小児科看護師に向いている人とは?やりがい・悩み・知るべき全知識を解説

小児科看護師に向いている人とは?やりがいや悩み・知るべき全知識を解説

小児科看護師のやりがいとは?
自分は小児科看護師に向いてる?

小児科看護師は、子どもを相手にするお仕事なので向いてる人と向いてない人に分かれる職業です。そのため、小児科看護師は人によってやりがいや悩みが異なってくるため、自分の性格に合っているか不安になる方もいるでしょう。

結論、子どもと接する仕事に興味がある方にとって小児科看護師はとてもやりがいを感じられる仕事です。

小児科看護師のやりがいはここ!
  • 子どもの可愛い姿が見られる
  • 長期的に関わることで成長を感じられる
  • 子どもに関する幅広い疾患の知識が得られる

しかし、病気と向き合う子どもの心のケアや保護者のサポートは簡単なことではありません。命と隣り合わせの現場でつらい経験をすることもあるでしょう。そのため、小児科看護師になるには、責任を背負う覚悟も必要です。

そこで本記事では、実際に小児科看護師だった私が魅力ややりがい、大変なことなどを詳しく紹介し、向いてる人と向いてない人を徹底解説します。

この記事を読むとわかること

  • 小児科看護師に向いている人・向いていない人
  • 小児科看護師のやりがい・魅力
  • 小児科看護師によくある悩み
  • 小児科看護師の就業先
  • 小児科看護師を目指す方からよくある質問

小児科看護師に関する知識を深めることで、自分が向いている職業なのかを正しく判断できるでしょう。小児科看護師への就職・転職のきっかけになる情報を詰め込んだので、ぜひ最後までお読みください。

注:小児科看護師の詳しい仕事内容については、「小児科看護師の仕事内容ってどんなの?元小児科看護師がやりがい・悩みを徹底解説!」でご紹介しています。

1.【必見】小児科看護師に向いてる人は子どもの成長を観察して楽しめる人

小児科看護師に向いている人・向いていない人

小児科看護師の仕事は、病気になった子どもの心身の診察・介助をおこないながら、成長と発達をサポートすることです。

子どもの成長を楽しめる人や観察能力のある人は、小児科看護師に向いているでしょう。

一方、子どもと接するのが苦手な人や体力に自信がない人は向いていません。以下、小児科看護師に向いている人・向いている人を詳しく解説します。

1-1. 小児科看護師に向いてる人の特徴

小児科看護師に向いているのは、以下の3つに該当する人です。

  • 子どもの成長を楽しめる人
  • 観察能力のある人
  • さまざまな疾患・症状を学ぶ意欲のある人

詳しく説明します。

(1). 子どもの成長を楽しめる人|治療や内服を頑張る姿を応援できる

子どもが好きで成長を楽しめる人は、小児科看護師に向いています。理由は子どもの成長や発達を促して見守るのが、小児科看護師の役割だからです。

子どもは、短期間で心と身体が成長します。薬を頑張って飲む姿や泣きながら治療を頑張る姿など、子どもの成長を目の前で見ることができます。

このような子供の成長を楽しめるのは、小児科看護師に向いている証拠です。

口コミ・評判

匿名 さん(45歳)
内服に苦戦するお子さんは多いですね。
過去に苦みを感じたなどの経験から、苦手だと感じる子も多いようです。
そういった子には、薬の形状を変えたり、シロップと一緒に飲ませたりなどの工夫をします。
こういったケアは小児科看護師ならではの関わりだと思っています。
「薬、飲めたよ!」と笑顔で報告してくれた時は、頑張りや成長を感じますね。

(2). 観察能力のある人|繊細で小さな変化に気付ける

また、観察能力のある人も小児科看護師に向いています。理由は子どもの微かな変化に気づきケアにつなげることが、小児科看護師に求められるからです。

子どもには、体調不良でも言葉にしない時期があります。例えば乳幼児の場合は話すことができず、思春期のときは恥ずかしさで考えを伝えられません。

子供に対する観察能力があれば、個別性のある看護ケアへ発展できます。したがって子どもの繊細な変化に気づけるのは、小児科看護師には必須です。

口コミ・評判

匿名 さん(35歳)
初めて小児科に配属された時は、子どもとどう関わればいいかわからず、苦労しました。
でも、めげずに関わりを続けていたある時、治療に協力的だった女の子が、実は医療者に隠れて涙を流していることをに気付きました。
私は不安を受け止めることに努め、だんだんその子も前向きになり、治療を無事に終えることができました。退院する時には「ありがとう」と言ってくれ、それが今でも励みになっています。

