移行支援については9章『すぐに働くのが心配な方におすすめの就労移行支援』で紹介しているので、こちらをご確認ください。
4. ADHDの方の就職はプロに相談がおすすめ
就職活動においてADHDの方は、ADHDのない方よりも問題に直面することが多い傾向にあります。
しかし、ADHDの特性を強みとして活かす方法を理解し、ツールや周囲の人を頼ることで、就職活動を順調に進めることができます。
ですので、ADHDの方の就職活動においては、ADHDの就職に詳しい人に相談し、特性に合った職種を探すことが重要です。
そのためにも、就職エージェントや就労移行支援といった就労支援サービスを利用していくことがおすすめです。
さてここからは、ADHDの方が利用すべき就職エージェントと就労移行支援サービスを紹介していきます。
- ADHDの方は就職エージェントの利用がおすすめ
- ADHDの方におすすめの就職エージェント
- 就職エージェントをより効果的に利用する7ポイント
- 【図解】就職エージェント利用の流れ
- すぐに働くのが心配な方におすすめの就労移行支援
- 就労移行支援を効率的に利用する6つのポイント
- 就労移行支援利用の流れ
- 【FAQ】ADHDの方の就職に関してよくある質問と回答
自分に合った就職支援サービスを見つけ、効率的に就職活動を進めていきましょう。
5. ADHDの方は就職エージェントの利用がおすすめ
就職エージェントとは、登録をすると完全無料で就職相談に乗ってくれて、企業の求人紹介から面接のセッティング、給与交渉など就職に必要なサポートをしてくれるサービスのことです。
そんな就職エージェントを使うべき理由は、主に以下の3つです。
順に見ていきましょう。
理由1. 最適なキャリア提案をしてくれる
全ての職種には踏むべきステップがありますが、就職エージェントは求職者一人ひとりの要望に合わせたキャリア提案を行ってくれます。
自身の希望条件と、会社の要望を踏まえて「就職のプロ」の視点でアドバイスが無料でもらえるのですから、活用しない手はありません。
この点だけでも、就職エージェントを活用する価値は大いにあると言えるでしょう。
理由2. 独自の非公開求人を紹介してもらえる
就職エージェントは、就職サイトや企業採用ページに載っていない独自の「非公開求人」を大量に保有しており、登録者に紹介しています。
なお、非公開求人は登録者にしか出回りません。
登録しないことで自身の可能性を狭めないためにも、まずは就職エージェントに登録することをおすすめします。
非公開求人とは
事業戦略上などで表立って募集できないが、こっそり人を採用したい企業がエージェントに依頼する求人。
給与やポジションなどがハイグレードであるケースが多い。
理由3. スケジュール管理を代わりにしてもらえる
就職エージェントを利用すると、求人の応募手続きや、面接の日程調整を、担当コンサルタントが代わりに行ってくれます。
ADHDの方には、スケジュール管理がうまくできないという特徴があるので、スケジュール管理を代行してもらうことで、応募忘れや、ダブルブッキングなどを防ぐことができます。
もちろん、自身でも手帳に日程を書き込み、スケジュールを確認することは重要ですが、担当コンサルタントにも確認を手伝ってもらうことで、スケジューリングのミスをなくすことができるでしょう。
理由4. 目指す業界・職種に特化した対策が可能
多くの就職エージェントでは「業界別」「職種別」の対策に力を入れており、その対策によって内定を獲得できた方も数多くいます。
このような対策が行える理由は、就職エージェントが企業選考を熟知して突破するノウハウを多く保有していることにあります。
具体的には、過去どのような人が受かって、落ちたのか、またその時にどのような質問をされて、どのように回答したか、といったデータを保有しており、選考前に教えてくれるのです。
これらのメリットがあるので、就職を考えるすべての方にとって就職エージェントをおすすめしています。
6. ADHDの方におすすめの就職エージェント
ADHDの方の就職活動においては、就職エージェントの利用がおすすめです。
多くのエージェントがありますが、エージェントを選ぶ際は下記のポイントに注意しましょう。
- 求人を豊富に保有している
- カウンセリング〜内定後まで手厚いサポートをしてくれる
本章では、上記を満たすADHDの方におすすめの就職エージェントをまとめました。
それぞれ見ていきましょう。
6-1. まず登録すべき大手総合就職エージェント4選
まずは、求人数が多く、手厚い就職サポートが受けられる大手総合エージェント4社です。
就職エージェント | 総合評価 | コメント | |
1位 | マイナビエージェント | ◎ 4.2 |
サポートの手厚さがが好評で、「自分の期待以上の就職ができた」との声が多くあります。 |
2位 | doda | ◎ 4.1 |
都心から地方まで幅広く求人を取り揃えています。 |
3位 | リクルートエージェント | ◎ 4.0 |
老舗の総合就職エージェントで、保有する求人数が他社に比べ圧倒的に多いことが強みです。 |
4位 | パソナキャリア | ◯ 3.9 |
サポートの手厚さに定評があり、慣れない就職に不安がある方には特におすすめです。 |
