退職前の有給消化|確実に取得して有意義に使うための全知識

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退職 有給消化

「退職するのに会社が有給を取らせてくれない」「退職前の有休消化って何してればいいんだろう」など、いざ退職が決まっても有休消化に関する疑問がつきまといますよね。

本ページでは、退職者の有給取得を認めない、少しブラックな企業から有給を勝ち取った経験を持つ筆者が、退職前の有給取得で大切と感じた事を中心に下記の流れで有給取得の全てのポイントをご紹介いたします。

また、せっかく取得した有休をどう使うのが有意義なのかもご紹介いたします。

  1. 確実に退職前の有給休暇を取るための5つのステップ
  2. 会社からよくある妨害への4つの対処法と最終手段
  3. 退職前に消化する有給 3つの豆知識
  4. 有給を有効活用するための過ごし方

あなたにはぜひこの記事を読んで、私のようにしっかりと有給を取った上で有意義な有給ライフを過ごしていただければと思います。

1. 確実に退職前の有給休暇を取るための5つのステップ

有給消化のために踏むべき手順は以下のようになります。

3−0

きちんと手順を踏む事で、有給は確実に消化できます。なぜなら、有給の取得は労働基準法で定められている、会社の義務であり、あなたの権利だからです。

労働基準法第39条より

  1. 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

では退職の際にきちんと有給を取得する手順をご説明します。

ステップ1. 退職を切り出す前に準備をしておく

3−1

①有給が何日使えるのかを確認しておく

事前に行っておく理由は、有給消化の計画を退職交渉時あなたから会社側に提示する事で、あなたが主導権を持って交渉を進められるからです。

給与明細や社内の勤怠管理システムを使い有給が何日使えるのかを確認しておきましょう。

わからない場合は、上司や人事に確認しても良いですが、下記2点の理由から好ましくありません。

  • 退職前の準備だと気付かれる恐れがある
  • 有給を取らないよう、釘をさされる

上記理由であなたが上司や人事に聞くべきではないと判断した場合は、入社時期と過去の有給取得数から計算する必要があります。

後ほど入社年次別の有給の取得可能日数をご紹介します。

②就業規則を確認しておく

事前に就業規則を確認し、有給を所得するためには、何日前までに申告をしなければならないかを確認しておきます。

なぜなら、あなたがいくら有給取得の計画を会社側に伝えたところで、就業規則を盾に断られてしまう恐れがあります。

有給を消化する場合、退職の切り出し前に就業規則を調べ、有給取得に向けて現実的な退職日を決定しましょう。

ステップ2. 上司に退職したい旨を伝え、納得してもらう

3−2

まずは辞める事自体を納得してもらいましょう。

具体的な退職の切り出しに関しては「退職の切り出し方で失敗しないための全ポイント」をご参考にいただけると、退職を切り出す相手別にどう切り出す事が最も理想的なのか、失敗がないのかがわかります。

また、円満退職を実現するための交渉方法も「誰でも使える!確実に退職するための退職交渉の全ポイント」にまとめてますので、ご参考にしてください。

ステップ3. 有給を消化したい旨を上司に伝える

3−3

有給を消化したい旨を上司に伝えます。ここが、有給取得の肝であり、ここを失敗しないために下記の3点を頭に入れていただければと思います。

①有給を使いたいと言うタイミングに気をつける

有給を取りにくい会社である場合、会社側から聞いてこない限り、退職日に合意してもらえるまで有給の話を出さない事です。

理由は会社が時季変更権を行使するといった妨害を防ぐためです。時季変更権に関しては後ほどご説明します。

②引継ぎ等のスケジュールを考えた上で交渉する

あなたが辞める事で、上司が最も心配する事の一つが、「あなたが辞めた後の穴」をどう埋めるかです。

これに対して、何も考えずにただ「○月○日で辞めるので△月△日から有給を貰います」と言っても上司にはすぐに納得してもらえないでしょう。

そこで、きちんと引継ぎの資料作成や挨拶までをどういったスケジュールで行うのかをここで伝えて、あなたが希望日から有給を取得しても引継ぎは上手く行く事を上司にイメージさせる事で上司も納得しやすくなります。