(3). 疾患・症状を学ぶ意欲のある人|大人や高齢者まで対象年齢が広いクリニックも

他の診療科と違って、小児科看護師は知識と技術の習得が必要です。小児科は対象の年齢だけでなく疾患や症状が幅広く、受診の理由も異なります。

なかには、見たことがない疾患や症状を診るケースも多いです。

補足:小児科看護師に求められる知識・技術とは

小児科の受診理由が、0歳児では予防接種、1〜9歳では喘息が最多です。ほかにもアレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎など年代で理由が異なります。

0~19歳における年齢ごとの受診理由

出典:『平成 29 年(2017)患 者 調 査 の 概 況 』をもとにした資料より抜粋

2021年には新型コロナウイルスワクチンの接種が始まり、高齢者を受け付けた小児科クリニックもあります。社会情勢もあり、小児看護で学んだことだけで対応できないケースも珍しくありません。

さまざまな知識や技術を学ぶことは、疾患のある子どもの理解につながります。したがって、学ぶ意欲のある人は小児科看護師に向いているでしょう。

大人や高齢者の診療をするクリニックも多い

クリニックや外来では、保護者の治療を行うこともあります。例えば、子どもが感染症にかかり、保護者にも同じ症状があった場合です。

また大人になっても、子どもの頃からお世話になっている小児科に通う方もいます。大分大学医学部の公式サイトに公表されているように、小児科では年齢の制限がありません。

「500gの赤ちゃんから100kgの成人まで」というユニークな表現で、対象年齢の広さが認識されています。

Q:小児科って何歳までの患者さんが対象なの?

A:定められた年齢制限はありません。普通の開業医さんでは高校生になると患者さん自身が小児科受診を恥ずかしがり、内科を受診することがあるかも知れません。一方で、乳幼児期から長期のフォローアップが必要な患者さんは、成人しても「ずっと診てもらっている先生の方が安心」とのことで、小児科を受診されることが多いです。小児科は「成長と発達の科学」ですから、発達途中の患者さんの全てが対象となります。小児科病棟には、高校生や成人の患者さんが入院することもあります。500gの赤ちゃんから100kgの成人まで、小児科の守備範囲はとても広いのです。

引用:大分大学医学部

1-2. 小児科看護師に向いてない人の特徴

一方で、小児科看護師に向いていない人は以下の3つです。

  • 病気になる子どもを見るのがつらい人
  • 子どもと接するのが苦手な人
  • 体力に自信のない人

それぞれ説明します。

(1). 病気の子どもを見るのがつらい人|症状の変化が大きく重症化することも

病気になる子どもを見るのがつらい人は、小児科看護師に向いていないでしょう。なぜなら心臓疾患や神経性疾患など、生命を脅かす病気の子どももいるからです。

子どもの疾患は症状が変わりやすく、重症化することもあります。急変したときの気持ちがついていけないとき、小児科看護師の働きにくさを痛感するでしょう。

口コミ・評判

匿名 さん(34歳)
子どもと接するのが大好きで、小児科を希望していたので、配属された時はとても嬉しかったです。
でも、実際に病気で苦しむ子どもを見るのは胸が痛みました。特に、新人時代から入院していた子が重い病気で命を落としてしまった時は、無力さを感じ、看護師を続けていく自信を無くしてしまったこともありました。

