一身上の都合とは?退職・履歴書・面接で失敗しない使い方と書き方例

一身上の都合

一身上の都合とは「個人的な事情」のことを意味します。

履歴書や退職届などのビジネスシーンでは、自己都合退職の理由として「一身上の都合」を用いるのが一般的となっています。

ただし、履歴書で前職の退職理由として「一身上の都合により退職」だけを書いた場合は、就職・転職で不利に働いてしまうかもしれないケースがあります。

そこでこのページでは、「一身上の都合」の失敗しない使い方を解説します。

  1. 一身上の都合の意味は「個人的・家庭内の事情」
  2. 退職届・履歴書に「一身上の都合により」がよく使われる理由
  3. 「一身上の都合」は会社都合退職では使わない
  4. 退職願・退職届・履歴書での「一身上の都合」の書き方例
  5. 履歴書で「一身上の都合により退職」を避けた方がよいケース

この記事を最後まで読めば「一身上の都合」を正しく扱えるようになり、円満退職や転職活動の成功をグッと近づけることができるでしょう。

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1. 一身上の都合の意味は「個人的・家庭内の事情」

一身上の都合とは、他人・公的・仕事などとは無関係な、個人的・家庭内の事情のことを意味します。

辞書を見れば、意味の理解を深めることができます。

辞書からわかる「一身上の都合」の意味

Weblio辞書によると、一身上の都合とは「しばしば退職などを願い出る際に使われる、企業とは関係のない個人的な事情があることを意味する語」としています。

また「一身上の都合」の類義語は、次のとおりです。

「一身上の都合」の類義語

自己都合・家庭の都合・家庭の事情・私事・プライベート・家の事情・お家の事情・ご家庭の事情・個人的な事柄・個人的な事・個人の事情・個人的な都合・個人的な事情

<引用:Weblio類語辞書より>

つまり、退職理由として「一身上の都合」を用いる場合は、「個人的な事情で辞める」ことを意味しています。ですので、自己都合退職の場合にしか使うことはできません。

自己都合退職とは、次のような退職理由です。

自己都合退職で使う「一身上の都合」の使用例

自己都合で退職する際には、次のような退職理由を「一身上の都合で退職します」と置き換えて伝えます。

自己都合退職の例え

  • 体調を崩して仕事ができないから
  • 人事制度に不満があるから
  • 思っていた仕事と違うから
  • 休みが少ないから
  • 福利厚生が悪いから
  • 会社の将来性に不安があるから
  • 人間関係がイヤになったから
  • 給料が安いから
  • 起業するから

そもそも労働者は、退職する際に「一身上の都合」以上の理由を伝える義務はありません。ですので、退職届に「一身上の都合」と書いても何も問題はありません。

それでも上役が引き止めるために詳細を聞き出そうとした場合は、会社が踏み込みにくいプライベートな理由や前向きな理由を建前として答えておけば良いでしょう。

「親の介護で仕事を続けるのが難しくなったから」「結婚して家庭を支えたいから」「キャリアアップしたいから」といった理由です。

2. 退職届・履歴書に「一身上の都合により」がよく使われる理由

履歴書や退職届で「一身上の都合」がよく使われる理由は、本当の理由を伝える義務がなく、本当の理由を伝えずに済むからです。

もしも、「人事制度に不満があったから・上司とソリが合わないから」というような本当の退職理由をそのまま述べた場合は、円満退社がしにくくなったり、面接でも不利に働いたりする可能性があります。

