コロナ禍でリモートワークが進む中、地方移住を検討する人も多いのではないでしょうか。東京圏からの移住者に対しては国が支援をしていますが、自治体も各自の支援策を展開しています。
そこで、東京圏以外からの移住者も活用できる全国の地方自治体の魅力的な取り組みをご紹介、地方移住を検討しているが地域を決め切れていない人や、今はまだ地方移住に具体的な興味を抱いていない人にも参考になる情報をお届けします。今回は、『高松市(香川県)』です。
今回ご紹介する高松市の移住支援事業の詳しいお話やまちの魅力について、高松市政策課移住・定住促進室の安藤氏にお話を伺いました。
1.高松市ってどんなまち?
高松市データ(参照以外は高松市HPの情報)
1-1.高松市の魅力その1:暮らしやすさ
高松市は四国の北東部、香川県のほぼ中央に位置しており、北は多島美を誇る瀬戸内海を望み、南は讃岐山脈を頂く、豊かな自然と、便利な都市機能が調和したコンパクトなまちです。
香川県の県庁所在地、かつ中核市であり、面積では、香川県の5分の1を高松市が占めています。
まず、「暮らしやすさ」についてお話します。
年間を通じて寒暖の差が小さく、また降水量も少ないため、非常に温暖な気候です。
また、2021年度の消費者物価指数において香川県は全国で15番目に物価が安く、本市も全国平均を下回っております。
賃貸住宅の家賃も、東京都と比較して圧倒的に安くなっておりまして、一世帯あたりの預貯金残高は全国3位と、都会的な便利さを兼ね備えながら、非常に家計に優しく暮らしやすいまちとなっています。
本市は、市内のどこからでも中心部まで1時間以内にアクセスでき、都心部エリアからはJRや私鉄のほかにバスも発着しています。
この公共交通機関の充実は、県内のほかの都市と比べても特徴的です。
JR2路線に加え、私鉄の「ことでん(高松琴平電気鉄道)」3路線と、各地域をつなぐ路線バスが20路線展開しており、他都市を大きく上回る便数で、市民の生活を支えています。
高松市は平野部に大きく街が広がっておりますので、自転車も非常に活用しやすい街となっています。
大都市圏へのアクセスも良好で、高松から東京までは空路で約1時間、大阪へはJRを利用して約2時間となっています。
関西方面は、JRのほか、高速バス、フェリーと様々な公共交通で結ばれておりまして、便数も多く運行されております。
1-2.高松市の魅力その2:働きやすさ
有効求人倍率について、2023年10月は1.26倍と全国的にも高い水準にあり、職業別有効求人倍率は、ほとんどの業種で1倍を超えています。
市内の民営事業所数も約2万5000と年々増加傾向にあり、「起業・創業がしやすい街」とも言われています。
1-3.高松市の魅力その3:子育てしやすさ
ほかにも、子育て中の親子の交流や、育児相談等を実施している「地域子育て支援拠点施設」は31か所あり、その数は、中核市の中でもトップクラスとなっています。
さらに、市内4か所の地域子育て支援拠点施設に「たかまつ地域子育て支援コーディネーター」を配置しており、地域に密着した情報提供や、育児不安や悩みを相談できます。
共働き世帯への支援として、保育等施設は202か所に設置、
放課後児童クラブは、ほぼ全ての小学校区に設置しております。
また、0歳児から中学生までの入院・通院医療費を助成しています。
2.高松市に移住したくなる移住支援制度
高松市では、移住を考える人に対して補助制度やサポート体制が整っています。
- 高松市東京圏UJIターン移住支援事業補助金
- 高松市移住促進家賃等補助事業
- 瀬戸・たかまつ移住&キャリアサポートセンター
- たかまつ移住応援隊
詳しく伺っていきましょう。
また、高松市が運営する移住ポータルサイト「高松市移住ナビ」では、移住希望者向けのイベントや支援制度などを随時更新しているほか、高松市の紹介、先輩移住者の声などを掲載しています。
こちらもぜひ、参考にしてください。
2-1.高松市東京圏UJIターン移住支援事業補助金
まずは「高松市東京圏UJIターン移住支援事業補助金」について教えてください。
(※東京圏:東京、神奈川、埼玉、千葉)
「高松市東京圏UJIターン移住支援事業補助金」
【補助金額】
基本額:世帯80万円(18歳未満の子ども1人につき30万円加算)、
単身50万円