このように、子どもが苦しむ姿に遭遇する場面は多くあるので、辛く感じて仕事が手につかなくなってしまう人は、小児科看護師として働きにくさを感じるでしょう。

(2). 子どもと接するのが苦手な人|泣いたり暴れたりする子どもの対応がある

子どもと接するのが苦手な人も、小児科看護師に向いていません。理由は、子どものストレスを受け止めて支えるのが小児科看護師の役割だからです。

日本小児看護学会の報告では、新型コロナウイルスが流行後、子どもに体的・精神的症状の出現や増加、日常生活や行動の乱れが起きているのが判明しています。

小児看護における COVID-19 に関するアンケート調査

出典:日本小児看護学会

子どもにとって病院は非日常的で、ストレスで泣いたり暴れたりしやすい環境です。

このように子どもの行動にストレスを感じる場合、小児科看護師として長期的に働くのは難しいでしょう。

(3). 体力に自信のない人|立ち仕事で子どもを抱っこするケースも

体力に自信のない人は、小児科看護師に向いていないでしょう。理由は、小児科看護師は立っていることが多いからです。

小児科では抱っこしてあやしながらケアをおこなうため、基礎体力や持久力が求められます。

実際、身体を痛めながら働いている小児科看護師もいます。また抱っこしている間は他の業務が進まないため、残業することもあるでしょう。

口コミ・評判

匿名 さん(40歳)
小児科で勤務し出してから、肩こりや腰痛を感じることが多くなりました。子どもが可愛くて、ついつい抱っこしちゃうからかもしれませんね。お休みの日にはマッサージや温泉に行き、リフレッシュしています。
小児科には、家庭の事情で保護者が面会に来れない子も入院しています。そういった子に安心感してもらうために、抱っこは必要なケアだと思っています。

この方が言うように、小児科看護師にとって、抱っこもケアの一つです。このことから、小児科看護師には、体力が必要といえます。

ここまでのまとめ

小児科看護師に向いている人、向いていない人を3つ紹介してきました。

向いている人向いていない人
  • 子どもの成長を楽しめる人
  • 観察能力のある人
  • さまざまな疾患について、学ぶ意欲のある人
  • 子どもが病気になる姿を見るのが、辛い人
  • 子どもと接することが苦手な人
  • 体力に自信のない人

次の章では、小児科看護師のやりがいや悩みを紹介します。

2. 【必見】小児科看護師のやりがい・魅力3選!

小児科看護師に向いている人のやりがいと魅力

小児科看護師に向いている人が感じる、やりがいや魅力は以下の3つです。

それぞれ説明します。

2-1. 子ども好きにはおすすめ!可愛い姿を毎日みられる

小児科看護師は、子どもの可愛い姿をそばで見られます。なぜなら、治療やケアで子どもに近いのが小児科看護師だからです。

子どもの可愛さは千差万別で、年齢で異なります。

実際に子どもと接することに癒されて、元気をもらっている看護師も多いです。

口コミ・評判

匿名 さん(32歳)
小児科で働きはじめて、どんな年齢であっても、子どもは可愛くて尊いものだと知りました。
赤ちゃんの可愛さは一般的にも知られていますが、幼児の無邪気さ、学童の伸び伸びした様子、思春期の子が心を開いて本音を話してくれた瞬間など、かけがえない出来事がたくさんあふれているので、小児科で働いていてよかったと思えます。

このように、子どもと接することで、癒され、元気がもらえると言う看護師さんも多くいます。

2-2. 長い期間をかけて子どもの成長や変化を観察できる

前章で説明したとおり、子どもの成長は早くて心身の成長を見るとやりがいを感じます。また長期的な関わりで信頼関係ができたからこそ、見せる表情もあります。

継続的に看護をおこなえるのも、小児科看護師のやりがいでしょう。

口コミ・評判

匿名 さん(39歳)
入院した当初は、いつも泣いてお母さんに抱っこされていた子が、入院生活を続けていく中で少しずつ看護師に心を開いてくれ、笑顔を見せてくれることも増えました。
ある日、検査があると伝えに行くと、「もう僕泣かないよ。大丈夫」と言って、処置室まで自力で歩いて来てくれたことがありました。その成長ぶりに、とても感動したのを覚えています。