それでは、順に見ていきましょう。
1位. マイナビエージェント|初めての就職に強く20代実績No.1
『マイナビ IT AGENT』は、丁寧なサポートがウリの20代向け転職エージェントです。
求人数だけではリクルートやdodaといった大手ほどではありませんが、首都圏の20代に焦点を当てれば1番の満足度(4.2/5.0点)を誇ります。
そのため、求人数が豊富な大手(例えば、『リクルートエージェント』や『dodaエージェント』など)と併用することをおすすめします。
2位. doda|求人数No.1・就職サポートが評判
『dodaエージェント』は、パーソルキャリア(旧:インテリジェンス)が運営する国内最大級、顧客満足度No.1(2024年 オリコン顧客満足度®調査 転職エージェント20代 第1位)を誇る転職エージェントです。
提案力・求人数ともにトップレベルで、かつ「悪い口コミ」も見当たらず、担当者の当たり外れが少ないエージェントだと言われています。
首都圏の20代30代にはもちろん強く、他にも地方での転職や、高齢での転職など、他の転職エージェントで断られるような場合でも、dodaであれば案件が見つかるとの口コミが見受けられたので、『全ての人におすすめできる転職エージェント』と言えます。
3位. リクルートエージェント|求人数豊富。地方にも強い
『リクルートエージェント』は、求人数No.1の総合転職エージェントです。
公開求人は約37万件、登録者のみ閲覧できる「非公開求人」を合わせると約62万件以上の求人を扱っています(2023年4月7日時点)。
業界最大の転職支援実績があり(厚労省「人材サービス総合サイト」より2019年実績)、サポートも充実しているので、転職を検討しているなら必ず登録すべき1社です。
転職成功率を上げるには、『dodaエージェント』や、サポートへの評判が高い『パソナキャリア』や『マイナビエージェント』を併用すると良いでしょう。
◆補足:リクルートが運営している関連サービス
- リクルートダイレクトスカウト(年収700万円ある人向け)
- リクルートエージェントIT(エンジニア向け)
4位. パソナキャリア|サポート充実で満足度No.1
『パソナキャリア』は、手厚いサポート・フォローに定評があり、慣れない転職に不安がある方に特におすすめです。
運営元のパソナ社は大手人材派遣会社として数多くの企業との取引実績を有しており、業種・規模を問わず多くの企業とのパートナーシップが実現する求人数の充実ぶりには目を見張るものがあります。
Career Theory編集部が転職エージェント利用経験者を対象に行ったアンケート調査では、求人の量や質だけでなく、その手厚いサポートを高く評価する声が多く寄せらました。
親身・丁寧な対応やアドバイスを受けられるのはもちろんのこと、たとえば若年層のキャリアプランや女性のライフプランに関連した悩みのように、転職の枠を超えて、求職者がそれぞれ抱えるキャリア全般の悩みにも深く寄り添ってもらえたと好評です。
『パソナキャリア』はどの求職者層にもおすすめできる大手総合系転職エージェントの1つですが、特に現年収500万円以上の人であれば豊富な選択肢と有用な提案を受けることができるでしょう。
さらに、東名阪(東京・名古屋・大阪)エリアでは特に求人数が充実しているため、同エリアでの転職を志望する人にはより一層おすすめの転職エージェントです。
『パソナキャリア』には高い年収を得ているハイクラス・ハイキャリア層の転職支援に特化した『パソナキャリア(ハイクラス)』があります。
取扱い求人約1.5万件(2022年8月時点)の約半数は年収800万円以上のハイクラス求人で、ハイクラス層の転職に特化した専任のコンサルタントがキャリアアップを力強くサポートしてくれます。
『パソナキャリア』が抱えるエージェントは腕利き揃いで、同じくハイキャリア向けのスカウト型転職サイト『リクルートダイレクトスカウト』のエージェント・ヘッドハンターランキングでは決定人数部門で1位(2020年)と、高い実績を有しています。
既に600万円程度の年収を得ている人がさらなるキャリアアップを目指すなら、あなたのニーズにより深く寄り添ってくれる『パソナキャリア(ハイクラス)』を利用しましょう。
6-2. 障がい者向け大手就職エージェント3選
ADHDの症状が重い方は、より手厚いサポートを受けられる障がい者向けエージェントの利用も検討してみましょう。
ランスタッド(チャレンジド)|精神保健福祉士による就職支援
『ランスタッド(チャレンジド)』は人材派遣をメインに、世界39カ国で人材ビジネスを展開する世界最大級の就職エージェントです。
首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)を中心にサービス展開しており、30代40代を中心に幅広い就職支援実績があるので、該当地域にお住まいであれば、非常におすすめできる一社です。
ランスタッドでは、専任コンサルタントが就職準備から就業後の定着フォローまで一貫してサポートしてくれます。
また、ランスタッドで就職を成功させた方の多くが年収アップを実現しており、約60%が年収300万円以上となっています。
非公開求人も多く保有しているので、まずは登録してみましょう。
ランスタッド公式サイト:
