大卒1年目看護師の年収はいくら?専門卒との初任給・待遇の差&学歴よりも大切なこと

「大卒1年目の看護師の年収っていくら?」「専門学校卒とどれくらい違う?」とお考えですね。

結論から言うと、大卒看護師の初年度年収は373万円、専門卒看護師は363.4万円です。

基本給手当込の初任給
(万円)
初年度年収 ※推定
(万円)
大卒20.827373
専門卒20.226.2363.4

※年収は[初任給×12 + 20~24歳の平均賞与]で試算

実は、大卒・専門卒で初任給の差は8,000円程とほとんどありませんが、年収換算にすると10万円程の違いになります。

この記事では、日本看護協会の調査をもとに大卒看護師の給料事情を詳しく解説していきます。

  1. 大卒1年目看護師の年収
  2. 大卒看護師の給料事情を細かく調査
  3. 大卒の看護師はキャリアに有利?基本給以外の観点で調査
  4. 大卒看護師あるある?大卒ならではの大変なこと
  5. 元看護師が考える学歴よりも大事な4つのこと

最後まで読めば、大卒看護師のお金事情が分かります。

この記事は、日本看護協会『病院看護実態調査』をもとに作成しています。

1.大卒1年目看護師の年収

結論を再掲すると、大卒看護師の初年度年収は373万円、専門卒看護師は363.4万円です。

基本給手当込の初任給
(万円)
初年度年収 ※推定
(万円)
大卒20.827373
専門卒20.226.2363.4

※年収は[初任給×12 + 20~24歳の平均賞与]で試算

補足

推定年収は、初任給12ヶ月分に、20代前半の平均賞与49万円を加算して算出しています。

ただし病院によっては、1年目夏のボーナスが支給なしor寸志程度(数万円)ということもあるので、これよりもやや低めになる可能性もあります。

なお、初任給は大卒・専門卒でほとんど変わりません。手取り額は、いずれも22万円ほどになります。

「月収」と「手取り」の違いを正しく理解

  • 月収
    病院から支払われる毎月の給料
  • 手取り
    月収から社会保険料・税金を差し引いた自由に使えるお金

社会保険料や税金額は年齢や地域によって異なりますが、手取り額は月収の約75~80%になります。(初年度は住民税加算がないので手取りはやや多くなり、月収27万円なら手取りは22万程)

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2.大卒看護師の給料事情を細かく調査

本章では、大卒看護師の年収をいくつかの区分に分けて、細かく見ていきます。

都道府県による違い

大卒看護師の初任給を都道府県別に分けたものを、金額が高い順で以下にまとめました。

大卒看護師都道府県

平均の27万円を上回っているのが13県で、関東エリアに集中していることが分かります。千葉・東京などのエリアは30万円近くあり、全体の平均を引き上げているようです。

大卒看護師都道府県

平均初任給(27万円)を超えている都道府県のみ色付け(色が濃いほど高年収)

施設規模による違い

看護師の年収は病院によって異なり、特に病床数が増えるほど看護師の給与も高くなります。

【病床数別:大卒看護師の初任給】

病床数初任給
(万円)
99 床以下26.6
100~199 床26.8
200~299 床27.0
300~399 床27.5
400~499 床27.2
500床以上27.8

規模の大きな病院ほど高度・最新の医療設備を備えており、スキル・経験にプラスの影響を与えます。その結果、間接的ではありますが、キャリアを重ねた際に高年収・好待遇で転職できる可能性が高くなるでしょう。

また、高水準のスキルが求められる部署では、危険手当などの手当が付加され、結果として給料が高くなるケースもあります。

設置主体別の違い

大卒看護師の初任給は、その病院をどこが運営しているかによっても違います。

以下は、大卒看護師の初任給を、どこが運営しているかで分けて高い順に並べたものです

【設置主体別:大卒看護師の初任給】

運営元初任給
(万円)
社会保険関係団体28.6
私立学校法人28.4
日本赤十字社28.3
社会福祉法人27.8
公立27.2
国立27.1
済生会26.9
医療法人26.9
その他法人26.8
会社26.7
公益法人26.6
医療生協26.2
その他医療機関25.8
厚生連25.1

