最大月収6ヶ月得する!楽々わかる自己都合での退職の全知識

自己都合 退職

「私は自己都合ではなく、会社都合退職ではないのか」や「会社都合の方が得なのか」など、退職時は悩む事も多いかと思います。

中でも失業手当は、会社都合なのか自己都合なのかで貰える期間も額も変わります。

しかし、きちんと制度を把握した上で手続きを踏む事で、あなたは最大の失業手当をもらう事ができます。

逆に、本ページのポイントを知らずに退職してしまうと数十万円損してしまう可能性もあります。

本ページでは、筆者自身が会社を辞める際、きっちりと制度を調べ上げ最も経済的な退職を実践した経験を活かして、自己都合での退職時、知っておくべき3つのポイントを下記の流れでご紹介します。

  1. 自己都合退職とは
  2. 自己都合退職と会社都合退職の4つの違い
  3. 退職理由を会社都合にできる9つのケース
  4. 自己都合のときの保険の手続き10ステップ

このページを読む事で、自己都合の退職にあたって押さえていただいたいポイントを全て理解でき、また『自己都合退職でも失業保険を最大まで受け取るための全知識』と合わせて読んで頂く事で、倍近くの失業手当を貰える可能性があります。

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1. 自己都合退職とは

会社都合退職は、働きたいのに会社の都合で退職をする事を指すのに対し、自己都合退職とは、労働者が自分の意志で決めた退職の事です。

下記のようにまとめました。

自己都合退職

となるケース

  • 転職により退職する場合
  • 結婚により退職する場合
  • 出産により退職する場合
  • 病気治療のため退職する場合
  • 懲戒免職によって退職となった場合
  • その他、労働者の都合で退職する場合

2. 自己都合退職と会社都合退職の4つの違い

まずはそれぞれ比較をしながら具体的に解説をしていきます。

2-1. 雇用保険上で会社都合の方が有利

自己都合退職と会社都合退職の違いの一つに、「失業手当を貰える期間」があります。

まずは下記の表をご覧ください。

失業手当をいつから貰えるか 失業手当を何日間貰えるか
自己都合退職 待期期間終了後3ヶ月後 90〜150日
会社都合退職 待期期間終了後すぐ 90〜330日

待期期間とは離職後、ハローワークに行き受給資格者であることを確認してからの7日間を指します。

ご覧の通り、自己都合退職だと退職してから3ヶ月は給付を待つ必要があります。

一方で、会社都合の場合、離職後すぐにもらえるケースが多く、さらに受給期間も長いです。

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直近の給料を元に複雑な計算をして1日あたりの失業手当を算出するため、一概には言えませんが最大で月収の6ヶ月分近くの差が発生する事もあります。

2-2. 退職金も差が出る

自己都合退職の場合、多くの企業で退職金を減額されます。

そもそも退職金とは法律で定められているものではなく、退職金の支給には企業独自の制度があります。

そして、自己都合であれば退職を減額すると制度で定められている企業が多くあります。

気になる場合は、退職の切り出し前に一度制度を確認しておきましょう。

2-3. 会社都合だとキャリアに悪影響

あなたが、会社都合での退職となった時、懸念すべきは次の会社での採用面接です。

倒産などあなたに非が無ければ問題は無いのですが、あなたが解雇されたときに、履歴書に書いたり、面接で発言をする事で、以下の理由からマイナスの評価をされることがあります。

  • 前職で活躍できなかった→スキルがない
  • リストラ候補になった→勤務態度が悪い

こういった次の面接で損といったリスクも生じます。

自己都合での退職に関しても「採用してもまた自分から辞めちゃうのではないか」と評価される事もありますが、会社都合の退職はスキル面での弱点を露呈させるものになるため、より不利になるおそれがあります。

