「ADHDの自分に合った仕事を見つけたい」と考えている方に向けて、この記事ではおすすめの転職エージェントを紹介します。
ADHDと診断された方は、「自分に合ってる仕事がない」と悩むことも多いですが、キャリアのプロであるエージェントの力を借りて、ポイントを押さえながら転職活動を進めていくことで、今よりもいい仕事に転職できる可能性は十分にあります。
この記事では転職エージェント経験のある私が、 おすすめのエージェントサービスやADHDの方が押さえておくべきポイントについて、以下の流れで解説します。
- ADHDの方におすすめの転職サイト・エージェント11選
- 危険!ADHDの人が慎重になるべき仕事
- ADHDの人に合っている仕事
- 重要:ADHDの働きやすさは「職場環境」でも大きく変わる
- ADHDの方の転職に関するよくある質問3選
この記事を読めば、自分に合った職場を見つける方法が分かるでしょう。
目次
1. ADHDの方におすすめの転職サイト・エージェント11選
ADHDの方はそもそもの求人が少ないです。
求人情報専門の検索エンジンIndeedで「障がい者フレンドリー」の正社員求人は約6,000件と、これは全ての正社員求人の約130万件に対して約0.4%と非常に少ないです。(2021年8月時点)
※障がい者フレンドリー求人とは、特定の障がいがある方が就労できる職を識別したウェブサイト、企業、またはサービスからまとめられたもので、全ての障がい者向けの求人を網羅しているわけではありません。
つまり、1サービスで網羅できる障がい者フレンドリーの求人は、かなり少ないことが理解できるでしょう。
そのため、1社のサービスに絞りきるのではなく、複数(できれば3社以上)のサービスに登録し、求人をかき集めることをおすすめします。
そこでこの章では、下記の流れで転職サービスをご紹介していきます。
一つ一つ見ていきましょう。
1-1. ADHDの方にオススメの転職エージェント6選
転職のプロである私がオススメする転職エージェントを6つご紹介します。
この中から3つ以上登録することをオススメします。
まずは登録したい大手転職エージェント
まずは、大手が運営する障がい者特化型の転職サービスの利用を検討してみてください。
なぜなら、長年築き上げてきた企業側とのネットワークが強いので、中小よりも、障がい者向けの案件も多く保有している傾向にあるからです。
また、長年幅広い人の就職支援を実施してきたこともあり、支援体制が確立されているのも魅力です。
その中でもとくに、以下の3社を利用すると良いでしょう。
転職エージェント | 求人数 | 利用満足度 |
1位 ランスタッド (チャレンジド) |
約400件 |
|
約60%が年収300万円以上に。 公式サイト |
||
2位 dodaチャレンジ |
非公開 |
|
多くの非公開求人を保有。大手企業・人気企業への転職実績も豊富。 公式サイト |
||
3位 アットジーピー |
約900件 |
|
公式サイト |
順に見ていきます。
1位. ランスタッド(チャレンジド)
『ランスタッド』は人材派遣をメインに、世界39カ国で人材ビジネスを展開する世界最大級の転職エージェントです。
専任コンサルタントが就職準備から就業後の定着フォローまで一貫して親身にサポートしてくれるのが魅力です。
また、ランスタッドで転職を成功させた方の多くが年収アップを実現しており、約60%が年収300万円以上となっています。
首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)を中心にサービス展開をしているので、該当地域にお住まいであれば、必ず登録しておきましょう。
ランスタッド公式サイト:
https://www.randstad.co.jp/challenged
2位. dodaチャレンジ
『dodaチャレンジ』は日本最大級の転職サイト「doda」を運営するPERSOLグループの障がい者に特化した転職エージェントです。
日本屈指の転職実績を生かした転職支援、企業との圧倒的なパイプなどを考え非常におすすめできる転職エージェントです。
求人はやや少ないものの、9割が非公開求人で、大手企業・人気企業への転職実績も豊富です。
またdodaチャレンジでは、一人ひとりに合った就職・転職サポートを目指し、身体、精神、発達、知的といった障がい種別の専門チームで支援をしています。
丁寧なカウンセリングやサポートを受けたい方は、dodaチャレンジへの登録がおすすめです。
※カウンセリング拠点が東京・大阪・名古屋ですが、行くのが難しければ電話、チャット、テレビ電話でも対応してもらえます。
dodaチャレンジ公式サイト:
https://doda.jp/challenge/
3位. アットジーピー
『アットジーピー』は障がい者向けに転職・就職をサポートしている人材サービスです。
キャリア相談の後、豊富な登録企業の中からあなたにフィットした求人を紹介してくれます。ホームページ上にも900件程度の求人が公開されているので、まずはどんな企業があるのか覗いてみましょう。
高いスキルを持つ障がい者向けの「アットジーピーハイクラス」、障がい者アスリート向けの「アットジーピーアスリート」など幅広く転職・就職サポートを行っています。
※カウンセリング拠点が東京・大阪・名古屋ですが、行くのが難しければ電話でも対応してもらえます。
アットジーピー公式ページ:
https://www.atgp.jp
1-2.条件に合わせて登録したい転職エージェント
上で紹介した転職エージェントに合わせて、条件に合わせて登録したいエージェントを3社ご紹介します。
自分の条件にあっているエージェントがあれば、ぜひ登録して有効活用することをおすすめします。
エージェント・サーナ|28年の実績!短期間で内定を手にする
『エージェント・サーナ』はADHDをはじめとする、障がい者の転職支援で28年の実績を誇る老舗の転職エージェントです。
求人は一切公開されていませんが、エージェント・サーナにしかない求人が大半で、大手優良企業の求人も多いです。
28年の実績・信頼を活かしたサポートをしてくれ、面談から6割の方が2ヶ月以内に内定を決めています。
実績を考え、迷った場合は大手2社+エージェント・サーナの利用がおすすめです。
エージェント・サーナ公式サイト:
https://www.agent-sana.com/
アビリティスタッフィング | 精神障がいのある方の実績豊富なエージェント
『アビリティスタッフィング』はリクルートグループの障がい者向け転職支援サービスです。
日本最大規模の人材会社ゆえの企業とのパイプ、転職ノウハウで転職を支援してもらえます。
勤務時間、職種、組織体制などの観点で、安心して働ける企業のみを紹介しているので、入社してからADHDの症状によって大きく苦労するということは少ないでしょう。
また「障がい者雇用枠の面接ポイント講座」や入社後の「相談会」など、サポートが充実しているのも魅力といえます。
アビリティスタッフィング公式サイト:
https://ability.r-staffing.co.jp/
1-3. ADHDの方にオススメの転職サイト5選
転職エージェント以外で役に立つ転職サービスについてご紹介します。
転職エージェントが合わないと思ったら使ってみるといいでしょう。
バブナビ | 公開求人数が最も多い転職サイト
『バブナビ』は障がいを持っている方の転職や就職を応援する総合求人サイトです。
障がいへの理解と配慮があれば、周囲と同様に働ける方々に向けた求人を多数掲載しています。
会員登録後、全国で500件を超える求人の中から、希望条件に合ったお仕事を検索、応募することが可能です。
さらに、経験職種や、資格、スキルに自信がある方は、プロフィールを見た企業側からスカウトを受ける可能性もあります。
バブナビ公式サイト:
https://bab-navi.com/
ウェブ・サーナ | エージェント・サーナと同じ会社がやっている転職サイト
『ウェブ・サーナ』は転職エージェントN選で紹介した「エージェント・サーナ」と同じ会社がやっている障がい者のための転職サイトです。
28年の実績と信頼があり、掲載実績企業は1,200社を超え、登録障がい者会員数は6.5万人を超えている、非常に高く評価されている求人サイトです。
検索機能が充実しており、中でも「雇用実績検索」は便利で、自分の障がい内容を選択すると、同じ障がいを持った人の採用実績がある企業の求人のみを閲覧できます。
ウェブ・サーナ公式サイト:
https://www.web-sana.com/
クローバーナビ | 合同面接会も行う就職情報サイト
『クローバーナビ』は、障がい者の転職支援情報や就職サポート情報が掲載された総合型の転職サイトです。
求人情報の検索だけでなく、転職情報の収集をすることもできます。
また、クローバーナビは「クローバー就職フォーラム」という業界最大級のフォーラムを、参加費無料で開催しています。
このフォーラムには障がい者採用に積極的な優良企業が多数参加しているので、転職に有力な情報を収集することができます。
クローバーナビ公式サイト:
https://www.clover-navi.com/
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、就職の支援を行ってくれるサービスですが、転職エージェントと比べると下記のような違いがあります。
