コロナ禍でリモートワークが進む中、地方移住を検討する人も多いのではないでしょうか。東京圏からの移住者に対しては国が支援をしていますが、自治体も各自の支援策を展開しています。
そこで、東京圏以外からの移住者も活用できる全国の地方自治体の魅力的な取り組みをご紹介し、地方移住を検討しているが地域を決め切れていない人や、今はまだ地方移住に具体的な興味を抱いていない人にも参考になる情報をお届けします。今回は、『津市美杉地域(三重県)』です。
今回ご紹介する津市美杉地域の移住支援事業の詳しいお話やまちの魅力について、津市美杉総合支所地域振興課の須場さん(アイコンは美杉地域のキャラクター「みすぎん」)にお話を伺いました。
1.津市美杉地域ってどんなまち?
津市データ
三重県津市最西端の山間部に位置する津市美杉地域は、ちょうど奈良県との県境にあります。
1953~56年に進められた”昭和の大合併”で7つの村が合併し「美杉村」になり、”平成の大合併”で2006年に「津市美杉町」となりました。
津市の約3分の1を占める、とても大きな町です。
困ったことなどを相談すれば親身になって考えてくれる、そんな人の温もりと優しさに出会うことができます。
見渡す限り続く山々の美しさ、晴れた日の夜に広がる満天の星空、田舎ならではののどかな雰囲気など美杉地域には「ほっ」とできる癒しがあります。
森林セラピー/森林セラピー基地とは
科学的な証拠に裏付けされた森林浴のことです。
森を楽しみながらこころと身体の健康維持・増進、病気の予防を行うことを目指します。
森の中で呼吸法やヨガ、アロマテラピー等を組み込んだ心のリラクゼーション・プログラムや、ウォーキングやノルディックウォーキングの運動を通じた身体のフィットネス・プログラムを行う森、温泉やヘルシーな郷土料理を楽しめたり、医師と連携して健康相談を行う森もあります。
森林セラピーを楽しめる「森林セラピー基地」と「セラピーロード」は、現地と都会で比較実験を行い、癒しの効果・病気の予防効果が科学的に認められたお墨付きの森です。
引用::NPO法人森林セラピーソサエティ
化学肥料を一切使用しておらず、2020東京オリンピックの選手村でも提供されました。
さらに、生のこんにゃく芋だけを使い、ひとつひとつ手でまるめて作る「美杉こんにゃく」、渋みがなくかぶせ茶のような甘味が特徴の「美杉茶」、マコモタケなども名産です。
2.美杉地域を体験できるお試し制度
津市美杉地域では、移住を考える人や美杉地域に興味がある人に対してお試し移住体験を提供する施設があります!
2-1.短期宿泊施設
最短1泊2日で地域の魅力を感じることができます。
(1)【城山クラインガルテン】
出典:城山クラインガルテン
施設名はドイツ語で『小さな庭』を意味します。
ラウベと呼ばれる小屋(家)と、耕作地(菜園・畑)を貸出し、滞在しながら農作業ができる『滞在型市民農園』です。
<利用料金>
- 1泊2日の田舎暮らし体験塾
大人3,000円・小学生以下500円 - 菜園付きラウベ(年間契約)
1区画につき、年間50万円(ガス・水道等の光熱水費は実費)
(2)【たろっと三国屋】
出典:たろっと三国屋
国道368号線沿いの穏やかな田舎に佇む、農家民宿・お食事処「たろっと(太郎生人)三国屋」。
コロナ禍になる前は、年間100人程度が森林セラピーウオークなど美杉地域ならではの田舎体験を楽しみました。
現在はコロナ禍の影響により利用人数は減少していますが、美杉田舎体験を楽しんでいただいています。
■体験メニュー
- 山里めぐり・名所旧跡めぐり
- セラピーロード体験
- 滝めぐり(フィトンチッドを感じよう!)
