ブランクのある看護師の復職方法!スムーズに復帰するために必要な準備やおすすめの職場は?

「ブランクがあって復職したいけれど、医療現場についていけるか不安。」
「復帰したら長く続けたいけど、家庭と両立しながら働ける職場はある?」

このようにブランクから復職したい気持ちはあっても、医療現場についていけるか・復職後の働き方について不安を感じている方は多いのではないでしょうか。

実際、この2つを理由にブランクからの復帰を踏みとどまっている看護師が多いのが実情です。

では、どうしたらこれらの不安を解消してスムーズに職場復帰できるのでしょうか。

ブランクのある看護師は、

  • 1.復職前の学び直し
  • 2.自分に合った職場選び

この2点を押さえておけば、スムーズに復職できます。

今回は、現役看護師の筆者がブランクのある看護師の復職方法についてこの2つのポイントに焦点を当てて解説します。

この記事を読めば、復職に関する不安が解消され、看護師としてのキャリアを再スタートする1歩を踏み出せるでしょう。

  1. 復職したいけどできない看護師の声
  2. 復職までに学び直しておくべき知識
  3. 看護師の復職に向けた知識・技術の勉強方法
  4. ブランクから復職しやすい職場の選び方を5つの視点から解説!
  5. ブランクから復職するまでの流れ
  6. 復職先を探すのにおすすめの転職サイト
  7. 復職成功のための面接対策
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1.復職したいけどできない看護師の声

復職を前向きに考えている潜在看護師は少なくありません。ですが、全員がすんなりと復職へと踏み出せているわけではないようです。

口コミ・評判

匿名 さん
ブランクが長いので、腕が鈍っていると思います。採血や注射も上手くできる自信がありません。また、最近では電子カルテがほとんどのようですが、私が働いていた時は紙カルテだったので扱えるかどうかも不安です。現場を離れて長いですし、医療の進歩についていける自信がありません。

口コミ・評判

匿名 さん
コ看護師の採用は即戦力を期待されていると聞きます。他の中途スタッフのように、指導や研修なしで現場に入らなければならないとなると、かなり不安です。また同僚となるスタッフから受け入れてもらえるかどうかも心配で、なかなか一歩を踏み出すことができません。

一番は技術面での不安が大きいようです。また、夜勤シフトに入れないといった事情から二の足を踏んでいる方もいます。

口コミ・評判

匿名さん
若いころと同じように夜勤をこなす自信もないですし、子どもがまだ小さく、なるべく夜は家にいてあげたいので、夜勤は避けたいです。けれど、ブランクが長くて夜勤に入れない看護師を採用してくれる病院なんてあるんでしょうか。

このような不安を抱えている方にまずお伝えしたいのが、ブランクが長くても看護師の復職は十分に可能ということです。潜在看護師のニーズは高く、ブランクがあっても受け入れ体制を整えている病院や、日勤のみで勤務可能な病院は少なくありません。

ただ、条件の合う病院に再就職し、その後スムーズに業務に慣れるためには、事前にある程度準備・学び直しをしておくのがベストです。そこで次章からは、再就職前に何を学びなおせば良いのか、具体的に解説していきます。

2.復職までに学び直しておくべき知識

以下の知識は、復職までに極力学び直しておくことをおすすめしています。

これらの知識は、看護師として基本的なものばかりですが、ブランク期間が長いほど意外と忘れてしまっているものです。上記の事柄を学び直しておくべき理由を詳しく解説します。

2-1.日常生活援助

日常生活援助は、看護師の基本的なスキルの1つなので「対応できて当たり前」と思われやすいです。新人のように一から丁寧に教えてもらえるとは限りません。職場によっては「これくらいはできるだろう」と思われてしまい、十分なフォローを受けられない可能性もあります。

特に、日常生活援助が看護師のメイン業務となる病棟や介護施設で働く場合は、一通り復習しておいたほうがよいでしょう。

2-2.注射・採血

注射や採血も、可能であれば実技研修(詳しくは後述)で学び直しをしておくと良いでしょう。経験や感覚がものをいう医療行為でもあり、ブランク期間が長いほど、血管を捉えた時の感覚や適切な部位の探し方を忘れてしまいやすいからです。

また、離職前とは手技・根拠が変わっていることもあります。

例)

