「管理薬剤師になるにはどうしたらいいの?」
「特別な資格が必要?」
と考えていませんか。
結論から言うと、管理薬剤師になるには「今の職場で昇進を目指す」と「管理薬剤師を募集している職場に転職する」の2通りのルートがあります。
いずれのルートも特別な資格は必要なく、3~5年程度の経験があれば管理薬剤師になることができます。
この記事では、これまで薬剤師の転職をサポートしてきた私が、管理薬剤師になる前に知っておくべき全知識を、以下の流れでご紹介します。
- 管理薬剤師になるための2つのルート
- 管理薬剤師に特別な資格は不要
- 管理薬剤師を目指すなら、転職がおすすめ
- 管理薬剤師になる前に知っておくべき業務知識
- 【最新情報補足】管理薬剤師は副業禁止だが、2020年以降制度に変化あり
この記事を読むことで、管理薬剤師になる具体的な方法がわかり、すぐに行動することができるでしょう。
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目次
1.管理薬剤師になるための2つのルート
管理薬剤師になるためのルートは、
- 1-1.今の職場で昇進を目指す
- 1-2.管理薬剤師を募集している職場に転職する
の2通りあります。
1-1.今の職場で昇進を目指す
今の職場で管理薬剤師への昇進を目指すというルートです。
比較的小規模な職場であれば、現在の管理薬剤師が退職するタイミングなどで、経験やキャリア、日々の業務が評価され、責任者・管理者の立場となる管理薬剤師のポジションを任される、という流れになります。
薬局や医薬品を扱う店舗は、管理薬剤師の配置が必須
薬機法により、薬局や医薬品を扱う店舗は、最低1人異常の管理薬剤師の配置が義務付けられています。
そのため、もし管理薬剤師が退職するとなった場合、薬局や店舗は管理薬剤師を確保しなければなりません。
新たに採用を出すケースもあれば、現職のスタッフの中から管理薬剤師を任命するケースもあります。
1-2.管理薬剤師を募集している職場に転職する
管理薬剤師の求人を募集している職場に転職するというルートです。
なるべく早く管理薬剤師のポジションにつきたい方は、この方法が現実的でしょう。
管理薬剤師になるために必要な資格などは特になく、職場の募集要件を満たしていれば誰でも応募可能ですが、管理薬剤師は責任者の役割を担うポジションなので、求められる条件は必然的に高くなります。
2.管理薬剤師に特別な資格は不要
管理薬剤師になるために、特別な資格は必要なく、また必須の実務経験年数なども定められているわけではありません。
そのため、薬剤師資格を有し、ある程度の実務経験があれば、誰でも挑戦可能です。
ただし、管理薬剤師は責任の大きい立場であるため、やはり一定以上の業務経験が求められることが多く、実際に求人を見ると「3年以上の実務経験者歓迎」のような文言が添えられていることが一般的です。
また、その上で常に知識(法律など)をキャッチアップする姿勢が欠かせません。
管理薬剤師に求められること
- 3~5年以上の実務経験(※)
- 薬局運営能力、マネジメントスキル
- 医薬品医療機器等法などの法律の知識
- レセプトや医療保険の知識
※かかりつけ機能をもつ薬局(地域支援体制加算)の管理薬剤師の場合、5年以上の経験が必須(日本薬剤師会)
補足:管理薬剤師向けの研修などを受けるのも効果的
公益社団法人などが主催する研修を受け、管理薬剤師の知識習得を目指すのも一つの方法です。
参考例:東京都薬剤師会による「令和元年度 管理薬剤師研修会 」
「知識や経験をどのように身につければ良いか分からない」という方は、このような外部研修に参加してみるのも良いでしょう。
ここまでは、管理薬剤師になるまでの道のりと条件を紹介しました。
「昇進」と「転職」の2つの道のりがありましたが、管理職を目指すには「転職をする」のが、現実的でおすすめです。
3.管理薬剤師を目指すなら、転職がおすすめ
管理薬剤師を目指すなら、転職という方法を選ぶのがおすすめです。
もちろん、「昇進を目指す」というのも堅実な方法ではありますが、現在管理薬剤師のポジションにいる人が辞めない限り、チャンスが回ってこないので、数年単位の期間がかかってしまうことがほとんどです。
特に、自分よりもベテラン薬剤師の多い職場の場合、その可能性は限りなく低くなってしまうでしょう。
一方で、管理薬剤師を募集している職場に転職できれば、すぐに管理薬剤師のポジションにつくことができます。
管理薬剤師向け研修などを実施している企業もある