転職エージェント | 就労移行支援事業所 | |
サービス内容 |
|
|
料金 | 完全無料 | 自己負担 月額0~37,200円 |
転職エージェントとは違い、働くための訓練を約2年間受けた上で、就職活動をサポートしてくれます。
料金は収入などにより自己負担金額が変わりますが、ほとんどの方が無料で使えていて、自己負担があっても1万円未満のケースが多いです。
事業所によってカリキュラムは異なりますが、しっかりトレーニングができるので、これからすぐに働く上で不安があれば、こちらの利用も検討しましょう。
おすすめの就労移行支援事業所
LITALICOワークス|障害のある方と一般企業への就職を目指す
『LITALICOワークス(リタリコ)』は障害のある方に向けて就労移行支援を行う事業所で、一般企業への就職から職場定着まで一貫したサポートを行っています。
利用には市役所や区役所の障害福祉課などの窓口での受給者証の申請が必要ですが、手続きに関してもスタッフのサポートを受けることが可能です。
LITALICOワークスが直接求人を紹介することはありませんが、ハローワークや障害者就業・生活支援センター、障害者職業センター等と連携することで、利用者により良いキャリアを提案します。
ほとんどの方が無料でサービスを利用でき、利用期間の上限は原則2年間です。
転職エージェントと違って、その2年間の中でじっくりと職業訓練を行えるので、ブランクがあり社会復帰に不安がある方におすすめできます。
利用前に、体験会や見学会などで実際の雰囲気を確かめることもできるので、気軽に問い合わせてみましょう。
LITALICOワークス公式HP:
https://works.litalico.jp/
新型コロナウイルスのLITALICOワークスの対応
LITALICOワークスでは、新型コロナウイルスへの対策としてサービスを全てオンライン化させ、「自宅で受講できる在宅支援」「通常の通所支援」を利用者様に選択していただいております。
LITALICOワークスに登録する前の体験会もオンラインで参加することができます。
障害や就職に関する相談に関しても、「電話で相談」「TV電話(オンライン)相談」の2つを全国で実施していますので、ご自宅からお気軽に相談することが可能です。
就労移行支援事業所の探し方
上記で紹介した事業所以外にも、日本には全国に就労移行支援事業所が存在しています。
「ヨツバノハ」という就労移行支援事業所を検索するためのサイトがあります。
下記のようにお住いの地域別に探せるので、お近くの事業所を調べてみましょう。
ハローワーク
『ハローワーク』には膨大な求人があり、職業相談から職場適応指導まで、障がい者の方の転職をしっかり支援してくれます。
ただし、利用が無料な分、賃金に余裕がない企業が掲載されていたり、求人票と労働条件が違うというトラブルが頻発していますので優先順位は下げていいでしょう。
ちなみにハローワークの苦情の4割が労働条件が違っていたことによるものです。(産経ニュース)
基本的に、転職エージェントを使い、お住いの地域的に利用が難しいなどの悩みがあればハローワークの利用を検討しましょう。
ハローワーク公式サイト:
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
2. 危険!ADHDの人が慎重になるべき仕事
次にADHDの人が避けた方がいい仕事をについて下記5つをご説明します。
不向きな仕事に誤って転職してしまうことがないようにしましょう。
具体的な職種 | |
単調な仕事 |
|
ミスが許されない仕事 |
|
マルチタスクが必要な仕事 |
|
スケジュール管理が必要な仕事 |
|
コミュニケーションが必要な仕事 |
|
2-1. 単調な仕事
ADHDの人は、興味のないことに集中できないという特徴があるため、強みを発揮できない長時間の単調な仕事には向いていないといえますし、何よりも自分自身が仕事を楽しめないでしょう。
具体的には、以下の仕事があげられます。
- 工場での単純作業
- 製品検査
- 仕分け作業等
ただし、同じ仕事を繰り返すことが苦にならないのであれば、人とそこまで話さずに静かに仕事ができるのでおすすめです。
2-2. ミスが許されない仕事
ADHDの人はミスしやすい特徴があるため、小さなミスでも死亡事故や重大なトラブルにつながる恐れがある仕事は避けた方がいいと言えます。
具体的には、以下の仕事があげられます。
- 医療系
- 弁護士
- 秘書
- パイロット
- トラックやタクシーの運転手
これらの仕事にはリスクが伴うため、おすすめできません。
2-3. マルチタスクが必要な仕事
