「50代の転職事情を知りたい」とお考えですね。
結論から言うと、50代転職の難易度は二極化しています。
豊富な経験と人脈がある50代は採用ニーズが極めて高く、当記事で紹介するミドル層が主なターゲットの「転職エージェント」や「ヘッドハンティング型サイト」を使えばスムーズに転職できます。
一方、特筆すべきアピール要素がない方は採用ニーズが低く、「1年かけて転職活動しても決まらない」ことも珍しくありません。50代転職では、求められる経験・専門性の水準が高く、それゆえ「厳しい」「難しい」と言われやすいのです。
まずは50代の転職事情を知り、自らの市場価値(特に若い世代にはない強みがあるか)を正しく把握してきましょう。
この記事では、転職のプロとして数多くのキャリアチェンジを支援してきた私が、50代の転職事情と転職活動のコツを解説していきます。
- 50代転職の厳しい現実を示す3つの統計データ
- 50代転職の重要事項は「市場価値の把握」
- 50代で転職先がすぐ決まる人と決まらない人の違い
- 50代転職の市場価値はどのように測れば良いか
- ミドルの転職で失敗しない企業選びのポイント
- 50代転職だからこそ意識すべき転職活動の進め方
- 50代転職を成功させたいならエージェントの利用がおすすめ
- 50代におすすめの転職エージェント
- 備考:50代転職者に聞いた「転職理由」とは
- 【FAQ】50代の転職に関してよくある質問
すべて読めば、50代であっても満足のいく転職を実現できる可能性がグッと上がるでしょう。
目次
1.50代転職の厳しい現実を示す3つの統計データ
50代の転職は「厳しい」「やめたほうがいい」と言われることも多いですが、実際に転職者を対象にした統計を見るとやはり厳しい現実がうかがえます。
1-1.ほとんどの企業ではミドル層の採用に消極的
ほとんどの企業ではミドル層(40・50代)の採用に消極的です。
35歳未満の人材であれば約9割の企業が採用に積極的ですが、年齢が高くなるほど採用に対して後ろ向きになっていきます。
50代後半になると、「採用を前向きに考えている企業は2割程度」にまで下がり、過半数の企業が「採用は考えていない」ようです。
※厚生労働省「中途採用に係る現状等について(令和元年)」をもとに作成
このように、ミドル層は転職市場において、基本的には採用ニーズが低い傾向にあります。
1-2. 50代の転職は長期戦
50代の転職活動はかなり長引きます。具体的には、半年以上かかると想定しておくべきです。
事実、50代の過半数は「転職活動に半年以上かかった」という調査もあり、中には1年以上の長期スパンで転職活動をした方も2割程いるようでした。(参考:エン・ジャパン ミドルに聞く「転職活動期間」実態調査)
そして当然ながら、他の世代と比べると、早期決定者(1~3ヶ月程度で決まる)の割合は低くなります。
これには以下の理由が考えられます。
50代の転職活動が長引く理由
- そもそも応募可能な求人が見つからない
- 家族の理解を得られる好条件の企業が中々見つからない
- 年齢を理由に書類選考段階で不採用となりやすい
- (管理職の立場の方は特に)転職活動の時間が取りづらい
こういった背景から、「思った以上に転職先が決まらない」という方が多く、ミドルの転職は厳しいと言われてしまうのです。
1-3. 転職はできても年収ダウンしやすい
50代の転職は、年収ダウンしやすい傾向にあります。
事実、「転職して年収が下がった」人の割合は、年齢が上がるにつれて増えます。50代後半までなると、実に2人に1人は転職で年収が下がる結果です。
お金の問題は切っても切り離せません。若年層の転職者と違い、特に50代は家族のことも考えながら転職しなければならないことも多いはず。年収が大幅に下がるようなら、生活に支障が出ますし、将来設計にも影響します。
内定が出ても、最終的な給与を踏まえると配偶者から強く反対されることもあります。実際に給料を理由に家族から反対されて、内定を辞退する方も珍しくありません。
ただそうはいっても、ある程度妥協しなければ、なかなか転職先が決まらないのが現実。このように、金銭的な条件を妥協しなければならない点も、50代の転職が厳しいと言われる理由です。
本章のまとめ
50代転職者は、転職活動期間が長くなりやすく、さらに年収が下がりやすい事情がありました。
ただ、冒頭でも述べたように、50代転職の難易度は二極化しており、転職先が「すぐ決まる人」と「いつまで経っても決まらない人」に二分されています。ではこの違いは何なのでしょうか。
