助産師になるには?最短で資格取得できる方法や主婦・社会人の方向けのやり方を解説

助産師になるには

「助産師になりたい!」
「どうすればなれるの?」

と考えていませんか?

助産師になるには、「看護師資格」と「助産師資格」の両方を取得する必要があります。

なお、受験資格を得るには看護師・助産師養成課程を卒業しなければならないため、資格を一切保有していない方の場合、助産師になるまでに最短でも4年かかります。

本記事ではこれまで転職のプロとして医療分野の転職支援をしてきた私が、助産師になるための方法や助産師の仕事内容について解説します。

  1. 助産師になるには「看護師資格」と「助産師資格」が必要
  2. 資格なしの場合助産師になるには最短4年かかる
  3. 助産師になるための学校の選び方
  4. 助産師になるために必要な資格
  5. 【必見】助産師になるまでに費用は80~150万円かかる!
  6. 主婦・社会人でも助産師になれる!
  7. 助産師に向いている人の4つの特徴
  8. 【要注意】助産師に特有の仕事の苦労
  9. そもそも助産師の仕事とは?
  10. 【FAQ】助産師を目指す方によくある質問

全て読めば、助産師になるために自分がやるべきことや、必要な期間、費用がわかるでしょう。

1. 助産師になるには「看護師資格」と「助産師資格」が必要

助産師になるには、看護師資格と助産師資格の両方が必要です。

具体的には、以下の手順で資格を取得することができます。

参考「ジョブメドレー

まずは、高校・大学卒業後に看護師の国家試験を受け、看護師資格を取得します。

その後、助産師の国家試験を受けることで、助産師として働けるようになります。

※看護師になるまでのルートについては、『看護師になるには?社会人として働きながら看護師を目指す基礎知識』で詳しく解説しています。

次章では、助産師になるために必要な期間について解説します。

2. 資格なしの場合助産師になるには最短4年かかる

資格なしの場合、助産師になるには最短4年かかります。

それぞれ、詳しく解説していきます。

2-1. 看護師資格がない人は4~6年かかる

看護師資格を持っていない方は、助産師になるまでに4~6年かかります。

というのも、まずは看護師課程を修了する必要があるからです。

主なルートは以下の2つです。

(1). 看護大学で看護師課程と助産師課程の両方をまとめて修了する

4年生の看護大学で、卒業までに助産師課程も修了するという方法です。

ゼロから助産師を目指す過程のなかでは最短のルートとなります。

ただ助産師課程に進むための選抜試験が行われることもあり、ハードルが高いという側面があります。

(2). 大学・短大・専門学校で看護師課程を修了し、その後、助産師養成校に通う

まずは看護師養成校で看護師課程を修了したのち、助産師養成校に通うという方法です。

助産師養成校とは

保健師助産師看護師法で定められた助産師養成施設です。

助産師の専門学校というわけではなく、助産師教育課程のある看護学校に編入する形を取ります。

助産師養成校は、以下のような種類があります。

  • 助産専門学校
  • 大学院(助産課程・助産専門職大学院)
  • 大学(助産学専攻科)
  • 短期大学(助産学専攻科)

通学する学校の形態によりますが、看護師資格がない状態から国家試験の受験資格を得る場合、4~6年程期間が必要であると理解しておくと良いでしょう。

2-2. 看護師資格がある人は最短1年で助産師になれる

すでに看護師資格を取得している場合、助産師養成校を卒業することで、国家試験の受験資格を得ることができます

タイトな履修スケジュールの養成校の場合は1年間、比較的柔軟に通える養成校は2年間程の期間がかかります。

ここまでは、助産師になるまでの期間を解説しました。

次の章では、働きながら助産師を目指す場合の学校(教育機関)の選び方について解説します。

3. 助産師になるための学校の選び方

助産師の学校を選ぶ際は、どの方法で合格を狙いたいかを基準にしましょう。

それぞれ、解説していきます。

3-1. 同時に2つの国家試験合格を狙うなら「助産師養成課程のある4年制大学」

同時に合格を狙いたい方は、「助産師養成課程のある4年制大学」を選ぶと良いでしょう。

なぜなら、卒業前に看護師と助産師の国家試験を受けて、両方合格した場合、卒業後すぐに助産師として働けるからです。

ポイント:4年生の看護大学を選ぶ際に確認すること

  • 助産師養成課程があるか確認。(すべての看護学科に助産師養成課程が用意されているわけではない)
  • 大学の入試倍率と、養成課程の定員を確認。(助産師養成課程の定員は大学によって異なる)
  • カリキュラムの定員や優先枠について調べる。(選択式の「カリキュラム」受講で受験資格を得られる場合もある)