前職の退職理由は会社や面接官によっても重視するか否かが分かれるため、一概に言える事ではありません。

ただ、会社都合で退職される方は、それをカバーするだけの自己分析や面接対策が必要になります。

2-4. 会社都合退職であれば国民健康保険でも優遇

退職後、国民健康保険への加入を考えているのであれば、そこでも退職理由で差が発生します。

会社都合退職であれば、退職後の国民健康保険の保険料が安くなります。

適用されれば、保険料算出の元となる、「前年の給与所得」を100分の30として計算してもらえます。

もし、あなたが適用されれば、保険料が退職前より安くなる可能性もあるため、各市町村の国民健康保険担当の窓口で適用されるか確認しましょう。

2-5. まとめ

今までのポイントをまとめると以下のようになります。

失業手当 退職金 キャリア 健康保険
自己都合退職 × × ×
会社都合退職 ×

ご覧のとおり、会社都合退職の方が、より経済的であると言えます。

中でも大きいのが失業手当。

場合によっては月収の数ヶ月分、倍近くの差が生じます。

そこで次の章では、自己都合退職を会社都合退職にする手段をご紹介します。

しかし先ほどご紹介した通り、次の就職に向けた面接が不利になる事もあるため、あなたのキャリアをよく考えた上でどちらを選ぶか決めていただければと思います。

3. 退職理由を会社都合にできる9つのケース

一見、自己都合の退職であっても、会社都合にできるケースは多くあります。

ここでは、会社都合である事実を、ハローワークに認めてもらい、失業手当の給付期間を長くしたり、国民健康保険の保険料を減額する手段をご紹介します。

3-1. 会社都合退職の定義

まず、会社都合と言われるのは主に下記の4点の場合です。

会社都合退職
となるケース
  • 会社が「倒産」した場合
  • 会社に「解雇」された場合
  • 会社に「退職勧奨」をされた場合
  • 会社で「大量離職」が起こった場合
  • その他、自分の意志に反して退職を余儀なくされた場合

※大量離職の定義は職場で1ヶ月に30人以上の離職を予定、若くは被保険者の3分の1を超える人員が離職したこと。

ここで、「退職勧奨後、自ら離職を切り出した場合」など例外となることがあります。

「退職勧奨後、自ら離職を切り出した場合」を図にてご紹介します。

スクリーンショット 2015-12-03 21.32.03

退職勧奨とは、会社から「辞めてくれないか?」と持ちかけられるもので、必ずしも承諾する必要は無く、拒否をする事もできます。

また、基本的に退職勧奨の場合、基本的に会社都合での退職となります。

しかしその場で承諾をしてもご自身から、会社側に辞めたい意志を伝える事で自己都合の退職になってしまいます。

そのため退職勧奨に承諾した後、会社から「退職届を書いてほしい」と言われても、拒否をしましょう。

3-2. 会社都合になる9つのケース

上記に加え、あなたが自己都合と思い込んでいても、実は会社都合のケースがあります。

下記の9点が主なケースです。

  1. 残業が多かった
  2. 給料が減額した
  3. 給料が払われなかった、若くは遅延した
  4. 勤務地が遠くなった
  5. 仕事内容が当初の予定と大きく変わった
  6. 労働契約書が更新されなかった
  7. 職場でパワハラ、セクハラがあった
  8. 会社が長期間休業した
  9. 会社の業務が法令に違反していた