2-3. 子どもの医療や疾患の知識を体で覚えられる

子どもに関する疾患の知識を広く得られるのも、やりがいのひとつです。

小児科看護師には心身の成長過程や発達理論なども含めて、網羅的な知識が必要になります。なぜなら、対象の年齢が新生児期から青年期と広いからです。

このようにさまざまな疾患の子どもと出会って、学びを深めることにやりがいを感じられます。

口コミ・評判

匿名(42歳)
新人の頃、小児科に配属されて驚いたのは、勉強するべき疾患の多さです。中には、聞いたことないような疾患で苦しむお子さんもいるので、日々、勉強です。
また看護ケアの知識も、一様ではありません。バイタルサインひとつとっても、乳児と思春期の正常値は全く違います。
全て、働きながら学んでいけますし、学ぶことは患者さんの理解に繋がるので、新人さんには身構えずに小児科に飛び込んでほしいです。

このように働きながら、さまざまな疾患をもつ子どもと出会い、学びを深めていけるのでやりがいを感じることができます。

ここまでのまとめ

改めて、小児科看護師に向いている人のやりがいや魅力を見てみましょう。

  • 子どもの可愛い姿が見られる
  • 長期的に関わることで成長を感じられる
  • 子どもに関する幅広い疾患の知識が得られる

ただし、小児科看護師の仕事は良い面だけではありません。

次の章では、小児科看護師に向いている人が抱えやすい悩みを5つ紹介します。

3. 【要チェック】小児科看護師によくある悩み・不安5つ

小児科看護師に向いている人が抱える悩み

ここからは、小児科看護師が抱えやすい主な悩みは、以下の5つです。

それぞれ解説します。

3-1. 小児科特有の高い看護技術が必要

小児科看護師の処置は、高い技術が必要です。例えば採血やルートキープは、難易度が高いと言われます。

理由は、子どもの血管は細くて見えにくいからです。難易度が高いため病院によっては、子どもの採血やルートキープは医師がおこなうところもあります。

また看護技術は働くうえで身につくものの、処置に痛みや恐怖心がともなうため泣く子も多いです。

その場合、保護者に同意を得て処置をすることも必要でしょう。

3-2. 病院は子どもが警戒心を抱きやすく接し方が難しい

子どもの接し方に悩む看護師もいます。

先述したとおり、子どもにとって病院は非日常的で緊張感をともなう場所です。そのため治療や処置をおこなう小児科看護師は、警戒心を抱かれやすいでしょう。

一方、子どもをサポートできるのも小児科看護師の役割です。ときには保護者の代わりになって、サポートしていきます。

以下、子どもとの接し方のポイントを見ていきましょう。

子どもとの接し方のポイント①|一人ひとりの好きな遊びや普段の様子を知る

子どもに関して、以下の4つを保護者に確認しましょう。

  • 好きな遊びや遊び方
  • 好きなキャラクターなど興味関心があること
  • 泣いたときのあやし方
  • 就寝前の習慣

子どもに関して知っていることが多いほど、ケアに生かすことができます。

接し方の例

  • 子どもが好きなキャラクターのぬいぐるみを用いながら、
    「ぼくは○○(キャラクター名)だよ!お注射頑張れるように、そばにいるからね!」
  • 聴診器に動物などの髪ゴムをつけておいて
    「うさぎさんのモシモシを持ってきたよ!ちょっとお胸の音を聞かせてね」
    ※年齢に合わせて、聴診することや聴診器自体を「モシモシ」と呼ぶことがあります。

子どもとの接し方のポイント②|発達心理に関する知識を深めておく

小児科では発達理論に基づくのが重要です。小児の発達は、発達心理学でさまざまな視点から論じられています。

なかでも、下記の理論は把握しておきましょう。

発達理論

  • エリクソン「心理社会的発達理論」
    人生を8つの発達段階に分け、それぞれ「心理社会的危機」が存在し、人間はその心理社会的危機を乗り越えることで力を身につけることができるとされる。
  • ピアジェ「認知発達段階論」
    0歳から成人までの認知発達を4つの発達段階に分け、子どもが心身をどのように発達させていくのかを示している。
  • フロイト「心理性的発達理論」
    0歳から青年期までの心理発達を心のエネルギーであるリビドー(性的衝動)を用いて説明している。心が成長する過程で、リビドーは形を変えて成熟すると考えられている。
接し方の例
10歳 1型糖尿病を発症し入院した子どもエリクソンの心理社会的発達理論では、『勤勉性 対 劣等感』の時期にあたる年齢。
入院で学校に行けない、病気への不安から、能力の喪失や自己コントロール感の喪失感を抱きやすい。
糖尿病自己管理に向けた指導やケアを行いながら、「学校にも通えるようになるよ」「自分の身体と付き合っていくための方法だよ」と声をかけ、この時期に獲得できる『有能感』が身につくよう支援していく。

