病院薬剤師になるには?資格・病院の選び方まで徹底解説

「病院薬剤師になるにはどうしたらいいの?」
「勤務先の病院はどう選べば良いのだろう」

と考えていませんか。

結論として、薬剤師免許を持っていれば病院薬剤師になることができます。

しかし、病院薬剤師の求人は少なく人気も高いため、自分が働きたい病院を絞って就職活動をすることが重要です。

ここでは、これまで薬剤師の転職をサポートしてきた私が、病院薬剤師になるまでに必要な知識を紹介していきます。

  1. 病院薬剤師になるまでの道のり
  2. 病院薬剤師への就職は狭き門
  3. 就職しやすいのは中小規模の「慢性期病院」
  4. 病院薬剤師として働くメリット・デメリット
  5. 病院薬剤師に向いている人
  6. 【FAQ】病院薬剤師に関するよくある質問

この記事を読むことで、病院薬剤師になるまでの方法がわかり、すぐに行動に移すことができるでしょう。

1.病院薬剤師になるまでの道のり

出典:スタディサプリ 進路

病院薬剤師になるには、薬剤師の国家資格を取得し、病院に就職することが必要です。

国家試験の受験資格は、薬学部のある大学で6年間の薬剤師養成課程を修了することで得られます。

以下で薬剤師国家試験の概要と資格取得後の流れを説明していきます。

それでは見ていきましょう。

1-1.薬剤師国家試験の試験内容・スケジュール・合格率

薬剤師国家試験の試験概要は以下の通りです。

試験概要

試験科目必須問題試験
  • 物理・化学・生物
  • 衛生
  • 薬理
  • 薬剤
  • 病態・薬物治療
  • 法規・制度・倫理
  • 実務
一般問題試験
  • 薬学理論問題試験
  • 薬学実践問題試験
受験料6,800円
試験地北海道、宮城県、東京都、石川県
愛知県、大阪府、広島県、徳島県、福岡県

出典:厚生労働省

また、合格基準は以下のようになっています。

① 平均点と標準偏差を用いた相対基準により設定した得点以上(参考:例年65%の正答率)
② 必須問題:全問題で70%以上、かつ各科目で30%以上の正答率
③ 禁忌肢問題選択数は2問以下

出典:厚生労働省

国家試験は例年2月下旬に2日間で実施されます。

スケジュール

出願2021年1月4日(月)~1月14日(木)
試験日2021年2月20日(土)・21日(日)
合格発表2021年3月24日(水)午後2時

出典:厚生労働省

合格率は例年70%前後となっており、2020年では70%をわずかに下回る結果となりました。

2020年の国家試験合格率

受験者数1万4,311人
合格者数9,958人
合格率69.58%

出典:厚生労働省

1-2.薬剤師名簿へ登録し、病院に就職する

薬剤師の資格を取得したら、薬剤師名簿に登録し免許証を作りましょう。

登録は都道府県庁や保健所などで行い、名簿への登録完了後免許証が交付されると、薬剤師としての就職が可能となります。

その後病院に就職することで、病院薬剤師として働くことができます。

2.病院薬剤師への就職は狭き門

病院薬剤師は人気のある仕事である一方、転職難易度が高い職種としても有名です。

この章では病院薬剤師への就職が難しいと言われている理由をご紹介します。

順に説明していきます。

2-1.そもそも勤務先の数が少ない

まず考えられる理由として、そもそも勤務先の数が少ないことが挙げられます。

病院薬剤師としての転職は、ドラッグストアや調剤薬局と比較して勤務先となる病院がそもそも少ないため、求人も少なくなるのです。

実際、マイナビ薬剤師の求人をみると、調剤薬局は約3.5万件であるのに対し、病院薬剤師は約3,000件でした。(2021年3月時点)