複数のことを同時に進める仕事は、ADHDの人にはあまり向いていません。
これはADHDの方の脳の切り替えが苦手という特性によるものです。
具体的には、以下の仕事があげられます。
- オフィスワーク
- 経理
- 接客業
- 旅行関係
- 金融関係
これらの仕事は、仕事中に別の仕事を誰かに頼まれることが多く、自分で優先順位をつけて進める必要があります。
そのため、一つの物事に集中する傾向のあるADHDの方には適さない仕事です。
2-4. スケジュール管理が必要な仕事
ADHDの人がスケジュール管理を必要とする仕事をすることは避けた方がいいでしょう。
なぜならば、ADHDにはうっかりミスや物忘れをしやすいという特徴があるためです。
具体的には、以下の仕事があげられます。
- 秘書
- 営業
- 事務
営業に関しては、具体的な業務内容によって変わりますが、中でも顧客情報の管理や一日中テレアポという仕事は合っていません。
2-5. コミュニケーションが必要な仕事
ADHDの人は、人と話すのが苦手という人が多い傾向にあります。
なぜならば、ADHDの人は、人の気持ちや感情を読み取ることがあまり得意ではないという特徴があるためです。
そのため、コミュニケーション能力が問われる仕事も避けた方がいいでしょう。
具体的には、以下の仕事があげられます。
- 記者
- 教師
- 塾講師
これらの仕事は、子供の感情に寄り添ったり、発言の意図を汲み取ったりする必要があり、より高度なコミュニケーション能力が求められます。
3. ADHDの人に合っている仕事
前章でお伝えした特徴を踏まえた、ADHDの方にあっている仕事を下記の4つご紹介します。
具体的な職種 | |
クリエイティブ系 |
|
エンジニア系 |
|
マスコミ・メディア系 |
|
アーティスト系 |
|
一つずつ見ていきましょう。
3-1. クリエイティブ系
ADHDの方は、Webデザイナーやインテリアデザイナーなどのクリエイティブな仕事に適しています。
なぜならば、デザイナーの仕事は、ADHDの強みである独創性や豊かな発想力を活かすことができるためです。
さらに、デザイナーは、フレックスタイムやフリーランスなど、他の仕事と比べて柔軟に働けるケースが多いのも魅力といえます。
3-2. エンジニア系
機械やテクノロジーに強い興味関心を持っている方であれば、システムエンジニアなどの職種も適している可能性があります。
ADHDの方は、強い興味を持つものに対して高い集中力を発揮することがあるので、モノづくりやプログラムに対して心から「面白い!」と思えるようであれば、没頭して仕事を楽しめるでしょう。
ただし、興味関心の程度が低い場合は、むしろ苦痛に感じる可能性もあるので注意してください。
プログラムコードはわずかな入力ミスがエラーにつながるため、細かいところまで気を配る必要がありますし、常に新しい技術を学ぶ姿勢も欠かせません。
また、チームでの仕事も多く、コミュニケーションは日常的に発生することも理解しておきましょう。
3-3. マスコミ・メディア系
カメラマン、ライター、テレビ関係などの仕事も、ADHDの人におすすめできる転職先です。
なぜならば、ライティングや撮影といった特定の業務に打ち込む時間が長く、興味があれば没頭して仕事を楽しむことができるためです。
また、ADHDの人が得意とする発想力や独創性を活かしやすいのも魅了と言えます。
ただし、メディア系の仕事ならなんでもいいというわけではないため注意が必要です。
例えば、テレビディレクターやプロデューサーなどはADHDの人が苦手とするマルチタスクやスケジュール管理が必要になるため避けるべきでしょう。
3-4. アーティスト系
ミュージシャン、作家、画家、漫画家などのアーティストの仕事は、ADHDの人におすすめです。
なぜならば、他の人には考えられないアイデアを思いついたり、独自の感性を活かすことができるためです。
実際に、アーティストとして活動しているADHDの人はたくさんいます。
ADHDの人は、興味のある分野で優れた能力を発揮できることが多いため、アーティスト系の仕事を目指すのも一つのやり方です。
4.重要:ADHDの働きやすさは「職場環境」でも大きく変わる
ADHDの方が仕事を探す際、「向いてる職種」に目が行きがちですが、実は「職場環境」も同じくらい重要です。
たとえば同じ仕事であっても、「自由度の低い職場」と「自由度の高い職場」で働きやすさは全く異なります。
自由度の低い職場では、行動を細かく管理・制限されることが多く、多動や衝動性がみられるADHDの方にとっては強いストレスを感じたり、やる気が起きなかったりすることがあります。
その一方自由度の高い職場では、個人の裁量が大きく、行動がそこまで細かく制限されないため、集中力を発揮し、成果を出せることもあるのです。
