派遣の職場見学・顔合わせとは?自己紹介の手順や服装、事前準備のポイントを徹底解説

派遣 顔合わせ

「派遣の職場見学や顔合わせって何するの?」「職場見学で不採用になる確率はどのくらい?」とお考えではありませんか?

職場見学と顔合わせは同じ意味で使われており、入社後のミスマッチを避けるための採用前提の面談のことを指します。

また、多くの場合は採用前提で行われますが、不採用になる場合もあるので注意が必要です。

このページでは、転職のプロとして多くの悩みを解説してきた筆者が、派遣の職場見学(顔合わせ)について以下の流れで解説していきます。

  1. 職場見学・顔合わせとは
  2. 職場見学(顔合わせ)の一般的な流れ
  3. 採用されるための3つのポイント
  4. 【FAQ】派遣の職場見学に関するよくある質問と回答

このページを全て読めば、職場見学(顔合わせ)で不採用になる原因採用されるためのポイントを知ることができます。

1. 職場見学・顔合わせとは

派遣の「職場見学」「顔合わせ」は、入社後のミスマッチを避けるための採用前提の面談のことを指します。

契約の前段階で就業先予定の企業に訪問し、業務内容の確認や質疑応答が行われます。

職場見学(顔合わせ)が行われるのは、派遣契約前の一度だけで、所要時間はおよそ20分から1時間程度です。

なお、派遣会社によっては、「職場見学」や「顔合わせ」ではなく、「事前面談」や「会社訪問」「会社見学」といった名称を使うこともあります。

1-1. 職場見学(顔合わせ)は必須ではない

希望の就業先に応募すると、派遣会社から職場見学を勧められますが、実は必ず参加しなくてはいけないものではありません。

しかし、働き始めてから「想像していた職場又は仕事内容と違った」というミスマッチで後悔しないためにも、必ず行くようにしましょう。

ポイント

派遣先企業が派遣労働者を選考する行為は、実は法律上、禁止されています。

ただ一緒に働く人や職場、業務内容を双方が確認するために、「職場見学」「顔合わせ」といった体裁を取って、質疑応答などが行われるのです。

また、人気の就業先であれば、他の派遣元会社からも応募者が集まっていることがほとんどで、職場見学(顔合わせ)に行かないと、実際に行った他の候補者が優先されやすくなります。

派遣社員にとって、職場見学(顔合わせ)は行ってプラスになることばかりなので、ぜひ参加しましょう。

1-2. 面接との違い

職場見学(顔合わせ)は面接と混同されることもありますが、以下のような違いがあります。

派遣の職場見学(顔合わせ) 一般企業の面接
1. 事前打合せ 派遣会社の担当者と行う 基本的になし
2. 当日の内容 仕事に関する打合せ中心 採用を決めるための質疑応答
3. 履歴書 提出不要 企業によって提出が必要

1. 事前打合せ

職場見学(顔合わせ)は、派遣会社の営業担当者も同席するので、一人で就業先を訪問するわけではありません。

顔合わせの当日、まずは開始前にで派遣会社の担当者と待ち合わせ(カフェや就業先企業のエントランスなど)をして、簡単な流れについての説明を受けます。

このタイミングで不安な点を相談できたり、アドバイスを貰えたりすることが可能です。

一般企業の面接は、一人で応募した企業へ出向き、受付から面接の受け答えまで全て独りでこなす必要があります。

2. 当日の内容

職場見学(顔合わせ)では、候補者に質問するよりも、企業説明や業務内容の確認が主な内容になります。

質問されることがあっても、職歴や勤務可能日時などの確認程度のものがほとんどです。

一方面接は、候補者の採用を決めるための選考目的の質問が多いという違いがあります。

また、職場見学(顔合わせ)の間は、上手く説明できなかった項目を同席している派遣元の担当者がフォローしてくれる場合もあり、安心して臨めるというメリットがあります。

3. 履歴書

職場見学(顔合わせ)には、履歴書や職務経歴書などの書類提出が必要ありません。

なぜなら、派遣先による選考は法律で禁止されており、個人を特定することにつながる履歴書等の提出を求めることも違法となるからです。

派遣会社の担当者が事前にヒアリングした内容をまとめた「スキルシート」を作成してくれますので、個人の職歴等はそれをもとに説明することになります。

面接の場合は、過去の経歴や所有している資格などを記載した書類を用意しなければいけません。

1-3. 職場見学(顔合わせ)で不採用になるのは違法?

