派遣や契約社員、パート・アルバイトから正社員になるには、今の職場で目指すか、別の会社へ就職するかの道があります。まずは勤め先の登用制度や無期転換ルール、派遣なら派遣先での直接雇用を確かめます。勤め先に登用の実績がなければ、未経験歓迎の求人や紹介予定派遣で別の会社を目指すのが現実的です。アルバイトや派遣の経験も、同じ職種を選べば職歴として強みにできます。直接雇用や無期契約でも正社員とは限らないため、条件を見分けて進めることが大切です。
正社員と契約社員・派遣社員・パートの違い
正社員は、期間の定めのない契約を結び、フルタイムで勤め先の会社に直接雇われて働きます。正社員と言えるこの3つの条件と、正社員になると働き方がどう変わるかを先に知っておくと、目指す道ごとに、その道で正社員になれるか、なってよいかを見分けられます。
雇用期間・勤務時間・雇用主の違い
各雇用形態における雇用期間、勤務時間、雇用主の違いは以下の表のとおりです。
| 雇用形態 | 雇用期間 | 勤務時間 | 雇用主 |
|---|---|---|---|
| 正社員 | 期間の定めなし | フルタイム | 勤め先の会社(直接雇用) |
| 契約社員 | 期間の定めあり | フルタイム | 勤め先の会社(直接雇用) |
| パートとアルバイト | 多くは期間の定めあり | 正社員より短い時間 | 勤め先の会社(直接雇用) |
| 派遣社員 | 期間の定めあり | フルタイムまたは短時間 | 派遣会社 |
| 無期雇用派遣 | 期間の定めなし | フルタイムなど | 派遣会社 |
無期転換ルールで契約の期間の定めがなくなった人や、派遣から直接雇用に切り替わった人であっても、その会社が正社員として扱うとは限りません。正社員かどうかは、その人がその会社の就業規則で正社員の区分に入るかで決まるため、事前に就業規則や人事担当者に確かめておくことが大切です。
また、正社員型派遣とも呼ばれる無期雇用派遣は雇い主が派遣会社のままであり、派遣先企業の正社員ではありません。無期雇用派遣の求人に応募するときは、契約を結ぶ会社がどこかを確かめる必要があります。
正社員になるメリット・デメリット
正社員は、勤怠に大きな問題がなく、就業規則に反することがなければ会社から解雇されることはほとんどなく、雇用が安定します。昇給や賞与を受けられる会社が多く、住宅手当のような会社独自の手当を受けられることもあります。また、正社員はローンやクレジットカードの審査に通りやすくなります。
一方で、正社員は任される仕事の範囲と責任が広がり、残業や休日出勤が発生することもあります。正社員は会社の業務命令に従うのが原則であるため、異動や転勤を断るのは困難です。
なお、社会保険への加入や退職金は、正社員かどうかだけでは決まりません。非正規雇用でも条件を満たせば社会保険に加入でき、正社員であっても退職金制度のない会社があるためです。
今の職場で正社員を目指す方法
正社員を目指す際は、まず勤め先(派遣社員は派遣先)の制度で正社員になれるかを確かめてから、社内で目指すか別の会社へ応募するかを決めます。
正社員登用制度を利用する
正社員登用制度は、パート・アルバイトや契約社員などを、勤め先の会社が正社員に切り替える制度です。パートタイム・有期雇用労働法第13条は、会社が直接雇っているパートや有期契約の人について、正社員への転換を進める措置を会社に義務づけています。
ただし、会社に義務があるのは措置をとることまでで、措置があっても登用されるとは限りません。求人票に「登用あり」と書かれていても、実際に登用された人がほとんどいない会社もあります。働く人が制度を利用できるかどうかは、勤め先に以下の項目を確かめて判断します。
- 就業規則や雇用契約書に正社員登用の記載があるかを確かめます
- 勤続期間、仕事の評価、上司の推薦、面接や筆記試験などの条件を、上司や人事担当者に確かめます
- 過去に正社員へ登用された人がいるかを、上司や人事担当者に確かめます
- 制度を利用してから正社員へ登用されるまでに、どれくらいの期間(会社によって数か月から数年)がかかるかを、上司や人事担当者に確かめます
無期転換ルールの対象になるか確認する
無期転換ルール(労働契約法第18条)は、同じ会社との有期契約を更新し、通算の期間が5年を超えた場合に、働く人の申し込みで期間の定めのない契約に変わる制度です。このルールは、契約社員だけでなくパートやアルバイトなど有期契約で働く人すべてが対象で、働く人が申し込めば会社は転換を断れません。派遣社員の場合は派遣会社との契約が対象で、転換しても派遣先の社員にはなりません。
有期契約から無期契約へ転換すると、契約の期間の定めはなくなりますが、給料などの労働条件はそれまでの内容が引き継がれることがあります。無期転換のときに、会社が正社員への登用を検討することもあります。