  • 筋肉注射の三角筋に注射する時の穿刺部位の選択は肩峰から2~3横指下→腋窩神経の損傷リスクがあるとし、前後の腋窩腺を結ぶ中央という方法も出来た。(参考:奈良県立医科大学『筋⾁注射⼿技マニュアル』 )
  • 筋注は以前逆血の確認をしていたが、今はしていない。
  • 採血の時、血管を怒張させるために患者さんに駆血帯を着けたあとに手のひらを「グーパー」(クレンチング)してもらっていた→筋収縮によりK流出があり検査値に響く恐れがあり、現在は推奨されていない。

現場では、医療技術の進歩やより安全に実施するために手技・根拠の見直しが日々おこなわれており、知識の更新が必要なこともあります。

2-3.フィジカルアセスメント

フィジカルアセスメントは、患者さんの状態を把握し急変・疾患の兆候を発見する重要なスキルです。十分に出来ていないと、医師への報告・対応が遅れ命にかかわることもあります。

ただフィジカルアセスメントは、

  • 観察すべき項目が多い
  • 疾患に関する知識も必要
  • 五感を使って情報を得なければならない

など奥が深く一朝一夕で取得できるスキルではないので、復職前に時間をかけて勉強しておかなければなりません。

押さえるべきフィジカルアセスメントのポイント

  • 問診…
    具体的な症状・程度・部位・経過・楽になる要因・随伴症状を聞く。
  • 視診…
    異常が起きている部位の位置・色・大きさ・左右差の有無、異常部位だけでなく全身状態や表情、意識レベルの観察もおこなう。
  • 触診…
    目的に応じて指先・指の付け根・手背を使い分ける。拍動・皮膚の温度や腫瘤の性状、圧痛の有無を確認。
  • 聴診…
    膜型とベル型を使い分ける。膜型は呼吸音、腸蠕動音、心音などの高音を聴く時に使う。ベル型は低調性(低音)の心音を聴く時に使う。
  • 打診…
    自分の利き手ではない指を患者の皮膚に当てておこなう。左右交互に実施し差があるか確認する。

聴診の部位・正常・異常音、触診・打診の方法などは動画を見ながら学習すると、より具体的なイメージが湧くのでおすすめです。

事例で再確認!医療現場でよくある場面でのアセスメント

例)

尻もちをついて転倒…大腿骨近位骨折、腰椎圧迫骨折、坐骨骨折の可能性を視野に入れて観察
【アセスメントの手順】

  1. 意識レベルの確認
  2. 転倒によって打撲した部位の視診・触診・問診(発作・腫脹・疼痛の有無)可動域の確認
  3. バイタルサイン測定
  4. 医師へ状況の報告

例)

腹痛の訴え…痛みの性状(内臓痛・体性通・関連痛)によって考えられる疾患が異なるので、頭に入れて情報収集・アセスメントしていく。
【アセスメントの手順】

  1. 問診…
    痛みの性状や経過、部位、随伴症状、既往歴の確認
  2. 視診での腹部を中心とした全身の観察…顔面蒼白・苦悶様の表情の有無、発汗、腹部膨満
  3. バイタルサイン測定
  4. 聴診…
    聴診器の膜型を使い腸蠕動音の聴取
  5. 触診…
    腹部の緊満・圧痛・筋性防御・反跳痛の有無。痛みを伴うので、声かけや表情の確認もしていく。
  6. 医師へ報告

なお、意識レベルの低下・呼吸状態の悪化、痛みで会話が難しい場合はこの限りではなく、すぐに応援要請と医師への報告が必要です。

2-4.急変時の対応

急変対応は、緊迫した状況下で的確な判断とスピード感のある対応を求められます。

臨機応変に動けるようになるにはある程度の経験や慣れが必要なため、ブランクの期間が長いほど苦手意識を持っている方は多いでしょう。

復職してすぐに第一線で患者さんの急変に対応することはまずありませんが、急変の第一発見者になることはありえるので、BLS(一次救命処置)に関する以下のスキルは復習しておくと安心です。