職場見学(顔合わせ)は選考ではないものの、参加すれば確実に採用される訳ではありません。

実際に、職場見学(顔合わせ)の後に「採用は見送らせていただきます。」と連絡が来ることもあるのです。

不採用になる原因には、以下のようなものがあります。

職場見学(顔合わせ)で不採用になる理由

  • 派遣元と派遣先で賃金の妥協点が見つからなかった
  • 派遣先企業と派遣社員の雰囲気が合わなかった
  • 派遣社員に派遣先企業が求めるスキルやコミュニケーション能力がないと判断された

また、派遣先企業から断られることだけでなく、派遣元企業が就業を見送らせることもあります。

このような場合は派遣法違反にはなりません。

では以下で、違法な職場見学(顔合わせ)について説明していきます。

1. 本来は派遣先での選考は違法

派遣先は、派遣元会社から業務の提供を受けているだけの立場のため、働く派遣社員を選ぶことができません。

派遣労働者の中から気に入った誰かを選ぶのは、労働者派遣法26条7項にて定められている「特定目的行為」にあたります。

履歴書を提出させたり、年齢を若年層に限定することも同時に禁止されており、これらの行為が発覚した場合、刑罰の対象となります。

しかし、職場見学(顔合わせ)という体裁で事前にやり取りする場を設けているため、不採用を受ける人が存在するのです。

2. 紹介予定派遣の場合、選考は違法でない

紹介予定派遣の場合は、事前の派遣先企業での選考は違法ではありません。

将来的に派遣先で社員登用される前提で採用されるため、しっかりと人材を見極める必要があると認識されているからです。

それ以外の場合は、基本的に違法となります。

2. 職場見学(顔合わせ)の一般的な流れ

本章では、職場見学(顔合わせ)の一般的な流れを以下のように説明します。

では、詳しく見ていきましょう。

2-1. 事前準備

面接ではないですが、職場見学(顔合わせ)はあなたの第一印象を決める重要な場です。

ですので、社会人として最低限のマナーやエチケットは守れるように準備しておきましょう。

事前準備のチェック項目

  • 服装はスーツまたはオフィスカジュアルが無難
  • 清潔感のある髪型やメイクでまとめる
  • 自己紹介の内容を事前に練習

就労意欲や誠実さをアピールするには、清潔感のあるきちんとした身だしなみと丁寧な受け答えが大切です。

服装は、デニムやTシャツ、スニーカーは避けて、実際にオフィスにいても馴染むようなコーディネートを心掛けて下さい。

詳しくは、3章『採用されるための3つのポイント』で解説しています。

また、履歴書等を持参しない職場見学(顔合わせ)では、職歴などを聞かれた場合には自分で受け答えする必要があります。

アピールすべき点や今までの経験を整理してから、職場見学(顔合わせ)に臨みましょう。

2-2. 当日の流れ

職場見学(顔合わせ)の当日の流れは以下の通りです。

  1. エントリー
  2. 派遣会社の営業担当と打合せ
  3. 企業の担当者と対面
  4. 企業の担当者から仕事内容の説明
  5. スキルシートをもとに自己紹介・経歴紹介
  6. 質疑応答
  7. 後日営業担当者から連絡が来る

順を追って説明します。

1. エントリー

応募したい案件にエントリーします。派遣会社内で選考が行われ、社内選考に通過した場合、次のステップである「顔合わせ」へと進みます。

2. 派遣会社の営業担当と打合せ

顔合わせは、派遣会社の営業担当者も同席します。一人で就業先を訪問するわけではありません。

顔合わせの当日にまず行うのは、派遣会社の営業担当者との打ち合わせです。開始数十分前に、カフェや就業先企業のエントランスなどで待ち合わせをして、簡単な流れについての説明を受けます。