出典:マイナビ薬剤師

このように、病院薬剤師はそもそも求人を見つけにくいという特徴があります。

2-2.欠員補充採用がほとんどであるため、応募が殺到する

2つ目の理由は、病院薬剤師の募集の多くが欠員補充採用であるため応募が殺到しやすいことです。

「人気の高い病院」が「欠員補充=1~2名採用」を募集すると、多くの就職希望者が応募します。

これは、病院薬剤師は臨床経験を積めることや、チーム医療を経験できることから、人気が高い職種であるためです。

出典:薬キャリ

上記のような理由から、病院は他の就業先より就職難易度が高いと言えるでしょう。

3.就職しやすいのは中小規模の「慢性期病院」

病院薬剤師への就職は狭き門ですが、その中でも比較的就職しやすいのは、中小規模の「慢性期病院」と言えます。

というのも、中小規模の「慢性期病院」は大規模な国公立病院や急性期病院と比較して人が集まりにくいため、競争率が低くなる傾向にあるからです。

急性期病院では、より薬剤師としての専門性を高めることができますが、人気の高さとポストの少なさから、求人数は全体の10%未満だと言われています。

よって、病院薬剤師として就職する可能性を上げたい方は、中小規模の「慢性期病院」を中心に求人を探してみると良いでしょう。

参考:急性期病院と慢性期病院の違い

病院薬剤師が勤務する病院は、急性期病院と慢性期病院の大きく2つに分けられます。

急性期病院慢性期病院
業務内容手術や検査などが中心継続的な治療と療養
病院の特徴病状の急変や大事故、災害時には寝ずの仕事になることもある比較的落ち着いた仕事が多い
投与する薬症状の変化に伴い、処方箋や投与すべき薬も日々変わるある程度決まった薬を継続的に投与し続ける
患者の病状怪我や重い病気、急激に持病が悪化した方急性期を脱し、容態が安定している方
自宅療養が難しい方
患者の年齢層20~30代から高齢者までと幅広いほとんどが高齢者
患者の入院期間2週間程度長期となる場合が多い
働き方臨機応変な対応が求められる
夜勤や急患などで不規則な生活となることが多い
継続的な治療とホスピタリティが求められる
9~17時勤務といったワークライフバランスを取った働き方が可能

このように、急性期病院と慢性期病院では働き方が大きく異なります。

以上を踏まえると、それぞれの病院に向いているのは下記のような方と言えます。

  • 急性期病院:臨機応変な対応をしながら、薬剤師として専門性を高めキャリアアップしたい人
  • 慢性期病院:患者に向き合いながら、ワークライフバランスを大切にして働きたい人

自分がどのような働き方をしたいか考えて選びましょう。

4.病院薬剤師として働くメリット・デメリット

病院薬剤師は働く上でのやりがいが大きいことがメリットですが、待遇面で不満を抱く方もいるようです。

この章では、病院薬剤師として働く上でのメリット・デメリットについて詳しくお話していきます。

それでは見ていきましょう。

4-1.病院薬剤師として働く3つのメリット

病院薬剤師として働くメリットは下記3点です。

1つずつ紹介していきます。

(1)専門性を磨ける

専門性を磨くことができるのは大きなメリットです。

ドラッグストアや調剤薬局では決められた薬の調剤が主な業務となりますが、病院では抗がん剤などの薬物療法において高い専門性が求められます。

一朝一夕で身につくものではありませんが、長く勤務する過程において、特定の分野における専門性を身につけることができるでしょう。

(2)臨床経験が積める

病院薬剤師は臨床経験を積むことができる点で人気が高いです。

自分が担当する患者への投薬治療は、ドラッグストアや調剤薬局では経験ができない仕事であり、やりがいも大きいでしょう。

小中規模の病院では、入職して半年程度で患者を担当することもあります。

経験を積むほど自身のキャリアに厚みが出る「臨床経験」は病院薬剤師の大きな魅力のひとつです。

(3)チーム医療に携われる

チーム医療に携わることができるのもメリットの1つです。

ドラッグストアや調剤薬局では、チームで仕事を進めていく雰囲気は病院と比べると少なくなります。

病院で働く場合、医者や看護師など多様な職種の人と関わりながら、投薬治療やカンファレンスへの参加で自分の能力を活かすことができるため、大きなやりがいを感じられるでしょう。