このように、治療や入院により発達課題の達成が阻害されていることもあるので、子どもの成長発達を考慮しながら、サポートすることが大切です。

3-3. 保護者に対する子どもの治療や入院の伝え方が難しい

保護者の対応に難しさを感じる場面があるでしょう。理由は、子どもの心配をする保護者に、治療や入院の必要性を説明しなければならないからです。

保護者は、子どもが病気になると落ち込みます。なかには、気持ちを取り乱して医療従事者へ攻撃的になる保護者もいるでしょう。

モンスターペアレント問題
医療従事者に対し執拗にクレームを入れたり、インターネットからの情報を鵜呑みにして、治療に非協力的な保護者のことです。その真意は、病気への不安やわが子を思う親心ですが、中には非常識な要望を通そうとする保護者もいます。
対応に苦慮する場合は、1人で解決しようとせず、先輩看護師や師長、医師などに頼ることが大切です。

このような保護者とどう向き合うか、どのようにアプローチしていくかは、小児科看護師の課題と言えるでしょう。

3-4. 治療を受ける子どもの苦しむ姿が心苦しい

子どもは痛みを伴う処置に恐怖を感じ、抵抗することもあります。理由は「何をされるかわからない」「痛いことは嫌だ」という自己表現で、自身を守ろうとするからです。

したがって苦しむ子どもを見て、辛さを感じる看護師もいます。

子どもが好きな看護師には、痛みをともなう処置の介助をするのがつらい人もいるでしょう。その場合、これから紹介する手法を用いるのがおすすめです。

(1). プレパレーション|かわいい人形や写真を使って治療に対する子どもの恐怖心をなくす

プレパレーションとは子どもが治療や検査を受けるときに、かわいい画像や人形を使って説明することです。

子どもの恐怖心や不安を軽減し、治療や検査に向かえるよう心の準備を可能にしてくれます。

接し方の例
採血を行う幼児に対し、人形や注射を用いて、これから起こることを説明する。
「○○ちゃんにする検査を、これからお人形さんが教えてくれるよ。一緒に触ったりしても大丈夫だから、よく聞いててね。」

出典:パラマナビ

看護実習などでも取り入れられているようです。

キャラクターのぬいぐるみを使って治療の説明(実習)

出典:川原医療大学校

(2). インフォームドアセント|治療について保護者だけでなく子どもにも同意を得る

インフォームドアセントとは治療や検査のとき、保護者だけに説明と同意を行うのではなく、子どもにも同意を得ることです。子どもが理解できるように、わかりやすい言葉で説明します。

採血を行う小学生に対し、嘘をつくことなく、これから起こることを説明する。「これから○○ちゃんにする検査は、どうして具合悪いか調べるためにするんだよ。血を取る検査だから、少しチクッとするよ。もしかしたら怖いって思うかもしれないけど、○○ちゃんが協力してくれたら、すぐに終わることができるんだ。看護師さんも一緒にがんばるから、○○ちゃんも一緒にがんばれるかな?」

出典:自由が丘メディカルプラザ 小児科

これらの働きかけにより、子どもが前向きになれたり、子どもとの信頼をつくっていくことができるのです。

3-5. 小児科看護師は将来的に安定しているのか不安

看護師のキャリアを考えたとき、小児科看護師で働くことに不安を感じる方もいます。理由は少子高齢化で、小児科看護師の需要が減る可能性があるからです。

今後も小児科看護師で働くのであれば、キャリア形成を考えながら、小児科領域の専門性を高めるのが大切でしょう。

4. 【需要あり】小児科看護師が転職できる4つの就業先

小児科看護師の就職先

小児科看護師の就業先は、以下の4つです。

月給の相場は23〜30万円で、他の診療科とそれほど変わりません。

紹介した就業先に関して、以下を基準に解説します。

職場の比較基準

  1. 教育制度
    新卒・既卒にかかわらず、教育制度はしっかりしているか。プリセプターはつくのか。
  2. 人間関係
    看護師間や多職種との連携はとりやすいか。悪化しやすい要因はあるか。
  3. キャリアップ
    看護師としてのキャリアップは望める環境か。
  4. 仕事の忙しさ
    夜勤はあるか。忙しさはどのくらいか。

