
「転職したいけど給料が下がるかもしれない」
「年収を維持して転職したい」
と悩んでいませんか。
転職により給料が下がる人と上がる人には、経験が活かせる職場を選んでいるか、市場価値を客観視できているか、などの違いがあります。
いくつかのコツを押さえて職場を探すことで、今の年収を維持して転職することができますが、反対に何も知らずに転職をすると年収が下がり、後悔してしまうかもしれません。
この記事では、転職のプロとして多くの転職希望者をサポートしてきた私が、転職により給料が下がる人と上がる人の違いや、年収を維持して転職するための方法をご説明します。
この記事を読めば、給料が下がっても転職すべきか、すべきではないかが分かるでしょう。
編集部が実施した転職経験者500名へのアンケート調査に基づく年収アップ・高年収求人や給与交渉に強い転職エージェントベスト3は、下記の3つ。 自分の年収が周りより低いのではないか、もっと良い待遇の職場に行きたいと考えているすべての年代・職業の人におすすめの相談先です。 左右にスクロールできます。 〔求人数〕2023年1月20日時点おすすめ転職サイト 口コミ満足度 公開求人数 おすすめポイント 約33.9万件 (+非公開求人約27.6万件) 約1.5万件 約3.7万件
1. 4人に1人が転職により給料が下がる
株式会社マイナビが2020年に行った調査によると、転職者の4人に1人にあたる、24.7%が転職により給料が下がったことが分かっています。
※転職動向調査(2021年度版)を元に当サイトで作成、結果は50万円以上の年収変化があった人をカウント
転職で年収がどう変わるかは、年齢・性別でやや違いがあります。
1-1. 年齢別の年収変化
男性の転職経験者を年齢別にみると、年齢が上がるほど年収ダウンした人の割合が増えます。

50代男性は年収が下がりやすい
※転職動向調査(2021年度版)を元に当サイトで作成、結果は50万円以上の年収変化があった人をカウント
男性は特に50代で年収が下がりやすいことが分かります。
20代・30代での転職は、即戦力や長く働ける人材と評価されて年収があがることが多いですが、年齢が上がるにつれて年収はダウンしやすくなります。

20代の転職は年収が下がりやすい
※転職動向調査(2021年度版)を元に当サイトで作成、結果は50万円以上の年収変化があった人をカウント
女性は、20代が年収の下がった割合は最も多く、年代が上がるごとに年収ダウンする人の割合は少なくなっています。
また全体を通して転職により年収が上がる人の割合の方が、下がる人の割合よりも多いことが分かります。
1-2. 職種別に大きな違いはない
前述の調査では、対象者の職種別のデータも開示されていましたが、職種別に有意な差はありませんでした。
全職種を通して、転職により年収が上がった人の割合は下がった人の割合よりも多くなっています。
ただ、クリエイター・エンジニア職は年収が上がった人の割合が4割を超えており、転職により年収が上がりやすい職種であると言えます。
1-3. 年収は仕事の満足度に影響する
実は転職による年収変化は、仕事の満足度にも影響することが分かっています。
転職で年収が上がった人は、満足度も高くなります。対して年収が下がると、満足度も低下するようです。

年収ダウンした人は、転職満足度が下がりやすい
※転職動向調査(2021年度版)を元に当サイトで作成
お金よりもやりがいを重視して転職する方もいるかと思いますが、はじめは「給料が多少下がってもいい」と思っていても、いざ働き始めると仕事へのモチベーションが維持しづらくなることもあるので注意が必要です。
2. 給料が下がる人と上がる人の4つの違い
転職により給料が下がる人と上がる人の違いは、以下の4つが挙げられます。
給料が上がる人 | 給料が下がる人 | |
転職活動のタイミング | 在職中 | 辞めてから |
職場選び | 経験が活かせる職場へ転職 | 経験が評価されない職場へ転職 |
キャリアビジョン | 長期的に考える | 短期的にしか考えない |
転職の軸 | 明確に決めておく | 決めずに転職活動を始める |
自己理解 | 客観的な市場価値を把握する | 自己評価で高めに見積もる |
順番にご説明します。
2-1. 転職活動を仕事を続けながら行っているかどうか
一度退職して次の仕事を探す人は、年収が下がりやすいです。
退職してから転職活動を行う場合、収入のない状態に焦りを感じてしまい転職先を妥協して選んでしまったり、採用担当者に足元を見られて低めの年収を提示されることがあるからです。
実際に、一度会社を辞めて転職活動をした際、低めの給与を見積もられたという声もあります。
一方、仕事を続けながら転職活動を行う場合、経済的・精神的に余裕があるので、冷静な判断がしやすいです。
内定が出た際も、現職と次の職場の年収を比較することができるので、年収交渉や、年収が下がる場合は内定を辞退することもできます。