- 田植え体験
- 稲刈り体験
- 山菜採り体験
- 農作物収穫体験(芋ほりなど…)
- ホタル狩り
- 紅葉狩り
- こんにゃく作り体験
- そば打ち体験
- 木工体験
■おすすめ宿泊プラン
美杉の魅力発見!体験付き宿泊(1泊2食付):5,500円/人
■基本宿泊プラン
1泊2食付(夕・朝) | 大人 | 7,000円 |
こども | 5,500円 | |
1泊1食付(朝) | 大人 | 5,000円 |
こども | 4,500円 | |
素泊まり | 大人・こども | 4,000円 |
2-2.農林漁業体験民宿
「農林漁業体験民宿」は、農林漁業者などが地域資源を満喫できるような体験メニューを提供する小規模民宿のことです。
美杉地域には、田舎暮らし体験ができる民宿がいくつもあります。(以下、三重県発行「農林漁業体験民宿のススメ」より紹介)
(1)かげやんのいえ
古民家をリノベーションした古民家ステイ。
お風呂やキッチンは清潔にリフォームされていて快適に過ごせます。
目の前に森林と小川が広がるフォレストテラスが最大の特徴。
フォレストテラスでは、森を通る風や小川のせせらぎを感じながら森林浴やバーベキューが楽しめます。
住所 | 津市美杉町八知8253 |
電話 | 059-271-8337 |
宿泊料金 | 5,900円(2~6人、1棟貸し切り) |
オプション | ・バーベキューコンロレンタル:1,500円 ・朝食:1,000円 ・夕食:5,000円 |
(2)うぐいすの宿
築200年の伝統的日本家屋を活用した農林漁業体験民宿。
晴天の夜には天の川や北斗七星など、都会では見ることができない夜空が楽しめます。
野菜の収穫体験や地域散策(貸自転車あり)もおすすめ。
海外からの宿泊客も多く、巻きずしや稲荷ずしなどの家庭料理体験も好評です。
住所 | 津市美杉町下之川5049 |
電話 | 080-5306-7073 |
宿泊料金 | 4500円 |
調理体験 | 朝食:1000円 夕食はバーベキューなど予算に応じて対応 |
(3)ほたるの宿
雲出川の最上流、八手俣川沿いにオーナー所有の山林の間伐材を活用した美杉材で建てた宿。
美杉材がふんだんに使われた部屋は、木の香りに包まれてリラックスできます。
夏にはゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルなどさまざまなほたるが見られます。
住所 | 津市美杉町丹生俣1412-2 |
電話 | 059-275-0208 (午後5時以降は、090-3383-9889) |
宿泊料金 | 5000円(子ども3000円 寝具利用の場合は1000円追加) 食事は施設内キッチンで自炊(アマゴ、野菜など地元直材は応相談) |
(4)ケンチュリオパワーランド
伝統的な日本家屋を活用した農家民宿。
家庭菜園でとれた無農薬の野菜を使った朝食調理体験付き。
羽釜での炊飯体験もできます。
夕食はバーベキューなどが楽しめるので、予約時に相談をしてみるのがおすすめ。
宿の前には名張川が流れ、川のせせらぎで癒されます。
森林浴と滝が楽しめる森林セラピーコースにも近い。
住所 | 津市美杉町太郎生4882-2 |
電話 | 090-2195-4186 |
宿泊料金 | 5,000円(朝食調理体験付き) |
(5)ほし空の宿
目の前に広がる美しい杉の山々、夜は悠久の星空を楽しめます。
食事はBBQ・仕出し・鍋等。ピザ作り・餅つき・こんにゃく作り体験や卓球も楽しめます。
住所 | 津市美杉町太郎生3798 |
電話 | 059-273-0844 |
宿泊料金 | ・6,000円(1泊朝食付) 1日1組限定 5名様まで ・バーベキュー:2,000円/人 ・炭・コンロ貸出:1,500円 ・仕出し弁当:1,000円/人から(ご飯・汁物付き) |
3.美杉地域は空き家改修にも手厚くサポート
美杉地域では、空き家の改修にかかる支援も手厚く行っています。
津市空き家情報バンクを利用して空き家を購入した人に対して、
購入した空き家の改修工事にかかった費用の一部について補助が受けられる2つの制度があります。
1.「津市美杉地域移住促進のための空き家リノベーション補助金」(2015年~)
【対象となる改修工事】
浴室、トイレ、炊事場等の水回り以外の部分
【補助金の額】