不安な点があれば、このタイミングで営業担当者に相談しておきましょう。

3. 企業の担当者と対面

営業担当者と共に、オフィスを訪問します。基本的には、営業担当者の後に続いて行けば良いでしょう。

簡単な挨拶を交わしたのち、顔合わせがスタートします。

4. 企業の担当者から仕事内容の説明

まずは企業の担当者から、簡単な業務説明が行われます。

「事業内容」や「あなたが実際に担当することになる業務」についての説明であることが一般的です。

5. スキルシートをもとに自己紹介・経歴紹介

次に、あなたの自己紹介・経歴紹介を行います。顔合わせは選考目的ではないという解釈であるため、個人情報を示す書類は用いられません。

履歴書や職務経歴書などは一切不要です。

それら代わりに、顔合わせでは「スキルシート」と呼ばれる書類が用いられます。

補足:スキルシートとは

スキルシートとはあなたの経歴やスキル(能力)を示す書類です。

「これまでどんな仕事をしてきたのか」「具体的にどんなスキルを有しているのか」が、簡潔に記載されています。

スキルシートは、派遣会社が登録内容をもとに作成するものなので、特にあなた自身が準備をする必要はありません。

ちなみに、スキルシートには個人を特定できる情報は一切書かれていませんので、自己紹介の際にはまず「名前を名乗る」ことを忘れないようにしましょう。

顔合わせが始まると、あなた・就業先の担当者・営業担当者にスキルシートが渡されます。

手元にあるスキルシートを見ながら、適宜情報を付け加えつつ、自己紹介・経歴紹介を進めていきます。

6. 質疑応答

一通り情報の交換が終わったら、質疑応答の段階に進みます。

ここでは、業務レベルのスキルがあるかどうか確かめるため、就業先企業の担当者から、より具体的な質問をされることもあります。

特に「業務で利用するツールソフトの利用経験」や「作業スピード」についての質問は頻出です。

もちろん、疑問点があれば、あなたから質問することも可能です。気になることはこの段階で解決しておきましょう。

7. 後日営業担当者から連絡が来る

顔合わせから平均して3日~1週間ほどで、派遣会社の営業担当者より、採用の可否の連絡が来ます。この段階でようやく採用決定です。

顔合わせは双方の確認の場なので、実際に業務内容を聞いてみて条件と異なっていたという場合には、採用を辞退することも可能です。

3. 採用されるための3つのポイント

本章では、職場見学(顔合わせ)で採用される確率を挙げるための3つのポイントを解説します。

3-1. 服装

結論からいうと、顔合わせの服装は「スーツ」が基本です。

ただし就業先企業によっては、ジャケット着用などのオフィスカジュアルで問題ない場合もあります。

重要なのは、「清潔感があること」「場に即した服装であること」ですので、迷ったらスーツと考えておくと無難でしょう。

エントリーした職種が、オフィスワークでない場合はスーツでなくても構いませんが、その場合でも、清潔感のある服装を心がけてください。

女性の場合、派手なアクセサリーは避けておくとよいでしょう。

メイクも同様に、なるべく華美でないナチュラルなメイクを心がけるとベターです。

視覚情報は想像以上に重要

人のイメージや好感度は、第一印象によって決定されます。

そしてその第一印象には、見た目や表情、動作などの視覚情報が最も大きな影響を与えると言われているのです。(心理学の分野では、「メラビアンの法則」と呼ばれています)

メラビアンの法則(相手に与える第一印象の要因)