転職先の調剤薬局やドラッグストアを運営する企業によっては、「管理薬剤師向け研修」などを実施していることもあります。
たとえば、埼玉県を中心に調剤薬局を運営する株式会社アイアイファーマシーでは、管理薬剤師としてのスキル向上を目的とした専門の研修を行っているようです。
管理薬剤師(薬局長)をめざす方の研修です。店舗の管理者・責任者として必要な様々な基礎知識習得が目標。将来、管理薬剤師に着任した時の不安を解消し、店舗管理者としての能力を育成します。また店舗管理者としての能力向上を目的として、外部講師を招きトレーニングを中心とした研修も実施。売上管理、店舗管理、人事管理等、店舗を運営していく上で必要な研修を行います。患者対応に関すること、店舗マネージメントに関すること等、幅広い研修内容で行います。
このような研修が用意されている企業であれば、転職にあたる多少の不安は軽減されるでしょう。
求人探しは薬剤師向け転職サイトの利用がおすすめ
管理薬剤師求人を探すなら、薬剤師の求人に特化した転職サイトの利用がおすすめです。
転職サイトとは
一般的な求人広告サイトと異なり、求職者一人に対してキャリアコンサルタントが担当し、転職活動をサポートしてくれるサービスです。
求人の紹介から、面接対策まで、転職活動を総合的に支援してくれます。
転職サイトの利用をおすすめする最大の理由は、「管理薬剤師に転職しようか迷っている」という相談から、丁寧に対応してくれるからです。
「薬剤師としての今後のキャリアに悩んでいる」「転職すべきか判断できない」という方は、一度プロの意見を聞いてみることをおすすめします。
管理薬剤師求人を探すなら、求人数に強く、かつサポート力に定評のある『薬キャリエージェント』や『マイナビ薬剤師』がおすすめです。
関連記事:おすすめ転職サイトをランキング形式で紹介
4.管理薬剤師になる前に知っておくべき業務知識
「管理薬剤師」とは、各薬局や店舗に配置される”責任者”です。
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保などに関する法律(以下、薬機法)」に基づき、ひとつの職場に1名の管理薬剤師がいることが義務付けられています。
管理薬剤師の主な仕事は、以下のとおりです。
管理業務 | 従業員の監督
1.管理薬剤師以外の薬剤師、薬剤師以外の従業員が、適切に業務を行っているかどうか(例;接客、法令遵守、情報提供の適否)の監督 2.薬学の専門的な知識が必要な事例等、従業員等ができない場合への対応 |
医薬品等の管理
1.店舗内の医薬品、その他の物品等(医薬部外品、化粧品等)を適正に管理 2.医薬品と他の物品等(医薬部外品、化粧品等)を区別して貯蔵、陳列 3.医薬品等が不良品とならないように、遮光、冷所等、適正な保管 4.設備の不備等、問題があった場合、開設者に改善するよう意見具申 5.不良品、不正表示品(例;有効期限切れ、表示不備品等)を発見し、処分 |
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適正な使用のための「情報提供」業務 | 1.購入者の顔色等を見ながら、購入者の求めている医薬品が、不適当ではないかどうか判断
2.医薬品を適正に使用するための服薬指導、情報提供を実施 3.医薬品の購入者ごとに提供すべき情報の範囲を判断 4.医薬品の購入者から、医薬品副作用の苦情や相談を受付 5.一般用医薬品で対応できないと判断した場合、医療機関への受診を勧める 6.コミュニケーションを通じ、副作用相談など、購入者のアフターケアを実施 |
※その他、医薬品の有効性・安全性情報を収集したり、厚生労働省への副作用情報の報告をしたりする業務も行います。
出典:厚生労働省
5.【最新情報補足】管理薬剤師は副業禁止だが、2020年以降制度に変化あり
管理薬剤師は原則として副業が禁止されています。具体的な条文は以下の通りです。
薬局の管理者(第一項の規定により薬局を実地に管理する薬局開設者を含む。次条第一項において同じ。)は、その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事する者であってはならない。ただし、その薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない。
出典:薬機法第七条
ただ、これはあくまで「管理薬剤師は自身が勤めている就業先以外の薬局で働いたり、薬事に関する実務を行ったりしてはいけないこと」が定められているに過ぎません。
