【看護師】転職後すぐ辞めるのはアリ?決断前に知っておくべき早期離職のリスク

看護師転職すぐ辞める

「転職したばかりだけどもう辞めたい…」「転職して1か月で辞めるのはアリ?」と悩んでいませんか。

結論から言うと、転職後にすぐ辞めることは十分できます。むしろ、明らかに合わない職場なら、見切りをつけるのは早い方が良いこともあります

1年後・3年後もその職場に居続けられるかを想像してみて、「絶対に無理そう」と思うのであれば、すぐ辞めるというのも悪い選択ではありません。

しかし、入職直後というのは、まだその職場の表面的な部分しか見えていないことも多いはずです。そのため、最低でも3か月は働いてみた上での判断を推奨します。

この記事では、転職のプロとして数多くのキャリアチェンジを支援してきた私が、早期離職のリスクを紹介しながら、すぐ辞めるべきかの判断軸を解説していきます。

  1. 転職してすぐに辞めた看護師さんの体験談
  2. 転職後にすぐ辞める致命的な2つのリスク
  3. 転職後はすぐ辞めるのではなく「まずは異動の相談」がベスト
  4. 転職後すぐ辞めたいと思ったら試してほしい4つのこと
  5. 「やむを得ない理由」ならすぐに辞めても問題ない
  6. 失敗を繰り返さない!次の転職を成功させる3つのポイント

すべて読めば、転職後の早期離職のデメリットと、今取るべき行動が分かります。

1.転職してすぐに辞めた看護師さんの体験談

転職後すぐ辞めた看護師さんが、どのような理由・原因で退職したのか、実際の体験談を紹介します。

看護師さんの実際の意見をまじえながら、詳しく解説します。

1-1.人間関係や雰囲気が悪い職場だった

人間関係の悪さは、転職直後に辞めたいと思うに至る理由の一つです。

人間関係を事前に把握することは、容易ではありません。面接時に職場を見た限りでは働きやすそうだったが、実際に入職してみると全然違ったというのはよくあるパターンです。

口コミ・評判

匿名
転職したばかりでしたが、すぐに辞めました。一番しんどかったのは人間関係です。新人ということもあり、同じ失敗を何度かしてしまい先輩に「何度同じことを言わせるんだ」と怒られる日々でした。他のスタッフも私が失敗するのを「またこんな失敗したらしい」と裏で笑い話にしていたようです。失敗が続き、味方もおらず疲弊していたこともあり、すべての人間関係が嫌になり退職してしまいました。

人間関係の問題は、どのような形態の病院・施設でも起こりやすいものです。

  • 大規模な病院
    …派閥がある、忙しすぎてギスギスしている、ハラスメント
  • 小規模な病院・クリニック
    …苦手な人と毎日顔を合わせる、閉鎖環境ゆえの陰口、陰湿ないじめなど

こういった職場環境を事前に知るのは、現実的に不可能と言えるでしょう。

1-2.事前に聞いていた労働条件と違った

事前に聞いていた勤務条件や待遇が、実際と異なっているという理由も珍しくないようです。

口コミ・評判

匿名
めったに退職者がおられず、なかなか募集枠が空かないということでした。また、長年勤続される人が殆どで、それだけとても働きやすい環境であるとのことでしたが、入職してみると、十数人単位で次々とスタッフが辞めていく、入れ替わりの激しい職場で大変でした。ワークライフバランスが取りやすいと聞いていましたが、実態としては毎日残業だらけ、休憩返上とかなりブラックなクリニックでした。

せっかく転職しても、前職より条件が悪くなってしまったら辞めたいと思うのは当然ですよね。

「面接時に気になることを聞けなかった」など遠慮してしまったことが原因であることもありますが、中には施設側が虚偽の内容を伝えていた・転職サイトの担当者が情報を勘違いしていたなど、回避するのが難しいケースも少なくありません。

なお、ハローワーク経由での転職では求人情報と職場の実態が違うという事態に陥りやすいので注意が必要です。実際にハローワークでは求人票の内容と労働条件が異なるという報告が頻繁に寄せられており、更にその報告件数は医療・福祉業界が最多です。

こういった背景から、ハローワークの利用は極力推奨できません。

1-3.仕事についていけなかった

転職先の仕事についていけなかったという理由で、退職を考えた方もいるようです。

口コミ・評判

匿名
退職を決めたのは、自分の知識や技術が伴わず、失敗があまりにも続いたからです。いつも先輩の目が気になり、簡単なことでも失敗してしまうようになり、悪循環に陥ってしまいました。精神的にも辛く看護師としての責任に耐えられずに辞めたいという気持ちになってしまいました。

