エンジニアの転職では、応募の前に転職の軸やスキルを整理しておくと、求人選びで迷わず、面接の受け答えもぶれにくくなります。そのうえで転職サイトやエージェントを組み合わせて選択肢を広げ、自社開発か受託開発かといった開発の形や職場の文化まで見極めると、入社後の仕事のずれを防げます。この記事では、エンジニアに向けて、準備から会社選びまでの進め方とコツを期間の目安とあわせて解説します。
エンジニアの転職の流れと期間
エンジニアの転職が進む順番は、ほかの職種の転職とほぼ同じで、準備、求人探しと応募、選考、内定、退職と引き継ぎ、入社の順になります。ただしエンジニアの選考には、カジュアル面談や技術試験、主に開発職で求められる成果物の提出といった、ほかの職種にあまりない場面があります。
準備を始めてから内定までの期間は、2〜3か月が目安です。職務経歴書づくりと求人探しにおよそ1か月かかり、応募から選考の終わりまでに1〜2か月かかります。
転職する人が今の会社に退職を申し出るのは内定後で、申し出の時期は就業規則の期限を見て決めます。内定後は、退職と引き継ぎにさらに1か月ほどかかります。在職中は面接の日程調整で選考も長引きやすいため、プロジェクトの一区切りを退職目標に据え、逆算して応募を始めましょう。
なお、ほかの職種からエンジニアを目指す場合は、基礎の学習に3か月ほど、成果物づくりに2〜3か月かかるため、全体の期間は半年ほどになります。
転職活動の準備
転職サイトへの登録や応募の前に、転職の軸を決め、スキルを棚卸しし、応募書類や成果物をそろえましょう。
転職の軸を決める
転職のきっかけが現在の職場への不満である場合は、その不満の原因がどこにあるのかを切り分ける必要があります。自分の工夫で変えられるもの、一時的なもの、会社の仕組みなど自分では変えられないものの3つに分け、転職で解決しやすい「変えられないもの」を見極めましょう。不満の解消だけを目的にすると、転職先を選び違えたり面接で目的を話せなくなったりします。今後挑戦したい開発テーマや、上流工程など目指す仕事まで決めておきましょう。
年収、働き方、使う技術、自社開発かどうかなどの希望条件を書き出したら、譲れない条件を3つほどに絞り、あればうれしい条件と分けます。年収なら想定年収の幅や昇給の決まり方、働き方なら年間休日や残業時間など、求人票で見る項目を定めます。目的に合わせて確認項目を絞り込んでおくと、希望に合致する募集を迷わず見極められます。
スキルと経験の棚卸し
スキルと経験の棚卸しでは、担当したプロジェクトの規模や期間、担当工程、使った技術を書き出します。成果は処理時間の短縮や工数削減など数字で示しましょう。要件整理、デプロイ自動化、後輩のコードレビューといった目立たない仕事も言葉にしておくと面接で話せます。
また、棚卸しで書き出す際は、入社後に任される役割とのずれを防ぐため、「できること」と「経験はあるが自信がないこと」を分けておきます。なお、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験などの資格は経験の浅い分野のスキル証明に役立ちますが、経験豊富な分野では実務経歴のほうが伝わります。
職務経歴書とポートフォリオ
職務経歴書には、担当したプロジェクトごとにシステムの目的、規模、担当工程、工夫と成果を書き、言語やフレームワークはバージョンと経験年数まで記載します。使用環境を具体的に示すことで、応募先の企業は自社の開発現場で通用する技術力があるかを判断できます。
GitHubを提示する際は、READMEに技術選定の理由、構成、苦労した点、動かし方を書くと、企業の採用担当者に設計力や文書作成能力が伝わります。実務経験が浅い若手や未経験者は、公開して動かせる自作アプリや技術記事もスキルを証明する材料になります。なお、実務経験がある人は、ポートフォリオが無くても、プロジェクトでの役割と成果を面接で具体的に話せれば転職は可能です。
求人の探し方と転職サイト、転職エージェントの使い分け
エンジニアが求人を探す方法には、転職サイト、スカウトサービス、転職エージェントがあり、一つに絞らず組み合わせると選択肢が広がります。求人を自分で見比べて選びたい人には転職サイト、自分の相場を知りたい人にはスカウトサービスが向きます。応募書類や面接の対策、年収交渉を任せたい人や在職中で時間が取れない人には転職エージェントが向きます。