また、この手法を使う事で、

  • 職場に対してきちんと引継を行うという誠意を見せられる
  • 後継者が引継ぎやすい環境ができる
  • あなたの好きなスケジュールで引継を行う事ができる

といったメリットも生まれます。

③有給は取って当たり前であるという気持ちを忘れずに

有給を取る事が申し訳なく感じてしまう環境も多いと思います。お世話になった会社を辞める事に対しては多少の申し訳なさを見せる事も円満退職には大切です。

しかしながら、「有給を使う事」に対して、申し訳なさを見せてしまう事で、会社が妨害しやすい環境をあなた自身が作ってしまいます。

先ほど申し上げた通り、一生懸命働いた社員に対して有給を取得してもらう事は会社の義務であり、当然の事です。あなたには是非この点を頭に入れて、「有給を取るのは当然の事」といった気持ちで上司に伝えていただければと思います。

ステップ4. 有給を取らせたくない会社の妨害を対処する

3−4

上司に伝えて、希望通りに有給を取らせてくれれば、儲け物ですが多くの会社でそうはいかないでしょう。その理由は主に下記の4点です。

  • あなたが貴重な戦力だから1日でも多く働いてほしい
  • あなたに有給休暇を取らせる人件費が惜しい
  • あなたに有給取得を認める事で判例を作ってしまう
  • 有給を取らせず働く他の社員に示しがつかない

そのため、会社はありとあらゆる手段を使って、あなたの有給取得を妨害してきます。

そういった妨害を対処していく必要があります。それら対処法に関しては第2章で具体的に解説していきます。

ステップ5. 有給を勝ち取っても、確認を怠らない

3−5

有給を勝ち取った後も、確認して頂きたいポイントがあります。それは有給分の給料が振り込まれているか、です。

もし、振り込まれていなければ下記の2点が考えられます。

  • 会社側の事務処理ミス
  • 有給を取得したあなたへの嫌がらせ

振り込まれていない場合、まずは会社側に確認してみましょう。それでも誠意ある対応が見られなかった場合、妨害である可能性が高いので、きちんと対処する必要があります。

具体的な対処方法は後ほどご紹介します。

2. 会社からよくある妨害への4つの対処法と最終手段

先ほどご説明した通り、会社はありとあらゆる手段を使ってあなたの有給消化を妨害してくると覚悟いておいて下さい。よくある妨害は下記の5点です。

  • 会社が「時季変更権」を行使して妨害
  • 「引き継ぎをしっかりせずに有給を使うなんて無責任」とあなたに後ろめたさを感じさせる妨害
  • 「懲罰」や「損害賠償」をちらつかせて有給を諦めさせようとする妨害
  • 有給分の給料を振り込まないという妨害
  • いくら話しても取り合って貰えないという妨害

特に5点目に関しては、最終手段に出る必要があります。そこも踏まえてご紹介していきます。

2-1. 会社が「時季変更権」を行使することへの対処法

まずは会社が「時季変更権」を行使する場合。最も多い手段ではないでしょうか。

時季変更権への対処法は予め、退社日の合意を得た上で、有給取得の申し出をすることです。

そもそも時季変更権とは

労働基準法より

使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

つまり、業務に支障が出る場合、有給のタイミングをずらすことができます。

これにより、どうなるか例を一つ挙げます。もしあなたが3月末に退職する旨を2月1日に伝え、有給を3月1日から1ヶ月取得したいと申告したとします。

しかし、会社側は「3月は繁忙期だから、取得するなら4月以降にしてくれ」と訴えます。4月1日より次の会社に入社する事が決まっているあなたは、有給の取得を諦めなければ・・