キャリアが浅い方ほど、「自分のスキル以上のことを求められる」という悩みが多いようです。

またある程度キャリアを積んでいたとしても、これまでと全く違う環境に移ったら、右も左も分からないのは当然です。事前に研修や説明がしっかり行われる仕組みが整っている施設であれば問題ありませんが、中には説明もそこそこに「仕事は現場で慣れるもの」という方針の施設もあります。

2.転職後にすぐ辞める致命的な2つのリスク

前章では、実際に転職後すぐ辞めた看護師の体験談を紹介しましたが、早期離職には相応のリスクが伴います。

端的に言うと、早期離職は次の転職でかなり不利になります。

すぐ辞めるかどうかを決める際は、まずこのリスクを理解した上で判断しなければなりません。

リスク①:短期間で辞めても職歴は履歴書に書く必要がある

転職後にすぐ辞めたとしても、その期間は職歴となるので、次に転職活動する際はその間もしっかりと履歴書に書く必要があります。

「書かなければバレないのでは?」と思ってしまいがちですが、極力おすすめできません。正規雇用なら社会保険に加入しているはずです。社会保険は加入履歴が残るため、保険や年金に関する書類を提出した際などに、バレる可能性があります。(※パートでも、シフトによっては社会保険加入が必須なこともある)

社会保険手続き前のかなり早いタイミング(2週間未満)で離職した場合は、記録に残らないこともありますが、それでもやはりおすすめしません。もし仮に隠していたことが発覚すると、採用取り消しになる可能性もあるからです。

リスク②:転職の面接では辞めた理由を詳しく聞かれる

看護師の面接では「前職を辞めた理由」を必ず聞かれます。

看護師の採用・教育には非常にお金がかかるため、病院の採用担当者は、候補者のスキルだけでなく「この人はすぐに辞めたりしないだろうか」という点もじっくり見極めています。

もしすぐ辞めた理由が「職の労働条件が事前に聞いていたものとあまりにも違った」など、面接官が「それなら仕方ない」と思うようなものであれば懸念はありません。

しかし、「人間関係が悪い」などどの職場でも起こりうる原因であれば、採用しても同じ理由で辞めてしまうのではないかと思われてしまいます。

3.転職後はすぐ辞めるのではなく「まずは異動の相談」がベスト

辞めたいと思ったときは、いきなり退職届を出すのではなく、まずは「異動できないかどうか相談してみること」をおすすめします。

特に人間関係のトラブル(特定の人が苦手など)は、部署を変えれば解決が見込めます。

異動の相談をした際、柔軟に調整してもらえるケースは実は意外と多いです。

なぜなら、病院側としても、すぐに退職されるよりは部署異動などで調整して勤務を継続してもらった方が助かるからです。(看護師の採用はかなりコストがかかるので、多少調整が難しくても辞められるよりマシ、というのが病院側の本音です)

異動については、まずは直属の上司に打診しましょう。そうすると上司からさらに看護部長に話が進み、人員の状況などを鑑みて問題なければ対応してもらえます。

ちなみに、辞めたいと思ったときは「いまの環境が辛いです」「しんどくてご飯も食べられなくて」のようなニュアンスで相談するのがおすすめです。いきなり退職をほのめかさない方が賢明です。

4.転職後すぐ辞めたいと思ったら試してほしい4つのこと

この章では、入職してすぐ辞めたいと感じたときに、職場を続けるために試してほしいことを紹介します。

せっかく入職した職場をすぐ辞めないためにも、以下の内容をまず試してみてください。

それでは、ご紹介します。

4-1.「3か月続ける」と期限を決めて、その日までは働いてみる

まずは「3か月だけ続けてみる」と期限を決めて、その日までは働いてみるという心持ちで仕事に行ってみてください。

そもそも人間は誰であれ、新しい環境に適応することを苦手としています。慣れない業務や人間関係に適応するためには膨大なエネルギーを消費し、時期によって「向いてない」「辞めてしまおうか」といった考えも頭に浮かんでくるものです。

実際に、これまでと異なる環境への適応過程を示した「異文化適応曲線(リスガードのU字曲線)」では、新しい環境に少し慣れた頃に、適応レベルがグッと下がる(=その環境自体がストレスとなる)ことが分かっています。

リスガードのU字曲線

入職後しばらくすると、適応レベルがグッと下がる(=新しい環境の悪い面が見えてきたり、疲れが蓄積したりしてストレス反応が起きる)

健康ポータルハピルス「新しい職場のストレスの正体をつかむ」より引用

■ハネムーン期
新しい環境への期待・刺激

■カルチャーショック
新しい環境の刺激がストレスに転じる

■適応・回復
時間が経つにつれて、その環境に慣れていく

このストレス反応(カルチャーショック期)は、入職直後というより、1~2か月経った頃にやってきます。いわゆる「5月病」もこのメカニズムによって生じるものです。

そのため、目安として最初の3か月目くらいまでに判断してしまうのは早計と言えるでしょう。

もし「毎朝出勤するのも苦痛」というレベルでない限りは、「3か月とりあえず続ける」と期限を決めて、それから辞めるかどうかを判断してみてください。

仕事に限らず、辛いと感じることでも終わりがあると思えば頑張れるという人はとても多いです。自分で決めた期間を頑張って乗り越えれば自信につながりますし、その間に多くの収穫があるでしょう。