浴室、トイレ、炊事場などの水回り以外の部分に係る改修工事費用の3分の1
(上限額:100万円) ※1,000円未満は切り捨て
2.「津市美杉地域空き家情報バンク利用物件改修費補助金」(2011~)
【対象となる改修工事】
浴室、トイレ、炊事場などの水回り部
【補助金の額】
浴室、トイレ、炊事場など水回り部に係る改修工事費用の2分の1 (上限額:50万円)
※1,000円未満は切り捨て
美杉地域への移住及び交流の推進、空き家情報バンクの利用促進を図ることを目的としています。
それぞれの2021年度の利用実績は、4件と5件です。
詳しくは、市のページをご参照ください。
4.津市全体で就業を手厚くサポート
津市では、UIJターン就職に関する2つの奨励金を交付しています。
- 津市ふるさと就職新生活応援奨励金
- 津市ふるさと就職活動応援奨励金
津市ふるさと就職新生活応援奨励金
【内容】
市外在住の人が市内の企業などへ就職が内定し、雇用されることに伴い、津市内に転入した場合、新生活を始める際に掛かる費用の一部として就職祝金を交付
【交付額】
1人5万円
津市ふるさと就職活動応援奨励金
【内容】
県外に住む津市出身者が、市内の企業等への就職活動を行った際に掛かった交通費の一部を奨励金として交付
【交付額】
居住地の都道府県に応じ、3000〜3万円(下表のとおり)。
同一年度内において、1人1回まで。
居住地の都道府県 | 交付額 |
岐阜県、愛知県、滋賀県、京都府、奈良県、和歌山県 | 3000円 |
大阪府、兵庫県 | 5000円 |
富山県、石川県、福井県、長野県、静岡県 | 1万円 |
山梨県、鳥取県、岡山県、徳島県、香川県 | 1万5000円 |
茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、島根県、広島県、愛媛県、高知県 | 2万円 |
上記以外の都道府県 | 3万円 |
これまで、首都圏や関西圏の大学への訪問、市内外で開催される合同企業説明会への参加等を通して事業の周知活動に努めてきましたが、コロナ禍において2020年度以降、周知活動ができていない状況にあります。
ちなみに、2021年度の実績はいかがですか。
出典:津市
5.実際に津市美杉地域に移住した人の声
実際に津市美杉地域に移住した人々はどのような感想を抱いているのでしょうか。
ここでは、移住した人の声をご紹介します。
◆都会では味わえないゆったり時間
橋川秀夫さん、紀美子さんカフェオーナー。
2018年、兵庫県尼崎市から夫婦で美杉町奥津へ移住。
友人らとともに空き家をリフォームし、19年3月に「Cafe & Bal スローテンポ」をオープン
自然豊かな場所でお客さんにゆったり過ごしてほしいという思いで、物件を探していたときに偶然見つけた空き店舗で「Cafe & Bal スローテンポ」をオープンしたという橋川さん夫妻。
もともと、津市にはまったく縁がなかったが、「初めてこの地を訪れた際、肌になじむというか、自分たちに合っている感じがしたんです。全く知らないまちだったのに。縁があったんですね」と、秀夫さんは話す。
紀美子さんは、「知らない人でもすれ違うたび気さくに声をかけてくれるんです。野菜をおすそ分けしてくれたり」と、地域の人たちの温かさを感じているという。
地元の大工さんが山から伐採してきた木をテーブル用の丸太に加工してくれた、という森林豊かな美杉ならではのエピソードも。「知らない土地で心強いです」(橋川さん)
橋川さん夫妻は、「都会とは時間の流れ方がまったく違う。カフェを訪れるお客さんにもゆったりした時間を感じてほしい。疲れた時や嫌なことがあった時でも、のんびり過ごして自分を取り戻してもらいたい。”明日からまた頑張ろう”と思ってもらえたら」と話す。
(津市発行の「広報つ!」に掲載された内容を、市の許可を得て再編集しています)
6.まとめ
森林セラピー基地にも認定されている豊かな自然環境の中で、先輩移住者や地元の方々と一緒に田舎暮らしをしませんか!
移住のご相談は津市の美杉総合支所地域振興課までご連絡を。
まずは気軽に情報収集から!
津市公式ホームページ「美杉 田舎暮らし」はコチラ
現役の転職コンサルタント集団。大手人材会社に在籍しているメンバーが多いため、執筆内容に制約がかからないように『匿名性』とし、裏事情やノウハウを包み隠さずにご紹介しています。