という事になってしまいます。

それに対して、会社は退職日を超えた日への時季変更はできないため、予め3月末に退職する旨だけ合意を得ておく事で、時期変更は実質不可能となります。

そのため、有給を取りにくい職場であれば事前に退職日を決定し、合意を得た上で有給を申請する事が効果的です。

2-2. あなたに後ろめたさを感じさせることへの対処法

「引継ぎも十分にする時間もないのに、有給を取るなんて非常識だ」など、退職するあなたに対して、後ろめたさをひたすら感じさせる会社もあります。

これに対しては下記の2つの対処が有効です。

①有給取得の交渉前に引継ぎの準備を徹底し、文句を言わせない

こちらは先ほど1-3でご説明した手段です。有給の交渉前に引き継ぎのスケジューリングや引継資料の作成等を完璧に行っておく事で、反論できます。

②辞める会社なので割り切ってしまう

そもそも辞める会社です。後ろめたさなんて感じる必要がありません。

そしてそのとき頭に入れていただきたい事は、あなたが辞める事で業務に支障が出るなら、それはリスクヘッジをできていなかった会社のせいであるということです。

この精神を持っていれば、かなり気が楽になります。

もし、会社が後ろめたさを感じさせてきたら、上記2点の武器を使い、淡々と交渉を進めましょう。

2-3. 「懲罰」や「損害賠償」をちらつかせてくる事への対処法

これは、あなたの退職の手続きの中で、就業規則を守らなかった点を責めて、有給取得を断念させようとするものです。

これに対しても、怯む必要はありません。強気の姿勢で下記のように反論しましょう。

「就業規則の違反と有給が使えない事は関係ないはずです。」

会社は主に下記の3点のような「違反」や「損害」に対して「懲罰」や「損害賠償」をちらつかせて、有給を諦めざるを得ない状況を作ってきます。

  • 退職日の○日前までに退職を申し出なければならないという就業規則への違反
  • 退職の際、引継ぎ等の責務を誠実に果たさなければならないという就業規則への違反
  • あなたが過去に起こしたミスによる損害

上記のものにあなたが該当していたとしても、就業規則への違反や損害への賠償と、有給が取れないという点は関係ないです。

就業規則の中で、「違反した場合や損害を与えた場合、有給を取らせない」といったものがあれば話は別ですが、一般的にはそんな罰則はありません。

また、そういった損害を有給分の給料から天引きする事も法律では認められていません。なぜなら、労働基準法で下記のように定められているからです。

労働基準法より

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

そのため、会社側が損害賠償を請求するとしても、給料の支払いとは別に、きちんと裁判をする必要があります。もっとも、退職時における就業規則の違反で賠償が成立した話は聞いた事がありません。

2-4. 有給分の給料を振り込まない事への対処法

さきほど、チラッと申し上げましたが、有給に合意したはずなのに有給が振り込まれないという事もあります。

まずは会社の人事部に確認しましょう。事務処理ミスの可能性もあります。ただ、この時誠実な対応が見られなかった場合、まずは「内容証明」にて会社の人事部に支払い期日を定めた請求をします。

それでも振り込まれなかった場合、未払い賃金の問題になります。労働基準局に通報しましょう。

2-5. 有給を取得する最終手段は、「内容証明」、そして「休職」

上記の点で問答を繰り返しているが、話が進まない場合や、そもそも上司が有給に関する話をしてくれない場合は、最後の手段に出る必要があります。

①有給取得の意思を記載した「内容証明」を送付

まずは、会社の人事宛に下記の要素を盛り込んだ内容証明を郵送します。

  • 退職する日にちと有給を消化する期間・日にち
  • 退職前の消化のため、時季変更権は行使できないこと
  • 有給取得を妨げる場合は労働基準法第119条で罰せられる恐れがあること
  • 損害賠償等を支払うつもりはなく、賃金からの相殺は認めないこと

こちらを郵送で提出し、残りの会社生活を耐え抜けば有給は取得できます。

しかしながら、嫌がらせやいじめが発生し、耐え抜く事が難しい場合は次の手段を取りましょう。

②「診断書」をもらい、有給取得日まで「休職」

まずは身の回りを整理しておきます。

そして会社から「嫌がらせを受けたこと」や「損害賠償請求をされたこと」によって心身の不調を訴え、心療内科に行きましょう。鬱病等で診断書を書いてもらえるケースが多いです。

診断時、嫌がらせ等をボイスレコーダー等で記録できていてそれを持参できればなお良しです。

そして、録音のできる電話で下記の事実を人事に伝えましょう。

  • 会社による嫌がらせで心身が不調になったため、有給取得日まで休むこと
  • 病院で貰った診断書を直ちに送ること
  • 退職にあたって返還すべきものは郵送にて送ること

この手順を使えば有給取得日まで有給を取れる可能性があります。

しかしながら、絶対に無断欠勤はしてはいけません。なぜなら無断欠勤を理由に懲戒解雇となり、有給休暇を貰う事が極めて困難になります。内容証明を送ったり、電話を録音するのは、無断欠勤であると会社から言いがかりをされるのを防ぐためです。