このように、ADHDの仕事の適性は環境次第な部分もあるので、仕事探しの際は職種だけに目を向けるのではなく、「職場環境が自分に合っているか」といった視点を持っておくことも大切です。
参考:ADHDの方が働きやすい職場環境
以下の表は、発達障害を持つ社員を雇用している企業が、働きやすい環境づくりのために実際にどのような配慮を行っているかをまとめたものです。
これは、事業主に対して作成されたものですが、ADHDの方が転職する際に「働きやすい職場環境かどうか」を判断する上で役立ちます。
出典:厚生労働省『発達障害のある方への職場における配慮事例のご紹介』
注意欠陥の傾向が強い方にとっては、以下の配慮がなされているだけでも、格段に働きやすくなるでしょう。
- 「口頭で伝えただけでは忘れてしまうことが多いので、指示事項などを紙に書いて渡したり、ホワイトボードに記載したりしている」
- 「同時に複数の作業を指示すると混乱するため、一つの作業が終了してから次の作業の指示を出している。また、工程数の多い作業は、一つ一つの工程に分けて指示をしている。」
また「集中して作業ができるよう、席にパーテーションで仕切りを設けている」というデスク環境は、集中力の欠如がネックとなるADHDの方にとって最良の環境だと言えます。
このような視点で職場をチェックするだけでも、働き続けられそうかを事前に判断できます。
5. 転職エージェントを利用すべき理由
転職エージェントは下記の図のようなサービスで、ADHDの方向けに特化したエージェントも複数あります。
転職の成功のためには、転職エージェントの有効活用は欠かせません。
この章では、転職のプロである私がその理由を5つ丁寧に解説していきます。
5-1. 豊富な求人数で転職の幅が広がる
転職エージェントを利用することで、様々な求人を見ることが可能になります。
例を挙げると、リクルート社が運営する『リクナビNEXT(転職サイト)』と『リクルートエージェント(転職エージェント)』では、求人数に4倍以上の差(以下グラフ参照)があり、転職エージェントの方がより多くの求人を保有していることがわかります。
さらに、転職エージェントで一般公開している「公開求人」のみならず、「非公開求人」まで見ることができるので、幅広い求人を見たいのであれば、必ず登録すべきだといえるでしょう。
非公開求人とは「理由があって公にできない」求人なので、転職エージェントのサイト上では見つけることができません。
これだけ多くの求人の中から、転職エージェントがあなたにあった求人を提案してくれるため、ミスマッチも少なくなります。
5-2. 今後のキャリアを一緒に考えてくれる
転職エージェントの登録すると、面談があり、そこで下記のような内容でキャリア相談ができます。
- あなたはどんな会社で働きたいのか
- あなたが仕事を楽しいと感じるのはどんな時か
- そもそも転職した方がいいのか
自分にとっての理想の会社像や、仕事が楽しいと感じる瞬間は自分で考えても意外と見えてこないものです。
転職エージェントを使うと、転職のプロがあなたのキャリアを長期的に考え、相談に乗ってくれるため、今まで見えてこなかった道が見えるかもしれません。
さらに、転職活動の進め方のアドバイスもしてくれるため、転職活動の進め方が分からなくて悩んでいる人は一度登録して話をしてみるといいでしょう。
5-3. 選考の対策をしてくれる
転職エージェントでは、書類の対策から面接対策まで行ってくれるので、内定をもらいやすくなります。
特に初めての転職で何を対策したらいいかわからないという方や、面接で緊張してうまく話せないという方は、転職エージェントに登録して選考対策に付き合ってもらうといいでしょう。
それでも、対策はしたものの面接で自分の強みや熱意を十分に伝えきることができなかったということがあるかもしれません。
そんな時に、伝えきれなかった部分を代わりに採用担当者にプッシュしてくれることがあるのも、エージェントを活用するメリットと言えます。
5-4. 細かい各種手続きを代理で行ってくれる
転職エージェントは応募手続きから面接日の調整などを、企業と求職者の間に入って代理でやってくれます。
ADHDの性質上、どうしても細かい日程調整や書類の管理が苦手という人もいるでしょう。
自分一人で転職活動を考えると、億劫になるような手続きですが、転職エージェントを活用すれば問題ありません。
【補足】転職エージェントのデメリット
転職エージェントにデメリットはほぼありませんが、強いて言うなら「担当者によってサポートに差がある」ということです。
- 自分のノルマ達成のために転職するように強く勧めてくる