https://www.randstad.co.jp/challenged
dodaチャレンジ|トップクラスの就職実績
『dodaチャレンジ』は日本最大級の転職サイト「doda」を運営するPERSOLグループの障がい者に特化した転職エージェントです。
日本屈指の転職実績を生かした転職支援、企業との圧倒的なパイプなどを考え非常におすすめできる転職エージェントです。
公開求人は400件強とやや少ないものの、9割が非公開求人で、大手企業・人気企業への転職実績も豊富です。
またdodaチャレンジでは、一人ひとりに合った就職・転職サポートを目指し、身体、精神、発達、知的といった障がい種別の専門チームで支援をしています。
丁寧なカウンセリングやサポートを受けたい方は、dodaチャレンジへの登録がおすすめです。
※カウンセリング拠点が東京・大阪・名古屋ですが、行くのが難しければ電話、チャット、テレビ電話でも対応してもらえます。
dodaチャレンジ公式サイト:
https://doda.jp/challenge/
ソーシャル・パートナーズ(Spring転職エージェント)|柔軟な働き方ができる求人多数
『ソーシャル・パートナーズ(Spring転職エージェント)』は、人材事業では世界1位の規模を持ち、アデコグループの障がい者向けの転職エージェントサービスです。
アデコグループには、「アデコビジネスサポート株式会社」という障がい者雇用促進を目的とした特例子会社があり、障がいのある方がたくさん活躍しています。
採用側での豊富な経験、また人材業として世界1位の実績を活かしたサポートを受けられます。
ただし、障害者手帳をお持ちか、申請中の方のみが対象となっているので、対象外の方は「Spring転職エージェント」を利用してみるといいでしょう。
※面談場所は東京(秋葉原、霞が関、新宿)のみですが、行くのが難しければ個別に相談に乗ってくれます。
ソーシャル・パートナーズ公式サイト:
https://www.springjapan.com/occupation/socialpartners
6-3. 合わせて登録すべき障がい者専門就職エージェント3選
上記に合わせて、下記3つの障がい者専門エージェントもおすすめです。
- エージェント・サーナ|迷ったらこれ!26年の実績のある老舗エージェント
- アットジーピー|ハイクラス/アスリートまで幅広い求人をもつ
- アビリティスタッフィング|精神障がいのある方の転職実績豊富なエージェント
エージェント・サーナ|迷ったらこれ!26年の実績のある老舗エージェント
『エージェント・サーナ』は障がい者の転職支援で26年の実績を誇る老舗の転職エージェントです。
求人は一切公開されていませんが、エージェント・サーナにしかない求人が大半で、大手優良企業の求人も多いです。
26年の実績・信頼を活かしたサポートをしてくれ、面談から6割の方が2ヶ月以内に内定を決めています。実績を考え、迷った場合は大手2社+エージェント・サーナの利用がおすすめです。
※東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・京都・兵庫・滋賀在住の方向けのサービスです。
エージェント・サーナ公式サイト:
https://www.agent-sana.com
アットジーピー|ハイクラス/アスリートまで幅広い求人をもつ
『アットジーピー』は障がい者向けに転職・就職をサポートしている人材サービスです。
キャリア相談の後、2,000件以上の企業の中からあなたにフィットした求人を紹介してくれます。ホームページ上にも1,000件以上の求人が公開されているので、まずはどんな企業があるのか覗いてみましょう。
高いスキルを持つ障がい者向けの「アットジーピーハイクラス」、障がい者アスリート向けの「アットジーピーアスリート」など幅広く転職・就職サポートを行っています。
※カウンセリング拠点が東京・大阪・名古屋ですが、行くのが難しければ電話でも対応してもらえます。
アットジーピー公式サイト:
https://www.atgp.jp
アビリティスタッフィング|精神障がいのある方の転職実績豊富なエージェント
『アビリティスタッフィング』はリクルートグループの障がい者向け転職支援サービスです。
日本最大規模の人材会社ゆえの企業とのパイプ、転職ノウハウで転職を支援してもらえます。
身体障がいのある方ももちろん利用可能ですが、精神障がいのある方向けの求人や利用者が中心なので、精神障がいの方におすすめのエージェントです。
※首都圏のみのサービスです。
アビリティスタッフィング公式ページ:
https://ability.r-staffing.co.jp
7. 就職エージェントをより効果的に利用する7ポイント
この章では、就職エージェントをより効果的に利用するためのポイントを7つお伝えします。
- スカウトを利用した場合、2週間に1回くらい連絡を入れておく
- 就職時期は最短可能日程で答える
- 担当コンサルタントをシビアな目でみる
- 経歴やスキルに嘘をつかない
- 推薦文は必ず確認する
- 同じ案件に複数の就職サービスから応募しない
- 紹介された会社の実態を口コミサイト『OpenWork』で調査
せっかく良い就職サービスを選んでも、上手に活用できなければもったいないので必ずチェックしましょう。