次章では、50代転職で一番押さえておくべき重要ポイントについて解説します。
2. 50代転職の重要事項は「市場価値の把握」
50代転職を成功させる最初のステップは、自分の市場価値を正確に把握することです。
市場価値(マーケットバリュー)は、転職市場における相対的な人材価値のこと。主に以下の3要素で構成されます。
- 経験
- スキル
- 人脈
市場価値はこれらの組み合わせで決まるものですが、ミドル層(特に50代)の転職者は、「自分の認識」と「市場価値」にギャップがあることが多々あります。
「自分の認識」と「市場価値」のギャップとは
例えば、大企業で順調に出世し、年収が700万円を超えていて、「次は絶対に800万円以上のポジションを狙えるはず」と思い込むようなイメージです。
もちろん、年収が絶対にかなえたい条件なら問題ありませんが、「自分は800万のポジションを狙える人材である」という思い込みで転職活動を進めてしまうのは失敗のもとです。
というのも、現職の年収はあくまで今いる会社の給与体系で決められたものに過ぎないからです。大企業出身者ほどよくある話なのですが、「いざ身一つで転職市場に出てみると、今以上の給与を提示してくれる会社はほとんどなかった」というケースは実に多くあります。
他にも「今の会社でやって来たことは他の会社でもアピールできるはず」「上場企業の管理職だから声がたくさんかかるはず」と思い込んでしまう人も多いです。
柔軟さ・謙虚さがないと市場価値の把握は難しい
柔軟さ・謙虚さがないと市場価値の把握は難しいです。
「自分の認識」と「市場価値」にギャップがあった場合、柔軟・かつ謙虚な姿勢で、自分の市場価値を正しく把握する方は、すぐに軌道修正が可能です。多少年収は下がっても、満足のいくポジションに決まったり、適切な給与交渉の末、給与ダウンを避けられたりします。
一方、柔軟さ・謙虚さがなく自分を過大評価したまま転職活動を続けてしまうと、なかなか転職先が決まりません。
特に50代転職となると、転職先では自分より年下の社員が上司である可能性もあり、採用担当者は「若手ともうまくやっていけるだろうか」といった観点も含めて採否を判断します。
余計なプライドを捨てきれない方は、面接での言動などに現れてしまい「うちの社員とは合わなそう」と思われることもあります。
前職でのキャリアが転職でそのまま活かせるとは限りません。自分を過大評価せず(もちろん過小評価する必要もありません)、世の中における自分の立ち位置を正確に把握することに務めましょう。
ここまでのまとめ
やや耳の痛い話であったかもしれませんが、「自分の市場価値を客観的に把握する」のは欠かせません。
特に大企業に長年勤めていた人ほど、「企業の力・名前が成果につながっていた」だけで、身一つで転職市場に出たときに「思ったより評価されない」ことがあります。
むしろ中小企業であらゆる業務に直接携わっていた人ほど、すぐ転職できたりすることも少なくありません。
重要なのは、自己理解です。では市場価値はもっと具体的にどういうものなのでしょうか。次章では、「50代で転職先がすぐ決まる人と決まらない人の違い」という観点で、市場価値の有無を具体化していきましょう。
3. 50代で転職先がすぐ決まる人と決まらない人の違い
50代で転職先がすぐ決まる人と決まらない人の違いは、市場価値(マーケットバリュー)が高いかどうかです。
端的にまとめると以下の通りになります。
すぐ決まる人 | 決まらない人 | |
実務・業界経験 | 実績が豊富 | 経験・実績はあるが特筆すべき実績がない |
マネジメントスキル | あり | なし |
人脈 | 広い | 狭い |
それぞれの項目について詳しく解説します。どれも重要なので、本章の内容はしっかり把握しておきましょう。
50代転職がすぐ決まる人は、経験が豊富で「実績」がある
50代転職がすぐ決まる人は、業界・実務経験が豊富で、さらに「実績」があります。
実は、50代を採用する企業が一番重視しているのが「経験」です。実際に、マイナビの調査でも50代を採用する企業の約半数が「豊富な経験」を理由に採用を決めていることが分かっています。
【50代を採用する理由】
出典:マイナビ転職
豊富な経験は、若年層(20・30代)にはなく、50代だからこその強みと言えます。
そしてここで重要なのが、「しっかりと選考でアピールできる実績があるかどうか」です。単に「30年勤続してきました」では不十分です。
選考で重要な「実績」