決めた期間を頑張ってみても、どうしても辛くてこれ以上続けることが難しいと感じたなら、改めて退職を検討してみてください。もし迷うようであれば、無理して退職を決めるのではなく、再度期間を決めて頑張ってみる、ということも一つの手段です。

4-2.ストレスを溜め込まない癖づけをする

仕事が辛い中で職場を続けるためには、ストレスを溜め込まない癖づけが大切です。

新しい仕事を始めた直後は、仕事を覚えることに加え、職場環境や人間関係に慣れることも仕事の一つです。知らず知らずのうちに無理がたたってしまうと、辞めたいと感じやすくなってしまいます。

ストレスや疲れを溜めないためのコツ

  • 規則正しい生活を心がける
  • お風呂にしっかり浸かり、十分な睡眠をとる
  • 自分に合ったストレス解消法を見つける(運動・外出・旅行・映画鑑賞など)
  • 家族や友人とコミュニケーションを取る

また、入職直後はできないことが多くて当たり前です。早く仕事を覚えようという姿勢は大切ですが、できていないことに目を向けて自信を失っていては、本末転倒です。

仕事ができない、慣れないことにストレスを感じる人は、「最初はできなくて当たり前」「8割できていれば良い」と捉え、心に余裕を持たせて働くことをおすすめします。

4-3.同僚とコミュニケーションを取ってみる

せっかく入職した職場ですから、同僚とコミュニケーションを取ってみると良いでしょう。

一緒に働く人と積極的にコミュニケーションを取ることで、業務が円滑に進みやすくなり、仕事を教えてもらいやすく、孤独感を感じにくくなります。

何を話したら良いかわからないという方は、まず「今日は忙しいですね」くらいで構いません。話しかけるハードルが高いのであれば、自分から挨拶をするだけでも良いでしょう。

良好な関係を築きたいという意思を示す意味でも、積極的に自分から声をかけてみてください。

また、人間関係を円滑に構築するためにはいくつかコツがあります。心理学をもとにしたテクニックを以下にまとめましたので、参考にしてみてください。

円満な人間関係を築く心理学的テクニック

1.相手との共通点を見つける

人は共通点を持つ相手に親近感を覚えます(類似性の法則)。

相手の話に耳を傾けて、自分と共通する部分があれば、積極的に自己開示してみると良いでしょう。

2.周囲に自分から話しかける

人は好意を示してもらった相手に好意を持つと言われています(好意の返報性)。

良好な関係を築きたいという意思を示す意味でも、積極的に自分から話しかけてみると良いでしょう。

3.ポジティブな感情を表情に出す

自分は好意的に接しているつもりでも、表情に出ていなければうまく伝わらず、良好な関係が築けないケースもあります。

例えば「嬉しい」と言っているのに表情が曇っている場合、受け手は視覚情報=表情を重視して「嬉しくないのでは」と捉えてしまいます(メラビアンの法則)

4.人間関係はある程度のところで割り切る

必要以上に周囲と仲良くしようと考えず、「仕事上で必要不可欠なやり取りができればOK」くらい割り切って考えるのも大切です。「自分ではコントロールできないものに一喜一憂しない」という考え方で、アドラー心理学では課題の分離と言われています。

苦手な人が居たとしても、他人の行動は変えられません。無理になんとかしようとせず、自分のペースを乱されないようにある程度距離を取って、最低限のやり取りで仕事に集中してみましょう。

もっと詳しく知りたい方は『看護師の人間関係の悩みに効果抜群!心理学にもとづく6つの改善策』も参考にしてください。

4-4.悩みがあれば素直に上司に相談する

仕事を続ける中で、悩みが生じているなら、上司に伝えてみても良いでしょう。自分が考えていることをきちんと伝えるのは、仕事を続けていくうえでとても重要です。

悩み相談の例

  • 業務が辛いと感じることについての相談
  • ◯◯の業務についてアドバイスが欲しい

このように、毎日の仕事の中で気になる点があれば、確認やアドバイスを求めてみることがおすすめです。

上司が忙しく、新人を気にかける事ができていないというケースもあります。そういう場合は、自分から動いてみることで改善することもありますよ。

5.「やむを得ない理由」ならすぐに辞めても問題ない

原則として、転職直後の離職は「次の転職での懸念材料となる」ため、極力避けた方が良いでしょう。

しかし言い換えると、次の転職での懸念にならなければ、すぐに辞めても問題ありません。

  • 前職の労働条件が事前に聞いていたものと著しく違い、勤務継続が困難だった
  • 家庭との両立が前提だったが、長時間労働や休日が取れないなどの実態があり、両立が困難だった
  • 看護師ができる範囲外の医療行為を強要された
    ex.動脈注射やレントゲン撮影、医師の指示がないのに摘便や浣腸などを実施した