4-2.病院薬剤師として働く3つのデメリット

病院薬剤師として働くことのデメリットは、下記3点です。

順番に、見ていきましょう。

(1)病院内での裁量権が小さい

薬剤師は医師や看護師と比べて、病院内での裁量権が小さい傾向にあります。

これは、薬剤師が「チーム医療」の一員となってから日が浅く連携がとりにくいこと、さらに医師や看護師の許可を取ってから動く必要があるためです。

医師や看護師との連携に問題があると、仕事をしづらくなるため、しっかりとコミュニケーションを取りながら仕事をする必要があります。

(2)夜勤がある

調剤薬局やドラッグストアの薬剤師と異なり、病院薬剤師には夜勤があります。

入院患者がいる病院では、点滴や注射が24時間を通じて行われる可能性があるため、薬剤師も夜勤をすることになります。

夜勤は日勤と比べて勤務時間が長く、体力面の負担が大きくなることを理解しておきましょう。

また、薬剤師は配置人数が少ないため、1人で対応することによる精神的なプレッシャーを感じることもあるでしょう。

(3)平均年収が他業種と比べて低い

若手薬剤師や学生から人気の高い病院薬剤師ですが、他業種の薬剤師と比べると低いというのが現状です。

実際、以下のグラフのように平均年収は400万円前半と、調剤薬局と比べても50万円程低くなっています。

出典:マイナビ薬剤師

以下の関連記事で、病院薬剤師の年収を上げる方法について詳しく説明しているため、ぜひ読んでみてください。

ここまで、病院薬剤師として働くメリット・デメリットを紹介してきましたが、次章では病院薬剤師に向いている人を紹介していきます。

5.病院薬剤師に向いている人

病院薬剤師への転職が向いているのは下記のような人と言えます。

  • やりがいやスキルアップを求める人
  • 専門性を高めたい人
  • プレッシャーに強く、臨機応変な対応が得意な人
  • コミュニケーション能力が高い人

病院薬剤師は病院特有の臨床業務やチーム医療、専門性の高い治療など、多くのことを学べる仕事です。

また、患者とのコミュニケーションや医師・看護師との連携を取ることが多いことから、コミュニケーション能力が高いと働きやすいでしょう。

しかし病院薬剤師としての仕事は、ハードなことも多く、給料が割に合わないと感じる人も中にはいます。

このため、高い給料や成果に見合った待遇を求める人にとっては、病院薬剤師は不向きと言えるでしょう。

6.【FAQ】病院薬剤師に関するよくある質問

ここからは病院薬剤師に関するよくある質問に答えていきます。

それでは見ていきましょう。

Q1.病院薬剤師と薬局薬剤師の違いは?

病院と調剤薬局というように勤務地が異なります。

また業務内容にも違いがあり、薬局薬剤師が調剤業務に特化しているのに対し、病院薬剤師は調剤業務に加えて治験業務や病棟薬剤業務までこなします。

Q2.薬剤師の将来性は?

結論からいうと、薬剤師は将来性があり長く続けられる職種です。

他職種に比べて高いニーズを誇る薬剤師は、決してなくなる仕事であるとは言えません。

その一方、薬剤師が飽和状態になると予想されているのは事実であり、また現在は新型コロナウイルスの影響により薬剤師の需要は一時的に大きく低下しています。

しかし、コロナ禍においても薬剤師の有効求人倍率は他職種に比べると高いため、比較的安定して働くことができるでしょう。

Q3.調剤薬局・ドラッグストアから病院薬剤師に転職したい

病院は新卒をメインに採用していることが多いため、調剤薬局・ドラッグストアからの転職難易度は高いです。

そのため、転職エージェントのサポートを受け、以下のポイントを押さえて転職活動を進めましょう。

  • 転職先を中小病院・民間病院に絞る
  • 病院の種類にこだわらないなら「慢性期病院」がおすすめ
  • 病院の口コミを調べておく
  • 1月から3月は毎日求人情報のチェックを
  • 転職コンサルタントに相談し欠員補充を逃さない

以下の記事で、病院薬剤師に転職するポイントを解説しているので、ぜひ参考にしてください。

Q4.国公立病院と民間病院の違いは?

国公立病院と民間病院の最も大きな違いは雇用形態です。

下の表のように、国公立病院の薬剤師は公務員であるのに対し、民間病院では会社員となっています。

また、福利厚生の面でも違いがあるため確認しておきましょう。

国公立病院民間病院
扱い公務員会社員
転勤の有無ありなし
年収や福利厚生定期昇給あり、福利厚生が充実病院によって大きく異なる
診療科目多岐に渡る民間病院の場合は限定的

さいごに

病院薬剤師について紹介してきましたがいかがでしたか。

病院薬剤師は人気が高い職場であるため、入念な準備が必要です。

また、病院によって業務内容が異なるため、それぞれの特徴を踏まえて自分に合った勤務先を選んでみましょう。

あなたが最高の就職をできることを陰ながら祈っております。