転職先を妥協して選んでしまわないようにするためにも、転職活動は仕事を続けながらすることをお勧めします。
2-2. 経験を活かせる職場を選んでいるかどうか
前職の経験を活かせない職場へ転職すると、年収は下がりやすいです。
転職により給料が上がる人は、前職と同じ職種や前職の経験が評価される企業へ転職しています。
一方、未経験の職種や経験が評価されない業界への転職は、給料が下がることが多いです。
未経験転職で年収を下げないのは難しい
中途採用は、教育コストがかからず、すぐに会社に貢献できる即戦力を採用することが基本なので、未経験職種の転職はそもそもの難易度が高くなっています。
転職できた場合も、年収が100万円以上ダウンする場合もあり、慎重な行動が必要です。
転職により年収アップを目指したい場合は、前職の経験が活かせることが必須条件となります。
2-3. 長期的な視野を持っているかどうか
年収が下がる人は、短期的な目標のみを考慮して転職先を決めています。
年収が上がる人は、長期的なキャリアビジョンを考慮して転職先を決めることが多いです。
例えば、IT分野の経験を積んで10年後にチームリーダーとなり年収1000万円を目指せる会社に転職する、など長期的な目標が叶えられる職場を選んでいます。
一方、年収が下がる人は、「転職後に600万円以上がもらえる会社」など短期的な目標を叶えられる会社を選びやすいです。
長期的に考えると、転職時の年収は低くてもスキルを積んで、昇給が目指せる会社の方が給料は高くなるので、長期的な視野を持って転職先を探すことが重要です。
2-4. 転職の軸が明確かどうか
転職の軸を明確にしておくことも重要です。
転職の軸とは、今回の転職活動で絶対に譲れない、最優先事項のことです。
例えば、年収が最優先事項で、残業の有無や転勤の有無などは妥協できる点と明確にしてから転職を行った場合、年収で職場を絞り込むので、年収アップしやすいでしょう。
一方、年収アップが目的であったのにも関わらず、転職の軸を明確にしていないと、勤務時間や勤務地など他の条件も求めてしまい業界や企業を絞り込めなくなります。
他の条件も満たす企業を選んだ結果、当初の目的であった年収アップが叶えられなかった、という失敗に陥ってしまうのです。
このように、転職の軸を明確にしておかないと、転職により年収が下がってしまうこともあるのです。
2-5. 市場価値を客観視できているかどうか
自分の市場価値を客観視できておらず、過大評価してしまっている人は、年収が下がりやすいです。
職務経歴を入力すると、目安年収相場が分かる年収査定をしてみると、市場価値の目安を知ることが出来ます。
年収査定は多くの転職エージェントや転職サイトで行うことができ、どれくらいの年収で転職できるのかを知ることができます。
例えば、dodaの年収査定では、経歴を入力するだけで186万人の転職社ビッグデータを元に、年収推移や今後30年間の年収推移、キャリアの可能性などを教えてくれます。
年収は高めに表示されることが多いですが、目安として使ってみるのもおすすめです。
自分の市場価値が高い業界や企業はどこなのか、自分の市場価値を高く見積もってしまっていないのか、客観的に考えてみましょう。
3. 給料を今より下げずに転職するための5つのコツ
給料を下げずに転職するためには、5つのポイントを抑えておくことが重要です。
3-1. 給与水準の高い業界へ転職する
給与水準の高い業界へ転職すると、給料ダウンを防げます。
同じ職種でも、業界により売上や利益率が違うので、年収も大きく異なります。分かりやすく言い換えると、「給料がいくらもらえるかは、業界次第」なのです。
給与水準の高い業界の特徴
- 新規参入が難しく競争率が低い
- 利益率の高い商品・サービスを扱っている
- 市場規模が大きい
一例ですが、医薬品業界は、研究費用がかかるため新規参入が難しく、かつ新薬開発に成功すると世界規模で販売することが出来るので利益率が高い業界です。そのため、業界全体の平均年収も高くなっています。
一方、飲食・サービス業は、単価が低い一方で土地代や人件費もかかるので、利益率が比較的低く、高年収が目指しにくい業界です。
どうしても給与を妥協したくないなら、給与水準の高い業界に絞り込むことで、年収ダウンを防ぐことが出来るでしょう。
関連記事:転職先におすすめの業界19選|中途採用で人気の企業ランキング【2021年最新版】
3-2. 自分の希少価値が高い職場へ転職する
自分の市場価値を客観視した上で、自分の希少価値が高い職場へ転職すると、年収は上がりやすいです。
例えば、IT業界で長く働いた経験がある場合、同じようなIT経験者が多くいる会社では希少価値は生まれにくいです。
しかし、IT事業を推進したいと考えているけどIT経験者が不足している企業では、IT経験者は非常に需要が高く希少価値が生まれます。
自分と同じスキルや経験を持つ人材が少なく、希少価値が高い職場へ転職することで、会社からの評価が高まるので、高年収が狙えるでしょう。
