「正社員型派遣って、聞いたことはあるけれど、どんな働き方なんだろう」「正社員型派遣にはどんなメリットがあるんだろう」などと、気になってはいませんか?
正社員型派遣(常用型派遣)とは、派遣先の正社員として雇用契約を結び、他の企業に派遣されて就業する雇用形態を指します。
そんな正社員型派遣は、メリット・デメリットをしっかり踏まえた上で活用することができれば、特に研究職・エンジニア系の就職・転職を考えている方におすすめできる雇用形態です。
このページでは、元転職のプロとして多くの求職者の悩みを聞いてきた私が、正社員型派遣について気になる点を詳しくまとめました。
- 正社員型派遣(常用型派遣)とは
- 正社員型派遣と正社員・普通派遣の違い
- 正社員型派遣のメリット・デメリット
- 正社員型派遣におすすめの派遣サービス3選
- 正社員型派遣での就業の流れ
- 【FAQ】正社員型派遣でよくある質問
このページをお読みいただくことで、正社員型派遣に関する知識がさらに深まりますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1. 正社員型派遣(常用型派遣)とは
正社員型派遣とは、派遣会社と労働者が「常時雇用契約」を結んでいる雇用形態のことです。
その名にあるよう『派遣会社の正社員』なので、普通派遣と比べて雇用・給与が安定するという利点があります。
例えば、派遣先企業との派遣契約が終了した場合、
- 普通派遣 :派遣会社との契約も終了し、給与の支払いは行われない
- 正社員型派遣:派遣会社との契約は継続し、給与の支払いは行われる
といった違いがあります。
このように、派遣先企業との契約が終了しても、派遣会社との契約は継続し無期限に雇用され続ける特性から『無期雇用型派遣』とも呼ばれています。
正社員型派遣(無期雇用型派遣)の仕組み
正社員型派遣では、労働者は派遣会社と常時雇用契約を結んでいます。
つまり、この場合の労働者は派遣会社の正社員という扱いになるのです。
また、正社員型派遣の労働者は、雇用契約を交わした派遣会社で就業するのではなく、別の会社に派遣されて就業します。
ただし、普通派遣とは異なり、労働者は派遣会社と常時雇用契約を結んでいるため、仮に就業していない場合でも給与を受け取ることが可能です。
2. 正社員型派遣と正社員・普通派遣の違い
正社員型派遣と聞くと「正社員と具体的に何が違うの?」「普通の派遣と比べていいことがあるの?」などと、気になる方も多いと思います。
そこでこの章では、正社員型派遣と正社員・普通派遣の違いを、それぞれわかりやすくまとめました。
- 2-1. 正社員型派遣と正社員の違い
- 2-2. 正社員型派遣と普通派遣の違い
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
正社員型派遣と正社員の違い
正社員型派遣と正社員の違いをまとめると、以下の通りです。
正社員型派遣 |
|
正社員 |
|
正社員型派遣と一般的な正社員の大きな違いは、就業先です。
一般的な正社員の場合は、採用された会社内(もしくはグループ内)で働くのが基本となります。
しかし正社員型派遣は、採用された会社とは別の企業に派遣され、そこで就業する働き方です。
そのため、一般的な正社員とは異なり様々な企業で就業することができ、幅広い経験を積むことができます。
その一方で、長期的なキャリアアップや、専門的なスキルの取得はあまり見込めないのが現状です。
正社員型派遣と普通派遣の違い
正社員型派遣と普通派遣(登録制派遣)の違いをまとめると、以下の通りです。
正社員型派遣 |
|
普通派遣 |
|
正社員型派遣は普通派遣と異なり、派遣先と常時雇用契約を結んでいます。
そのため、就業しているしていないに関わらず、給与の支払いを受けることができるのです。(就業していない期間のことは、待期期間と呼ばれています)
一方で、普通派遣であれば給与は就業時しか支払われないため、派遣契約が終了してしまえば収入もストップしてしまいます。
このように、正社員型派遣は普通派遣よりも雇用や給与が安定しており、安心して就業することができる雇用形態なのです。
3. 正社員型派遣のメリット・デメリット
正社員型派遣のメリット・デメリットをまとめると、以下の通りです。