3. 退職前に消化する有給 3つの豆知識

ここでは、私が有給を取得する際、気になった事とその解をご紹介します。参考にしてみて下さい。

3-1. 有給は何日取れるのか

給与明細や社内の勤怠管理システムで有給の残り日数を確認できない場合、会社に確認するかあなた自身で計算しなければなりません。

あなたが計算する際は下記の表を参考にしていただければと思います。

勤続期間の日にちが経過するごとに対応する有給日数が付与されます。

勤続期間 0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年
有給日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

6年半以降は1年ごとに20日付与されます。

また有給は発生から2年後に消滅してしまいます。

例えば入社から5年経つ人が、昨年5日だけ有給を使っていた場合、16+14−5日=25日の有給が残っているという事になります。

3-2. 退職前の有給休暇中は通勤費やボーナスは出るのか

これらは各社の就業規則によるようです。

通勤費は、就業規則の中で「実際に働いた日数に応じた金額を支給する」という会社が多いです。

また、ボーナスに関しては対象者を「支給日に在職」としている会社も多く、その場合は貰えます。しかしながら、あなたが実際に働いてない事を考慮され、査定を下げられることによってボーナスが下がる可能性はあります。

3-3. 有給を買い取りしてもらう事は可能か

有給を会社が買い取る事もあります。

有給1日=月の固定給÷当月の所定労働日数

の価値があります。しかしながら、有給の買い取りは原則認められているものではありません。特に、退職日が決まっている中で、労働者側から有給を買い取ってくれという話は通りません。

有給が残っていて、あなたが有給を消化する事で、業務に支障が出る場合、会社が申し出てきます。

そのため、どうしても有給を取れなさそうな場合、あなたが望むなら買い取りを落としどころに交渉を進めるのも一つの手です。

3-4. 有給期間中、会社の健康診断は受けるべきか・受けていいのか

原則、有給取得中の社員のを健康診断させるかは会社によるので、総務等に確認しましょう。その中で、どうしても受けたい場合は、会社に訴えれば多くの場合で受けさせてもらえます。

なぜなら、定期健康診断は会社の義務であり、退職予定の社員に対して実施しなくてよいとは明記されていないためです。

また、あなたがどちらでも良いと考えている場合は会社の指示に従いましょう。

なぜなら、あなたから健康診断をしたいという意思を示す事によって有給の時季をずらされてしまう恐れがあるからです。

4. 有給を有効活用するための過ごし方

さて、いざ有給を勝ち取った時、「何をすべきか」という幸せな悩みが出てきます。私は前職を辞めたとき、他の退職者が何をしているのか気になっていろいろ調べました。

そこで見えた、あなたに是非してほしい過ごし方をご紹介します。

4-1. まとまった休みでしかできない事をする

オススメする理由は退職後に次の会社へ就職すると、なかなかまとまった休みを取れなくなるためです。そんな過ごし方をするのであれば今しかありません。

仕事と仕事の間で一度リフレッシュする事で、次の職場でもより高いモチベーションで働けるでしょう。まとまった休みでしかできないことは下記のようなものがあります。

  • 一人旅
  • 海外ボランティア
  • 親孝行

4-2. 今後を見据えた自己研鑽をする

まとまった時間があれば自己研鑽も高い水準でできますよね。オススメする理由は下記の2点です。

  • 次の会社で即戦力になれる
  • 次の仕事の先にある、あなたの夢の実現に近づく

まとまった時間があるからこそ、語学や資格等の自己研鑽に集中的に取り組む事で、大きなスキルアップを狙えるでしょう。

5. さいごに

有給の取得方法から過ごし方までご説明してきましたが、いかがでしたか。

退職前の有給取得で大切な事は有給取得は会社にとって当然の義務であり、引け目を感じる必要はないということです。

退職前の有給があなたにとって価値のあるものになる事を心から願っています。

※退職後の転職先が未定の方へ

退職後の転職活動は心身ともに負担になることが多いですから、無理をしない範囲で今のうちから準備を進めていくことをおすすめします。その際は、『転職のプロが教える安心して転職に臨むための準備のすべて』を参考にしながら、少しずつご自身のペースで次のキャリアをお考えください。

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