Point-1. スカウトを利用した場合、2週間に1回くらい連絡を入れておく
就職サイトは、企業から依頼を受けるとデータベースの中から条件を絞り応募者を探していくのですが、この時の表示順番が「更新日」(=最終接触日)なのです。
「更新日が古い=もうすでに就職を決めた可能性が高い」と判断されるので、連絡を怠っていると後回しにされ、いずれ案件紹介メールが届かなくなります。
例えば、上記は「年齢30歳以下、就職回数1回以下、勤続年数2年以上、TOEIC780以上」で検索した結果ですが、実務的な処理としては、更新日が新しい順番に20人ずつメールを送って反応をみて、応募者がいなければ次の20人へ、といったように送信していきます。
更新日が古いと、いくら条件が良くても機械的に後回しになってしまう場合があるのです。
Point-2. 就職時期は最短可能日程で答える
キャリアコンサルタントも売上目標があり日々追われています。
コンサルタントとのファーストコンタクトで必ず「就職時期はいつ頃をお考えですか?」と聞かれるので、この時には「いいところがあればすぐにでも」と答えるようにしましょう。
そうすればあなたはすぐに売上に繋がると考え、優先順位をあげて対応してくれることでしょう。
※もちろん現職での退職手続きや引継ぎがあるはずなので、その点は伝えておきましょう。
Point-3. 担当コンサルタントをシビアな目でみる
担当コンサルタントに情をうつしてはいけません。
担当変更はさほど大した問題ではないため、性格が合わなかったり、知識に不満があれば変えてもらいましょう。
担当変更がどうしてもしづらい場合は他社を当たりましょう。
担当変更メール文面例
いつも大変お世話になっております。現在就職の支援をして頂いている○○と申します。現在、ご担当者の○○様には大変丁寧にご対応頂いており感謝をしておりますが、
就職活動が初めてで不安が大きく、他の方のご意見も是非お伺いしたいです。
もし可能であれば、他のコンサルタントの方と一度お話をしたく考えております。
大変お手数をおかけしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
Point-4. 経歴やスキルに嘘をつかない
登録情報や一連のやりとりについては申し出をしない限りは情報が残ります。
コンサルタントでよく話題にあがるのが、「去年の登録情報と今回とで登録情報が違うよ・・・」という話です。
この場合、虚偽報告を行うリスキーな人材として紹介する案件を限るなどの判断がくだされます。
Point-5. 推薦文は必ず確認する
ほとんどの場合、担当コンサルタントはあなたを200字〜1000字で紹介する推薦文を書きますが、あまり優秀ではないコンサルタントの場合は経歴をそのまま写すだけなどひどいケースがあります。
そこで「面接時に相違があると困るのと、客観的に今一度自分を見直したいため、書いていただいた推薦文をお送りいただけませんか?」と一声かけましょう。
Point-6. 同じ案件に複数の就職サービスから応募しない
数社の就職サービスを使っている場合、同じ案件には複数の就職サービス経由で応募しないようにしましょう。
企業から「他の就職サイトからも応募があるんだけど」と担当に連絡がいってしまいます。
企業・担当コンサルタント両者に不信感を与え、場合によっては破談となるリスクさえあります。
Point-7. 紹介された会社の実態を口コミサイト『OpenWork』で調査
就職エージェントも売上がかかっていますから、なんとかしてあなたに就職を決めてもらいたいものです。
優良なコンサルタントであれば都合の悪いことを隠したりすることは少ないでしょうが、自衛のために口コミサイトの『OpenWork』を利用して裏をとるようにしましょう。
以下のような口コミが大量に集まっているので、その情報をもとに、社風や雰囲気をあらかじめ予想することができます。
上場企業であればほぼ全ての企業についての口コミが集まっていますので、ぜひ利用してください。
8. 【図解】就職エージェント利用の流れ
ここまで、就職が有利に進む就職サービスと、その活用ポイントをお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
就職エージェントに登録したあとは、特に準備は必要とせず、気軽に身をゆだねれば良いのですが、初めて使う方は不安も多いかと思いますので、登録後何が起こるのかをざっくり把握しておきましょう。
Step 1. まずは公式ページから登録する
それぞれの公式ページから登録を行います。
登録する際は、『就職サービス』なのか『派遣サービス』なのかを確認するようにしてください。
例えば、「パソナ」と検索するとパソナの派遣登録サイトが出てくるように、紛らわしいサービスが複数あるため、登録前にしっかりと確認しましょう。
正社員就職を目指していたのに、知らずのうちに派遣社員の面接を受けていた…ということがないように、十分に注意しましょう。
Step 2. 担当コンサルタントから連絡が来る
登録すると、担当から数日以内に電話かメールで連絡が入ります。
事前に準備などをする必要は全くありませんが、ざっくり下記のようなことを聞かれます。
- 就職希望時期は?
