【2021年最新版】派遣法改正をわかりやすく解説!改正による影響や対応内容も伝授

「2020年11月の派遣法改正で、何が変わったかわからない」「どういった影響があるのだろう」と疑問に思っていませんか。

今回行われる派遣法改正は、同一労働同一賃金の普及を目的とした政策です。

現行の派遣法を改正し、今まで『努力目標』だったものを『絶対的義務』化することで、「待遇・賃金の格差是正」に繋がるのではないかと大きな期待がなされています。

このページでは派遣のプロである私が、以下の流れで、派遣法改正の要点と注意点をどこよりもわかりやすく徹底的に解説していきます。

  1. 派遣法改正は『同一労働同一賃金』を実現するための政策!
  2. 【図解】派遣法改正(2020年)のポイントはたった2つ!
  3. 【立場別】法改正に伴って必要な対応リスト
  4. 法改正による影響|各立場のメリット・デメリット
  5. 派遣法に関するQ&A7選

全て読めば、派遣法改正によって何がどう変わるのか立場別のメリット・デメリットについてわかるでしょう。

1. 派遣法改正は『同一労働同一賃金』を実現するための政策!

2020年11月から施行された改正労働者派遣法は、「同一労働同一賃金」を実現することを目的としています。

「同一労働同一賃金」が導入される前は、非正社員は労働市場の約4割を占めていて、正社員と派遣社員の間の格差が是正されていない状況でした。

具体的には、従来の派遣法では、待遇・賃金など、正社員と派遣の均衡を保つことはあくまで「努力目標」で、以下の通り「~配慮しなければならない」という表現にとどまっていました。

労働者派遣法第30条の3第1項(現行法)
派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者の賃金水準との均衡を考慮しつつ、(中略)当該派遣労働者の賃金を決定するように配慮しなければならない。

出典:e-Gov

しかし、これでは正社員と派遣の「賃金や待遇の格差」が埋まらないことが問題視され始めました。

そこで、2020年に改正される派遣法では、以下のように「~通常の労働者の待遇に比して不利なものとしてはならない」と明記され、絶対的義務となりました。

労働者派遣法第30条の3第2項(法改正後)
派遣元事業主は、派遣労働者であって(中略)通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるものについては、正当な理由がなく、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する当該通常の労働者の待遇に比して不利なものとしてはならない。

出典:e-Gov

以上のことから、労働者派遣法第30条の3第2項が追加され、同一労働同一賃金を実現するために、派遣法が改正されたと言えます。

補足:同一労働同一賃金とは

「同一労働同一賃金」とは、正社員とパート・派遣の間にある不合理な待遇差の解消を目指すものです。

厚生労働省は上記の政策を導入することで、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにすることを目的としています。

この政策は大企業では2020年11月から、中小企業では2021年7月から適用されました。

今回の導入に伴い、各企業は以下の内容に対応しなければなりません。

給与基本給能力や経験などが同じであれば、正社員と同一の賃金を支給
ボーナス会社の業績等への貢献度が同じであれば、正社員と同一を支給
手当職務手当役職の内容が同じであれば正社員と同一を支給
通勤手当/出張費正社員と同一の金額を支給
時間外労働手当の割増率業務内容が同一であれば正社員と同一の割増率
精皆勤手当業務内容が同一であれば正社員と同一を支給
退職金/住宅/家族手当不合理な待遇差の解消が求められる
福利厚生食堂/休憩室/更衣室正社員と同一の利用・付与を実施
慶弔休暇/健康診断に伴う勤務免除・有給保障正社員と同一の利用・付与を実施
教育訓練現在の職務に必要な技能・知識を習得するために実施するものについては、正社員と同一の職務内容であれば同一の、違いがあれば違いに応じて実施

出典:厚生労働省

※同一労働同一賃金については、「【2021年最新】派遣の同一労働同一賃金とは?派遣社員への影響やメリットを詳しく解説」にて詳しく紹介していますので、参考にしてください。

2. 【図解】派遣法改正(2020年)のポイントはたった2つ!