  • 心臓マッサージ
  • アンビューバッグの使い方
  • 気道確保
  • AEDの使用方法

また、急変時によく使用する薬剤や気管挿管・酸素投与に関する機器の使い方も復習しておくといざという時に慌てずにすみます。

2-5.各種検査方法とデータの読み方

検査データの正常値をすべて覚えておく必要はありませんが、現場でよく見るデータが表す意味や数値は頭に入れておくと、復職後に役立つでしょう。

また検査方法や検体の取り扱い方を誤ると、正しい結果が得られず検査がやり直しになるなど患者さんに不利益をもたらしてしまう可能性があります。

特に押さえておきたいポイント

  • 採血…生化学・血算のデータの見方、凝固スピッツの取り扱い
  • 検尿…一般定性と沈査の違い
  • 12誘導心電図…電極の取付位置、患者さんの介助方法

自身がスムーズに検査業務をおこなうためにも、患者さんの安全のためにも確実に知識を身に着けておきましょう。

2-6.電子カルテの操作方法

「PCの操作が苦手だし電子カルテは難しそう」と復職する時の不安要素の1つとなっている方も多いのではないでしょうか。

電子カルテの普及率は年々上がっています。平成20年時点では約1割の病院でしか活用されていませんでしたが、平成29年時点では約半数の病院に導入されています。規模が大きい病院ほど普及率が高いです。(参考:電子カルテシステム等の普及状況の推移

電子カルテが使えないと自分の看護記録作成に時間がかかり業務が終わらないだけでなく、他のスタッフに迷惑をかけてしまう事も考えられます。

PCの操作が苦手な方は、ぜひ事前に学ぶ機会を作っておきましょう。

ただ電子カルテの操作方法に特化した研修はほとんどおこなわれていないのが現状で、あったとしても、入職後のオリエンテーションで研修を用意しているケースがほとんどです。事前に復職者向け研修などに参加しておくのが一番安心です。

ここまでのまとめ

以下6つの内容については、事前に学び直しをしておくことをおすすめします。

  • 日常生活援助
  • 注射・採血
  • フィジカルアセスメント
  • 急変時の対応
  • 各種検査方法とデータの読み方
  • 電子カルテの操作方法

では具体的にどのように学べば良いのでしょうか。次章では知識・技術の勉強法を詳しく解説していきます。

3.看護師の復職に向けた知識・技術の勉強方法

知識・技術の勉強におすすめの方法は、以下の4つです。

それでは、1つずつ詳しく解説していきます。

3-1.ナースセンターが主催する復職者支援研修に参加する

最もおすすめの学習方法は、ナースセンターが主催する復職者支援研修に参加することです。

都道府県の看護協会が運営しているナースセンターでは、無料の求人紹介だけでなく現在離職中の看護師に向けた再就職支援にも力を入れています。

<内容>

各研修の詳細はナースセンターによって異なりますが、病院・施設へ再就職を想定した包括的な研修と特定の看護技術に特化した研修が用意されているケースが多いです。【病院への再就職を目指すコース】

  • 講義(最近の医療・看護の動向、医療安全、感染管理について)
  • 電子カルテの操作方法
  • 採血・注射(静脈・筋肉・皮下)に関する講義と演習
  • 急変対応
  • 与薬に関する講義
  • フィジカルアセスメント
  • 日常生活援助
  • 病棟・外来の見学実習(指導看護師とともに一部実践
  • 職員との交流会・就業相談

【施設への再就職を目指すコース】

  • 講義(施設の特性、看護の役割、医療安全、感染管理について)
  • 各施設(介護老人施設、訪問看護ステーション、クリニックなど)の見学実習、一部ケアの実践
  • 職員との交流会・就職相談

【注射・採血演習】

  • 採血・注射に関する講義(必要物品・刺入部位・禁忌などの確認)
  • 真空管採血(直針・翼状針)演習
  • 点滴静脈注射の演習

<参加方法>

以下の流れに沿って手続きを進め研修に参加しましょう。

  • (1). ナースセンターが運営する求人サイト「eナースセンター」へ求職者登録する。
  • (2). 希望の研修施設・日程を確認し申し込む(メール・電話・郵送など)。
  • (3). 受講決定通知が届き、研修の受講が決定。

上記が大まかな参加申し込み方法ですが、詳細は都道府県ナースセンターによって異なるのでHPを確認しましょう。

また新型コロナウイルス感染対策のため、受講前2週間の健康チェックが必要となる場合があります。

<費用>

無料または材料費・保険料のみです。

<期間>

  • 技術演習のみの研修→半日程度。
  • 病院実習も含む研修→1日~5日。

<場所>

  • 復職者支援研修受け入れ施設(病院・介護施設・訪問看護ステーションなど)
  • 都道府県ナースセンター・看護協会

研修ごとに会場は異なるので、詳細は各都道府県ナースセンターHPで確認しましょう。

3-2.日本看護協会主催のウェブ研修に参加する

自宅での学習には、日本看護協会主催のウェブ研修に参加するのもおすすめです。

受講料を支払うことで、日本看護協会がオンデマンド配信している研修動画をPC・スマートフォン・タブレットでいつでも視聴でき自分の都合のいい時間に質の高い講義が受けられます。

