コロナ禍でリモートワークが進む中、地方移住を検討する人も多いのではないでしょうか。東京圏からの移住者に対しては国が支援をしていますが、自治体も各自の支援策を展開しています。
そこで、東京圏以外からの移住者も活用できる全国の地方自治体の魅力的な取り組みをご紹介、地方移住を検討しているが地域を決め切れていない人や、今はまだ地方移住に具体的な興味を抱いていない人にも参考になる情報をお届けします。今回は、『市川町(兵庫県)』です。
今回ご紹介する市川町の移住支援事業の詳しいお話やまちの魅力について、市川町企画政策課の青木さんにお話を伺いました。
目次
1.市川町ってどんなまち?
市川町データ(参照以外は兵庫県市町要覧の情報)
- 面積:82.67平方キロメートル
- 人口:1万1671人
- 世帯数:4940世帯
- 年間平均気温:15.1℃ 最高気温:33.2℃(8月)、最低気温:-0.6℃(1月)(参照:気象庁※隣接する福崎町のデータ)
- 年合計降水量:1445.0mm(参照:気象庁※隣接する福崎町のデータ)
- 年合計日照時間:1929.9時間(参照:気象庁※隣接する福崎町のデータ)
- 交通アクセス:東京から兵庫県市川町まではJR新幹線「のぞみ」の新神戸経由で約4時間30分
- 平均年収:318万円(正社員)(参照:求人ボックス)
- 平均時給:1,301円(派遣社員)、1,005円※兵庫県内1位(アルバイト・パート)(参照:求人ボックス)
おだやかな暮らしをしながら、生活の便利さもあるちょうどいい田舎暮らしができます。
市川町は兵庫県のほぼ中央に位置しております。
姫路市から豊岡を繋ぐ鉄道「JR播但線」や中国自動車道につながる播但連絡道路などを利用して、姫路市まで約30分、神戸市まで約1時間で移動できる交通アクセスのよさが利点です。
また、町の東部では、有機農業が盛んに行われており、都市部でも人気の有機野菜を育てられています。
無農薬・無化学肥料で自然に配慮した米作り・野菜作りを実践する“有機農業の先駆者”牛尾武博さんと就農者、そして地域の人々、金融機関、町職員で、地域づくり協議会「笠形オーガニックファーマーズ」を結成しました。
38年前から有機農業に取り組むさん牛尾を慕ってやってきた人たちが、就農者としてこの地に定住し活躍しています。
2.市川町に移住したくなる移住支援制度
市川町では、移住を考える人に対して補助制度やサポート体制が整っています。
詳しく伺っていきましょう。
2-1.市川町若者定住促進住宅取得奨励金
まずは「市川町若者定住促進住宅取得奨励金」について教えてください。
「市川町若者定住促進住宅取得奨励金」
【補助金額】
- 新築および増築:50万円
- 中古住宅購入:購入金額の10%(上限30万円)
※1万円未満は切り捨て
※新規移住者については移住世帯の人数から2人を引いた人数1人につき5万円加算(例:4人家族の場合、10万円加算)
【対象】
- 夫婦のいずれかの年齢が、申請年度の4月1日時点で45歳未満
- 新築または中古住宅を購入、もしくは増築をした新規移住者、および町内在住者
- 申請年度内に住宅の建築または購入が完了する人
※その他条件については市川町までお問い合わせください
- 2017年:11件
- 2018年:19件
- 2019年:18件
- 2020年:11件
- 2021年:11件
2-2.市川町空き家等情報登録制度・市川町空き家活用支援事業
町HPに掲載している空き家バンクを活用して町外から移住されてきた人数は下記のとおりです。
- 2016年:3人
- 2017年:14人
- 2018年:20人
- 2019年:6人
- 2020年:8人
- 2021年:3人
「市川町空き家活用支援事業」
【対象】
空き家期間がおおむね6カ月以上の一戸建て住宅を改修し、住居、事業所、または地域交流拠点として活用しようとする方
【支援内容】
- 空き家の機能回復および設備改善にかかる工事費
- 移転費用
※詳細な条件など、詳しくは市川町にお問い合わせください。
3.市川町は子育て支援も手厚くサポート
市川町は子育ての支援策も手厚く実施されています。
3-1.子どもの医療費
「子どもの医療費」
【対象】
小学4年生から中学3年生
※0歳から小学3年生までは乳幼児等医療証で自己負担分を助成
【内容】
こどもの疾病又は負傷について、医療保険による給付が行われた場合において、医療保険の自己負担分を、保護者の取得制限なく助成する制度。
県外で受診した場合は後日申請により払い戻し。
中学生までの医療費無料、高校生の入院に係る医療費も無料で、2023年度途中からは入院に限らず高校生も医療費が無料化する見込みです。
東京都でも高校生まで医療費が無料化されるのは2023年度からの見込みですし、全国の市区町村でもまだ4割ほどしか導入されていません。
突発的なケガや病気の多い子どもに向けた手厚い医療保障は心強いです。
3-2.予防接種助成