転職サイトとスカウト
転職サイトは、言語や開発環境などの条件で求人を自分で検索して応募する仕組みです。一方のスカウトサービスは、求職者が経歴と希望条件を匿名で公開しておくと、企業や転職エージェントから声がかかる仕組みです。どんな企業から声がかかるかがわかり、自分の相場をつかむ手がかりになります。エンジニア向けの転職サイトには、応募の前にカジュアル面談を申し込めるものもあります。
転職エージェント
転職エージェントは、求人の紹介や書類添削、面接対策、条件交渉を代行するサービスです。幅広い職種を扱う総合型と、ITやエンジニアに絞り、担当者に技術の話が通じやすい特化型があります。担当者に判断をすべて任せると、条件はよくても入社後に何をするのかが見えない転職になりやすいため、転職の軸や企業に確かめたい点は自分で持っておく必要があります。また、最初の面談で転職理由や希望する仕事、避けたい条件をはっきり伝えると、紹介される求人が合いやすくなります。応募を急かされるなど合わない場合は、担当者を替えて構いません。
エンジニア派遣とフリーランス
正社員として転職する以外に、派遣会社に雇われて派遣先の企業で働くエンジニア派遣と、会社に雇われずに案件ごとに契約して働くフリーランスという働き方があります。フリーランスには営業力や自己管理、収入が不安定な時期への備えが必要です。
転職先の選び方
会社名や年収だけで選ぶと、入社後に仕事が合わないことがあります。入社後にどんなプロジェクトを担当するのかを確かめて選びましょう。
自社開発と受託開発、SESの違い
| 開発の形 | 仕事の中身 | 積める経験 | 転職先で聞くこと |
|---|---|---|---|
| 自社開発 | 自社サービスを自社で開発・運用する | 改善や事業成長に関わる経験 | 担当するプロダクトと役割 |
| 受託開発(SIer) | 依頼されたシステムを請け負って作る | 要件定義から納品までの経験 | 案件の規模や開発手法 |
| SES | 会社が割り当てる取引先で開発や運用を支援する | アサインされた案件に応じた経験 | 入社後の案件や希望の通りやすさ |
SESでは、同じインフラエンジニアでも、所属する会社が割り当てる案件が運用のみか設計や構築に関わるかで数年後に選べる道が大きく変わります。どの開発の形の会社を選ぶ場合も、失敗を許す風土や評価基準、現場の裁量、コードレビューの習慣といった職場の文化も見ておきます。
ものづくりのエンジニアも、メーカーの社員として自社製品を開発するか、技術者派遣として取引先の開発に入るかで経験の積み方が変わります。
カジュアル面談と技術面接で確認すること
カジュアル面談は、応募の前に、残業時間やオンコール当番など働き方の実態を企業の人に聞ける場です。違和感があれば選考に進まなくて構いません。企業側も適性を見ているため、聞きたいことと経歴の説明は用意して臨みましょう。
技術試験は、オンラインでアルゴリズムの問題を解く形式や動くアプリを作る課題などがあり、企業が実務スキルを確かめるために行います。対策に時間がかかるため、選考の日程に余裕を持たせましょう。技術面接では、現場のエンジニアや開発の責任者が、プロジェクトでの役割や技術を選んだ理由を深く聞きます。逆質問ではレビューやテストの方針、CI/CD、新技術の導入の進め方を聞き、入社後に期待される役割も確かめて仕事のずれを防ぎます。
20代、30代、40代のエンジニア転職
20代は、若手や第二新卒を採用する企業が多く、実務の経験が浅いエンジニアでも転職先を見つけやすい時期です。
30代以降は、採用する企業から即戦力となる高い技術力や実務経験を求められる場面が増えます。自分がマネジメントの道に進むのか、技術を深めるのかを決め、その方向の経験を職務経歴書と面接で示しましょう。
40代以上で職種や役割を変える転職では、管理職として入るのか、技術のリーダーとして入るのか、企業から期待される役割を整理しておく必要があります。
年代に関わらず、一つの会社や特定の製品でしか通じないスキルに偏らないよう注意が必要です。クラウドや広く使われている言語など、ほかの会社でも使われている技術の経験を積んでおくと、転職先の選択肢が狭まりにくくなります。

