この章では、以下の順で派遣法改正のポイントについて紹介します。

  1. 労働条件などの確認・照会が徹底された
  2.  法律が厳罰化された

それでは順に紹介していきます。

2-1.労働条件などの確認・照会が徹底された

企業・派遣会社が労働条件などの確認・紹介を徹底することが必要となってきます。

具体的には、(1)「均等・均衡方式」か「労使協定方式」どちらかを選択し(2)労働者に待遇などの差を設けることに対する説明をしなければなりません。

「均等・均衡方式」とは、派遣先企業が派遣会社に情報を提供し、正社員の賃金とのバランスを考慮して派遣社員の給与を決める方式です。

これに対して「労使協定方式」とは、労働組合と派遣会社の間で、一定の様式が定まった労使協定を結ぶ方式です。

また、2つの方式どちらを採用するにしても、労働者に対しての説明義務が伴います。

簡単にまとめると、以下のようなことを説明する必要があります。

※比較対象者とは、派遣先において正社員として同様の仕事をしている労働者を指します。

均等・均衡方式労使協定方式
  • 比較対象者の職務内容
  • その比較対象者を選定した理由
  • 比較対象者の待遇の内容
  • 比較対象者の待遇の性質・その待遇を行う目的
  • 比較対象者の待遇のそれぞれを決定するにあたって考慮した事項
  • 派遣社員に対し、業務で必要なスキルをつけるために実施にする教育訓練
  • 求職施設、休憩室、更衣室

詳しくは3章「【立場別】法改正に伴って必要な対応リスト」でお伝えするので参考にしてください。

2-2. 法律が厳罰化された

派遣法が改正されたことによって、法律の内容が厳罰化されました

具体的には、以下のことに違反すると、それぞれ罰則を受けることになります。

違反内容罰則
(1)事業報告に労使協定を添付しなかった30万円以下の罰金
(2)派遣元へ情報を提供しない(派遣先)勧告・公表
(3)派遣先からの情報を保存しない(派遣元)許可取り消し・業務停止・改善命令
(4)不合理な待遇の禁止等に違反許可の取り消し・業務停止・改善命令
(5)待遇等を説明しなかった許可の取り消し・業務停止・改善命令
(6)紛争解決のため公的機関等を利用した派遣労働者を不利益に取り扱う許可の取り消し・業務停止・改善命令

これらに違反すると労働者側から訴えられ、企業側は不利益を被る可能性が高くなり、最悪の場合、周囲・取引先からの信用を失いかねません

もし違反している可能性があるなら、企業は早急に確認する必要があります。

3.【立場別】法改正に伴って必要な対応リスト

この章では、法改正によって、立場ごとに対応しなければいけないリストを紹介します。

  1. 求職者がしなければいけないこと
  2. 企業側がしなければいけないこと
  3. 派遣会社がしなければいけないこと

それでは順に紹介します。

3-1. 求職者がしなければいけないこと

求職者が対応しなければいけないことは、特にありません。

次の章の「法改正による影響|各立場のメリット・デメリット」を読み進めてください。

3-2. 企業側がしなければいけないこと

企業側が、派遣法改正に伴いしなければいけないことは以下の3つです。

それでは順に説明します。

(1)待遇差の合理性を検討する

説明義務化に伴い、正社員と派遣社員の待遇などの差を検討する必要があります。

中でも、以下の3つに待遇差がある場合は、必須でやらなければいけない項目となります。

  • 通勤手当
  • 退職金
  • 基本給

これら3つは待遇差が大幅にあると、違法になってしまう可能性が非常に高いため、リスクを回避するためにも差を是正をする必要があります。

(2)必要な情報を提供する

均等・均衡方式」、「労使協定方式」のどちらを採用するかによって、企業は提供しなければいけない情報が異なります。

提出しなければいけない情報は比較労働対象者に関することです。

比較労働対象者とは、派遣先において正社員として同様の仕事をしている労働者を指します。

まず、均等・均衡方式で派遣会社に提供しなければいけない情報は以下の5つです。

均等・均衡方式で必要な情報

  • 比較対象者の職務内容
  • その比較対象者を選定した理由
  • 比較対象者の待遇の内容
  • 比較対象者の待遇の性質・その待遇を行う目的
  • 比較対象者の待遇のそれぞれを決定するにあたって考慮した事項