(「新婚世帯」など一定の要件に当てはまればさらに加算)【対象】 以下の3つの要件にすべて当てはまる人
- 「移住元要件(東京23区内に居住していた、など)」
- 「移住先要件(高松市へ転入後、3か月以上1年以内である、など)」
- 「就業・起業要件(香川県が運営するマッチングサイト「JOBナビかがわ」に掲載された対象企業に就業した、など)」
従来の就職要件に加え、昨年度からはテレワークによる移住のお問い合わせや実績も増加傾向にあります。
2023年度からは「就業・起業要件」の対象者を拡大するとともに、18歳以下の子どもがいる世帯にいて、子ども1人につき30万円の加算に拡充されたため、東京圏からの移住者にはお勧めの補助金です。
※ほかにも加算要件がありますので、詳しくは高松市のホームページをご参照ください。
2-2.高松市移住促進家賃等補助事業
高松市移住促進家賃等補助事業
移住・定住を促進することによる地域の活性化を目的として、県外から高松市へ移住し、民間賃貸住宅に居住する世帯に、家賃(最大1年間)や民間賃貸住宅の契約時に必要となる礼金等の一部を補助する事業。
【補助金額】 2人以上世帯 最大30万円
- 家賃に要する経費:最大24万円(2万円×12ヶ月)
- 初期費用に要する経費:最大6万円
【対象】
高松市のホームページで確認してください。
年々、申込件数が増加しているため、補助予定者の決定は抽選になっています。
移住者の方が本市に定住する支援をさせていただければと思っております。
2-3.瀬戸・たかまつ移住&キャリアサポートセンター
【サポート内容】瀬戸・たかまつエリア(※)への移住・就職・転職に関する相談や情報提供
※瀬戸・高松広域連携中枢都市圏。高松市、さぬき市、東かがわ市、土庄町、小豆島町、三木町、直島町、綾川町の3市5町
【場所】
東京都渋谷区渋谷3-6-1イースト渋谷ビル8F
0120-200-668
・大阪サテライトでは、オンラインで東京とつないで対応
全国から参加できるオンライン個別相談のほか、定期的にセミナーも開催しておりますので、ぜひご活用ください。
2-4.たかまつ移住応援隊
たかまつ移住応援隊は、移住に関する情報発信や相談対応等を通して、本市への移住前から移住後まで、移住者をサポートしています。
移住を検討される際にはぜひご相談ください。
3.高松市は起業・就農にも手厚くサポート
続いて、起業や就農に関するサポートについて伺いましょう。
- たかまつ創業サポートセンター
- 高松市オンライン就農相談
3-1.創業サポートセンターでワンストップに相談
「たかまつ創業サポートセンター(たかまつ創サポ)」
高松市を中心に、高松商工会議所や金融機関など計10機関が共同で起業・創業に関する相談窓口として開設。
【対象者】
市内外在住者で高松市内での起業・創業を考えている人。
起業・創業に興味を持っているが何から始めれば良いか分からない人など
【利用料】
無料
一歩が踏み出しやすくなりそうです。
3-2.新規就農を手厚く支援
「就農準備資金・経営開始資金」
就農前の研修期間(就農準備)と、経営が不安定な就農直後(経営開始)の経営を確立するための資金を交付
【交付金額と期間】
就農準備資金
年間150万円、最長2年間
経営開始資金
経営開始1~3年目まで 年間150万円
最長3年間
※交付金額は夫婦型申請の場合、1.5倍
【対象】
就農準備資金
原則、研修後に50歳未満で独立・自営就農、
または農業法人などへの雇用就農をめざす人。
経営開始資金
原則50歳未満で独立・自営就農した新規就農者
地域の農業の担い手となる新規就農者に対し、青年等就農計画の認定、就農準備資金・経営開始資金の交付、農業用機械・施設の導入助成など、さまざまな支援を行っております。
定期的にオンラインによる就農相談会も開催しているので、興味のある方はぜひご相談ください。
4.実際に高松市に移住した人の声
実際に高松市に移住した人々はどのような感想を抱いているのでしょうか。
ここでは、移住した人の声をご紹介します。
鈴木勇気さん
出身地 東京都 現住所 高松市
移住年 2014年 仕事 会社員
「高松には、縁もゆかりも全くない中で移住しました」
東京生まれ東京育ちで、高松には地縁がなく友達も1人もいなかったという鈴木さん。