- やる気がなく、助けて欲しい時に助けてくれない
上記のような「サポートの質が低い」担当者はADHDの方向けの転職エージェントに限らずどこにでもいるものです。
万が一、そのような担当者に当たってしまったら、担当の変更をするかその転職エージェントの利用をやめることをおすすめします。
担当変更をお願いする時のメールの書き方は「転職エージェントをより効果的に利用する7ポイント」でご紹介しています。
基本的には下記の口コミに書いてあるような信頼できる担当者に出会えると思います。
6転職エージェントをより効果的に利用する7ポイント
この章では、転職エージェントをより効果的に利用するためのポイントを7つお伝えします。
- スカウトを利用した場合、2週間に1回くらい連絡を入れておく
- 転職時期は最短可能日程で答える
- 相性が合わなければ担当コンサルタントの変更を申し出る
- 経歴やスキルに嘘をつかない
- 推薦文は必ず確認する
- 同じ案件に複数の転職サービスから応募しない
- 紹介された会社の実態を口コミサイト『OpenWork』で調査
せっかく良い転職サービスを選んでも、上手に活用できなければもったいないので必ずチェックしましょう。
Point-1. スカウトを利用した場合、2週間に1回くらい連絡を入れておく
転職サイトは、企業から依頼を受けるとデータベースの中から条件を絞り応募者を探していくのですが、この時の表示順番が「更新日」(=最終接触日)なのです。
「更新日が古い=もうすでに転職を決めた可能性が高い」と判断されるので、連絡を怠っていると後回しにされ、いずれ案件紹介メールが届かなくなります。
例えば、上記は「年齢30歳以下、転職回数1回以下、勤続年数2年以上、TOEIC780以上」で検索した結果ですが、実務的な処理としては、更新日が新しい順番に20人ずつメールを送って反応をみて、応募者がいなければ次の20人へ、といったように送信していきます。
更新日が古いと、いくら条件が良くても機械的に後回しになってしまう場合があるのです。
Point-2. 転職時期は最短可能日程で答える
コンサルタントとのファーストコンタクトで必ず「転職時期はいつ頃をお考えですか?」と聞かれるので、この時には「いいところがあればすぐにでも」と答えるようにしましょう。
そうすればあなたはすぐに売上に繋がると考え、優先順位をあげて対応してくれることでしょう。
※もちろん現職での退職手続きや引継ぎがあるはずなので、その点は伝えておきましょう。
Point-3. 相性が合わなければ担当コンサルタントの変更を申し出る
担当コンサルタントに情をうつしてはいけません。
担当変更がどうしてもしづらい場合は他社を当たりましょう。
担当変更メール文面例
いつも大変お世話になっております。現在転職の支援をして頂いている○○と申します。現在、ご担当者の○○様には大変丁寧にご対応頂いており感謝をしておりますが、
転職活動が初めてで不安が大きく、他の方のご意見も是非お伺いしたいです。
もし可能であれば、他のコンサルタントの方と一度お話をしたく考えております。
大変お手数をおかけしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
Point-4. 経歴やスキルに嘘をつかない
登録情報や一連のやりとりについては、申し出をしない限りは情報が残ります。
コンサルタントでよく話題にあがるのが、「去年の登録情報と今回とで登録情報が違うよ・・・」という話です。
この場合、虚偽報告を行うリスキーな人材として、紹介する案件を絞るなどの判断がくだされます。
Point-5. 推薦文は必ず確認する
ほとんどの場合、担当コンサルタントはあなたを200字〜1000字で紹介する推薦文を書きます。
そこで「面接時に相違があると困るのと、客観的に今一度自分を見直したいため、書いていただいた推薦文をお送りいただけませんか?」と一声かけましょう。
Point-6. 同じ案件に複数の転職サービスから応募しない
数社の転職サービスを使っている場合、同じ案件には複数の転職サービス経由で応募しないようにしましょう。
企業から「他の転職サイトからも応募があるんだけど」と担当に連絡がいってしまいます。
企業・担当コンサルタント両者に不信感を与え、場合によっては破談となるリスクさえあります。
Point-7. 紹介された会社の実態を口コミサイト『OpenWork』で調査
転職エージェントも売上がかかっていますから、なんとかしてあなたに転職を決めてもらいたいと考えています。
優良なコンサルタントであれば都合の悪いことを隠したりすることは少ないでしょうが、自衛のために口コミサイトの『OpenWork』を利用して裏をとるようにしましょう。