看護師の職場の多くを占める医療法人の初任給は、全体平均とほぼ同水準です。

社会保険関係団体や私立学校法人などが高い傾向にありますが、それほど明確な差があるわけでもなく、実際のところは残業の量など、各病院や勤務先によって異なります。

3.大卒の看護師はキャリアに有利?基本給以外の観点で調査

大卒であれば、例えば以下のような点で、キャリアに有利になる部分があります。

3-1.手当が専門卒より高いケースがある

1章でお伝えした給与の差以外にも、各種手当などで待遇に違いが出ることもあります。

例えば、日本赤十字社医療センターの看護職員募集要項を見ると、学歴により地域手当や夜勤手当に若干の差が生じていることが分かります。

日本赤十字社医療センター看護職員募集要項

地域手当・夜勤手当に数千円程度の差がある

日本赤十字社医療センター看護職員募集要項より引用

もちろん病院によって給与・手当の決まりは異なりますが、このような待遇差が積み重なることで、年収に差が開くことも考えられます。

3-2.大卒の方がキャリアを認められやすい病院もある

大卒の方が、看護師としてのキャリアを認められやすいケースもあります。

学生時代から論文や学術的な研究に携わるので、働いてからもそういった分野で目に見える成果を残しやすくなるからです。

一例ですが、

  • 看護研究に携わり学会の研究発表会に参加した
  • 症例から論文作成し専門誌に掲載された

のような経験が評価され、間接的に収入に影響することもあります。

ただ、大規模病院であれば、看護研究や論文発表などを振られるので、学歴でそれほど明確な違いがあるわけではありません。

3-3.応募要件が「大卒以上」の施設もある

原則として、看護師の転職・採用選考では「経験」が何より重視されますが、まれに応募要件「大卒以上」と定めている施設もあります。研究機関や法人や学校などに勤める場合、この傾向にあるようです。

このことから、転職先の選択肢がわずかではありますが広がるというメリットがあります。

4.大卒看護師あるある?大卒ならではの大変なこと

大卒看護師は、学歴により年収がやや高くなることが分かりましたが、その反面大卒だからこその大変な部分もあります。

その代表例が「大卒看護師は使えない」と言われたり、大卒・専門卒の間で軋轢のようなものが生じて人間関係の問題に発展したりすることです。

口コミ・評判

匿名
「大卒の看護師は使えない」って言ってくる人いたけど、ケンカしてもしゃーないから「あ、そうですか」と言っといた。

出典:Twitter

口コミ・評判

匿名

「看護学校の時どう習ったの?」と聞かれて「大学の時はこう習いました!」みたいに答える新人看護師いるけど、大卒少なめな職場で先輩の心が狭かったりすると「なに?大卒アピールか?解せん」と思われる可能性があるから注意。「私の学校では~」が無難だと思う。

出典:Twitter

専門学校の方が大学よりも実技の実習時間が長く、現場に出るタイミングも早いので、実践の現場では専門卒看護師の方が力関係が上になってしまうことが、背景として考えられます。

一方、学歴による待遇差に不満を持つ看護師も多い

大卒・専門卒の違いで給与に差が出ることに対し、不満を持つ看護師も少なくありません。

口コミ・評判

匿名
大卒だろうが専門卒だろうが看護師の資格取れたことに変わりはないし、仕事の内容同じだしなんなら専門卒の方が1年早く働いて奉仕するのに、給料に差がでるのなんで?