- 希望する職種や業界は?
- 希望年収は?
10分ほどの最低限のヒアリングを受けた後、キャリアカウンセリングのアポイント調整を行います。
※最初からアポイント調整に入る場合もあります。
Step 3. キャリアカウンセリング
あなたが就職エージェントのオフィスに訪問することもあれば、担当コンサルタントが近くまで来てくれることもあります。(日程・場所の都合が合わなければ電話面談になります。)
初回面談での話題で多いのは下記のようなテーマです。
- あなたのキャリアの棚卸
- PRポイントの整理
- 就職するべきかどうか
- 就職するとしたらどのような企業に内定をもらえそうか
- どのように職務経歴書を書いたら通過しやすくなるか
- 就職についての要望の深堀
キャリアカウンセリングで気づくことも多く、なるべく多くのコンサルタントに意見をもらえば、考えがまとまっていき、後悔ない就職をすることができるでしょう。
担当コンサルタントとは長い付き合いとなるため、できれば拠点に足を運ぶようにしましょう。
Step 4. 求人紹介を受ける
あなたの希望に合いそうな求人を5件~20件ほど紹介してもらえます。
思ってもないような大手もあれば、今まで知ることのなかった魅力的な中小企業もあるでしょう。
それぞれのエージェントしか扱っていない独占求人もありますので、複数社のエージェントから求人紹介を受けることを推奨します。
Step 5. 履歴書・職務経歴書の添削
応募する企業を決めたら、職務経歴書や履歴書といった選考書類を添削してもらいます。
場合によってはこのためだけに面談を設定してくれたり、何度も書き直しを行ったりしてくれます。
最高の職務経歴書をエージェントと一緒に作り上げていきましょう。
Step 6. 紹介された求人に応募する
選考書類が完成したら、担当コンサルタントが最後に推薦文を添えて企業に応募します。
自分ではなかなか伝えられないあなたの魅力を、担当コンサルタントが企業に伝えてくれます。
求人サイトを使って自力で応募すると、推薦文はもちろん誰も書いてくれませんし、企業への手続きも全部自分でしなければならないため、それに比べると就職エージェント経由は圧倒的に有利です。
Step 7. 面接対策を受ける
応募している企業の面接担当者がどのような質問をして、どのようなタイプの方を好むのか、今持っているスキルのなかで何をPRするべきなのかといったポイントのアドバイスを貰います。
あなたが希望すれば模擬面接を実施してもらえるケースも多いです。
Step 8. 企業との面接を行う
面接の日時設定は担当コンサルタントが全て行ってくれます。
対策してもらったことをフル活用して、力を出し切りましょう。
面接に落ちてしまった場合には、多くの場合、担当コンサルタントが人事担当者からフィードバックを受けているため、次の面接に生かすことができます。
Step 9. 内定と退職サポート
内定が出た後は、担当コンサルタントが給料交渉や入社日の調整を責任を持って行ってくれます。
また、退職手続きについて不安な場合も、上司にどのように報告するかなど就職エージェントであればノウハウを必ず持っていますので、頼ってしまいましょう!