以下のような口コミが大量に集まっているので、その情報をもとに、社風や雰囲気をあらかじめ予想することができます。
上場企業であればほぼ全ての企業についての口コミが集まっていますので、ぜひ利用してください。
7【図解】転職エージェント利用の流れ
ここまで、転職が有利に進む転職サービスと、その活用ポイントをお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
転職エージェントに登録したあとは、特に準備は必要とせず、気軽に身をゆだねれば良いのですが、初めて使う方は不安も多いかと思いますので、登録後何が起こるのかをざっくり把握しておきましょう。
Step 1. まずは公式ページから登録する
それぞれの公式ページから登録を行います。
登録する際は、『転職サービス』なのか『派遣サービス』なのかを確認するようにしてください。
例えば、「パソナ」と検索するとパソナの派遣登録サイトが出てくるように、紛らわしいサービスが複数あるため、登録前にしっかりと確認しましょう。
正社員転職を目指していたのに、知らずのうちに派遣社員の面接を受けていた…ということがないように、十分に注意しましょう。
Step 2. 担当コンサルタントから連絡が来る
登録すると、担当から数日以内に電話かメールで連絡が入ります。
事前に準備などをする必要は全くありませんが、ざっくり下記のようなことを聞かれます。
- 転職希望時期は?
- 希望する職種や業界は?
- 希望年収は?
10分ほどの最低限のヒアリングを受けた後、キャリアカウンセリングのアポイント調整を行います。
※最初からアポイント調整に入る場合もあります。
Step 3. キャリアカウンセリング
あなたが転職エージェントのオフィスに訪問することもあれば、担当コンサルタントが近くまで来てくれることもあります。(近年はコロナの影響により、オンライン面談も積極的に取り入れられています。)
初回面談での話題で多いのは下記のようなテーマです。
- あなたのキャリアの棚卸
- PRポイントの整理
- 転職するべきかどうか
- 転職するとしたらどのような企業に内定をもらえそうか
- どのように職務経歴書を書いたら通過しやすくなるか
- 転職についての要望の深堀
キャリアカウンセリングで気づくことも多く、なるべく多くのコンサルタントに意見をもらえば、考えがまとまっていき、後悔ない転職をすることができるでしょう。
担当コンサルタントとは長い付き合いとなるため、できれば拠点に足を運ぶようにしましょう。
Step 4. 求人紹介を受ける
あなたの希望に合いそうな求人を5件~20件ほど紹介してもらえます。
思ってもないような大手もあれば、今まで知ることのなかった魅力的な中小企業もあるでしょう。
それぞれのエージェントしか扱っていない独占求人もありますので、複数社のエージェントから求人紹介を受けることを推奨します。
Step 5. 履歴書・職務経歴書の添削
応募する企業を決めたら、職務経歴書や履歴書といった選考書類を添削してもらいます。
場合によってはこのためだけに面談を設定してくれたり、何度も書き直しを行ったりしてくれます。
最高の職務経歴書をエージェントと一緒に作り上げていきましょう。
Step 6. 紹介された求人に応募する
選考書類が完成したら、担当コンサルタントが最後に推薦文を添えて企業に応募します。
自分ではなかなか伝えられないあなたの魅力を、担当コンサルタントが企業に伝えてくれます。
求人サイトを使って自力で応募すると、推薦文はもちろん誰も書いてくれませんし、企業への手続きも全部自分でしなければならないため、それに比べると転職エージェント経由は圧倒的に有利です。
Step 7. 面接対策を受ける
応募している企業の面接担当者がどのような質問をして、どのようなタイプの方を好むのか、今持っているスキルのなかで何をPRするべきなのかといったポイントのアドバイスを貰います。
あなたが希望すれば模擬面接を実施してもらえるケースも多いです。
Step 8. 企業との面接を行う
面接の日時設定は担当コンサルタントが全て行ってくれます。
対策してもらったことをフル活用して、力を出し切りましょう。
面接に落ちてしまった場合には、多くの場合、担当コンサルタントが人事担当者からフィードバックを受けているため、次の面接に生かすことができます。
Step 9. 内定と退職サポート
内定が出た後は、担当コンサルタントが給料交渉や入社日の調整を責任を持って行ってくれます。
また、退職手続きについて不安な場合も、上司にどのように報告するかなど転職エージェントであればノウハウを必ず持っていますので、頼ってしまいましょう!