他方、労使協定を採用する場合は、以下の情報を派遣会社に提供する必要があります。

労使協定で必要な情報

  • 派遣社員に対し、業務で必要なスキルをつけるために実施にする教育教育訓練
  • 求職施設、休憩室、更衣室

どちらを選ぶかで、提出しなければいけない情報が異なるので、間違えないようにしましょう。

(3) 待遇に不合理がないことを説明できるようにしておく

上記の待遇差の合理性について検討した後は、待遇に不合理がないことを説明できるようにしておく必要があります。

なぜなら、待遇などの説明義務化に伴い、罰則を受ける可能性があるためです。

(5) 派遣元事業主の講ずべき措置等(第7参照)
二 待遇に関する事項等の説明
労働者を派遣労働者として雇い入れようとするとき、又は労働者派遣をしようとするとき等の待遇に関する事項等の説明に関する規定(法第31条の2第1項、第2項及び第3項)に違反した場合、派遣元事業主は、許可の取消し(法第14条第1項)、事業停止命令(法第14条第2項)、改善命令(法第49条第1項)の対象となる(第13の2参照)。

また、派遣元事業主が、派遣労働者から求めがあったにも関わらず、比較対象労働者との待遇の相違の内容及び理由等について説明を行わなかった場合、又は、当該求めがあったことを理由に解雇その他不利益な取扱いを行った場合は、派遣元事業主は、許可の取消し(法第14条第1項)、事業停止命令(法第14条第2項)、改善命令(法第49条第1項)の対象となる(第13の2参照)。

引用:第12 違法行為の防止、摘発

リスクを回避するためにも、必ず待遇について説明できるようにしておきましょう。

参考(1)|もし情報を開示しなかったら

もし情報を開示しなければ、企業側がリスクを被ることになります。

最悪の場合、罰則を受けるだけでなく、損害賠償などを請求される可能性があり、過去の判例では約100万円の損害賠償を請求されたケースもあります。

そのため、大きなリスクを避けるためにも、必ず派遣法改正による対応事項は必ず対応しておきましょう。

参考(2)|新たに追加された義務項目

上記で紹介した義務に加え、以下のことに対応する必要があります。

  • 教育訓練
  • 福利厚生
  • 福利厚生施設の利用
  • 派遣料金に関する配慮
  • 派遣会社への情報提供

賃金はもちろんのこと、教育訓練も行う必要があるので、そういった環境の整備・研修内容等も怠らないようにしましょう。

3-3. 派遣会社がしなければいけないこと

派遣会社がしなければいけないこととしては、以下の3つです。

それでは順に説明していきます。

(1)「均等・均衡方式」か「労使協定方式」のいずれかを選択する

派遣会社は、労働者の賃金に関して、「均等均衡方式」「労使協定方式」いずれかの方式を決める必要があります。

「均等・均衡方式」

この方式のメリットは、正社員と派遣を比較して、待遇などのバランスを取りながら給与を決めることができる点です。

そのため、給与も比較的柔軟に決めやすいです

一方、企業側から提供してもらわなければならない情報が非常に多いので、処理が比較的大変なところが懸念点です。

「労使協定方式」

この方式のメリットは、労使協定でほとんど内容が決まっているので、必要な情報数は大幅に減らせることができる点です。

一方で、派遣社員の給与については、厚生労働省が定めた明確な下限値があり、労使協定で決めた賃金を下回ることはできません。

そのため、均等均衡方式と比べると、給与/賃金に関する柔軟性は低いと言わざるを得ません。

このように派遣会社にとっては、以上2つの方式と、派遣先の業種の特徴を踏まえて、適切な賃金決定方式を選択することが重要です。

(2)情報収集し、説明義務を徹底する必要がある

派遣会社は、派遣先の正社員がどういった待遇を受けているのかを知る必要があります。

そして、その情報をもとに派遣スタッフの待遇を決めることになりますが、上記のように情報を収集・保存することが「義務」として定められています。

また、派遣元事業主が、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者から提供された比較対象労働者の待遇等に関する情報、又は派遣先からの当該情報に変更があったときの当該変更の内容に関する情報を所定の期間保存しなかった場合は、派遣元事業主は、許可の取消し(法第14条第1項)、事業停止命令(法第14条第2項)、改善命令(法第49条第1項)の対象となる。(第13の2参照)

加えて、派遣会社は派遣社員に対する説明を徹底する必要があります。

なぜなら、説明が抜けていると、後から派遣社員に訴えられる可能性が非常に高くなるからです。

そういった不利益を被らないためにも、しっかり情報の収集・保持をするようにしましょう。

(3)契約書などの内容変更をしなければならない

企業が現在記載されている契約書の内容を変更しなければなりません。

具体的には以下の3つを追記する必要があります。

  • 派遣の業務責任の程度(労働派遣契約書)
  • 派遣労働者を協定対象労働者に限定するかどうか(労働者派遣契約書)
  • 派遣先企業から派遣会社への比較対象労働者の待遇に関する情報の提供に関する記載