営業職なら売り上げ件数、目標達成率など、客観的に数字で示せる実績が重要。総務や経理などの場合、「具体的な日々の業務(ex月次や出納、外部機関との折衝業務など)」や「都度発生したプロジェクト(IPO、内部マニュアル作成など)」を具体的に示す
企業が最も求めているのは「経験値」であり、評価される経験や実績を積んできた方は、転職に成功する確率が高いです。
50代転職がすぐ決まる人は、マネジメントスキルがある
50代転職がすぐ決まる人は、マネジメントスキルがあります。
企業が50代に求めるものの一つが、「組織管理能力」です。これも他の世代よりは50代が有利な点であり、部署やチームを統率してきた方は、採用を前向きに考えてもらいやすいです。
もちろん、マネジメント経験が必須というわけではありませんが、短期間で転職が決まるのは、人をまとめる力がある人材です。また、マネジメント経験が豊富な方ほど、年収水準を維持or年収アップ転職ができます。
50代転職がすぐ決まる人は、人脈が広い
若年層にはない50代の強みとして、人脈もあげられます。転職がすぐ決まる人は人脈が広く、「知人の伝手で採用が決まる」ケースも珍しくありません。
これはリファラル採用(紹介採用)と呼ばれており、信頼できる人の紹介経由で転職先を決めるやり方です。
また採用直結とはいかないまでも、知人の紹介経由で書類選考・面接を受けた場合に、採用確率が上がるケースもあります。
50代ともなれば、仕事で関わりのある人も多いと思いますので、人脈を駆使した転職も一つの方法です。
4. 50代転職の市場価値はどのように測れば良いか
市場価値を測る目安の一つが年収です。これまでの経験・スキルが転職市場にて、いくらの年収で評価されるのか=適正年収を指標にするとわかりやすいです。
適正年収を測る方法は、以下のような方法があります。
詳しく解説します。
市場価値診断ツール「ミイダス」を使う
転職するか迷っているという方には、「ミイダス」という転職サービスの活用がおすすめです。
ミイダスは、経歴・スキルを入力することで、「年収〜万円」という形であなたの市場価値を測れるツールです。
7万人の過去利用者のデータをもとに高精度のアルゴリズムで推定年収を算出します。
また、推定年収額に応じて応募確約オファーを受け取れるので、そのまま転職活動に移行できます。
約5分ほどで登録が完了し、企業から直接アプローチをしてもらえるので、少しでも気になる方は気軽に利用してみると良いでしょう。
手軽な方法として、適正年収診断ツールの利用もあります。おすすめは『doda年収査定』です。
『doda年収査定』は、大手人材会社パーソルキャリアが転職サイトdoda内で展開している機能で、過去の登録者データをもとに機械学習で予測年収を算出するツールです。
基本的な情報(経歴)を入力すると、適正年収を提示してくれます。
あくまで年収を自動的に予測する機能ですが、これまでのキャリアがどのように評価されるか参考にするには十分です。
doda年収査定を使う:
https://assess.doda.jp/
なお、「doda年収査定」の利用にはdodaへの登録が必要になるので、利用したい方は下記リンクからdodaに登録しましょう。
次は、ヘッドハンティング型転職サイトに登録してみる方法です。大手であれば『ビズリーチ』が有名です。
ビズリーチは、登録するとあなたの経歴を見た企業の人事・ヘッドハンター(人事から採用を委託された採用活動のプロ)の両方からアプローチを受けられます。
とりあえずビズリーチに登録しておき、職務経歴書を書き込んでおくだけで、スカウト求人が届きます。しかし逆に言うと、市場価値が低い人には登録しても一切スカウトが届かないことも少なくありません。
つまり、登録後に届くスカウトメールによって、「どのようなランクの企業から・どれくらいの条件でオファーがくるのか」を確かめられるのです。
※ビズリーチでメールの返信、求人の応募をするには有料会員になる必要があります。ただもちろん、無理して課金する必要は全くなく、市場価値を測るだけなら無料会員で十分です。
転職エージェントに登録してみる
既に転職を前向きに考えている方は、転職エージェントに登録するのもおすすめです。
転職エージェントとは、登録すると転職相談に乗ってくれて、求人探しから面接対策まで、幅広いサポートをしてくれる『人材紹介サービス』のことです。
転職エージェントがやってくれること
- 面倒な手続きをすべて代行してくれる
- あなたに合った非公開求人を探してきてくれる
- 過去データから万全な面接対策をしてくれる
- 年収交渉を引き受けてくれる
- 退職トラブルの相談相手になってくれる