ナースセンターや病院が主催する復職者支援研修と比較すると費用はかかりますが、配信期間内であれば動画をいつでも見返して復習できるというメリットがあります。

<内容>

研修内容は、基本的な日常生活援助や急変対応といった実践的なものから管理職向けまで様々です。復職者支援研修よりはやや専門的な内容が多いので、基礎知識を得たうえでさらに理解を深めたい方に受講をおすすめします。

研修内容の詳細は、日本看護協会HPの年間研修計画を確認してください。

<参加方法>

以下の流れに沿って手続きを進め、研修に参加しましょう。

  • (1). 受講前に手持ちでのデバイスで動作環境を確認する
  • (2). 専用サイトにユーザー登録
  • (3). 研修の申し込みと支払いをする

<費用>

参加費用は、研修時間と日本看護協会会員・非会員では異なります。

1研修/90分1研修/180分
日本看護協会会員2,090円4,180円
非会員3,190円6,380円

参加費用の支払い方法は、(1)クレジットカード決済(2)コンビニ決済(3)Pay-easyの3つがあります。

<期間>

1研修90分と180分のものがあります。

配信期間は、研修受付日開始日から約4か月です。

研修によって期間が異なるので、詳細は日本看護協会HPにて確認してください。

3-3.病院が主催する復職者支援研修に参加する

病院が独自に復職者支援研修を開催していることもあるので、こちらに参加してみるのもよいでしょう。

<内容>

  • 講義(最近の医療・看護の動向、医療安全、感染管理について)
  • 採血・注射(静脈・筋肉・皮下)に関する講義と演習
  • 急変対応
  • 与薬に関する講義
  • フィジカルアセスメント
  • 日常生活援助
  • 病棟・外来の見学実習(指導看護師とともに一部実践
  • 職員との交流会・就業相談

病院が独自に主催しているだけあって、その現場の雰囲気をより体感しやすくなっています。

<参加方法>

各病院のHPにて詳細を確認し、問い合わせ・申し込みをして参加します。

病院主催の研修はナースセンターの研修よりも募集人数が少ないため、早期に枠が埋まってしまう可能性があります。

こまめにHPを確認し早めに申し込むようにしましょう。

<場所>

主催の病院内でおこなわれます。

<費用>

無料または保険料のみとしている病院が多いです。

<期間>

半日~1日程度であることが多いです。

3-4.アプリを活用して隙間時間でも自己学習する

育児や家庭の事情などでまとまった学習時間を取れないという方には、アプリの活用がおすすめです。

移動や家事の合間に少しずつ問題を解くだけでも、確実に力はついていきます。

  • 実力診断ナースブレイン!看護師国家試験対策にも最適…
    一問一答式のゲーム感覚で勉強ができるアプリ。カテゴリ別の出題があるので、必要な分野の知識をピックアップして復習できる
    ≫iPhoneアプリ
  • 看護師国家試験対策 看護roo!国試…
    国家試験の過去問を単元別に復習できるアプリ。基礎知識の復習におすすめ
    ≫iPhoneアプリ
    ≫androidアプリ

4.ブランクから復職しやすい職場を5つの視点から解説!

ここでは、ブランクから復職しやすい職場を以下の5つの視点から解説していきます。

それでは、1つずつ見ていきましょう。

4-1.医療行為の少なさ

ブランクがある看護師は、下記に挙げたような医療行為が比較的少ない職場や業務を覚えやすい職場がおすすめです。

←左右にスクロールできます→

施設医療行為の少なさ夜勤なし土日の
休みやすさ
採用され
やすさ
一言
慢性期・
回復期病棟

(医療行為はあるが
慌ただしさはない)
一から看護の基礎を
学びたい方におすすめ
クリニック自分の経験が
ある科がおすすめ
健診センター採血は必須
訪問入浴ルーティン業務で
覚えやすいが体力勝負
老人介護施設
(オンコールあり)
看護師自体が少ないので
フォロー体制は要確認
サービス付き
高齢者住宅

(一部あり)
利用者の自立度が高く
介護は少なめ
保育園保育補助もあるので、
育児経験が活かせる!