その場合、ハローワークに相談することで、「会社都合の退社」であると認めてもらえることがあります。

それぞれ条件があり、その条件を満たす書類をハローワークに持参の上、相談することが必要です。

① 残業が多かった

離職直前の6ヶ月のうち残業が

  • 3ヶ月連続で45時間
  • 1ヶ月で100時間
  • 2〜6ヶ月の平均が80時間

を超えていて、行政機関等から指摘があったのに改善されなかった時に当てはまります。

ハローワークへの

相談に必要なもの

  • 「タイムカード」や自身で作成した記録等残業時間がわかるもの
  • 賃金台帳
  • 給与明細など

② 給料が減額した

今までの給料を85%未満に減らされた場合該当します。

しかし、下記の場合は例外です。

  • 降格による減俸
  • 出来高払いの場合
ハローワークへの

相談に必要なもの

  • 賃金規定
  • 賃金低下の通知書
  • 労働契約書
  • 就業規則など

③ 給料が払われなかった、若くは遅延した

給料の1/3が支払われなかったことが2か月続いた、若くは退職前直前の6ヶ月で3回あったことが原因で離職した場合、該当します。

ハローワークへの

相談に必要なもの

  • 賃金規定
  • 賃金低下の通知書
  • 労働契約書
  • 就業規則
  • 給与明細
  • 給与振込み用の預金通帳など

④ 勤務地が遠くなった

事業所の移転により、勤務地と自宅が著しく遠く(往復4時間超え)なり、3ヶ月以内に辞職した場合がこれに当たります。

ハローワークへの

相談に必要なもの

  • 事業所移転の通知
  • 通勤経路の時刻表など

⑤ 仕事内容が当初の予定と大きく変わった

採用時の契約と仕事内容・勤務地が変わったことがきっかけで退職する場合、該当します。

主に下記の4点です。

  • 採用時結んだ、労働契約上の内容と変更があった場合にて仕事内容と違う仕事をすることとなり、それに伴い給料が下がり、職務転換後すぐにやめた場合
  • 仕事内容が変わったのに、雇用主が十分な教育訓練を行わなかったことによって、新たな職場に適応できず離職した場合
  • 労働契約上、勤務地が特定されていたのに、遠隔地(勤務地と自宅が往復4時間超え)への転勤を命じられたため離職した場合
  • 家族事情(両親の介護等)を抱えるのに、上記のような遠隔地への転勤を命じられた場合
ハローワークへの

相談に必要なもの

  • 採用時の労働契約書
  • 辞令
  • 賃金台帳など

⑥ 労働契約書が更新されなかった

労働契約書の内容が更新されないために離職した場合も会社都合に該当します。

主に下記の2点の場合適用されます。

  • 労働契約の更新で3年以上引き続き雇用されるのに、労働契約書が更新されないため離職した場合
  • 本来更新されるはずであった労働契約書が更新されないため離職した場合

◎ハローワークへの相談に必要なもの

ハローワークへの

相談に必要なもの

  • 労働契約書
  • 雇用通知書
  • 就業規則
  • 契約更新の通知書
  • タイムカードなど

⑦ 職場でパワハラ、セクハラがあった

職場でパワハラやセクハラがあったため仕事を続けるのが困難になり退職した場合該当します。

セクハラの場合は事業主や公的機関に訴えていても改善されなかった場合に該当します。

ハローワークへの

相談に必要なもの

  • 労働契約書
  • パワハラを受けた証となるものなど

⑧ 会社が長期間休業した

会社が会社の責任で3ヶ月以上連続し、休業手当を貰っていた場合該当します。

しかし、休業手当の支給が終了してしまうと基準に当てはまらなくなります。

ハローワークへの

相談に必要なもの

  • 賃金台帳
  • 給与明細など

⑨ 会社の業務が法令に違反していた

事業所が法令違反の製品を恒常的に製造もしくは販売していて、それを知ってから3か月以内に離職した場合該当します。

ハローワークへの

相談に必要なもの

  • 会社が法令違反をした事がわかる資料など

以上9点に当てはまる場合は自己都合ではなく、会社都合での退職と見なされる場合があるのでハローワークで相談してみるのもいいかと思います。

しかし先ほど述べた通り、退職金は各企業独自の仕組みになるため、このの手段を取ってハローワークに会社都合であると認定してもらっても退職金の減額は防げない可能性が高いです。