具体的には「やむを得ない」「それなら仕方ない」と判断される理由なら、退職も前向きに考えてみましょう。

ただその場合も、勢いで辞めるのではなく、先に次の転職先を決めてから辞めることをおすすめします。

退職して収入がストップしても、家賃や食費、国民年金や先月のクレジットカード利用料の支払いは待ってくれません。再就職活動が想定より長引いた場合、だんだんと余裕がなくなり「早く転職先を見つけなければ」と焦って転職先を妥協してしまいやすくなります。

では、「どのように次の転職先を見つければ良いのか」について、次章で詳しく説明していきます。

6. 失敗を繰り返さない!次の転職を成功させる3つのポイント

すぐ転職することのデメリットを理解しつつ、それでも転職したいという方に向けて、転職に向けて具体的なポイントを紹介します。

6-1.なぜ転職に失敗したのか、原因を振り返る

どうしても転職をするという場合には、なぜ転職に失敗したのかを振り返る必要があります。

  • 原因が分かっていないと再び職場選びで失敗してしまうから
  • 転職活動では、必ず退職理由の説明を求められるから

よって、まずは「なぜ辞めたくなったのか」「どんな環境なら続けられるのか」を明確に言語化する必要があります。

ただ、入職してすぐだとなかなか客観的に職場を見られないと思いますので、前章でお伝えした通り「まずは3か月」続けてみて、その中で「自分は○○の部分がどうしても合わない」と言葉にしていくことをおすすめします。

6-2.自分ひとりで転職活動をしない

次の転職活動は、極力自分ひとりで行わないようにしましょう。

客観的な視点が欠如したまま、仕事探しをしてしまうと、同じような失敗を繰り返してしまう可能性が高いからです。

看護師の転職先探しは、ハローワークやナースセンターなどの公的機関も良いですが、一番おすすめなのは転職支援のプロと二人三脚で仕事を探せる「転職サイト」です。

転職を検討中の方は転職サイトへの登録がおすすめ

 

転職を視野に入れて検討している方は、転職サイトに登録し、キャリアアドバイザーに相談するのもおすすめです。

キャリアアドバイザーは看護師転職支援のプロで、あなたの希望条件をヒアリングしたうえで最適な職場・求人を紹介してくれます。

人気が高い良質な求人ほど、非公開求人として転職サイト利用者だけに限定公開されているので、登録しておくだけで選択肢をグッと増やせますよ。

大手サイトだと『看護roo!』や『レバウェル看護(旧 看護のお仕事)』などが有名です。評判の良いサイトを詳しく知りたい方は、『看護師723人が選ぶ転職サイトおすすめランキング』を参考にしてください。

6-3.職場見学でイメージをつかむ

転職活動において、職場見学は必ず行ったほうが良いです。なぜなら、職場の雰囲気、仕事のやりやすさ、人間関係、業務量など、求人情報を見ているだけでは分からないことがたくさんあるためです。

職場見学時のチェックポイント

  • スタッフ同士の適度な雑談はあるか
  • スタッフが明るく挨拶をしてくれるか
  • 病院内はきれいな状態か
  • スタッフの年代はバランスが良いか
  • 整理整頓ができている環境か
  • スタッフの身だしなみはきちんと整っているか

職場見学を希望する際は、電話で確認するのがベターです。働く現場を見たい旨を伝えて、調整してもらえるか確認してみましょう。

ただ注意点として、近年は感染症対策の一環で、職場見学ができないというケースも増えています。そこで、看護師が病院の評判を投稿している口コミサイトを活用して情報を得ることも欠かせません。

例えば、『ナスコミ』や『ナース専科』、『medico』は、実際にその病院で働いた方が「人間関係」や「労働の実態」などのリアルな評価を投稿しているサイトです。

匿名サイトなので悪い評価に偏るという側面はありますが、気になる病院があれば検索しておくのも良いでしょう。

さいごに

転職したばかりですぐ辞めたくなってしまい辛い時期かと思います。

もちろんすぐに辞めることはできますが、この経験を次の転職に活かすためにもまずは3か月だけ続けてみて、それでも無理そうなら転職を検討することをおすすめします。

ただ、「事前に聞いていた内容と実態全く違った」など、100%職場側に非がある場合は、選考にもそれほど悪影響はないので、潔くすぐ辞めてしまうのも一つの方法です。転職活動については、『【決定版】看護師転職の方法・手順を徹底解説』を参考にしてください。

この記事があなたのキャリアに役立つことを祈っています。