夜勤がないことでクリニックも復職先として人気がありますが、即戦力を求められるため経験のない科だと苦労するかもしれません。

それぞれの施設の特徴を踏まえて、自分に合った職場を探してみましょう。

4-2.通いやすいかどうか

復職をするにあたって、以下のような環境が整っていることが望ましいでしょう。

  • 自宅から通える距離にある
  • (子育て中の場合)院内託児所がある

家庭との両立をするなら帰宅後の家事・育児の時間を確保するためにも通勤時間が30~1時間程度の職場がおすすめです。

また、未就学児を子育て中の場合は、院内託児所があると保育園の送迎に時間がかからずに済み便利です。夜勤をしようと考えている方は、夜勤中の預かりも可能か確認しておきましょう。

4-3.ライフスタイルに合った働き方か

復職先を探す時は、自分が看護師としてどう働いていきたいかを定め、その定めた軸をもとに職場を探すことが重要です。

働き方の軸を定めた職場探しといってもなかなかイメージが湧かない方もいるかと思うので、具体例をいくつか以下に挙げてみました。

  • 1:子どもが保育園(幼稚園)に入園したので、家庭を優先しながら少しずつ仕事を始めたい
    →子どもの送り迎えに間に合う範囲で働ける、時短・パート勤務が可能な施設(かつ子どもの体調不良など突発的な休みにも理解がある環境)
  • 2:経験が浅いままブランクに入ってしまったが、今後も看護師をしていきたいので学びなおすチャンスが欲しい
    →復職者(中途採用者)にもプリセプターをつけて指導してもらえる施設
  • 3:せっかく学びなおすのであれば、前から興味のあった介護の分野に挑戦したい
    →復職者へのフォロー体制が充実している介護老人施設
  • 4:体調不良で現場を離れていたけど、体調が戻ったから復職したい。最初は無理のない範囲で働き、いずれはまたフルタイムで夜勤もできるようになりたい。
    →日勤常勤が可能な施設orパート勤務と常勤を柔軟に選択できる施設

このように今後の働き方を決めて具体的に書き出してみると、自分に合った職場を見つけやすくなります。

4-4.教育体制が整っているか

ブランクから復職するには、知識・技術の学び直しをし準備をすることが重要ですが、復職前だけでは不十分に感じる方もいるでしょう。

そんな方には、以下のような就職後のフォロー体制が整っている職場がおすすめです。

  • 復職者支援プログラムがある..クリニカルラダーを利用した復職者専用のプログラムがある病院も
  • 既卒者・ブランクがある看護師にもプリセプターをつけてもらえる
  • eラーニングを導入している…復職後の自己学習に役立つ

復職者のフォロー体制や教育システムは病院のHPで確認するほか、インターンシップ・病院見学の際に担当者に質問してみるとよいでしょう。

その際は、フォロー体制があるということだけでなくシステムがきちんと活用されているか、ブランクから復職した看護師の就労状況も合わせて確認すると、職場選びの判断材料が増えます。

4-5.復職者を受け入れる雰囲気があるか

復職するときは、ブランクのある自分を職場が受け入れてもらえるか不安という方も多いと思います。

復職後に長く働き続けるためにも、人間関係や現場の雰囲気も重視して職場探しをしていきましょう。

復職しやすい職場の雰囲気の例

  • ブランクから復帰した看護師の受け入れ実績がある
  • 育児中・育児経験があるスタッフが多い…育児が理由の急な休みも「お互い様」と思える精神が根付いていることが多い
  • 管理者が育児・介護などライフイベントへの理解がある…突発的な休みや家庭の事情を理解してもらいやすい

このように、ブランクのある看護師や家庭の事情への理解がある職場がおすすめです。

現場の雰囲気の確認は病院見学だけでは難しいので、転職サイトのキャリアアドバイザーにスタッフの年齢層や管理者の人柄など内情を聞いてみるとよいでしょう。

5.ブランクから復職するまでの流れ

ブランクからの復職・再就職活動は、以下の流れで進めていきます。

それでは、1つずつ見ていきましょう。

5-1.就職活動の事前準備

まずはじめにおこなうのは、就職活動の事前準備です。

求人を探す前に以下の事項を確認しておきましょう。

  • 復職する時期
    …大まかに決めておくと求人の紹介もされやすい。自分も目標に向かって計画的に行動できる
  • 復職する時に譲れない条件
    …夜勤がない、子どもの行事は休めるなど譲れない条件をきめておくと求人探しがスムーズに。
  • 家族の理解
    …復職することで家族のライフスタイルにも影響が出るケースも。家事・育児の分担を話し合い、復職先についても家族の意見を取り入れることも大切。