会社の不満を言われたら上司はいい気分にはなりませんし、いくら辞める会社だとしても、円満退社はしておいた方が賢明です。

面接にしても、前の会社の悪口は言わない方が「すぐに不満を抱く人」というようなネガティブな印象を与えずに済みます。

さらに面接では、職業差別の観点からプライベートな話題は不適切とされていますので、わざわざ自分から個人事情を話す必要はありません。

ですので、会社に非があるような退職理由の場合や、プライベートな事情の場合は、「一身上の都合」としておくことが一般的となっています。

個人的な事情を打ち明けずに収めることができるのが「一身上の都合」というわけです。

3. 「一身上の都合」は会社都合退職では使わない

なにかと便利な「一身上の都合」ですが、会社都合で辞めた場合には使いません。あくまで自己都合での退職の場合に使います。

会社都合の退職とは、例えば次のような退職理由です。

会社都合退職の例え

  • 倒産や事業縮小の理由から解雇された
  • 早期退職者を募っていたので応募して退職した
  • 給料が85%未満に低下したので退職した
  • 職場でのセクハラやパワハラが原因で退職した
  • 過度な残業や時間外労働が原因で退職した
  • 契約期間が満了したので退職した(派遣・契約社員の場合)

このような、会社側の理由で退職した場合は、会社都合の退職になります。

会社都合で退職した場合でも、履歴書には詳しく書く必要はありません。「会社都合による退職」と記載すれば大丈夫です。

ですが、会社都合で辞めたのに「一身上の都合」を使うと、大きな損をする可能性があります。

会社都合の退職なのに「一身上の都合」を使うと損をする

会社都合の退職なのに「一身上の都合により退職」とした場合は、次の2つの意味で損をする可能性がありますので注意が必要です。

退職した後はすべて「一身上の都合」としておけばよいと思っていた場合は、自己都合と会社都合でどのように扱いが変わるかを確認しておいてください。

3-1. 転職活動で損をする

会社都合の退職なのに「一身上の都合により退職」と履歴書に書いた場合は、面接の際には採用担当者に与える印象が異なってしまうので注意が必要です。

なぜなら「辞めざるを得なかった理由」の方が、「自ら望んで辞めた理由」よりも印象が良いケースがあるからです。

ただし、履歴書にただ「会社都合により退職」とだけ書いた場合は、採用担当者に「能力が足りなくて会社を解雇されたのでは?」という誤解を与えてしまう可能性があります。

誤解を与えないためには、退職理由を添えることが大切です。

3-2. 失業保険で損をする

会社都合の退職なのに「一身上の都合」という自己都合退職の扱いにした場合は、失業保険の受給が異なりますので注意が必要です。

例えば、会社都合退職の場合は、退職後にハローワークへ離職票を提出した後、約1ヶ月後から失業給付金が支給されます。また給付日数は、90〜330日間となります。

一方で、自己都合退職の場合は、離職票を提出してから約3ヶ月を経過するまで失業給付金は支給されません。また給付日数は、90~150日間です。

退職の推奨を受けて受諾する形で辞めた場合は、自己都合退職の扱いになる可能性があります。

ですので、会社側が「自己都合での退職」で処理しようとした場合は注意が必要です。

自己都合退職と会社都合退職のメリット・デメリットは『最大月収6ヶ月得する!楽々わかる自己都合での退職の全知識』の記事で詳しく解説しています。

4. 退職願・退職届・履歴書での「一身上の都合」の書き方例

ではここから、退職願・退職届・履歴書で使う「一身上の都合」の書き方例をご紹介します。

退職願の書き方例

退職願の書き方例

 

①「私事」は「私儀(わたくしぎ)」と書くこともあります。「私の個人的なことで恐縮ですが・・・」といった意味合いで使われる言葉です。行末に使うのが通例となっています。

②本当の退職理由は何であれ、「一身上の都合により」と記入します。

③宛名は社長名を記載します。「様」ではなく「殿」でも問題はありませんが、「殿」は目下の人間に使う言葉という認識を持っている人も多いため、特に指示がない場合は「様」としておいた方が無難でしょう。