したがって、薬事に関わらない一般的な副業(パートなど)であれば、副業をすることができます。
また、2019年の規制緩和により、輪番制の業務や僻地など管理薬剤師の確保が困難な地域では、一部兼業が認められています。
薬局の営業時間外である夜間休日に、当該薬局の管理者がその薬局以外の場所で地域の輪番制の調剤業務に従事する場合
へき地における薬局の管理者の確保が困難であると認められる場合において、当該地域に所在する薬局の営業時間外に、当該薬局の管理者が他の薬局に勤務する場合
出典:厚生労働省
新型コロナウイルス感染拡大による規制緩和
新型コロナウイルス感染拡大を受けて、2020年4月より、兼務の規制が一部さらに緩和されました。
新型コロナウイルス感染拡大防止等の理由から、ショッピングモール等の複合施設内にある薬局等がショッピングモール等の閉鎖に伴って一時的に休止した等の場合であって、当該薬局等の管理者が他の薬局等で業務を継続させるために従事する必要があるときは、薬局開設者等が薬局等の管理者としての業務を遂行するにあたって支障を生ずることがないと認められる場合に限り、必要時に確実に連絡できる体制を確保した上で他の薬局等で一時的に従事することは認められ得ること。この場合、法第7条第3項等に規定する兼務の許可に関しては、各自治体の運用で柔軟な対応をお願いしたいこと。
出典:厚生労働省
端的にまとめると、感染対策などで施設が閉鎖された場合、かつ、他の施設での業務を行う必要がある場合は、状況に応じて兼業が認められると変更されたのです。
このように、管理薬剤師に関わる法律は日々柔軟に変化しているので、最新情報をキャッチアップしておくことが重要です。
【FAQ】管理薬剤師に関する質問と回答
Q1.管理薬剤師になるメリット・デメリットが知りたい
管理薬剤師になるメリット・デメリットを以下の表にまとめました。
メリット | デメリット |
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年収アップは大きなメリットですが、反面、仕事の負担が増加から長時間労働になりやすく、長期休暇も取りにくくなることが多いでしょう。
Q2.管理薬剤師に向く人・向かない人が知りたい
管理薬剤師に向く人・向かない人を以下の表にまとめました。
管理薬剤師に向く人 | 管理薬剤師に向かない人 |
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上記の内容から、リーダーシップを発揮して、職場をまとめることができるタイプが管理薬剤師に適していることが分かります。
管理薬剤師は、薬剤師やスタッフの指導や職場環境の改善、医薬品の品質管理・在庫管理を行うだけでなく、ときにはトラブルやお客様からのクレーム対応が必要です。
このように、マネジメントやコミュニケーションのスキルも求められますので、コミュニケーション力に自信がない方には不向きと言えるでしょう。
Q3.管理薬剤師の年収を知りたい
管理薬剤師の年収は薬局の規模、働くエリア等によって変動がありますが約600~700万円程度です。
都市部のほうが低めの傾向があり、一方で離島や地方の交通の便が悪い所などは年収700万円以上になる場合もあります。
一般薬剤師よりも管理薬剤師は業務の範囲が広くなり責任も重くなるため、月2~5万円程度の管理職手当が支給されるのが普通です。
よって、年収換算で一般的な薬剤師よりも50万円近く収入がアップすると考えられます。
関連記事:薬剤師年収アップのノウハウ
年収アップ
年収を知る
Q4.パート勤務でも管理薬剤師になれますか
パートでも十分な勤務時間を確保できれば、管理薬剤師として働くことは可能です。
管理薬剤師は週に40時間勤務することが基本ですが、雇用形態に決まりはありません。
週に40時間働く管理薬剤師が居ない職場では、週に32時間勤務している薬剤師を管理薬剤師とすることが認められています。
よってパート勤務でも管理薬剤師になれますが、長時間勤務することが条件になるでしょう。
7.まとめ
管理薬剤師になるには、今の会社で「昇進」または「転職」という2つのルートがあります。
いずれにしても3~5年の薬剤師としての実務経験は必要となりますが、特別な資格は不要なので、誰でも目指すことは可能です。
あなたが薬剤師として満足するキャリアアップができるよう、心から願っています。
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