現在対象となっているのは、おたふくかぜとインフルエンザ(中学3年のみ)の予防接種費です。
「おたふくかぜ予防接種費用助成事業」
【内容】
任意接種(2023年10月現在)である「おたふくかぜ」の予防接種にかかる費用の一部を助成
【助成概要】
助成回数は1人1回
助成額は接種費用のうち上限3,000円
生活保護世帯については接種料の全額助成を受けることができます。
【対象】
生後12か月から就学前(小学校入学前)の子ども
「インフルエンザ予防接種助成事業」
【内容】
新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行に備え、高等学校入学者選抜などの受験を控えた子どもたちが、季節性インフルエンザワクチン予防接種を受けることで、感染症の発症リスクを抑え、安心して受験に臨めるよう応援するための事業。
【助成概要】
一人につき2回まで助成
※1回分の助成は上限2,000円
【対象】
中学3年生相当年齢で市川町に住所を有する方
3-3.保育料減額
市川町には町立の幼保連携型認定こども園が2園と、私立の保育所型認定こども園が1園あります。
年齢や園に関係なく、第2子目の保育料を半額、第3子以降を無料にしています。
また給食費についても、国の制度にプラスして、市川町独自でも減額しており、子育て世代の経済負担を軽減しています。
子育て支援には親の収入に制限を設けられることが多く問題視されていますが、本制度では一律に設定されているのも良心的ですね。
3-4.学童保育(最大午後7時まで)
子育てをしながら働きやすい環境を作るため、午後7時まで学童保育を実施し、小学校1年生から6年生までの児童の受け入れをしています。
小学校は4校ですが町内2カ所で学童保育園を実施しているため、放課後になると小学校から学童保育園まで送っています。
3-5.早朝・延長保育、一時預かり
子育てをしながら働きやすい環境を作るため、早朝保育、延長保育を実施しています。
通常の保育時間は午前7時30分~午後6時30分ですが、30分ごとに200円をお支払いいただけると、早朝・延長保育いずれにも対応いたします。
また平時はこども園を利用されない方でも、ケースに応じて一時預かりを実施しています。
4.市川町は高齢者向け交通手段も手厚くサポート
市川町は高齢者向けの交通についての支援も充実しています。
4-1.コミュニティバス、買い物バス
運賃は1回100円ですが、75歳以上の方は申請していただくと、1年間に48枚の無料券を配布します。
5.市川町は国際交流も充実
昨今はポートタウンゼント市ではなく、同州ショアライン市にあるショークレスト高校の日本語を学ぶ高校生と、ホームステイを通した教育交流を実施しています。
アメリカを訪問した際は、姉妹都市であるポートタウンゼント市も訪問します。
新型コロナウイルス感染症の影響により、相互訪問は実施できない状況が続いていますが、落ち着いたら再開したいと考えています。
※ホームステイ事業に関連する掲載可能画像がありましたらお貸出しをお願いいたします。
5.実際に市川町に移住した人の声
実際に市川町に移住した人々はどのような感想を抱いているのでしょうか。
ここでは、移住した人の声をご紹介します。
◆コンサルティング会社に勤務し、マーケティング調査に携わるなかで、農業への関心が高まった
松崎寛之さん
神戸市出身
2010年に市川町に家族で移住
Q.市川町を選んだ理由を教えてください。
A.コンサルティング会社に勤務し、マーケティング調査に携わるなかで、農業への関心が高まりました。
九州に移り住んだのを機に、福岡のアイガモ農法で有名な農家のもとで、農業を学びました。
その後、出身地の兵庫県で農業をしたいという思いと、市川町で有機農業を30年以上されている農家さんから有機農法を学ぶため市川町に移住しました
Q.実際に移住されていかがですか?
A.市川町上牛尾地区にある農地で、合鴨農法による米づくりと、無農薬、無化学肥料、遺伝子組み換え技術を用いない有機農法で何十種類もの野菜を栽培しています。
現在は、神戸、西宮、京都のレストランなどに採れたての新鮮野菜を出荷しています。
播磨富士とも呼ばれる「笠形山」から湧き出る澄んだ水と栄養を含んだ土があり、市川町は農業をするための、水と土が整った良い環境の町です。
農業以外で移住を考えられている方も、車があれば約30分で姫路まで移動できるので、仕事は郊外、自宅は田舎といった仕事のオン・オフがしやすい最適な環境だと思います。
(インタビューは市川町の許可を得て再編集したものを掲載しております。全編はぜひ、市川町の移住者ページでお読みください。)
6.まとめ
これからは、移住支援や企業誘致など、移住定住がさらに活発になるような取組を強化し、住みやすいまちづくり施策に取り組んでいきます。
現役の転職コンサルタント集団。大手人材会社に在籍しているメンバーが多いため、執筆内容に制約がかからないように『匿名性』とし、裏事情やノウハウを包み隠さずにご紹介しています。