5-2.転職サイト・ナースセンターに登録する

復職先を探す方法は様々ですが、おすすめの方法は転職サイトとナースセンターを利用することです。

以下に、復職を希望する看護師が転職サイト・ナースセンターに登録するメリットをまとめました。

【転職サイトに登録・利用するメリット】

  • 専任のキャリアアドバイザーがつき転職活動を手厚くサポート
    …求人紹介から面接対策・面接時の同行・条件交渉までしてもらえる
  • 非公開求人を選択肢に入れられる
    …ハローワークやウェブ上で公開されていない好条件の非公開求人を紹介してもらえる。

【ナースセンターに登録・利用するメリット】

  • 看護職同士の交流会がある
    …同じ境遇の人と情報の共有や相談ができる。実際に復職した看護師の話が聞ける機会もある
  • 看護職経験のある職員に就職相談
    …同じ業界にいた職員なので事情を理解してもらいやすい。
  • 復職者支援研修を安価で受けられる
    …医療現場の実態から、手技の演習まで復職に必要なスキルの勉強ができる。

このように、転職サイトとナースセンターは復職を希望する看護師に適したサービスを提供しているので、登録しておくことでスムーズに復職活動を進められます。

求人探しの詳しいやり方については『看護師転職の方法と求人の探し方をプロ目線で徹底解説』の記事を参考にしてください。

5-3.求人を探す

転職サイト・ナースセンターに登録したら、求人を探します。

事前準備で明確にした譲れない条件を軸に自分の環境に合う求人をキャリアアドバイザーと相談しながら探していきましょう。

求人を探す際は、「ブランク可」の表記があると、ブランクのある看護師を受け入れた実績があり安心です。

希望条件が多いとなかなかマッチする職場が見つからないことがあるため、どうしても譲れない条件でない限り、まずは見学してみるのも1つの方法です。

転職活動のプロであるキャリアアドバイザーの意見に耳を傾けてみたら、意外と自分に合う職場が見つかることもあるので、希望条件にこだわりすぎず幅広い求人を見てみましょう。

5-4.書類を作成し応募する

希望の求人が見つかったら、履歴書・職務経歴書を作成しましょう。

作成方法に不安がある方は提出前に必ずキャリアアドバイザーに添削してもらいましょう。

面接は履歴書・職務経歴書に記載されている内容をもとに質問されるので、書類と面接時の質問の答えに不一致がないようにコピーを取っておくのがおすすめです。

5-5.採用面接を受ける

書類選考に通過したらいよいよ採用面接です。採用面接を受ける職場の概要・特徴的な事業は事前に調べて頭に入れておくと、他ではなくこの職場を志望していることがしっかりアピールできます。

また以下の定番の質問には、事前に回答を準備しておくと本番でも落ち着いて質問に答えられるでしょう。

  • 志望動機を教えてください
  • 看護師歴について教えてください
  • ブランクの理由を教えてください
  • 患者さんとのエピソードで印象的なものはありますか
  • 復職について家族の理解は得られていますか

採用面接は1回勝負なので、不安が大きい方はキャリアアドバイザーと面接の練習をしておくのもおすすめです。面接の練習では、志望する職場にあった傾向と対策も教えてもらえます。

5-6.知識・技術の学び直しは就職活動と並行しておこなう

ブランクのある看護師が復職する時は、上記の就職活動と並行して、知識・技術の学び直しをしていくことが大切です。

就職先がなるべく早い時期から勤務を開始してほしい場合、採用面接から勤務開始日までにスキルを復習しておく時間が十分とれないこともあります。

ナースセンターや病院主催の対面での研修は、応募数が多い場合は抽選となり結果によっては自分の希望する日程を受講できない場合があります。

就職活動をしながら学習時間を確保することは、家庭や育児がある方にとって負担が大きいと感じるかもしれませんが、ブランクへの不安を減らしてスムーズに復職するためにも、家族の協力を得ながら就職活動と自己学習に注力していきましょう。