ただ、同時に受験するのは効率的ですが、学生生活は多忙となるでしょう。

そのため「何より、早く試験に合格したい」「忙しくてもやり抜ける」という強い意志がある方におすすめします。

3-2. 看護師→助産師の順に狙うなら「助産師養成所」

看護から助産師の順に狙うなら、「3年制の短大か看護専門学校」を卒業して看護師国家試験を受けた後、「助産師養成所」に入学して助産師国家試験を目指しましょう。

補足:3年制短大・専門学校と助産師養成所について

3年制短大3年制専門学校
  • 4年制大学が増えるにあたり、縮小傾向。
  • 一般教養も学ぶことができる
  • 「看護の基礎」を学びながら、国家試験を受けたい人に適切
  • 看護の専門的な知識を徹底的に学ぶことができる
  • 実習が充実している
  • 「看護の現場」を体験したい人に適切
助産師養成所 (1年)
  • 助産師養成所への入学は非常に難しい→対策が必要
  • 医療機関や助産所で実習
  • 母子ケア・分娩介助について学ぶ
  • 卒業と同時に国家資格を受験(2016年合格率99.8%)

ただ、複数の学校に通う必要があるため、学費の負担が増えます。

ゆえに、「じっくりと長期にわたり勉強したい」「金銭的負担が大きくても構わない」という方には、上記の方法がおすすめです。

4. 助産師になるために必要な資格

助産師になるためには、以下の資格を取得する必要があります。

では、それぞれ見ていきましょう。

4-1. 看護師資格

まずは、看護師国家試験に合格し「看護師資格」を取得します。

看護師国家試験について

  • 試験実施日:毎年2月中旬の日曜日
  • 合格率:89.2% (新卒者94.7%)
  • 筆記試験
    …基礎看護学、成人看護学、小児看護学、母性看護学、精神看護学、人体の構造と機能、疾病の成り立ちと回復の促進、在宅看護論および看護の統一と実践、健康支援と社会保障制度

参照:厚生労働省

例年10月に受験願書が配布され、11~12月が書類の提出期間となるため、計画的な準備が必要です。

4-2. 助産師資格

つぎに、助産師国家試験の合格者が得られる「助産師資格」を目指します。

助産師国家試験について

  • 試験実施日:毎年2月に実施
  • 合格率:99.4%(新卒者99.5%)
  • 筆記試験の内容
    …基礎助産学、助産技術学、助産診断学、地域母子保健、助産管理

参照:厚生労働省

受験願書の配布期間と書類の提出期間は、看護師試験と同様です。

助産師試験に合格しても、看護師試験に不合格の場合、資格を得られないという点に注意しましょう。

5. 【必見】助産師になるまでに費用は80~150万円かかる!

助産師になるまでには、80~150万円かかります

助産師養成校の学費目安

  • 国公立の大学:100万円前後
  • 私立の大学:150万円~
  • 専門学校:80万円前後

参考:日本の学校

国公立の学校であれば費用を抑えることができますが、その分競争率も高くなります。

また、これはあくまで受講費であるため、このほかに入学金や実習費、教材費が追加で必要です。

総額はこれを上回ることとなるでしょう。

看護師学校の通学にかかる費用

看護師学校の費用相場

  • 専門学校:約250~300万
  • 私立大学は約500~700万円
  • 通信講座(2年/准看護師→看護師を目指す場合のみ):約90万円前後

※参考:ベスト進学ネット
費用は学校・コースによって異なります

このように、看護師資格取得までの時点で、高額な費用がかかることを理解しておかなければなりません。

補足:学費免除を受けることができる

養成校の学費を抑える方法は、主に以下の3つです。

それぞれの特徴を解説します。

(1). 特待生制度

成績優秀な学生が利用できる制度です。

一定以上の成績を収めた学生が対象となります。

具体的な内容や条件は学校によって異なりますが、受講費が全額あるいは半額免除になる場合があります。

(2). 奨学金制度

所定の条件を満たすことで、奨学金を得られる制度も用意されています。

看護系の学校では「卒業後、学校指定の医療機関で3~5年就業することで返済義務が免除される」という仕組みの奨学金が一般的です。

それゆえ、就業先が限定されてしまうという注意点も存在します。

奨学金の「受給要件」や「返済義務」について事前に調べた上で、自分に合うものを選択しましょう。

(3). 社会人向けの給付金制度

一度他業種で働いたのち、医療業界へのキャリアチェンジを考えている方は、「教育訓練支援給付金」を得られる可能性があります。

これは厚生労働省が人材開発を目的として行っている施策のひとつで、教育訓練の受講に必要な費用の一部が支給されるというものです。

「45歳未満の退職後1年以内に学校の授業を受ける人」が対象となります。

詳しい受給要件については、厚生労働省ホームページを参考にしてください。

6. 主婦・社会人でも助産師になれる!