9. すぐに働くのが心配な方におすすめの就労移行支援
本章では、これからすぐに働き始めるのが不安なADHDの方向けの就職サービス、『就労移行支援』を紹介していきます。
就労移行支援では、働くための訓練を1ヶ月〜2年間受けた上で、就職活動のサポートしてくれます。
就職率・定着率の高い就労移行支援は以下の通りです。
それぞれ見ていきましょう。
9-1. LITALICOワークス(リタリコ)|障害のある方と一般企業への就職を目指す
『LITALICOワークス(リタリコ)』は障害のある方に向けて就労移行支援を行う事業所で、一般企業への就職から職場定着まで一貫したサポートを行っています。
利用には市役所や区役所の障害福祉課などの窓口での受給者証の申請が必要ですが、手続きに関してもスタッフのサポートを受けることが可能です。
LITALICOワークスが直接求人を紹介することはありませんが、ハローワークや障害者就業・生活支援センター、障害者職業センター等と連携することで、利用者により良いキャリアを提案します。
ほとんどの方が無料でサービスを利用でき、利用期間の上限は原則2年間です。
就職エージェントと違って、その2年間の中でじっくりと職業訓練を行えるので、ブランクがあり社会復帰に不安がある方におすすめできます。
利用前に、体験会や見学会などで実際の雰囲気を確かめることもできるので、気軽に問い合わせてみましょう。
LITALICOワークス公式サイト:
https://works.litalico.jp/
9-2. ミラトレ|就職率98%
『ミラトレ』は、パーソルの子会社であるパーソルダイバーズ株式会社(旧・パーソルチャレンジ株式会社)が運営している就労移行支援事業所です。
ミラトレの平均就職率は98%であり、全国の就労移行支援事業所における平均就職率22.4%を大きく上回ります。
またミラトレ卒業生の職場定着率(半年間)は80%で、その大半は定着率が60%と低い精神障害のある方です。
ミラトレは、同じパーソルダイバーズが運営する障がい者向け転職・就職支援サービス「dodaチャレンジ」とも連携し、多彩な就職先候補を紹介してくれます。
そのため、こうしたつながりを最大限に活用し、一人ひとりが満足できる就職・転職を実現することができるのです。
ミラトレ公式サイト:
https://mirai-training.jp/
9-3. Cocorport(ココルポート)|交通費・昼食支援あり
『Cocorport(ココルポート)』の最大の強みは、全500種以上もの豊富なプログラムを提供していることです。
Cocorportにはこれまで累計1,000名以上の方の就職を支援してきた実績があり、平均就職率も89.4%となっています。
またCocorportのもう一つの特徴としては、自宅から事業所までの交通費助成(上限1万円)、ランチ応援制度があることが挙げられます。
就労移行では給料がもらえず、週に4~5回通うことになるで、交通費や昼食代の助成は通所の大きな支えとなるでしょう。
Cocorport公式サイト:
https://www.cocorport.co.jp/
10. 就労移行支援を効率的に利用する6つのポイント
この章では、就労移行支援事業所をより効果的に利用するためのポイントを6つお伝えします。
- 10-1. スタッフとの相性が合うか確認
- 10-2. 就労実績・定着率を公表しているか確認
- 10-3. 就労実績・定着率が高い事業所を選ぶ
- 10-4. プログラム内容を聞いておく
- 10-5. 就業前後のフォロー体制を聞いておく
- 10-6. 近すぎず遠すぎない事業所を選ぶ
良い就労移行支援事業所を選んでも、上手に使えなければもったいないので必ずチェックしましょう。
10-1. スタッフとの相性が合うか確認
就労移行を選ぶポイントとして一番重視したいのが「スタッフとの相性」です。
「スタッフが嫌い!」という口コミもしばしば見られますが、そのような状態では就職どころか通所も難しいので、スタッフとの相性が合うことはとても重要です。
ただスタッフとの相性は実際に会ってみないとわからないので、見学や体験通所を通して、スタッフと他の利用者の関わりを見てみましょう。
10-2. 就労実績・定着率を公表しているか確認
就労実績や定着率を公表している就労移行は信頼できます。
就労実績・定着率を公表してる事業所は意外と少ないので、逆に公開している事業所は自信があるということになります。
ですので、就労実績・定着率をホームページで必ず確認しましょう。
また、載っていない場合は見学時に聞いてみてください。
10-3. 就労実績・定着率が高い事業所を選ぶ
当前ですが、就職率や定着率が高い事業所は質の高い就労移行支援を実施していると言えます。
目安は、就労実績が1事業所につき1年あたり10人以上、定着率80%以上です。
ただし、数字のカラクリでごまかしてる場合もあるので注意が必要です。
10-4. プログラム内容を聞いておく
事業所によって強みとする障がい分野や職種が異なるので、自分に合ったプログラムのある事業所を選ぶことが大切です。
以下は、ある事業所の強みとしている職種と、その事業者が行なっている研修内容の例です。
事業所の強み | 研修内容 |
オフィスワーク系職種 |
|
製造系職種 |
|
その他、事業所の特徴に合わせてプログラミングや接客、調理補助、デザインなど様々なスキルアップ研修が行われています。