Step 10.退会手続きをする
転職先の内定がもらえたら、転職サイトを退会するのが無難です。
万が一転職後も転職サイトに入会し続けていたら、転職先の人事担当者に見つかってしまうかもしれません。
転職サイトを利用している会社は、転職サイトに登録している人材を「スカウト」機能でチェックしています。
転職先の人事担当者が「スカウト」機能であなたの情報を見つけた場合、「入ったばかりなのに、もう転職しようとしている」と、無用な疑いをかけられるかもしれません。
8. ADHDの方の転職に関するよくある質問3選
ADHDの方が転職をする際によくされる質問をまとめました。
一つずつ見ていきましょう。
Q1. 障がいを持っていることを隠して転職活動をした方が有利ですか?
転職活動を短期的に考えると、一般雇用の方が求人が豊富で賃金が高い傾向にあるため有利と言えます。
しかし、私は「障がいがあること」を企業に開示する「オープン就労」をおすすめしています。
というのも、オープン就労であればADHDに配慮された業務内容となるため、転職後の働きやすさ・職場定着率が高まり、長期就労が可能だからです。
参考までに障がいがあることを企業に開示する「オープン就労」と開示しないで就職する「クローズ就労」のそれぞれのメリット、デメリットを下の表にまとめてあるので、ご確認ください。
メリット | デメリット | |
オープン就労 | ・通院や服薬に対する理解をしてもらえる ・障がいに合わせた業務内容の相談が可能 ・職場仲間にADHDのことを理解してもらえる |
・求人の幅が狭まる ・障がい者雇用になるため賃金が安い傾向にある |
クローズ就労 | ・求人数が豊富 ・障がい者雇用と比べて求人の賃金が高い傾向にある |
・通院や服薬に対する理解が得られない ・障がいを考慮した業務内容の相談ができない ・障がいを隠して入社したことがいつか発覚する恐れ |
Q2. 正社員として働けますか?
ADHDでも正社員になることは可能です。
ADHDではない人と比較したときに、難しいのは間違いありませんが、ADHDの特性を理解して、適切なエージェントに自分にあった仕事を見つけてもらえれば大丈夫です。
実際に、今回ご紹介した転職エージェントに登録していただければ正社員としての求人が揃っていることがわかると思います。
Q3. 過去の転職回数が多いと不利になりますか?
不利にならないと断言はできませんが、転職回数はそこまで影響しません。
当然、選考の際には見られますし、自己都合による転職が大半を占めると印象はよくありませんが、過去の転職理由をしっかりと伝えることができれば問題ありません。
dodaチャレンジの転職事例の中には転職回数が多くても成功されている方もいます。
どうしても心配な場合は、事前に転職エージェントに相談しておくといいでしょう。
関連記事
障がいのある方向けの転職記事まとめました。
気になるものがあれば、ぜひご一読ください。
発達障がい者転職記事 | |
就職支援サービス |
まとめ
ここまで読んでいかがでしたか?
ADHDでもエージェント選びや活用のポイントをおさえれば、転職を有利に進めることができます。
全て無料で使えるので、今回ご紹介した下記11社の中から気軽に登録して、まずは話をしてみましょう。
まず登録すべき3社
追加で登録すべき3社
エージェントに断られたら利用したいサービス
転職サイト4社
登録すると連絡が入りますので、面談の日程を決めるところから始まります。
あなたが最高の転職をできることを陰ながら祈っております。
現役の転職コンサルタント集団。大手人材会社に在籍しているメンバーが多いため、執筆内容に制約がかからないように『匿名性』とし、裏事情やノウハウを包み隠さずにご紹介しています。
初めてお会いした担当のアドバイザーの方は、じっくりと私の話を聴いてくださり、希望と適性を考慮した企業を紹介してくれました。
同士のように私の人生に寄り添い、一緒に考え、支えてくれたので、私もしっかりと自己分析や企業分析の準備ができ、最後まで頑張ることができました。(「dodaチャレンジ」より引用)