6.復職先を探すのにおすすめの転職サイト

数ある転職サイトのなかから、以下を基準に、「利用者からの満足度の高い看護師向け転職サイト」をピックアップしました。

転職サイト選定基準

  1. 求人数 …総求人数が多いほど、理想にぴったりの求人を見つけやすい
  2. 利用者満足度(提案&サポート力) …利用者の口コミをもとにサービスの質を評価。優秀なキャリアアドバイザーに担当してもらえれば、理想の職場を提案&手厚いサポートが期待できる

利用者の総合評価順にランキング形式でまとめると、おすすめの転職サイトは、以下のとおりとなりました。

転職サイト求人数|総合満足度
1位
看護roo!
55,907件|◎4.3
利用者満足度96.3%、看護師さんからの人気No1の転職サイト。細かい条件で求人が探しやすく、面接対策&サポートも手厚い。
2位
レバウェル看護(旧 看護のお仕事)
135,763件|○3.8
総求人数トップレベル!累計40万人以上の利用者がいる転職サイト。LINEで最新の求人情報が得られるなど、気軽に転職活動ができる
3位
マイナビ看護師
60,875件|◎4.1
求職者のペースに合わせたサポートが強み。全国22箇所に相談会場があり、地方在住者も来社相談しやすい

※求人数2022年8月更新

この記事では3サイトに厳選しています。より詳しく知りたい方は、『看護師723人が選ぶ転職サイトおすすめランキング』を参考にしてください。

1位.看護roo! | 看護師さん利用者満足度No.1

看護roo

看護roo!』は、転職経験のある看護師さんから最も選ばれている、人気No1の看護師転職サイトです。

登録者のみが閲覧・応募できる非公開求人も多数保有しています。

看護roo!の特徴

  • 利用者満足度96.3%
  • 公開求人55,907件+非公開求人も多数
  • 面接同行や選考対策など手厚いサポート

さらに、細かい条件を組み合わせて仕事探しができるため、希望にぴったりの求人を見つけやすくなるでしょう。

看護roo!』は、30年以上に渡る転職支援実績のある株式会社クイック(東証一部上場企業)が運営するサービスです。

信頼と実績も十分で、面接時に希望者には専任の女性スタッフが同行してくれるなど、きめ細かいサポートが魅力といえます

こんな看護師さんにおすすめ

  • みんなが使っていて、実績豊富な人気のサイトを利用したい
  • 給与や条件、人間関係などが良い職場情報を知りたい
  • はじめての転職で不安なのでプロに相談したい

看護roo!の詳しい情報は、下記の記事でもご覧になれます。

2位.レバウェル看護(旧 看護のお仕事) | 求人多数で選択肢の幅が広い!

レバウェル看護(旧 看護のお仕事)

レバウェル看護(旧 看護のお仕事)』は、求人数がトップレベルの転職サイトです。キャリアアドバイザーが、病院や施設を訪問して直接取材を行っており現場のリアルな情報を提供しています。

レバウェル看護(旧 看護のお仕事)の特徴

  • 累計利用者数40万人以上
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「人間関係や施設の雰囲気はどうか」「子育て中の看護師が働きやすい環境か」などの情報を踏まえて、最適な提案をしてもらえるのもポイントです。

また、LINEで「新着求人情報が届く」「担当のキャリアアドバイザーに相談できる」など、気軽に転職活動ができる点も魅力的といえます

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3位.マイナビ看護師|ペースに合わせて転職できる

マイナビ看護師』は、大手人材企業マイナビが運営する定番の転職サイトです。
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マイナビ看護師の特徴

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なお、マイナビ看護師の詳細は、下記の記事でも確認できます。またおすすめの転職サイトについて、より詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。

7.復職成功のための面接対策

ここでは、復職成功のための面接のポイント3つを紹介します。

それでは、1つずつ詳しく見ていきましょう。

7-1.ブランクの期間と理由は正直に!前向きなエピソードを添えて話す

面接で必ず聞かれるであろうブランクの期間と理由は、正直に話しておきましょう。

育児や介護、配偶者の転勤など家庭の事情でブランクがある場合は、それほどマイナスな印象を与えることはまずありません。

自身の心身の不調が原因でブランクがある場合、採用する側も「働き始めたら体調が悪化して休まれたり辞められたりするかもしれない。」という不安があり、職場によっては理解を得るのが難しいことがあります。