主婦・社会人でも助産師になることは不可能ではありません。

「看護師資格を活かして働きたい」という方であれば、ブランク期間を活かして助産師養成校に通うという手段もあります。

では、見ていきましょう。

6-1. 主婦・社会人の方には通学日数が少ない養成校がおすすめ!

看護師養成校・助産師養成校ともに、通学の期間が長い分、週当たりの通学日数が少ない養成校も存在します。

週に3日程度の通学で学べる学校であれば、家庭や仕事と両立して、助産師を目指しやすいでしょう。

ただしこちらも、実習の期間は毎日通学が必要となります。

履修時間が規定に満たない場合は、実習期間が延長されるケースもあるため注意が必要です。

補足:まったく未経験から医療業界で働くことも可能

異業種から医療業界に興味を持ったという方は、まず医療の現場で勤務をしてみることもおすすめしています。

具体的には看護助手や介護助手など、医療従事者をサポートする役割から始めてみるという方法です。

これらの職種は、就業先によって未経験者や資格を持っていない方でも勤務することが可能となっています。これらの仕事をしながら、看護師資格や助産師資格の取得を目指すというのも、ひとつの有効なルートです。

6-2. 働きながら勉強するポイント

働きながら勉強する際は、「なぜ助産師を目指すのか」「助産師資格を取得してどうなりたいか」といった目標・将来像を明確に定めておくと良いでしょう。

仕事と両立しながら、専門的な知識を身につけていくことは、ハードルが高く、モチベーション維持が難しくなるからです。

また、看護師として働きながら助産師を目指す場合、病院によっては「奨学金制度」や「バックアップ体制」があります。

7. 助産師に向いている人の4つの特徴

助産師に向いている人には、以下の4つの特徴があります。

では見ていきましょう。

7-1. 体力に自信がある

助産師に向いている人の特徴として、体力に自信があるということが挙げられます。

というのも、出産が長引くことにより、超過勤務になることがあるからです。

助産師さんめっちゃ体力いるしニコニコしなきゃだし本当に働いてる人すごいなって思った。
何時間も人の腰さすったり押したりってだけでも本当大変だと思う。

それゆえ、長時間にわたり母子をサポートできる体力が必要だといえます。

7-2. メンタルが強い

メンタルが強い人も、助産師に向いているといえます。

なぜなら、時には流産などの悲しい場面に立ち会うことがあるからです。

そのため「命の誕生に立ち会える」という幸せなイメージだけでは、助産師を続けていくのが難しいでしょう。

したがって、悲しいことが起きても「もっと勉強して次のお産に備えよう」と思えるメンタルの強さは必要です。

7-3. 思いやりの気持ちがあり、寄り添える

助産師には、思いやりの気持ちも大切です。

妊婦さんは、子どもを産むことに対し少なからず不安を抱えているでしょう。

そのため、妊婦さんに寄り添い「安心感を与える」ことは、助産師の大きな役目だといえます。

7-4. 人の世話が好き

人の世話が好きな人も、助産師に向いています。

というのも、分娩前後に体を思うように動かせない妊婦さんのお世話をすることは、助産師の重要な仕事だからです。

サポートをする際は、親子に向き合い、会話や表情から要望を読み取らなくてはなりません。

それゆえ助産師の仕事は、人と触れ合うことや、世話をすることが好きな人に適しているといえます。

8. 【要注意】助産師に特有の仕事の苦労

助産師の仕事には、以下のような苦労もあります。

それでは、1つずつ解説していきます。

8-1. 労働時間が変則的

助産師の仕事は労働時間が不規則になりがちです。

というのも、お産は「いつ始まるか」予測できないからです。

夜勤や休日出勤、緊急呼び出しなどもあり、お産が長引くと勤務時間が延びることもあります。

8-2. 命を預かる責任が重い

以下の通り、命を預かる責任の重さが、辛いと感じる方も多いです。

助産師になれたこと誇らしいし、この仕事はすごいなって思う
けど、働いてみてこの時期になってくるの新人にもしっかり責任がついてくる、時々これからずっとこんな責任ついてくるのかな〜と思うとしんどくなる、こわい、