そして、ここまでのサービスが全て無料で受けられることが大きな強みであるため、転職活動をするにあたって利用は必須と言えるでしょう。
転職エージェントは、登録後に担当者(キャリアアドバイザー)がつき、あなたの経歴を細かくヒアリングした上で転職先を提案してくれます。キャリアアドバイザーと直接やり取りできるので、「他の登録者と比べて、自分の市場価値はどのくらいか」といった具体的な相対的ポジションを把握することも可能です。
5.ミドルの転職で失敗しない企業選びのポイント
50代からの転職先は最後の職場になる可能性もあるので、慎重に選ばなければなりません。そこで後悔しないための企業選びのポイントを解説してきます。
詳しく解説します。
ポイント1.まずは転職の軸を明確にする
まずは転職の軸を明確にすることから始めます。
転職の軸とは、「今回の転職で一番実現したい譲れない点」のことです。これだけは必ず実現したい条件No1を決めておきましょう。
この転職の軸がないと、「この会社もいいな…こっちもいいかも」となってしまい、いつの間にか当初の目的とずれてしまうことがあります。
また、できれば「これは妥協しても良いと思える点」も考えておくと好ましいです。
転職の軸は以下のように考えていきます。
この方の場合は、以下のような軸で仕事を探すと良いでしょう。
転職先探しの指針
- ITなど将来性のある業界に転職する(転職の軸)
- IT業界となるとベンチャーが多く、高収入は望めないので年収15%ダウンまでなら妥協する
このように転職したいと思った理由を具体的にすれば、企業探しの指針がはっきりします。
ポイント2.カルチャーフィットを重視する
価値観や企業理念などの文化(カルチャー)が、自分の考えと合うかどうかも重要です。
特に、50代転職となると転職先の平均年齢は自分より若いはず。そのため、会社の雰囲気に馴染めそうかを予め確認しておく必要があります。
これは会社のホームページや口コミサイトをチェックするのがおすすめです。転職エージェント経由で、年齢層や社風を聞いておくのも良いでしょう。
ポイント3.長期的な視点で企業を選ぶ
50代転職では、10年後・20年後先を見据えた企業選びが欠かせません。具体的には、役職定年の有無や70歳雇用などの制度をチェックしておきましょう。
管理職などの役職についている社員が、ある年齢に達するとその役職を外れる人事制度。9割以上の確率で給料は下がり、モチベーションの低下にもつながる可能性がある。70歳雇用
2020年の改正高年齢者雇用安定法では、従来の定年で雇用を終えるのではなく、定年廃止・70歳までの定年延長が企業の努力義務(必須ではない)とされた。現状、企業の7割は60歳定年制を採用しているが、働く意欲の高いシニア層を採用する一部企業では「定年なし」というケースもある。(参考:再雇用か、転職か、引退かー「定年前後の働き方」を解析するー)
50代転職こそ、この先10年を見据えて自分が活き活きと働ける環境を選ばなければなりません。特に役職定年などは、働くモチベーションに直結する部分でもあるので、人事制度もしっかり確認しておく必要があります。
ポイント4.同規模企業へのスライド転職がおすすめ
転職をスムーズに決めるなら、これまで働いてきた会社と同規模の会社へ転職をおすすめします。言い換えると、「なるべく同じような環境を選ぶ」のがポイントです。
なぜなら、「大企業→ベンチャー」のようなカルチャー・仕事の進め方が全く違う環境への転職は失敗のもとだからです。これまでの経験やプライドが邪魔をして、上手く順応できず、転職後の満足度が下がってしまいます。
特におすすめなのが、現職の企業よりも少し規模感の小さ目な会社に移ることです。そうすれば、役職などで採用も十分見込めます。
6.50代転職だからこそ意識すべき転職活動の進め方
本章では50代の方こそ意識してほしい転職活動のコツを解説します。
①.作成した書類を自分より若い人に見てもらう
一番おすすめしたいのが、作成した書類を自分より若い人に見てもらうことです。
50代転職だと年齢を理由に書類選考を落とされることも多いですが、それと同じくらい「適切な書類作成」ができていないケースも多いからです。
例えば、応募書類で最重要の「職務経歴書」は主にwordを使って作成しますが、決まった様式がありません。そのため、wordスキルが不十分な方は、以下のようなミスをしてしまうことも多いです。
wordに不慣れな人が作る書類
- 強調ポイントがどこか分からない
- インデントや箇条書きがずれている
- 半角全角が不統一