このようなケースでは、ブランク・復職の理由とともに、現在は状況が変わり働けるようになっていることをはっきり伝えた方がよいでしょう。

〈伝え方の例〉

  • 現在は体調が落ち着いており、主治医からも復帰が可能と判断された。
  • 服薬中ではあるが、医師に相談したら無理のない範囲で復職可能としたら指示があった
  • 就労は問題ないが、体調管理のためにも、まずはパート勤務から始めて少しずつ時間を延ばして働けるようにしていきたい。

ブランクがあることやその期間が長いことに引け目を感じてしまう方もいると思いますが、正直に答えておかないと、お互いミスマッチになります。職場で十分なフォローを受けられないと自身が苦労してしまうので、嘘やごまかしはしない方がよいでしょう。

また、ブランク中で出来た経験を前向きに捉えてアピールするとより印象が良くなります。

例)

  • 育児が理由の場合…
    子どもに合わせた生活を送ることで以前より物事に対して柔軟な対応ができるようになった。
  • 介護が理由の場合…
    自身が家族の介護をおこなう立場になって利用者・ご家族の心情をより理解できるようになった
  • 転勤の場合…
    様々な土地で暮らし新たな人間関係を築いていくことで、適応力・コミュニケーション能力が高まった
  • 看護ではない他の仕事をしていた場合…
    ビジネスマナーやお客様をおもてなしするスキルが身についたので、患者さんと接する場面で活用したい

7-2.経験やスキルは具体的にアピールする

採用する側は、ブランクのある看護師の経験やスキルがどのくらいあるのかを知りたいと思っています。

ただ「総合病院の内科に5年勤務経験があります。」と伝えるだけでは、何がどのくらいできるのか採用する側に伝わりづらいでしょう。

その診療科(施設)で経験した業務や身に着けたスキルを具体的にアピールする事が大切なのです。

以下にアピールすべき項目とその具体例をまとめました。

<アピールすべき項目>

  • どんな疾患の看護経験があり、なにができるか
  • 得意なケア・医療行為
  • 看護の経験がある患者さんの年齢層
  • 新人教育や学生指導の経験
  • チームリーダー経験
  • 委員会など看護業務以外の経験

<アピールの例>

  • 消化器内科に5年勤務しており、絶飲食の患者さんもいたため経鼻経管栄養や胃ろうの管理経験が豊富です。御施設ではそういったケアを必要とする利用者様が多いと伺っており、経験を活かせると考えています。
  • 前職は嚥下リハに力を入れている施設だったので、口腔ケアや吸引、嚥下状態のアセスメントが得意です。この経験を活かして、利用者様が安全に食べたいものを食べられるようQOL向上に貢献していきたいと思っております。
  • 前職では教育委員会に所属しており、病棟でもプリセプターとして新人指導を2度経験しました。ブランクからの再出発となりますが、いずれは貴院での新人・学生の教育や研修に携われるような人材になりたいと考えております。

ブランク歓迎の求人といえど教育コストをなるべく抑えて1日でも早く職場の戦力となってほしいのが本音なので、アピールできるスキルや経験があるのは大きな武器になります。

ブランクが長いと、医療技術の進歩によって以前勤務していた時と手技や根拠・物品が変わっていることもあるため、経験がある手技でも復習しておくのがおすすめです。

また、過去の経験・スキルと合わせて復職に向けての自己学習・研修参加など自己研鑽に励んでいることも伝えると向上心をアピール出来ます。

7-3.長く続ける意欲があることを伝える

これは就職活動全般に言えることですが、長期就労の意思をしっかり伝えることも重要です。

ブランクのある看護師の採用には通常の中途採用より教育コストもかかるため、特に長く働き続けてくれそうな人材が求められています。

離職の理由が家庭の事情の場合、現在は落ち着いて仕事ができる環境が整っていることを伝えておきましょう。

自身の病気やメンタルの不調が理由の場合は、現在は体調が落ち着き安定していることを伝えておくと採用側の懸念事項を減らせます。

8.さいごに

今回は、ブランクのある看護師の復職方法について解説しました。

ブランクのある看護師が復職を成功させるには、

  • 1.復職前の学び直し
  • 2.自分に合った職場選び

の2つのポイントを押さえて行動していくことが重要です。

一度離れた医療現場へ戻ることはとても勇気がいる行動ですし、不安は尽きないかもしれません。

ただ、この記事が医療現場に戻りたいと願う看護師の不安を少しでも軽減し、一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。