転職の内定連絡を受けたあと、入社までに何をどんな順番で進めるべきか迷う人は珍しくありません。内定の連絡が届いてもその場ですぐ承諾する必要はなく、まずはお礼を伝え、書面で労働条件や回答期限を確かめてから返事をします。承諾・保留・辞退の伝え方や、承諾後の退職の申し出と入社の準備も順番に紹介します。
転職の内定から入社までの流れ
企業からの内定連絡は電話やメールで届くことが多く、転職エージェント経由なら担当者から届きます。エージェント経由の場合は、このあとのお礼や返事、条件の質問も担当者に伝えます。内定の連絡を受けてから入社するまでの順番は、次のとおりです。
- 内定の連絡を受ける
- お礼を伝える
- 書面で労働条件と回答期限を確かめる
- 承諾・保留・辞退の返事をする
- 入社日を決める
- 現職に退職の申し出をして、引き継ぎをする
- 入社の書類をそろえる
- 入社する
内定から入社までの期間は、在職中なら現職の退職に1〜2か月ほどかかるため、一般に2〜3か月が目安です。人手を急いで集めている会社では、1か月以内の入社を求められることもあります。一般に内定から3か月より先の入社は待ってもらえないことが多いです。
内定の返事をする前の確認事項
企業から内定の連絡を受けたとしても、その場ですぐに承諾する必要はありません。承諾の返事をしたり内定承諾書を出したりすると労働契約が成立したと扱われることがあるため、条件の確認や相談は必ず承諾の前に行います。
お礼の連絡と回答期限
企業から内定の連絡を受け取ったら、当日か翌日を目安にまずお礼を伝えましょう。連絡の際は内定への感謝とともに条件を確認したうえで返事をする旨を伝え、回答期限の日付や返事の方法、内定承諾書の提出期限を確かめます。回答期限は会社ごとに異なりますが、指定が無いときは一般に1週間以内の返事が目安です。
労働条件通知書で確認すること
内定先の会社には労働条件を書面で示す義務があり、一般に内定通知書と一緒に労働条件通知書が届きます。もし手元に届かないときは、採用担当者に送付を依頼してください。書面が届いたら、給与の内訳を含めた次の項目を求人票や面接の説明と突き合わせて確認します。
- 仕事内容と配属先
- 給与(賞与や残業代の扱い)、勤務地と転勤の有無
- 勤務時間、残業、休日
- 試用期間、契約期間、入社日
なお、口頭で内定を伝えられただけの段階では、書面を受け取って条件と回答期限を確かめるまで、在職中なら退職の申し出も、他社の選考辞退も控えます。
年収や入社日の交渉
内定を承諾する前の段階であれば、年収や入社日の相談が可能です。条件を相談する際は入社意欲を伝えたうえで、これまでの実績や現在の年収など希望の根拠を示しましょう。面接で伝えた希望額と大きく違う額を求めるのは避けます。また、在職中の場合は、入社日を相談する前に現職の就業規則で退職の申し出の期限を確かめておきます。合意した条件は必ず書面で受け取ります。
内定を受けるか迷って決断できないとき
内定の連絡後に決断を迷うことは珍しくなく、「内定ブルー」とも呼ばれます。迷ったまま承諾すると後悔しやすく、先延ばしにすると回答期限を迎えてしまいます。内定を必ず受ける決まりはないため、転職の目的がかなわないなら辞退して活動を続ける道もあります。
迷う原因をはっきりさせる
転職先の人間関係や仕事への不安があるときは、まず紙やメモに書き出してみましょう。書き出した不安は、自分で考えて答えを出す不安と、会社に聞けば解ける疑問に分かれます。配属先や転勤、残業などの疑問は採用担当者に問い合わせ、職場見学や配属先の社員との面談を申し入れることもできます。そのうえで、何をかなえたかったかという転職の軸を思い出し、内定先と照らし合わせましょう。在職中で内定先が1社だけのときは現職と比べ、入社した場合のよい点と悪い点を書き出して整理します。
複数の内定の決め方
複数の内定先で迷うときは求める条件を書き出して優先順位を付け、譲れない条件は3つを目安に絞ります。各社の仕事内容、働き方、勤務地、社風、積める経験を給与と並べ、譲れない条件を満たすかで比べます。譲れない条件を満たさない会社は、ほかの条件がよくても選ばないほうが後悔が少なくなります。
内定の承諾・保留・辞退の伝え方
内定を承諾すると決めたら、受け入れ準備を進める会社のために回答期限を待たずに伝えます。承諾の連絡はメールか電話で行い、内定へのお礼と入社意思、入社日や手続きの確認をあわせて伝えましょう。
内定を保留したいとき