退職願の提出は必ずしも必要というわけではありませんが、渡す際には直属の上司に渡すことがマナーとされています。

退職願や退職届の書き方については『退職願・退職届は手書き必須?パソコンでもいい?テンプレ付きで正しい書き方を解説』の記事でも詳しく解説しています。

退職届の書き方例

退職届の書き方例

退職願や退職届は、いきなり上司に提出するのは常識外れとされています。

というのも、会社側としては退職届・退職願を受け取った時点で、退職を認めることになってしまうからです。

ですので、まずは上司に退職したい旨を伝えた後で、提出するようにしましょう。

民法では「退職する14日前までに意思表示をすれば良い」とされていますが、引き継ぎや有給消化などを行うためには、1〜2ヶ月の猶予を持っておくと良いでしょう。

退職届・退職願の提出の最適なタイミングについては『退職願・退職届の提出時期とは?|有給・賞与を勝ち取るための全知識』の記事で詳しく解説しています。

履歴書の書き方例

履歴書の書き方例

自己都合退職の場合は「一身上の都合により退職」と記入します。

会社の倒産などで退職した場合は、会社都合の退職であることを記入しましょう。

履歴書の詳しい書き方については『【見本付き】履歴書の書き方に関する全知識|通過率を上げる志望動機の書き方や注意点も解説』の記事をご参照ください。

5. 履歴書で「一身上の都合により退職」を避けた方がよいケース

自己都合の退職であれば、履歴書には「一身上の都合により退職」と書いておけば問題はありません。

ただし次のようなケースでは、退職理由を説明しないと不利になる可能性があります。

退職理由を書いた方が良い場合とは、次の3つのケースです。

それぞれ解説していきます。

5-1. 転職が多い場合

転職が1回や2回ではなく、4〜5回以上も転職をしている場合に「一身上の都合により退職」だけを書くと、採用担当者に「すぐに辞めてしまうのでは?」と思われてしまう可能性があります。

ですので、転職回数が多い場合は、採用担当者が納得できるような理由を添えるようにしておきましょう。

<例>

2012年4月 ◯◇株式会社 入社
2015年3月 キャリアアップのため退職
2015年4月 株式会社△◯ 入社
2017年5月 希望部署への配属が叶わず退職
2017年6月 株式会社◯◯ 入社
2019年1月 親の看護に伴い退職
2019年5月 ◇△株式会社 入社
2021年5月 長時間労働で体調を崩したため退職

また、面接で転職理由を尋ねられた際には、答えられるように準備しておくことが大切です。

面接での受け答えに自信がない場合は、『転職面接の質問99例と答え方のポイントを転職のプロが徹底解説』をご参照ください。

5-2. 職種がバラバラの場合

業種や職種がバラバラで一貫性がないように感じる場合に「一身上の都合により退職」だけを書くと、採用担当者から「スキルや経験が中途半端なのでは?」と思われてしまう可能性があります。

ですので、職歴がバラバラの場合は、職務経歴書で詳しく説明するにしても、理由を添えるようにしておきましょう。

<例>

2012年4月 ◯◇株式会社 入社 営業職に従事
2016年3月 プログラマ転身のため退職
2016年4月 株式会社△◯ 入社
2021年5月 一身上の都合により退職

5-3. 長期間のブランクがある場合

職歴に半年以上のブランクがある場合に「一身上の都合により退職」だけを書くと、採用担当者に「社会人復帰ができないのでは?」という懸念を与えてしまう可能性があります。

ですので、長期間の空白がある場合は、その理由を添えておきましょう。

<例>

2012年4月 ◯◇株式会社 入社
2015年3月 資格取得のため退職
2015年9月 株式会社△◯ 入社
2019年4月 一身上の都合により退職  以後フリーランスにて活動

職務経歴書の詳しい書き方については『【見本付き】職務経歴書の書き方に関する全知識|通過率を上げるコツや注意点も解説』の記事をご参照ください。

さいごに

以上、「一身上の都合」の意味と使い方について解説してきました。

一身上の都合とは「個人的・家庭内の事情」の意味で、プライベートの詳細を伝えたくない時や、自己都合の退職の際に使われる言葉です。

たとえ会社に非があって退職する場合でも「一身上の都合」を使うことで、円満退社できる可能性を高めることができます。

もしもあなたが、転職回数が多かったり、職歴に一貫性がなかったり、経歴にブランクがある場合は、履歴書に「一身上の都合により退職」だけを記入すると不利に働いてしまう可能性があります。

その場合は、退職理由を添えるようにしましょう。

あなたの転職活動が成功することを祈っています。