このような読み手に配慮が欠けた書類は、選考で致命的です。自分だけの視点ではなかなか気づかないので、wordに慣れていて書類作成能力の高い人(特に自分より若い)に見てもらうのがおすすめです。
環境的になかなか難しいという方は、転職エージェントでも書類添削をしてくれるので、活用を検討してみてください。
②.なるべく在職中に転職活動を行う
前提として、仕事を辞めて次の職場を見つけるまでの流れは、(1).在職中に転職活動をする、(2).退職して失業手当を貰いながら転職活動に専念するの2通りあります。
結論から言うと、極力(1).在職中に転職活動をすることをおすすめしています。
次の仕事が決まる前に辞めてしまうと、無収入の期間が発生し、生活に影響する恐れがあるからです。それだけでなく、なかなか次の仕事が決まらないと焦ってしまい、妥協せざるを得なくなる可能性もありますし、ブランクが長くなると採用に不利になります。
特に50代の方は、自分以外の家族のことなども考慮しなければならないので、先に辞めるのはおすすめできません。
「在職中に転職活動なんてできるの?」と思われるかもしれませんが、むしろ働きながら次の仕事を見つけるのはスタンダードなやり方です。実際に転職者の8割は、転職活動の準備だけでも始めているという調査もあるほどです。
転職活動の準備とは
- 次はどんな仕事をするか(会社で働くか)条件を考えておく
- 条件に合う求人があるかどうか転職サイトで検索してみる
- 業界や職種についての情報を収集しておく
- 転職サイトに登録して相談だけでもしておく
今の職場で給料をもらいながら転職活動すれば、より多くの情報を収集しつつ、複数の会社を比較検討できるので、最も条件のよい転職先を選べます。
一旦仕事を辞めてゆっくりしたい方は、生活費半年分の貯金があるか要確認
「今すぐ次の仕事は考えられない」という方は、生活費半年分の貯金の有無を確認しておきましょう。最低でも3カ月間は無収入で生活できる状態の必要があります。自己都合退職の場合、失業保険の受給は早くても2カ月半後からになります(待期期間1週間+給付制限期間2カ月)。詳しくは『自己都合退職で失業保険受給をするための全知識』の記事を参考にしてください。
関連記事
≫会社を辞めてからの転職活動は危険?
③. 家族の理解を得る
家族がいる方は、「転職を考えている」という段階で相談し、理解を得ることを心がけてください。
特に50代転職では給与ダウンの事例が多いため、もし給与が減った場合の家計の見直しなども必要です。
内定が得られても家族から反対されて辞退することになれば、せっかくの労力が水の泡です。
家族に相談する際は、「転職の理由」はもちろん、「自分の思い」を正直に伝えてください。家族からの”共感”が得られなければ応援されることは難しいですが、しっかりと自分の思いを言葉にして、「安直に考えているわけではない」と真剣さが伝われば、理解を得られることもあります。
④. 様々な手段で求人探しをする
転職をする際に利用できるサービスには以下のようなものがあります。
- ハローワーク
- 求人情報誌・新聞・チラシ
- 転職サイト・エージェント
- 勤務している会社の就職斡旋
50代の方は特にハローワークを利用することが多いようですが、それだけでは不十分です。ハローワークには質の低い求人が紛れ込んでいることがあり、ブラックな職場に転職してしまう危険があるからです。
民間の転職サービスと異なり、ハローワークに求人を掲載するのはお金がかかりません。
そのため、「採用にできるだけお金をかけたくない」と考えるような企業の求人も、多く掲載されています。人材への投資に消極的な企業ほど、給与が低かったり、待遇が悪かったりする可能性が高いです。
民間の就職支援サービスである転職サイト・エージェントの利用を検討してみてください。
7.50代転職を成功させたいならエージェントの利用がおすすめ
50代転職を成功させたいのであれば、転職エージェントの利用がおすすめです。
というのも、転職エージェントは完全無料で転職相談に乗ってくれ、企業の求人紹介から面接のセッティング、給与交渉など転職に必要なサポートをしてくれるからです。
転職エージェントがやってくれること
- 面倒な手続きをすべて代行してくれる(企業への応募、面接の日程調整など)
- 自分に合った非公開求人を探してくれる
- 過去データから万全な面接対策をしてくれる
- 年収交渉を引き受けてくれる
- 退職トラブルの相談相手になってくれる
そんな転職エージェントを50代の方が使うべき理由を、以下で詳しく見ていきましょう。
理由1. 50代に最適なキャリア提案をしてくれる