内定の保留とは、会社に回答期限を延ばしてもらうことです。転職で延ばしてもらえる期間は、一般に1週間程度が目安です。期間が短いのは、会社が返事を待つ間そのポジションの選考を止め、ほかの候補者を待たせているためです。会社の事情により1か月待てる場合もありますが、長い保留は内定取り消しにつながることもあります。
会社に内定保留をお願いするときに伝える内容は、次のとおりです。
- 内定へのお礼
- 保留したい正直な理由(他社の選考結果を待ちたい、家族と相談したいなど)
- 返事ができる具体的な日付
- 入社の意欲
内定の保留は必ず認められるとは限りません。保留が認められなかったときは、元の回答期限までに承諾か辞退かを決めます。回答期限を過ぎるまで連絡しないことや、理由をつけて何度も延ばすことは避けましょう。
内定辞退の連絡
内定辞退を決めたら、会社が採用をやり直す負担を減らすためにもすぐに連絡します。承諾前の辞退であれば、メールで伝えても構いません。電話で伝えたときは、記録としてメールでも送ります。
内定辞退の連絡で伝える内容は、次のとおりです。
- 内定へのお礼
- 選考に時間をかけてもらったお詫び
- 辞退の意思
- 簡潔な理由(「一身上の都合」でも可)
内定の承諾で労働契約が成立したと扱われることがあっても、辞退はその契約の解約の申し入れに当たります。民法では期間の定めのない雇用は解約申し入れから2週間で終わるとされているため、承諾後でも辞退は可能です。企業に直接応募して承諾後に辞退するときは、会社の営業時間内に採用担当者へ電話でお詫びを伝え、メールも送ります。入社日まで2週間を切ってからの辞退や、入社に向けた研修が始まってから理由なく辞退することは、会社とのトラブルになることがあります。
転職エージェント経由の場合
転職エージェント経由の内定では、承諾・保留・辞退の返事、条件の質問、年収の相談はエージェントの担当者に伝え、企業へは担当者から伝わります。内定を承諾したあとに辞退するときも、連絡する相手は企業でなく担当者です。担当者へのお礼は任意ですが、伝えるなら、返事とあわせて支援へのお礼を簡潔に添えましょう。
ほかの転職エージェントで選考中の求人があるときは、入社先を決めた時点で、それぞれに選考の辞退を伝えましょう。
内定を承諾したあとの入社準備
内定を承諾したあとは、転職先の会社と雇用契約書を取り交わします。雇用契約書に署名する際は、事前に受け取った労働条件通知書と中身が同じかを確かめましょう。続いて入社日を決め、現職への退職の申し出と引き継ぎ、入社の書類の準備を進めます。
入社日の調整と退職のタイミング
在職中の人が現職へ退職を申し出る期限は、勤めている会社の就業規則に書かれています。申し出の期限は、一般に退職日の1か月前までとする会社が多く、2〜3か月前とする会社もあります。転職先への入社日の希望は、この申し出期限をもとに、引き継ぎに要る日数や残っている有給休暇の消化を見込んで伝えましょう。現職の退職日が決まらないうちに、転職先と無理な入社日を約束しないように注意が必要です。
合意して決まった入社日は、メールや書面で残します。退職日がずれるなど変更が必要なときは、わかった時点で転職先の採用担当者に事情を伝えます。
すでに離職している人は早めの入社を求められることがありますが、準備に日数が要るなら理由と入社できる日を伝えて調整しましょう。
転職先に提出する必要書類
転職先から提出書類の案内が届いたら、それぞれの提出期限と取り寄せ方を確かめて準備を進めます。
多くの会社で共通して提出を求められる書類は、次のとおりです。
- マイナンバーがわかる書類
- 雇用保険被保険者証(退職する会社から受け取る)
- 年金手帳か基礎年金番号通知書(会社に預けていた年金手帳は退職する会社から受け取る。どちらも手元にない場合はマイナンバーカードで代用)
- 源泉徴収票(退職する会社から退職後に発行される)
- 扶養控除等申告書(扶養する家族がいる人は健康保険被扶養者異動届も提出)
- 給与振込先の届出
このほか、会社によっては身元保証書、入社誓約書、卒業証明書、免許や資格の証明書、住民票記載事項証明書、退職証明書、健康診断書などの提出を求められます。健康診断書は、会社が指定する項目の健診を受けて3か月以内のものがあれば、受け直さなくてよいことが多いです。
発行に日数がかかる書類や、退職する会社から届かない書類があるときは、転職先の採用担当者に事情と出せる日をあらかじめ伝えておきましょう。