ですので、プログラム内容をホームページや見学、体験で必ずチェックし、ご自身の将来に繋がるプログラム・事業所を選びましょう。
10-5. 就業前後のフォロー体制を聞いておく
就労移行支援事業所による就業前後のフォロー体制は、必ず聞いておくようにしましょう。
例えば、就業前のフォロー体制については、「希望条件に合った求人紹介」や「企業との面談対策」をしっかりと行ってもらえるかどうかがポイントとなります。
その一方、就業後のフォロー体制については、「就職先への訪問頻度」や「就職先への連絡体制」を聞き出し、就業後もいつでも相談しやすい環境かどうかを確認しておきましょう。
10-6. 近すぎず遠すぎない事業所を選ぶ
通いやすいという理由で近い場所を選びがちですが、通勤の訓練でもあるので最低でも交通機関を使う場所を選びましょう。
最も理想的なのは働きたい街にある事業所です。
ただし、必ず無理なく通所できる場所を選びましょう。
11. 就労移行支援利用の流れ
この章では、実際に就労移行支援を利用する場合の流れについてご説明します。
- Step1. 問い合わせ
- Step2. 事業所の見学
- Step3. 体験通所
- Step4. 受給者証申請・契約
- Step5. 利用開始・個別支援計画
- Step6. プログラムへの参加
- Step7. 就職支援
- Step8. 就職後フォローを受ける
Step1. 問い合わせ
『ヨツバノハ』という就労移行支援事業所を検索するためのサイトがあります。
下記のようにお住いの地域別に探せるので、お近くの事業所を調べてみましょう。
出典:ヨツバノハ
気になる就労移行支援事業所があれば、電話やメール、WEBサイトを通じて連絡を取ることをおすすめします。
不明点を質問できるほか、見学の予約を取ることもできます。
Step2. 事業所の見学
実際に就労移行支援事業所へ足を運び、スタッフの方とお会いしながらサービスの説明や実際のトレーニング風景を見学できます。
見学は予約制となっている事業所が多いので、事前にご確認ください。
見学では、就職への相談もできますので、事業所への通所でご自身の不安を解消できるかを確認しましょう。
Step3. 体験通所
見学を終えたら、事業所で提供しているトレーニングや就職支援メニューの体験を行いましょう。
体験通所は無料ですが、内容や日数は事業所によって異なり、体験が5日間の施設もあれば、1日だけの施設もあります。
ここで実際のトレーニングを体験し、通所することがご自身の将来に繋がるかどうかを検討しましょう。
また、既に通所している方々から積極的に情報を得たり、就職支援メニューの内容を職員に確認しておくことも施設選びの参考になるので大切です。
Step4. 受給者証申請・契約
申し込みたい事業所が決まったら、次は受給者証の申請手続きです。
受給者証申請の手続き方法については、就労移行支援事業所よりご案内があります。
申請手続きが完了したら事業所と個別の利用契約を締結し、利用開始です。
Step5. 利用開始・個別支援計画
就労移行支援事業所の利用が決まったら、事業所のスタッフがあなたの希望を聞いた上で、理想の就労生活を実現するための計画を立てます。
これを個別支援計画といい、 担当者と一緒に具体的な支援メニューやプログラムを決めていきます。
利用開始時に個別支援計画についての説明がありますので、ご自身の意向に合ったものかをきちんと確認しましょう。
なお、個別支援計画は3~6か月単位でスタッフが見直しをしていきます。
Step6. プログラムへの参加
一般の企業で働くために必要なビジネスマナーやスキルアップ研修、就職活動の研修が受けられます。
また、職業スキル向上だけでなく、「障がい」への対応策を身に着けることが長く働き続けるためには重要です。
就労移行支援では障がいへの対応策として、以下のような内容にも取り組みます。
- 配慮の伝え方
- 服薬・睡眠・食事等の生活リズムの安定
- 体力向上
- 報告・連絡・相談
- 悩みを抱え込まない対策
- 認識のズレを防ぐスキル方法
これらは一例であり、実際の内容は対象者によって様々ですが、就労移行にあたって障がいへの対応策を身につけることは非常に重要です。
Step7. 就職支援
就職に必要なスキルや障がいへの対応策を身に付けることができた方は、就職支援をスタートします。
就職支援の内容は下記の通りです。
- キャリアカウンセリング
- 選考ポイントを押さえた応募書類添削
- 面接練習
- 企業実習
- ハローワークや人材会社との連携
事業所によっては、企業ネットワークがあり、そこから就職に繋がるケースもあります。
Step8. 就職後フォローを受ける
入社が無事に決まると、職場に定着するためのサポートが始まります。
就職決定後、「うまくやれるだろうか」「仕事をしているが体力が持たない」「たくさんの人から指示があり、パニックになる」などといった不安を抱えている利用者は多くいます。
そのため、そのような方々に対して、職場に適応できるようスタッフの職場訪問や相談対応が実施されることが一般的です。
出典: ヨツバノハ
12. 【FAQ】ADHDの方の就職に関してよくある質問と回答
本章では、ADHDと就職に関してよくある以下の質問に回答していきます。
- Q-1. 求人サイトと就職エージェントの違いを教えてください
- Q-2. ADHDを隠して就職活動をした方が有利ですか?