8年間、通信系の大手企業の派遣社員として働いていましたが、人の縁やタイミングが重なって転職し、高松へ移住しました。
移住を希望する人の持つ悩みのひとつに、人付き合いの難しさが挙げられます。
高松でゼロから人間関係を築いた鈴木さんは、「コミュニティをつくるという点では、高松のような地方は圧倒的に有利な場所」と、語ります。
人数が少ない分、属人的ですね。相性が良い人とはうまく仕事が進みますし、逆の場合もあります。
人との関係性をより大切にしないといけないと感じます。また、高松市は車社会ですね。
東京では事故のリスクがあるためほとんど車には乗りませんでしたが、こちらは車の運転ができないと営業ができません。仕事以外の生活面については、保育園や幼稚園に入りやすく、想像以上に子どもが多い印象です。
学校や家の近くに子どもが集まって遊べる場所が多いですね。
子どもと遊べるイベントもたくさんあります。生活も想像以上に快適に過ごせています。失礼ながら、もっと不便なイメージを持っていました。
コンビニやスーパーが遠いとか、買い物は中心部でしかできないとか。
実は、母も東京から高松に移住して、今いっしょに暮らしています。
東京生活30年の母ですが、友達も少しずつできて楽しい、生活もしやすいと話しています」
(※移住者の声は高松市移住ナビの内容を、市の許可を得て一部再編集し掲載しています。詳しくはぜひ、本編をお読みください。)
5.まとめ
瀬戸内海特有の温暖な気候に恵まれ、災害が少なく、穏やかに暮らせます。
瀬戸内国際芸術祭の舞台でもある「女木島・男木島」へはフェリーで40分以内と、アートと島暮らしも楽しめます。
また、四国の経済の中心地として栄え、国の出先機関や企業の支店も多いのも特徴です。
有効求人倍率は全国上位、事業所総数も中核市の中でトップクラスです。
東京や大阪などの大都市圏への交通アクセスも発達しており、二拠点居住の居住先としても最適です。
海・島・山そして街がぎゅっとつまった、“ほどよく田舎”“ほどよく都会”な高松へ、ぜひ、お越しください。
6.高松市じまん
ここからは、安藤氏による「高松市じまん」を画像とともにお届けします!
6-1.高松中央商店街
高松市の都心部にある「高松中央商店街」は、高松港周辺を整備したサンポート高松や国内最長といわれるアーケードがあり、都市機能が充実したエリアとなっています。
丸亀町商店街をはじめ8つの商店街で形成されており、それらを結ぶアーケードの総距離は2.7kmと、日本一長い商店街です。
多種多様な店舗が軒を並べ、多くの買い物客で賑わいをみせています。
週末には多彩なイベントが開催されておりまして、活気があります。
6-2.高松産ごじまん品
高松市には野菜や果物、特産品がたくさんあります。瀬戸内海で採れる豊富な海の幸のほか、市では高松産ごじまん品を32品目選考しております。
市内には、数多くのスーパーマーケットのほか産直市場もあり、地元産の新鮮な野菜や果物を安く購入できます。
6-3.瀬戸内海
高松市を含む「瀬戸内」は、近年、海外の新聞や旅行誌などで「訪れるべき観光地」として紹介され、世界的に注目を集めています。
その代表的な存在が、現代アートの祭典『瀬戸内国際芸術祭』です。
瀬戸内海の12の島と2つの港を会場に開催され、回を重ねるごとに世界的な人気を獲得しています。2019年に開催された4回目は、国内外から117万8千人が訪れました。
5回目となる瀬戸内国際芸術祭2022では会場の一つでもある高松港が、瀬戸内海の島へ渡るフェリーや高速艇が発着するハブ港としても拠点となり、賑わいを見せております。(夏会期は9月4日まで。秋会期は9月29日から11月6日)
また、高松港からフェリーで40分の「男木島」は、ここ5年間で国内外から約60人の方が移住されています。
高齢化の進む島から子どもの声が聞こえる島になったとして、「奇跡の島」としても注目されています。
いかがですか?
瀬戸内海に面し、自然の恵みをたっぷりと享受しながら都会的な暮らしが送れる高松市。
ぜひ、移住地候補に入れてみてはいかがでしょうか。
現役の転職コンサルタント集団。大手人材会社に在籍しているメンバーが多いため、執筆内容に制約がかからないように『匿名性』とし、裏事情やノウハウを包み隠さずにご紹介しています。