3-3. 「前職の給料を考慮」と書かれた求人に応募する
給料を決める際には、前職の給料を基準とすることもあります。
特に、同業種同職種への転職では経験者とみなされ、前職の給料を参考にされることが多いです。
求人票にも「前職の給料を考慮」と書かれていることもあり、基本的には前職と同程度の年収に決まります。
未経験の職種への転職では、前職の経験は評価されないため考慮されることはありません。
前職よりも年収を下げたくない方は、同じ職種で前職の給料を考慮してくれる企業を選びましょう。
3-4. 月給だけでなくボーナスも確認する
月給の高さだけで転職先を決めずに、ボーナスもしっかりと確認しましょう。
上の図の例のように、月給が他の会社より低くてもボーナスが多い会社は、年収でみると他の会社よりも多くもらえることがあります。
月給だけに注目してしまうと、「ボーナスはあまりもらえず年収としては高くなかった…」というようなこともあるので、会社はボーナスも考慮した年収で比較しましょう。
3-5. 給与交渉を行う
提示された給与に納得できない場合、給与交渉を行うことで、給与が引き上げられる場合もあります。
自分のスキルや経験を具体的な数値を元に説明し、給与を上げる価値のある人材とアピールします。
内定前に給与交渉を行うと、悪印象を与え合否に影響が出てしまう心配があるので、給与交渉は内定を受けた後、内定を受諾するまでに行うことをおすすめします。
補足:転職エージェントを利用すると安心
給料を今より下げずに転職したい方は、転職エージェントの利用がおすすめです。
転職エージェントは、希望に合った求人探しから選考対策、内定後の給与交渉まで転職活動に関わる全ての工程でサポートしてくれます。
転職エージェントがやってくれること
- 希望に合った求人の提案
- キャリア相談
- 面接日時の調整
- 選考対策
- 企業への推薦
- 内定後の給与交渉
- 退職準備のサポート
「現在の年収を維持して転職したい」と希望を伝えておくと、 年収の下がらない求人のみを探して提案してくれます。
また、自分で行うのが難しい給与交渉も代行して行ってくれるので、給料ダウンを防ぎやすいです。
仕事を続けながら転職活動を行う人、絶対に年収を下げたくない人は転職エージェントを利用することをおすすめします。
関連記事:転職エージェントおすすめランキング|500人の評判比較!
4. 給料が下がっても転職したい方へのアドバイス
最後に、「給料が下がっても自分に合った会社へ転職したい」という方に向けて、いくつか抑えておきたいポイントをご紹介します。
4-1. 家族の同意を得る
給料が下がることに家族の同意が得られてから転職しましょう。
配偶者としっかり話し合わないまま年収の下がる職場へ転職をして、あとあと問題になるケースは意外と少なくありません。
給与が下がる場合は家計にも影響を及ぼすため、家族から反対される可能性が実に高いです。
「年収が下がっても転職したい」と思った時点でまずは家族に相談をして、転職後に生活に支障が出てしまわないのか話し合ってから、転職を決断しましょう。
4-2. 年収ダウンの許容範囲を定めておく
どれくらいまで年収が下がっても転職するのか、許容範囲を定めておきましょう。
例えば、
- 年収マイナス10%までなら許容範囲
- それを超える職場は、どれだけ他が魅力的でも候補に外す
といったように、数字で具体的に決めておけば、職場選びの指針になります。
許容範囲を決めないまま転職活動をしてしまうと、転職後に家計に大きな支障が出たり、想定以上の年収ダウンに後悔してしまうことがあるからです。
「年収が下がっても希望の職種に転職したい」という場合でも、生活が続けられ家族の理解も得られる年収はどれくらいなのか、事前に決めてから職場を探しましょう。
4-3. 給料が下がったら手当を利用する
転職により給料が下がった場合、「就業促進定着手当」をもらえる場合があります。
「就業促進定着手当」とは、再就職手当の支給を受けた人が再就職先で6ヶ月以上働き、賃金が離職前の賃金よりも低い場合に支給される手当です。
ただし、手当がもらえるのには様々な条件があります。
就業促進定着手当の支給要件
- 再就職手当の支給を受けている人
- 再就職先で6ヶ月以上働いていること
- 再就職後6ヶ月の日額賃金が、前職を下回っていること
再就職手当には、失業手当の支払い残日数が3分の1以上残っているなどの条件がありますが、再就職手当の支給を受けている人は、「就業促進定着手当」の支給要件も満たしていないか確認してみましょう。
参考ページ:ハローワーク「就職促進給付」
5. まとめ
転職により給料が下がらないようにするための方法についてご説明しました。
経験が活かせる職場や、自分の希少価値が高い職場は年収が上がりやすいです。
また、年収アップが転職の最優先事項であるのかを考えておくと、転職の目的が達成できていないと転職後に後悔することを防ぐことができます。
あなたの未来が明るくなることを願っております。