- Q-3. ADHDに起業やフリーランスは向きますか?
- Q-4. 就労移行支援は障がい者手帳がなくても利用できますか?
それぞれ見ていきましょう。
Q-1. 求人サイトと就職エージェントの違いを教えてください
求人サイトは、転職エージェントのようにサポートを受けられる訳ではなく、自分で条件に合う求人を探し、応募するというものです。
転職エージェントと求人サイトの主な違いは下記の通りです。
転職エージェント | 求人サイト | |
転職サポート | アドバイザーのサポートを受けながら転職活動を行う | 自分一人で転職活動を行う |
特徴 |
|
|
転職活動の手間を減らすという点で、サポートの手厚い転職エージェントを利用するのがおすすめですが、「自分1人の力で探したい」「行きたい企業が決まっている」という方であれば、求人サイトの方が希望に合ったサービスを受けられるでしょう。
ADHDの方におすすめ求人サイトを以下に紹介していますので、興味のある方は登録してみてください。
- doda|求人数No.1の総合転職サイト
- リクナビNEXT|リクルート運営の転職サイト
- バブナビ|公開求人数が最も多い転職サイト
- ウェブ・サーナ|エージェント・サーナと同じ会社がやっている転職サイト
- クローバーナビ|合同面接会も行う就職情報サイト
Q-2. ADHDを隠して就職活動をした方が有利ですか?
周囲に配慮してもらいながら長く同じ職場で働き続けたい場合は、ADHDであることを企業に開示する「オープン就労」をおすすめしています。
参考までにADHDがあることを企業に開示する「オープン就労」と開示しないで就職する「クローズ就労」のそれぞれのメリット、デメリットを下の表にまとめてあるので、ご確認ください。
メリット | デメリット | |
オープン就労 |
|
|
クローズ就労 |
|
|
Q-3. ADHDに起業やフリーランスは向きますか?
たしかに起業家やフリーランスで働く人の中にADHD的な気質を持った方は多いと思われますが、ADHDが起業に向くというわけではありません。
ADHD傾向のある人には、ミスの多さや苦手なものへの集中力の弱さ、計画やその修正、つまり段取りの苦手さなど、一人で何でもすることが必要な起業・フリーランスには向かない部分が多いことは否定できません。
起業・フリーランスで成功するためには、周囲の人を上手に巻き込み自分の苦手を補ってもらうことが重要になります。
Q-4. 就労移行支援は障がい者手帳がなくても利用できますか?
医師の診断や定期的な通院があれば、障害者手帳をお持ちでない方でも利用可能な場合があります。
ただし、利用の際には行政が発行する受給者証が必要になるので、お住まいの市区町村の窓口(保健福祉部健康福祉課など)で、障害福祉サービスの支給申請の手続きを行う必要があります。
就労移行支援では申請のサポートも行っていますので、まずはお近くの就労支援にお問い合わせください。
13. 関連記事
障がいのある方向けの転職記事まとめました。
気になるものがあれば、ぜひご一読ください。
発達障がい者転職記事 | |
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14. まとめ
ここまで、ADHDの方の就職について詳しく説明してきましたがいかがでしたか?
就職活動でADHDが障害になることはあるかもしれませんが、ADHDの特性を強みとして活かす方法を理解していれば、あなたに合った就職先は見つかります。
自身に合った就職先を見つけるためにも、ADHDの方は、『就職エージェント』や『就労移行支援』といった就職支援サービスを利用していきましょう。
以下で改めて、ADHDの方におすすめの就職サービスを紹介していますので、少なくとも3社は一気に登録することをおすすめします。
大手就職エージェント | |
障がい者専門就職エージェント | |
就労移行支援 |
あなたの就職・転職活動が上手くいくよう、心から願っています。
現役の転職コンサルタント集団。大手人材会社に在籍しているメンバーが多いため、執筆内容に制約がかからないように『匿名性』とし、裏事情やノウハウを包み隠さずにご紹介しています。
なんだろ、ターゲットになりやすいとかあんのかしら。