転職エージェントを利用すると、求人紹介に加え、キャリアの築き方や仕事選びの方法など、50代の求職者に最適な提案をしてくれます。
そのため、50代からのキャリア構築に関してプロの視点からサポートを受けたいという方は、ぜひ転職エージェントを活用しましょう。
理由2. 非公開求人の情報を得られる
それぞれの転職エージェントには、そのエージェントでしか取り扱っていない「非公開求人」が存在しています。
非公開求人とは?
企業のWebサイトや転職サイトなどで、一般に公開されていない求人情報です。
この中には、企業戦略上あまり公表したくない稀少度の高い案件や、好条件の案件が多くあります。
そのため、自身の可能性を広げるためにも、転職エージェントに登録し、非公開求人を紹介してもらうことがおすすめです。
理由3. 目指す業界・職種に特化した対策が可能
多くの転職エージェントでは「業界別」「職種別」の対策に力を入れており、その対策によって内定を獲得できた方も数多くいます。
というのも、転職エージェントが企業選考を熟知して突破するノウハウを多く保有しているからです。
具体的には、過去どのような人が受かって、落ちたのか、またその時にどのような質問をされて、どのように回答したか、といったデータを保有しており、選考前に教えてくれます。
これらのメリットから、転職を成功させたい方は転職エージェントの利用がおすすめです。
次章では、50代におすすめの転職エージェントを具体的に紹介していきます。
8.50代におすすめの転職エージェント
当サイトでは転職エージェント利用者500人へのアンケートを通して取得したデータを、以下の基準で評価しました。
転職エージェント比較基準
- 求人の数・質(重要!!)
…コロナの影響で求人が減っている今、十分な数・質の求人を保有しているか - 提案力
…キャリアプランに合った求人を提案してくれるか - サポート力
…徹底した選考対策やサポートをしてもらえるか
※当サイトでは「提案力」と「サポート力」をもとに利用者満足度を算出し、ランキング選定基準としています。
50代のあなたが登録すべき転職エージェントをランキング形式で紹介していきます。
転職エージェント | 公開求人数 | 利用満足度 |
1位 リクルートエージェント |
約37.0万件 | ★★★★☆4.2 総求人数No1!選択肢を増やすなら登録必須 |
2位 dodaエージェント |
約19.0万件 | ★★★★☆4.1 業界大手のエージェント!地方転職にも強い |
3位 パソナキャリア |
約3.6万件 | ★★★★☆4.0 サポート充実で満足度No.1 |
※求人数:2023年10月9日時点
『リクルートエージェント』は求人数が豊富であるため、必ず登録しておきたい転職エージェントです。
また、地方での転職にも強い『dodaエージェント』や、サポート体制で高い評価を得ている『パソナキャリア』を併用することで、転職先の選択肢が増えるでしょう。
詳しいエージェント評価は『50代に強い転職エージェントおすすめランキング』で解説しています。
エグゼクティブ向けの転職エージェント
自分の専門スキルや経験を活かして転職したい方は、エグゼクティブ向けの転職に特化したヘッドハンティング型転職サービスの利用をおすすめします。
ヘッドハンティング型の転職サイト・エージェントは、自ら求人を探すのではなく、ヘッドハンターから声がかかり求人の提案を受けることができるという仕組みのサービスです。
ここでは、ヘッドハンティング(スカウト型)のサービスを中心に、ハイクラス向けのサービスをピックアップしました。
転職エージェント | 公開求人数 | 利用満足度 |
1位 リクルートダイレクトスカウト |
7.4万件 | ★★★★☆4.1 年収800万円以上の求人多数 |
2位 ビズリーチ |
6.0万件 | ★★★★☆4.0 CMで話題!近年人気急上昇中のサイト |
※求人数:2021年8月時点
今より高年収を目指す場合、急いで転職を決めてしまわず、複数のヘッドハンティングサービスに登録しスカウトを待つことをおすすめします。
ヘッドハンティングサービスでは、レジュメ(プロフィール)の登録後にスカウトが来るので、実績のあるヘッドハンターを選んでコンタクトを取るようにしましょう。
エージェントと並行して「転職サイト」での求人探しもおすすめ
より多くの情報を集めたい方は、エージェントと並行して転職サイト(求人広告サイト)も利用してみましょう。
転職サイト | 公開求人数 | 利用満足度 |
1位 リクナビNEXT |