ご了承ください。

4. 自己都合のときの保険の手続き10ステップ

下記に自己都合退職の場合の失業手当をもらうまでの手順をまとめました。

4-1. 退職前の準備

退職前の準備では、次の3点を行いましょう。

①「雇用保険被保険者証」の確認

「雇用保険被保険者証」を受け取っていた場合無くしてないか確認しておきます。

この時、無くした場合は勤務先に再交付の依頼します。

多くの場合は会社で保管しているようです。

図:雇用保険被保険者証

雇用保険被保険者証

参考:ハローワークホームページ

②「離職票」をもらう準備

「離職票」をもらう方法を勤務先と話し合い決めておきます。

ちなみに、離職票とは社員が退職後10日以内に勤務先がハローワークに手続きし、発行されるものです。

通常は郵送で送られることが多いです。

図:離職票

離職票

離職票

参考:ハローワークホームページ

③「雇用保険被保険者資格喪失届」「離職証明書」の確認

勤務先が「雇用保険被保険者資格喪失届」「離職証明書」を作成するので内容を確かめ捺印します。

退職前の準備は以上です。

もし、退職してしまった後であれば元の職場に確認しましょう。

4-2. 退職後の動き

退職後は次のように動きましょう。

④「離職票」の受取

職場から「離職票-1,-2」を受け取ったら内容を確認します。

特に「離職票-2」に記載されている給与金額や退職理由を確認しておきましょう。

2週間経っても受け取れなければ元の職場に確認しましょう。

⑤求職の申込

④の受取後すぐに下記の書類等を持参し、ハローワークの窓口へ行き手続きを行います。

  • 離職票-1,-2
  • 雇用保険被保険者証
  • 写真(上半身を写したヨコ2.5cm×タテ3cm)1枚
  • 身分証明書(免許証やパスポート)
  • 預金通帳(手当ての振込先になる・郵便貯金NG)
  • 認印

この時、窓口で簡単な質問があり、問題なければ受付完了です。

⑥待期期間

⑤の手続後7日間は「待期期間」となり、基本手当てを受け取るためにはこの期間職に就かないことが必要です。

⑦「雇用保険受給説明会」に出席(⑤の手続後およそ10日後)

雇用保険の内容や今後のスケジュールに関する説明をハローワークにて受けます。

そして、手当の受取に必要な「失業認定申請書」と「雇用保険受給資格者証」を受け取ります。

この時、「1回目の失業認定日(本当に失業しているか確認する日)」が指定されます。

⑧1回目の失業認定日に出席(⑤の手続後およそ4週間後)

⑦の説明会で受け取った「失業認定申請書」にそれまでの就職活動の状況を記入して提出します。

この時、「2回目の失業認定日」が指定されます。

⑨2回目の失業認定日に出席(⑦からおよそ3ヶ月後)

⑦の説明会で受け取った「失業認定申請書」に⑦以降の就職活動の状況を記入し提出します。

この時、「3回目の失業認定日」が指定されます。

⑩基本手当の受給

⑨から5〜7日後、指定の銀行口座に振り込まれます。

また、これ以降は4週間に1回、指定の「失業認定日」に出席、その度に5~7日後手当が口座に振り込まれます。

自己都合退職の際に、待機期間終了後3ヶ月かかるのはこれらの手順を踏むためです。

5. さいごに

自己都合での退職時に知っておいていただきたい4つのポイントについて解説してきましたが、いかがでしたか。

会社都合になるケースも多く、その場合は失業手当等の給付額が大きくなることをご理解頂けましたでしょうか。

メリット・デメリットを見て頂いた上で、ご自身が最も納得頂ける選択肢を選んでいただければと思います。

退職後のあなたの人生がより明るいものである事を心から願っています。

※退職後の転職先が未定の方へ

退職後の転職活動は心身ともに負担になることが多いですから、無理をしない範囲で今のうちから準備を進めていくことをおすすめします。

その際は、『転職のプロが教える安心して転職に臨むための準備のすべて』を参考にしながら、少しずつご自身のペースで次のキャリアをお考えください。