メリット | デメリット |
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
正社員型派遣のメリット
正社員型派遣のメリットは、以下の通りです。
それでは、ひとつずつご紹介します。
メリット1. 雇用が安定している
何度かご説明してきたように、正社員型派遣は普通派遣と比べ、雇用や収入が非常に安定しています。
正社員型派遣は派遣会社と常時雇用契約を結んでいる正社員、という形になりますので、待期期間も給与を受け取ることができ、かつ雇用も安定しているのです。
そもそも派遣社員になることを考える上で、「雇用と収入の不安定さ」は、最もネックになりやすい項目と言えるでしょう。
特に登録制派遣で働いている人であれば、派遣先が見つからなければ就業できず、その分給与をもらうこともできません。
また、その他の派遣形態である紹介予定派遣についても、派遣先に直接雇用してもらえる可能性はありますが、その分雇用してもらえなかった場合には収入が不安定になってしまいます。
このように雇用や収入が不安定な派遣形態が多い中、正社員型派遣はそのような心配なく安心して勤められる、唯一の派遣形態と言っても差し支えないでしょう。
メリット2. 様々な職場で経験を積める
正社員型派遣は、派遣と言う雇用形態の特性上、様々な職場で就業し、経験を積むことができます。
通常の正社員であれば、基本的に1つの会社にしか勤めることができません。
しかし正社員型派遣ならば、複数の職場で就業することができるので、その分経験値が増え、対応できる業務の幅も広がっていきます。
特に、専門的なスキルを身に付けるよりはそつなく幅広い業務をこなせるようになりたい、と考える方にとって、正社員型派遣は非常におすすめできる雇用形態であると言えるでしょう。
正社員型派遣のデメリット
正社員型派遣のデメリットは、以下の通りです。
それでは、ひとつずつご紹介します。
デメリット1. 希望通りの企業では働けない可能性がある
正社員型派遣では、希望通りの企業で働けない可能性も、念頭に入れておかなくてはなりません。
これには、正社員型派遣になる際に派遣会社と結ぶ、常時雇用契約が関係しています。
常時雇用契約を結ぶことで、派遣会社は労働者に対し、待期期間(就業していない期間)も給与を支給しなければいけなくなります。
派遣会社の企業ですから、自社の利益をしっかりと出していくためにも、できるだけ待期期間は少なくしたいと考えるでしょう。
そのため、待期期間に入った労働者に対しては、すぐに別の派遣先を紹介し、就業させようとするのが普通です。
そうなると、希望通りの企業では就業させてもらえなかったり、就業環境が悪い職場に回されたりする可能性も、少なからず出てきます。
そのため、正社員型派遣で働く場合は、必ずしも毎回自分の希望に沿って丁寧に派遣先企業を決めてくれるわけではない、ということを頭に入れておきましょう。
デメリット2. キャリアアップはあまり見込めない
正社員型派遣として働く場合、キャリアアップについてはあまり期待しない方が良いでしょう。
そもそも正社員型派遣は、様々な企業に派遣され、就業する雇用形態のことです。
そのため、ひとつの職場に長く勤めることができず、その企業での長期的なキャリアアップは見込めません。
もし役職につきたい、もっと上のレイヤーの仕事がしたい、という場合には、正社員型派遣ではなく、一般的な正社員として就業するべきです。
その場合は、マイナビエージェントなどの転職エージェントを利用し、正社員への転職を目指しましょう。
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正社員型派遣が向いている人
このように正社員型派遣のメリット・デメリットを見てみると、正社員型派遣は以下のような人に向いていると言えます。
- 色々な職場を経験してみたい
- 専門的というより、幅広いスキルを身に着けたい
以上のような特徴に当てはまる方は次章で、正社員型派遣の求人探しにおすすめの派遣会社をご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
4. 正社員型派遣におすすめの派遣サービス3選
ここからは、正社員型派遣として働くことを検討している方におすすめしたい派遣サービスを、3社厳選してご紹介します。