  • 見た目などの視覚情報      55%
  • 口調や話す速度などの聴覚情報  38%
  • 話の内容などの言語情報     7%

つまり、「話す内容などの言語情報」ではなく、「見た目や振る舞い」があなたの印象を決定づけるのです。

清潔感のある服装で顔合わせに向かうことを、ぜひ意識してください。

3-2. 派遣先の情報収集

派遣会社の社内選考を突破した後に実際に職場見学(顔合わせ)に行くまで、自身が受ける業界の知識をつけておくと、派遣先の方と話がしやすくなります。

また、その業界について調べていく中で、わからないことや気になることが出てきた場合、派遣先の担当者に質問すると良いでしょう。

就業意欲の高さをアピールできる他、あなた自身も入社後のミスマッチを減らすことができるからです。

企業側は派遣社員に対して、ある程度の即戦力人材を求めています。

まったく予備知識がない状態で臨んでしまうと、不採用に繋がる可能性があります。

3-3. 受け答えの練習

清潔感のある身だしなみと同様に第一印象を決めるのは、受け答えの仕方です。

元気に明るくハキハキと会話をすることで、職場で良好な人間関係を築くことができる協調性や明るさをアピールしましょう。

いくらスキルが高くて優秀な人材でも、元気がなく暗い人を採用したいと思う企業は少ないです。

無理に自分を偽る必要はありませんが、職場を明るくする派遣社員を求める企業が多いと考えておきましょう。

4. 【FAQ】派遣の職場見学に関するよくある質問と回答

本章では、派遣の職場見学(顔合わせ)に関するよくある以下の質問に回答しています。

では、詳しく見ていきましょう。

Q1 職場見学(顔合わせ)で禁止されている質問はなんですか?

派遣先企業は候補者に対して以下の質問をすることを禁止されています。

  • 氏名、年齢、住所
  • 家族構成、世帯収入
  • 退職理由
  • 学歴
  • そのほか派遣法第24条3項(個人情報)に定められている内容

これまで説明してきたように、派遣先は候補者に対して個人を特定するような行為は禁止されています。

よってこれらの質問事項は禁止されており、聞かれることもないでしょう。

候補者が望めば年齢等も話すことができます。

また名前は一応禁止事項ではあるものの、名乗るのが一般的です。

Q2 職場見学(顔合わせ)でどんなことを質問すればいいですか?

以下の質問を通して、就業先への理解を深めましょう。

  • 出勤時間
  • 職場の雰囲気
  • 前任者からの引継ぎの有無
  • 派遣先の上司
  • 派遣期間
  • 昇給の可能性
  • 仕事内容

特に派遣期間は重要な質問事項です。

長期の派遣でも期間の定めが一年未満の案件は多いため、応募した派遣先は最長でいつまで派遣期間があるか確認しておきましょう。

Q3 採用されたお礼メールを入れるべきですか?

基本的に必要ありません。

ですが、職場見学が終わる際、派遣先の上司に「本日はお忙しい中、お時間を割いて頂きありがとうございました」と伝えることは大切です。

また、営業担当者と別れる際にも同じようにお礼を伝えることを忘れないようにして下さい。

Q4 職場見学(顔合わせ)前にキャンセルできますか?

可能ですが、ドタキャンは印象が悪くなるNG行為なので避けましょう。

職場見学(顔合わせ)をキャンセルしたい場合は、早めに営業担当者に連絡を入れて、納得する理由を説明する必要があります。

Q5 職場見学(顔合わせ)後に辞退することは可能ですか?

可能です。

しっかりと理由を付けて、電話で営業担当者に連絡を入れましょう。

ただし、すでに自分を雇用する方向で話を進めている可能性が高い場合、自分の信用低下に繋がるだけでなく派遣会社の印象をも悪くするため、今後仕事の紹介をしてもらえなくなることもあります。

Q6 結果の連絡がこないのですがどうしたらいいですか?

これまで説明したように、結果の通知まで一般的には3~1週間ほどかかります。

通知の時期は派遣会社によっても異なり、最短で当日の会社もあれば、2週間くらいかかる会社もあります。

3週間以上かかっているなど、あまりにも連絡が遅い場合は1度派遣会社に確認して下さい。

終わりに

ここまで派遣の職場見学(顔合わせ)について詳しく解説してきましたが、いかがでしたか。

様々な名称で呼ばれていますが、職場見学も顔合わせも採用前提の事前の面談を指します。

また、派遣先による候補者の選考は禁止されているにも関わらず、実際は選考に近いことが行われているため、不採用になる可能性もあると分かりました。

ですので、このページで説明してきたポイントを参考に、十分な事前準備を行って職場見学(顔合わせ)に臨んで下さい。

あなたの就職・転職活動が上手くいくよう、心から願っております。