約10.2万件 | ★★★★☆4.1 総求人数No.1!選択肢を増やすなら登録必須 |
2位 doda転職サイト |
約19.0万件 | ★★★★☆4.1 サポート充実で満足度No.1 |
3位 type |
2,500件 | ★★★★☆3.9 コンサルタントの提案力が高い |
※求人数:2023年10月9日時点
『リクナビNEXT』は転職業界最大手のリクルートが運営する求人型サイトであり、すべての人におすすめできる転職サイトです。
また、豊富な求人を持つ『doda転職サイト』や利用者の人気が高い『type』なども併用し、求人の幅を広げましょう。
9.備考:50代転職者に聞いた「転職理由」とは
難易度が高いことを知っていても、労働環境や業務内容に不満を感じて転職する方もいます。
この章では、50代で転職する理由を事例と合わせて紹介していきます。
順に見ていきましょう。
理由1.収入が少なかったため
収入が少ないために転職する方が多くいます。
特に、退職後の貯蓄を考えて現在よりも収入を上げたいという場合が多く、年金を受け取れる65歳までにどのような働き方をするのか、長期的な計画を立てなければいけません。
収入が少なく大変だった
50代の転職で収入を上げることは大変難しいため、自分の市場価値を把握し対策を練って転職活動に臨む必要があります。
理由2.人間関係が合わなかった
職場の人間関係が合わないために転職を考える方は多いです。
仕事をスムーズに進めるためにはコミュニケーションが必須であり、職場の雰囲気が自分と合わない場合はストレスが溜まってしまいます。
しかし、慣れない転職先で良好な人間関係を築くまでにも時間はかかるため、転職に踏み切るかどうかは、やりがいや給与面と合わせて慎重に考えましょう。
最初は慣れなくて大変だった
人間関係には期待していない
人間関係についてはそもそもあまり期待していないので、「まあ、こんなもんかな。」という感想でした。
理由3.やりがいのある仕事をしたい
今までの経験を活かし、自分のスキルを発揮できる環境を求めて転職する人もいます。
このようにやりがいを求めて転職する人は、多少給与が下がったとしても転職して良かったと感じることが多いようです。
やりがいを感じられる職場に転職できた
尊重してくれているからこそ、自分のやり方を新しい職場で受け入れてもらえており、新しい会社・職場に自分が合わせていく事なくストレスフリーの毎日を送らせていただいています。
仕事のやりがいを見出せたら転職成功
新しい会社での人間関係は希薄ですが、前の会社でもうまく言っていなかったので、どこでも同じだと割り切っています。新しい会社で仕事のやりがいを見出していけたら転職成功です。
理由4.ライフステージが変化した
単身赴任を辞めワークライフバランスを重視したい方や、家族の介護をすることになった方など、ライフステージの変化によって転職に至る方もいます。
キャリプランを考え直し自分の働き方を変えたい方は、以下のように、理想のライフスタイルを実現できる条件を明確にして転職先を選びましょう。
- 通勤時間40分以内
- 休日・働き方(完全週休2日制・在宅勤務)
- 勤務時間(フレックスタイム制・夜勤の有無)
体調やライフステージの変化に合わせて転職
出典:Twitter
理由5.会社の業績に不安を感じた
会社の業績に不安を感じたために転職する方もいます。
業績が落ち込んでいる場合は自分の会社の動向に注意し、以下の条件に当てはまる場合は早めに転職活動を始める必要があります。
- 自分がやりたいことが会社で実現できそうにない
- 給与・福利厚生などの待遇が悪化している
- 社員の士気が落ちている
特に現在は、コロナ禍の影響で経営不振になってしまう会社が増えています。
求人数が減っており、50代では転職に時間もかかるため、転職エージェントを利用し慎重に検討しましょう。
業績が悪化して転職
地方の同一業種の中規模企業を紹介して貰って就職したのですが、同じ業種でも大手と中小企業でのやり方の違いに戸惑っています。
理由6.雇用契約満了のため
雇用契約満了のために次の転職先を探す場合もあり、派遣会社やパートなど非正規雇用で働くことが多い女性で特に多い理由となっています。
雇用契約満了のために次の派遣会社を探す方や、正社員として転職する方など様々です。
非正規雇用では、正社員として働くよりも柔軟に転職活動ができるでしょう。
10.【FAQ】50代の転職に関してよくある質問
50代の転職に関してよくある質問をまとめました。
- Q1. 未経験でも転職できるのでしょうか?