出典「Twitter

また出産は、医療訴訟の多い分野でもあります。

ゆえに、常に責任感を持って、命に向き合わなくてはなりません

8-3. 認知度が低い

以下の口コミから分かる通り、助産師の認知度は低く、専門性を認められないこともあります。

昨日?透明なゆりかごの再放送があったらしく、友達がインスタに本当にいい仕事に就いたね!と書いてくれていた。
助産師の仕事って、日本ではまだまだ知られてないから、仕事の良さが伝わって、これからなりたい子が増えることを願いたい。

出典「Twitter

事実、世間からは「看護師さんと同じではないの?」という風に受け止められる場合があります。

助産師の仕事に対する理解の深まりや、地位向上は、今後の課題だといえます。

9. そもそも助産師の仕事とは?

助産師とは、助産所・産婦人科で、出産の介助を行う仕事です。

「保健師助産師看護師法」のもと、国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けることで助産師として働くことができるようになります。

なお、日本国内では助産師になれるのは女性のみです。

では、上記の項目について、解説していきます。

9-1. 助産師の仕事の幅は広がっている

助産師の仕事の幅は、広がりを見せています。

というのも、不妊治療や産後ケアなど、需要が増している分野もあるからです。

実際に助産師ができる仕事の例として、以下が挙げられます。

助産師の主な業務内容その他、助産師ができる仕事
  • 生活指導、健康指導、産前教育などのサポート
  • 出産時の分娩介助
  • 出産後の妊婦の体調管理、保健指導、退院後のアドバイス
  • 救急処置
  • 医師に代わり、妊婦健診を行う(助産師外来)
  • 女性の性に関する悩みや不妊治療の相談に乗る
  • 子ども向けに性教育を行う

さらに、今後は高齢出産などの「ハイリスク分娩」に対応できる知識を持つことも必要となるでしょう。

9-2. 日本には助産師が約4万1千人いる

日本の助産師の総数は、約4万1千人です(出典:『令和2年 看護関係統計資料集』日本看護協会出版会編集

その中でも、病院で勤務する助産師は23, 199人と、全体の57.1%を占めています。

他にも、以下のような職場で働く助産師がいます。

  • 診療所
  • 助産所
  • 看護師等学校養成所・研究機関
  • 市区町村

産婦科医・助産師が不足している施設では助産師の需要が高く、活躍が望めます。

9-3. 助産師の平均年収は450~510万円

助産師の平均年収は450万円~510万円程であると言われています。

年代別の平均年収目安は以下の通りです。

20代280~350万円
30代300~400万円
40代400~580万円
50代500~600万円
60代350~580万円

なお、国家公務員として働く助産師の平均年収は、約555万円と、さらに高くなっています。(スタディサプリ)

看護師よりも高給であることが多い

看護師の平均年収は、およそ479万円であると言われており、助産師は看護師に比べ年収が高く設定されていることが一般的です。

看護師資格に加えて助産師資格も取得する必要があるため、助産師として働ける人は相対的に少なくなります。

そのため、助産師のニーズは常に高く、給与も高水準となっているのです。

9-4. 助産師の仕事は数十年後もなくならない!

助産師の仕事は、20~30年後もなくならないと言えるでしょう。

なぜなら、少子化といえど、生まれてくる子どもたちがいるからです。

ただ、不妊治療など、必要な知識や求められる役割は変化していきます。

したがって、時代の流れに沿って勉強を続けていくことが大切です。

10. 【FAQ】助産師を目指す方によくある質問

看護師を目指す際によくある質問をまとめました。

疑問点がある方は、ここで解消しておきましょう。

Q1. 助産師試験の合格率はどのくらいですか?

2020年2月に実施された助産師国家試験の合格率は、以下のようになりました。

受験者数2,105人
合格者数2,093人
合格率99.4%

どの年も平均して、合格率は90%後半を維持しており、受験年による大きな差異は生じていません。

Q2. 助産師の就業先はどのような施設がありますか?

助産師の就業先は、「病院」と「診療所」が9割を占めます。

たいていの場合、総合病院や大学病院、産婦人科・小児科病院などの医療機関で働くこととなるでしょう。

その一方でわずかではありますが、助産院や保健所で働くという助産師もいます。

さいごに

この記事では、助産師を目指すための具体的な手順や必要期間について解説しました。

社会人として働きながらであっても、仕事と勉強を両立しながら、助産師を目指すことは可能です

勉強方法を工夫したり、勤務を調整しながら、無理なく学んでいきましょう。

資格取得を達成できた場合や、まずは医療業界で働いてみたいという方であれば、以下の転職サイトの利用をおすすめします

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