出典:Twitter

実際に、看護roo!の調査によると、約6割の専門卒看護師が「待遇面で学歴による差を感じている」ことが分かっています。

以下は、同調査で看護師さんから寄せられたコメントを一部抜粋したものです。

口コミ・評判

匿名
日々の業務や委員会、係活動…やっていることは同じなのに、給与や昇給が違う。年単位にすると差が大きいので、仕事に金額を合わせるか、金額に仕事を合わせるか、が妥当だとは思う。
あと、過去の職場で昼食時に休憩室で師長が「専門卒はダメ!大卒でないと‼︎!」と声高に話してて、がっかりした。

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匿名
基本給は、大卒だというだけで上。
40代なので、経験上、定時性の専門学校卒は技術は身についてるので即戦力として重宝されます。大卒は理屈っぽくってなかなか技術が得られない。でも論文を書かせたらうまい。それだけで、給料に差をつけられるのに悔しい思いをしました。

確かに初任給の差は8,000円ほどではありましたが、それでも年単位で見れば大きな違いです。

仕事内容に違いはないので、「同じ仕事をしているのに、収入に差が出るのは不公平」という思う看護師が多いのも無理はありません。

5.元看護師が考える学歴よりも大事な4つのこと

ここまでは学歴による給与・待遇の違いを説明しましたが、実際のところ現場に出れば学歴関係なく、「どれだけスキルがあるか」「どんな経験を積んでいるか」が重要になります。

積極的にキャリアを高めていくためには、学歴ではなく、以下の4つの要素こそ重要です。

それぞれ詳しく説明します。

5-1.学ぶ意欲

一度現場に出れば学歴は関係なく、学ぶ意欲がある看護師ほどスキルを高めていきます。

メモ取る・わからないことは質問するのはもちろん、新人のうちから研修や勉強会へ積極的に参加するなどの行動が、着実にスキルとなり、結果的に昇給・年収アップへとつながっていきます。

反対に、学習意欲の低い看護師は、漫然と目の前の業務をこなすだけになり、経験年数に対して十分なスキルが身に付きません。転職をしようにもスキル不足でなかなか決まらないといった事態にもなり得ます。

5-2.コミュニケーション力

コミュニケーション力は、看護師として働き続ける上で欠かせません。

患者とのコミュニケーションはもちろん、同僚や上司と上手くやっていくことは、人間関係で悩みやすい看護の現場で重要です。

特に相手の発言に耳を傾け、目を合わせ、心に寄り添って話しを聞く「傾聴」のスキルがあるほど、良好な関係を築きやすくなります。これは学校で学ぶものではありませんので、実際に現場で働く中で身に付けていく必要があります。

5-3.長期的な勤続

高収入を目指すなら、一つの職場で長く働くのも重要です。

病院に長く勤めることで、管理職などの職位に就きやすくなり、年収が結果的に上がるケースがあるからです。

「管理職」と「非管理職」では、平均年収に100万円以上の差が生じます。これは大卒・専門卒の比ではありません。

管理職(例えば、主任・副看護師長・看護師長相当)になるには、一つの病院である程度長く働く必要があります。

ちなみに、筆者が以前勤務していた大学病院では、特別な条件・手続がなくても、10年以上勤めていれば主任看護師として認定を受けていました。(そもそも10年以上勤続する看護師が少なく、自動的に主任に昇格するようになっていました)

5-4.病院の理念に沿った行動

病院の理念に沿った行動ができる看護師ほど、キャリアアップ・収入アップしやすいです。

病院によってですが、以下のような明確な昇給基準を定めていることがあります。

  • クリニカルラダーをもとにしたレベル達成度
  • 病院独自の試験・面接による評価制度
  • ポイント制度を導入し、そのポイントとレベルに見合った評価制度

特に規模の大きな病院ほど、このような基準を明確に定めているケースが多いです。病院が理念にもとづいて策定したクリニカルラダーに沿ってキャリア形成ができれば、学歴関係なく、どんどん収入アップを目指せるでしょう。

さいごに

大卒看護師のお金事情を解説しました。

結論を再掲すると、大卒看護師の初年度年収は373万円、専門卒看護師は363.4万円でした。

確かに差はありますが、いざ現場に出た後は、「どのようなスキルを身に付けたか」「どのような経験をしてきたか」が年収を左右します。就職後のキャリアアップについては『【看護師転職】年収アップのカギは自分の市場価値にあった!転職のプロが教える知っておきたいお金の話』で解説しているので、参考にしてください。