補足:派遣サービスを選ぶ時のポイント
- 求人の質・量…優良案件の量は十分にあるか
- 提案力…提案された求人は希望に沿うものだったか
- サポート力…必要な時に必要なサポートを受けられたか、親切だったか
ご紹介する派遣サービスは、以下の3社です。
それでは、ひとつずつご紹介します。
4-1. ミラエール | 事務職の無期雇用派遣におすすめ
ミラエールは株式会社スタッフサービス・ホールディングスが運営している、無期雇用派遣専門のサービスです。
特に事務職の派遣に強みを持っており、未経験でも始められるサポート体制が整っています。
また、年に1度の昇給制度や育休・産休などの働きやすい環境も完備されているため、初めての正社員型派遣を考えている方にもおすすめできるサービスです。
公式サイト:
https://www.022022.net/
4-2. マイナビキャリレーション|1人ひとりに合った配属先を紹介
マイナビキャリレーションとは、マイナビスタッフなどの人材サービスで知られている、マイナビグループが運営する無期雇用派遣サービスです。
カウンセリング・適性検査・研修を踏まえ、1人ひとりに合った配属先を紹介してくれるなど、サポート面には特に定評があります。
そのため、手厚いサポートを受けたい、自分の希望だけではなく適性検査などの客観的な基準も基にして配属先を決めたいという方にとっては、マイナビキャリレーションは非常におすすめできる派遣会社だと言えるでしょう。
公式サイト:
https://mynavi-cr.jp/
4-3. キャリアウィンク| 未経験でも安心の研修あり
キャリアウィンクとは、株式会社リクルートスタッフィングが運営する、無期雇用派遣サービスです。
WEB応募してから最短10日程で就業することが可能なため、急いで仕事を探している方もすぐに働き始めることができます。
また、研修やフォロー体制も整っており、正社員型派遣として働くのが初めての方にもおすすめできる派遣サービスです。
公式サイト:
https://www.r-staffing.co.jp/
5. 正社員型派遣での就業の流れ
ここでは、正社員型派遣として働くための、登録から就業までの流れをご紹介していきます。
それでは、ひとつずつご説明します。
Step1. 派遣会社にエントリーする
まずは、派遣会社の公式ページから登録を行いましょう。
登録の際、主に以下の内容を記載します。
- 名前
- 住所
- 経験
- スキル
- 希望職種
- 就業条件
もし希望職種・就業条件について考えが及ばないようでしたら、派遣会社との面談当日の際に聞くことで、具体的なイメージを持てるようにしましょう。
Step2. 面接などの選考を受ける
正社員型派遣は派遣会社の正社員という雇用形態になるため、通常の就職活動と同じように、説明会・書類・テスト・面接などの選考が課されます。
事前に準備をしっかりと行い、選考当日に備えておきましょう。
Step3. 派遣会社に内定する
派遣会社に内定すれば、正社員型派遣として働き始めることができます。
担当者と相談の上、就業日と就業先を決定しましょう。
Step4. 入社前研修を受ける
派遣会社によっては、入社前研修を受けなくてはいけない場合もあります。
派遣先で円滑に業務を進めるためなので、研修にはしっかりと取り組みましょう。
また、ビジネス研修やスキルアップ研修など、任意参加の研修が用意されている派遣会社もあります。
自分のスキルや経験と照らし合わせ、不安な部分は追加で研修を受けるのも良いでしょう。
Step5. 就業開始
就業先が決まり、入社前研修も完了すれば、就業開始となります。
派遣期間が終了するまで、就業先での仕事に精一杯取り組みましょう。
そして、派遣期間が終了すれば、次の就業先が決定するまでは待期期間となります。
正社員型派遣の場合は待期期間でも給与が支給されますので、どうぞご安心ください。
6. 【FAQ】正社員型派遣でよくある質問
正社員型派遣に関する、よくある質問をまとめました。
- Q-1. 正社員型派遣では、エンジニアや研究職が多いのでしょうか。
- Q-2. 正社員型派遣の場合、履歴書の提出や面接などはありますか?
- Q-3. 正社員型派遣の年収はいくらですか?