無期転換の申し込みは、更新を重ねて通算の期間が5年を超えることになる契約の期間中にできます。口頭でも申し込めますが、あとで争いにならないよう書面で出すことが勧められています。無期転換を申し込む前に、転換したあとの労働条件や、正社員の区分に変わるかどうかを就業規則や人事担当者に確かめておくと、転換したあとの働き方を見通せます。
有期契約の通算の期間が5年に届く前に、会社が働く人の契約の更新を打ち切ることもあるため、契約書に更新の上限が書かれていないかも確かめておきます。
派遣先企業で直接雇用される
派遣社員も、派遣先の会社に正社員登用制度があれば、それを使って正社員を目指せることがあります。派遣先での仕事ぶりが評価され、推薦を受けて派遣先に直接雇用される人もいます。
派遣会社と期間を決めて契約している派遣社員が、同じ派遣先の同じ部署で働けるのは、原則として3年までです。ただし、派遣先企業に派遣社員を直接雇用しなければならない義務はなく、派遣社員が3年働いても正社員になるとは決まっていません。派遣先での直接雇用は、正社員のこともあれば契約社員のこともあります。同じ部署で3年を迎える見込みの派遣社員には、派遣会社が派遣先に直接雇用を頼むなどの措置をとることになっています。直接雇用を望む派遣社員は、早めに派遣会社の担当者に伝えておきます。
別の会社へ正社員として就職する方法
今の勤め先に正社員登用制度や登用実績がないときや、いま働いていないときは、別の会社へ正社員として就職する道を選びます。外部で正社員を目指す方法には、紹介予定派遣を利用するルートと、直接正社員の求人に応募するルートがあります。
紹介予定派遣制度を利用する
紹介予定派遣は、派遣先の会社で直接雇用されることを前提に、最長6か月の派遣期間で働く制度です。働く人は、実際の仕事内容や職場の雰囲気を確かめてから直接雇用に進むかを決められます。直接雇用は派遣先企業と本人の双方が合意したときに決まり、本人から断ることも可能です。
ただし、紹介予定派遣の求人には直接雇用のあとの雇用形態が契約社員になるものもあります。正社員を目指す本人は、直接雇用後に正社員として雇われるかを事前に派遣会社へ確かめます。
正社員の求人に応募する
正社員の求人には「未経験歓迎」の求人があり、その職種の経験が無い人も応募できます。応募する際は、アルバイトや派遣で担当した仕事と同じ職種の求人を選ぶと、非正規雇用の経験を強みとして伝えられます。
応募する人は、アルバイトや派遣の経験も応募書類に職歴として書けます。対応した件数を数字で示し、任された役割を具体的に書くと、仕事の大きさが採用担当者に伝わります。なお、今の仕事を続けながら転職活動をすれば、収入を途切れさせずに進められます。
正社員の仕事を探す方法と相談先
正社員の仕事を探す方法や相談先には、公的な窓口から民間のサービスまで複数の選択肢があります。
- 求人サイトでは、「正社員」「未経験歓迎」などの条件で求人を絞り込めます。
- ハローワーク(公共職業安定所)は地元の中小企業の求人が多く、求職者登録を行うと履歴書の添削や面接の練習、職業訓練の相談を受けられます。
- 雇用保険の失業給付を受けられない人は、求職者支援制度を使うと、無料か少ない費用で職業訓練を受けられます。
- ジョブ・カードを使うと、職務経歴や資格、仕事で身につけたことを整理でき、応募書類づくりにも使えます。
- 地域若者サポートステーションは、いま働いていない15〜49歳の人が無料で就労の支援を受けられる窓口です。
- 民間の就職エージェントは多くが無料で使え、担当者から求人の紹介や選考の準備の支援を受けられます。
正社員の面接で企業が見ているポイント
非正規雇用や無職から別の会社の正社員の求人に応募すると、面接では、これまで正社員として働かなかった理由や正社員になりたい理由がよく聞かれます。また、年齢が上がるほど、企業はこれまでの経験やすぐに任せられる力を重く見るようになります。
正社員ではなかった理由と正社員になりたい理由
正社員の面接で企業が応募者に、正社員でなかった理由を聞くのは、応募者が正社員の責任の重さに耐えられずすぐ辞めないかを心配しているためです。非正規雇用を選んだはっきりした理由があれば、そのまま伝えます。しばらく働いていなかった人は、空白の期間に何をしていたかを伝えます。正社員になりたい理由は、給料などの条件の話より、長く働いて仕事の幅を広げたいといった前向きな話のほうが伝わります。あわせて、入社後のキャリアプランや会社にどう貢献できるか、仕事の実績、自己PRも聞かれます。
正社員になれるのは何歳まで?
法律では、会社が募集や採用で年齢の制限を設けることを原則として禁じています。例外として、長く勤めてもらって育てる目的で、「35歳未満」のように若い人に限って募集することは認められています。経験を問わない正社員の求人には、この年齢の条件が付くものがあり、年齢によって応募できる求人が限られます。20代は企業に伸びしろを見て採用されることが多く、経験のない職種にも応募しやすい年代です。30代や40代は、経験してきた職種で応募するのが現実的な道です。
