契約書などは非常に重要な書類となりますので、早急に対応にするようにしましょう。

比較労働対象者とは、派遣先において正社員として同様の仕事をしている労働者を指します。

4. 法改正による影響|各立場別に紹介

派遣法改正に伴って、「派遣先企業」「派遣労働者」によって受ける影響が違います。

そのためこの章では、各立場でそれぞれのメリット・デメリットを紹介していきます。

では順に紹介していきます。

4-1. 派遣先企業

企業側のメリットとして予測されるのは、教育などの義務化により、非正規雇用者の能力が向上し、賃金改善などによって企業への貢献度も向上することです

結果として生産性の向上、企業の売上増加に貢献できるといえます。

一方、派遣を採用することによって人件費が上昇することが懸念されます。

同一労働同一賃金の徹底のため、今まで給与・交通費など、待遇に差があった所を補填しなければいけないからです。

加えて、待遇差への説明責任も負うことになるので、待遇差に関して合理的な説明ができなかった場合には、不十分だと賠償責任を問われる可能性があります。

4-2. 派遣労働者

派遣労働者は今回の法改正によって、以下のようなメリットがあります。

  • 正社員とほぼ同等の給与をもらえるため賃金が上がる
  • 能力次第で給与も上がる可能性がある

賃金のみならず、交通費や退職金も支給されるため、企業先での責任の程度・自分の能力によっては給与が上がる可能性が高いです。

賃金が社員と同等な分、仕事の責任も大きくなってきますが、自身のキャリアアップにつなげることができるので、やりがいも非常にあると言えます。

ここまでのまとめ

以上のことから、派遣法が改正されることに伴って、派遣社員の待遇も改善する見込みがあるので、今後派遣として働くことは非常におすすめです。

今回の改正のように徐々に働きやすい環境が整い始めている影響か、以下のように派遣として働く選択をする人は近年増えつつあります。

出典:日本人材派遣業界

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5. 派遣法改正に関するQ&A7選

ここでは、派遣法改正でよくある質問に対して答えていきます。

Q1.2018年の派遣法改正との違いって何ですか?

簡単に表にまとめましたのでご参照ください。

2018年2020年
  • 同一の事業所に対し派遣できる期間(派遣可能期間)は、原則3年が限度
  • 期間制限の例外となる派遣社員
  • 派遣先の情報開示義務
  • 待遇・賃金などの同一化

なお、期間制限補例外となる派遣社員は以下の5パターンです。

例外のパターン

  • 派遣会社に無期雇用されている派遣社員を派遣する場合
  • 60歳以上の派遣社員を派遣する場合
  • 期限がはっきりしている有期プロジェクトに派遣する場合
  • 日数限定の業務(1カ月の勤務日数が通常の労働者の半分以下で10 日以下)に派遣する場合
  • 産前産後休業、育児休業、介護休業等で休業している労働者の業務に派遣する場合

Q2.ボーナスはもらえますか?

ボーナスは、各派遣先企業の裁量によるため、一概にもらえるとは言い難いです。

そのため、企業に問い合わせてみることを推奨します。

Q3. 退職金はもらえますか?

退職金は基本的にもらえます。

ただ、もらえる目安として、正社員の7割程度であると認識しておいてください。

Q4. 残業代はもらえますか?

もちろん派遣社員にも残業代は支払われるため、もらえます。

万が一残業代が出なかった場合には、派遣会社に問い合わせて見るといいでしょう。

Q5. 交通費が支給になる代わりに時給が下げられることはありますか?

今回の法改正は、賃金水準の均等均衡化を図るものなので、現在支払われてい時給を下げることはできません。

そのため、総額も下がることは考えにくいといえます。

Q6. 派遣社員のメリット・デメリットをお聞きしたいです。

派遣社員のメリット・デメリットについては「派遣社員とは?正社員アルバイトとの違いやメリットデメリットを徹底解説」を参考にしてくださると幸いです。

Q7. 紹介予定派遣の場合は、正社員登用後の賃金が適用されましたか?

紹介予定派遣でも、しっかり適用されました。

そのため、その会社で設定している給与体系があてはまることになります。

まとめ

派遣法改正に関して説明してきましたが、いかがだったでしょうか。

派遣法改正に伴う対応は、各企業・派遣会社によって異なります。

あなたにとって、この記事が参考になれば幸いです。