(1). 小児科クリニック|地域に根差した診療

小児科クリニックは、地域に根ざした診療をおこなっています。その特徴は、以下のとおりです。

  • 入院設備をもたないクリニックがほとんど
  • 仕事はルーティンワークが多い
  • 主要都市に行くほど、数が多いため就職しやすい

仕事とプライベートの両立を重視する人は、検討してみましょう。

教育制度
プリセプター制度はほぼない。
仕事の忙しさ外来業務のみ
時間に追われるが、ルーティンワークなので慣れやすい
夜勤の有無なし
人間関係メンバーが固定されている
合わない人がいると、居心地が悪い
キャリアアップの仕方
ルーティンワークが基本
既卒で就職がおすすめ

(2). 総合病院の小児科|外来診療や入院設備あり

小児科がある総合病院は外来診療をおこなっており、入院設備もあります。特徴は、以下のとおりです。

  • 入院施設があるため、クリニックよりも知識と技術が必要
  • 少子化の影響で、混合病棟に変化している病院もある
  • 看護師の配置人数によっては、必ずしも小児科に配属されない

小児科以外の診療科を経験したい人は、有利な就職先といえるでしょう。

教育制度
既卒だと、病院によっては、教育制度が希薄
プリセプターがつかないことも
仕事の忙しさ入院設備と外来があり、どちらも忙しい
治療や検査によっては応用などが求められることも
夜勤の有無あり
日勤のみも相談可能
人間関係勤務によってメンバーが変わる
忙しく殺伐としていることも
キャリアアップの仕方
混合病棟の場合
成人や老年看護を学べるチャンス

(3). 大学病院の小児科|治療の専門性が高い

大学病院の小児科は、治療の専門性が高いです。特徴は、以下のとおりです。

  • 外来・入院施設があり、教育制度が充実
  • 重度の疾患を持つ子どもも多く、専門的な知識や技術が必要
  • 看護師の配置人数によっては、必ずしも小児科に配属されない

小児科以外で専門性の高い看護を学びたい人は、大学病院をおすすめします。

教育制度
既卒でもプリセプターつくことも
単科なのでしっかり学べる環境
仕事の忙しさより専門性の高い治療や検査がおこなわれており忙しい
夜勤の有無あり
日勤のみも相談可能
人間関係勤務によってメンバーが変わる
忙しく殺伐としていることも
キャリアアップの仕方
小児科看護を極めることができる
病院内での異動も可能

(4). 小児専門病院(子ども病院)|0〜18歳までの専門的な医療

小児専門病院(子ども病院)は、0歳から18歳の子どもに対して専門的な医療行為を行っています。特徴は、以下のとおりです。

  • 外来・入院施設だけではなく、療育施設やリハビリ施設もある
  • 小児医療に関するさまざまな分野が集結して、専門性が高い
  • 各都道府県に必ずあるわけではなく、所在地の確認が必須

小児科看護師にこだわりがある方には、おすすめの就職先です。

教育制度
既卒でもプリセプターつくことも
専門性の高い看護を学べる環境
仕事の忙しさ専門性の高い治療や検査がおこわれており忙しい
夜勤の有無あり
日勤のみも相談可能
人間関係勤務によってメンバーが変わる
忙しく殺伐としていることも
キャリアアップの仕方
小児科看護師として
専門性を高めるのに、ピッタリ!