- Q-4. 正社員型派遣では、ボーナスももらえるのでしょうか。
- Q-5. 派遣では将来が不安です。やはり正社員を目指すべきでしょうか。
- Q-6. 正社員型派遣を退職したい場合には、どうすれば良いですか?
それでは、ひとつずつご説明します。
Q-1. 正社員型派遣では、エンジニアや研究職が多いのでしょうか。
一般的に正社員型派遣では、エンジニア・研究職は多いと言われています。
それは、エンジニアや研究職が携わる開発は、自社で行うには非常にコストがかかるからです。
そもそも、社会状況によって、商品・サービスに求められるものは刻一刻と変化しています。
そして自社で開発を行う場合、その消費者ニーズへの対応体制を1から整えるのには、膨大なコストがかかることを覚悟しなくてはなりません。
しかし、派遣社員にその開発を手伝ってもらうことができれば、必要なスキルを持った人材を必要なだけ活用することができ、会社としてもコストを抑えることができるのです。
Q-2. 正社員型派遣の場合、履歴書の提出や面接などはありますか?
普通の就職活動と同じように、履歴書の提出や説明会、面接などの選考があります。
正社員型派遣の場合、労働者は派遣会社の正社員という形になります。
そのため、普通派遣で禁止されているような選考も行われ、合否も判断される仕組みになっているのです。
Q-3. 正社員型派遣の年収はいくらですか?
厚生労働省の調査を見てみると、正社員型派遣の月給について、以下のような記載がありました。
(8) 賃金
ア 時間給
(略)派遣の種類別では、登録型が 1,296 円、常用雇用型が 1,442 円となっている。(引用:派遣労働者実態調査の概況)
ここから年収を計算すると、1,442円×8時間×20日×12ヵ月で、約280万円(賞与は含めない)となります。
そのため正社員型派遣の年収は、大体300万近くであると言えるでしょう。
Q-4. 正社員型派遣では、ボーナスももらえるのでしょうか。
必ずとは言い切れませんが、派遣会社によっては、ボーナス・賞与が支給されることもあります。
賞与が設定されている派遣サービスとしては、ミラエールやキャリアウィンクなどが代表的です。
ただし、賞与の回数やボーナスの有無などは派遣会社によって異なりますので、エントリーする前にしっかりと確認しておくようにしましょう。
Q-5. 派遣では将来が不安です。やはり正社員を目指すべきでしょうか。
正社員型派遣と正社員を比べた時、1番ネックになるのは「スキルの身に付き方」です。
正社員型派遣では複数の職場を転々としながら就業するため、できる業務の幅は少しずつ広がっていきます。
一方で、正社員は1つの仕事に長期的に携わることができるため、専門的なスキルを身に付けることが可能です。
今の転職市場の考え方からして、年齢が上がるほど高いスキルが求められる傾向にありますから、専門スキルが身に付きにくい正社員型派遣では、後々苦労することもあるかもしれません。
そのため「今後も派遣として働く」と決めているのならば良いのですが、20代でこれから将来が不安、という方にとっては、あまりおすすめできない雇用形態であるとも言えるでしょう。
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Q-6. 正社員型派遣を退職したい場合には、どうすれば良いですか?
正社員型派遣を退職する場合には、通常の会社を辞める時と同じように、退職届を提出する必要があります。
就業規則に乗っ取り、規定の期限までに退職届を提出しましょう。
また、就業規則には「退職1ヵ月前までに届け出ること」などの記載がある場合もあります。
しかし、民法627条1項には「退職の2週間前までに退職届を提出すれば良い」と記載がありますので、無理に1ヵ月前までに出さなくても問題はありません。(法律上、会社の就業規則<民法、となります)
民法:第六百二十七条
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。(出典:e-Gov)
また、退職届の書き方が不安な方は『手書きが必須?見本付きで楽々わかる退職届・退職願の書き方』もぜひ併せてご参照ください。
7. さいごに
正社員型派遣に関する、気になる点をご紹介しました。
メリット・デメリットを的確に押さえて活用することができれば、正社員型派遣は非常におすすめできる転職方法のひとつです。
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