- Q2. 50代でも転職しやすい職種を教えてください
- Q3. 50代で脱サラするのは可能ですか?
- Q4. 50代女性の転職は難しいのでしょうか?
- Q5. 資格があれば転職で有利になりますか?
それぞれ見ていきましょう。
Q1. 未経験でも転職できるのでしょうか?
ほとんど不可能と思っておくべきです。50代転職において最も大事なものは実務経験であり、未経験職種への転職はハードルが高すぎます。
企業が50代の転職者に求めるのは高いレベルの専門性やマネジメント能力を持った「即戦力となる人材」です。
実際、企業側の50代採用意欲は低く、即戦力でなければ基本的に採用されません。
それでも、経験のない職種に50代から転職する場合は、リスクがあることを理解し、相応の覚悟を持って臨む必要があります。
Q2. 50代でも転職しやすい職種を教えてください
50代転職において最も大事なものは実務経験であるため、ご自身の経験がある職種が最も転職しやすい職種であると言えます。一方で、どうしても「50代から新しい仕事に挑戦したい!」という方におすすめの職種は、以下の通りです。
- 施設警備
- タクシー運転手
- ビルメンテナンス
- 運輸・倉庫業
- 保育士
- 介護
Q3. 50代で脱サラするのは可能ですか?
社会経験豊富な50代だからこそ、転職以外にも脱サラして下記のような道に進まれる方もいます。
- フランチャイズ・代理店として開業
- 起業、フリーランスとして独立
これまでの業務経験からスキルや人脈に自信がある方は、挑戦してみると良いでしょう。
フランチャイズ・代理店として独立する場合は「アントレnet」という情報まとめサイトを使うことをおすすめします。
一般的な転職サイトでは、フランチャイズや代理店の募集自体が少ないですが、『アントレnet』は豊富な情報を保有しています。
フランチャイズに興味がある方は定期的にチェックしておきましょう。
Q4. 50代女性の転職は難しいのでしょうか?
50代の女性の転職も、男性の場合と変わりありません。また正社員にこだわらなければ、より転職しやすくなります。
「しゅふJOB」では、主婦の方に特化した求人が載っているため、興味のある方は確認してみましょう。
Q5. 資格があれば転職で有利になりますか?
資格は持っているに越したことはありませんが、資格だけでは採用されないケースがほとんどです。特に50代は即戦力であることが求められるため、資格以上に実務経験の方が重視されます。
そのため、まずは今までに積んできた経験でどれだけ戦えるか、またどんな資格があれば自分の市場価値を高められるのかを考えましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
50代の転職は難易度が高いですが、事前にポイントを押さえ、50代の転職について詳しい第三者の意見を聞いてみることで、転職の成功率を高めることができます。
以下に、この記事で紹介したおすすめの転職エージェントをまとめたので、2~3社登録し、ご自身に合ったものを中心に利用していきましょう。
すべての50代におすすめの転職エージェント
エグゼクティブ向けの転職エージェント
現役の転職コンサルタント集団。大手人材会社に在籍しているメンバーが多いため、執筆内容に制約がかからないように『匿名性』とし、裏事情やノウハウを包み隠さずにご紹介しています。