転職を検討している方はまずは転職サイトに相談

ここまで、小児科看護師になるための就職先をご紹介しました。しかし、自分に向いている病院はどこか、全てを確認するのは限界があると思います。

転職を検討している方は、『看護roo!』や『レバウェル看護(旧 看護のお仕事)』などの、看護師転職サイトに相談してみるのもおすすめです。

また、『看護師723人が選ぶ転職サイトおすすめランキング』では、当サイトが独自に取得したアンケートから、利用者満足度の高い転職サイトを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

専門のキャリアコンサルタントに相談することで、小児科看護師に向いているのか、なるために何が必要か、見えてくることでしょう。

5. 小児科看護師に関するよくある質問と回答

小児科看護師を目指す方のよくある質問

最後に、小児科看護師を目指す方からよくある質問を6つ紹介します。

同じ疑問があれば、ぜひ参考にしましょう。

Q1. 小児科看護師にはどのような業務がありますか?

小児科看護師ならではの仕事は、医師の診療介助や子どもと家族のケアです。例えば、以下の4つです。

  • 点滴をしている子のシーネ交換
  • 乳児への人工乳の授乳
  • 泣いている子の抱っこ
  • 夜間の寝かしつけ

総合病院の小児科病棟で働く場合、子どもの喧嘩の仲裁や勉強を見ることもあります。

Q2. 小児科は何歳の子どもまで診療しますか?よくある疾患はありますか?

小児科は子どもの心身の診療をおこない、健やかな成長と発達をサポートします。対象年齢は0歳〜成人までですが、実際は0歳〜15歳が多いです。

またクリニックは市中感染症の治療を受ける子供が多く、大学病院は専門性の高い治療を必要とする子供が多いです。

Q3. 小児科看護師は1日どのようなスケジュールで勤務しますか?

小児科看護師の1日を下の表にまとめました。

8:00出勤、情報収集
8:30全体カンファレンス
申し送り
9:00検温、環境整備
検査や治療の準備、開始
沐浴などの清潔ケア
リハビリあれば移送介助
11:30服薬介助
必要あれば、食事介助
授乳
12:00交代で休憩
13:00検温
午後の処置
15:00ラウンド
看護記録
16:00申し送り
17:00退勤

Q4. 小児科看護師は男性でも活躍できますか?

男性の小児科看護師が活躍する場面は多くあります。例えば、以下の3つです。

  • 兄や父親のような存在を期待される
  • 同性だからできる相談を受ける
  • 長時間の抱っこを担当する

このように、小児科には男性だからこそ求められる役割があります。

Q5. 小児科看護師におすすめの資格はありますか?

小児科看護師の専門性を高めるために、以下の資格があります。

  • 小児看護専門看護師
  • 新生児集中ケア認定看護師
  • 小児救急看護認定看護師

日本看護協会」に詳しくまとめられているので参考にしてください。

Q6. 小児科看護師としての経験を活かせる転職先はありますか?

小児科看護師に向いていないと感じたら、小児科以外で子どもと関わるお仕事を探してみましょう。具体的には以下の4つです。

  • 児童養護施設
  • 保育園看護師
  • 養護学校の先生
  • 大学の保健室の先生

また他の診療科に転職する道もあります。

口コミ・評判

匿名 さん(34歳)
小児科看護師の仕事は好きでしたが、その責任は重く、病棟に重症のお子さんが入院している時は、職場内がピリついていることがありました。そうした雰囲気に耐えられず、なるべく緊急度の高い患者さんがいない職場に転職したいと考え、耳鼻科クリニックに転職しました。
今は穏やかな気持ちで仕事ができていて、満足しています。

他の診療科に転職したい人は、こちらの記事も参考にしてください。

6.子ども好きや成長・変化を見届けたい人は小児科看護師がおすすめ!

小児科看護師に向いている人の記事のまとめ

この記事では、小児科看護師の以下の内容を紹介しました。

  • 小児科看護師に向いている人・向いていない人
  • 小児科看護師のやりがい・魅力
  • 小児科看護師によくある悩み
  • 小児科看護師の就業先
  • 小児科看護師を目指す方からよくある質問

なかでも小児科看護師に向いているのは、以下の3つに当てはまる人です。

  • 子どもの成長を楽しめる人
  • 安心感を与えられるような人
  • さまざまな疾患について、学ぶ意欲のある人

もし向いていないと感じても、他のキャリアがあるため問題ありません。転職を考えている人は、以下の転職サイトに相談してみましょう。

あなたの人生が最高のものになることを、陰ながら祈っております。