「民間企業から公務員に転職できるだろうか」「公務員試験を受けたいけど仕事しながらでも合格できるの?」と悩まれているかと思います。
結論として、民間企業から公務員への転職は可能ですが、働きながら公務員試験に合格するためには、計画的に準備をする必要があります。
このページでは、キャリアのプロとして多くの方の転職支援をしてきた私が、「公務員に転職する前に知っておくべきポイント」と「働きながら公務員試験に合格するためのコツ」を紹介していきます。
<目次>
- 公務員とはどのような仕事なの?
- 民間企業から公務員に転職するメリット・デメリット
- 公務員への転職には公務員試験の受験が必須
- 働きながらの公務員試験勉強法
- 働きながら公務員を目指す際の4つのポイント
- 公務員の採用・求人情報の探し方
全て読めば、満足のいく転職を実現することができるようになるでしょう。
目次
1. 公務員とはどのような仕事なの?
公務員は、国や地方公共団体などの職員として、広く国民に対し平等に働く仕事です。
つまり、公共性が高く、人々のためになる、やりがいあふれた仕事であると言えるでしょう。
本章では、公務員とはどのような仕事なのかについて説明していきます。
1-1. 公務員と民間企業の違い
転職を考えた時、転職先として思いつくのは大きく分けて2つ、『公務員』と『民間企業』があると思います。
公務員と民間企業の主な違いは以下の通りです。
特徴 | 向いている人 | |
公務員 |
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民間企業 |
|
|
次項で公務員の種類について詳しく見ていきましょう。
1-2. 公務員の種類
公務員には大きく分けて国家公務員と地方公務員があります。
ここではそれぞれについて、どのような職種があるのかをご紹介します。
国家公務員の職種
国家公務員は、行政府・司法府・立法府の各国家機関で働くスペシャリストです。
特に行政府で働く職員は、試験区分によってさらに国家総合職、国家一般職、国家専門職に分類されます。
具体的な職種ははそれぞれ以下のようになっています。
試験区分 | 職種 |
国家総合職 | 行政/政治・国際/法律/経済/人間科学/工学/数理科学・物理・地球科学/化学・生物・薬学/農業科学・水産/農業農村工学/森林・自然環境 |
国家一般職 | 行政/電気・電子・情報/機械/土木/建築/物理/化学/農学/農業農村工学/林学 |
国家専門職 | 外務専門職員/国税専門官/財務専門官/労働基準監督官/皇宮護衛官/航空管制官/食品衛生監視員など |
一般的に国家公務員は国家の運営や国際社会を視野に入れた事業にかかわることが多くなっています。
地方公務員の職種
地方公務員は、都道府県・市区町村等で働くゼネラリストです。
地方公務員は勤務先により下記のように区分されます。
- 都道府県|広域的行政サービスを担う
- 市町村|基礎的行政サービスを担う
- 政令指定都市|市町村と都道府県の機能を併せ持つ大都市の職員
- 東京特別区|東京23区の職員
このように地方公務員は、地方行政に基づいて地域に密着した仕事を行う傾向があります。
2. 民間企業から公務員に転職するメリット・デメリット
公務員の仕事は「民間に比べて安定しており、待遇もいい」というイメージから転職を考える方も多いと思いますが、公務員への転職には当然、デメリットもあります。
公務員への転職を考える際には、以下のようなメリット・デメリットがあることを押さえておきましょう。
メリット |
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デメリット |
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メリットとしてはやはり、安定性が最も大きいといえます。
公務員というだけで、名実ともにある程度の信頼を得ることができるといえるでしょう。
一方で、民間企業のように臨機応変に自由に仕事に取り組むのは難しく、自分の裁量でさまざまな仕事をこなしたい方などは、どちらかというと公務員向きではないかもしれません。
3. 公務員への転職には公務員試験の受験が必須
公務員になるには、公務員試験に合格する必要があります。
この公務員試験は、大前提として、学歴・職歴・性別などでの有利不利はなく、1次試験(筆記試験)と2次試験(人物試験)の総合評価で合否が決まるため、極めて公平公正な試験で、幅広く様々な経験を持つ人を求めています。
試験には、大きく分けて『一般枠(大卒程度)』と『民間経験者採用枠』があり、主な違いは以下の通りです。
特徴 | 試験内容 |
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一般枠 |
年齢要件に該当すれば、誰でも受験可能 |
1次試験 |
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2次試験 | 面接 | ||
民間経験者枠 |
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1次試験 |
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2次試験 | 職務経験面接 |
筆記試験の中で教養試験は、下記の分野から出題されます。
- 一般知能分野(文章理解、数的処理)
- 一般知識分野(社会科学、人文科学、自然科学、時事)
そして、一般枠にのみある専門試験では、大学の専門課程(法学部・経済学部・政治学部など)で学習するレベルの問題が出題されます。
また、民間経験者枠の大きな特徴は、論文試験と面接にあり、「民間企業で培った経験を公務にどう活かせるか」をしっかりと伝えられるかが合否を分けるポイントとなります。
試験内容の主な違いは上記の通りですが、職種によってそれぞれ年齢要件、職歴要件、試験制度などが異なっていますので、自分に合った試験を調べてみましょう。
4. 働きながらの公務員試験勉強法
公務員試験は決して簡単な試験ではなく、合格を目指すなら合計で1,000時間以上の勉強が必要だと言われています。
しかし仕事をしていると、どうしても勉強できる時間は限られてしまいます。
そのため、以下で、限られた時間の中でも効率的に勉強する方法を紹介します。
それぞれ見ていきましょう。
4-1. 独学で勉強する
独学が向いている人は、勉強のやり方を理解していて、毎日3~4時間勉強するモチベーションを試験まで維持できる人です。
勉強のやり方を理解しているというのは、過去に受験や資格取得のために勉強したことがあり、自分で参考書や問題集から重要な箇所を拾いながら勉強できることを指します。
これが難しいようであれば、独学での試験対策はあまりおすすめではありません。
4-2. 通信講座を受ける
通信講座を受けるべき人は、自分一人でも毎日3~4時間勉強するモチベーションは維持できるけど、公務員試験の勉強を効率的に行う方法を知らない人です。
最近ではスマホやタブレットで動画講義を受けられたり、一流講師に質問をして回答してもらえるサービスが登場したため、通信講座と言っても、予備校と同じようなクオリティの授業が受けられるようになりました。
時間にとらわれることなく、予備校と同じようなクオリティの授業を受けたい方には、通信講座の利用はおすすめです。
4-3. 予備校に通う
ほとんどの方にはやはり、予備校に通うことがおすすめです。
というのも、予備校には一流の講師がいて、重要なポイントや問題の解き方を教えてくれるため、効率的に勉強を進めることができます。
さらに、授業の時間も決まっているので、同じ目標に向かい勉強する仲間との出会いにより、モチベーションを維持しやすいからです。
もちろん、予備校に通えば合格できるというほど甘い試験ではなく、結局は本人のやる気次第ですが、勉強のやり方が分からなかったり、一人でモチベーションを維持する自信がない人は、予備校に通いましょう。
5. 働きながら公務員を目指す際の4つのポイント
働きながら公務員に転職することは無謀なことではありません。
しかし合格するためには、「働きながら公務員試験に合格するためのポイント」を知っておく必要があります。
以下でこのポイントを紹介しますので、実践してみてください。
5-1. 自分が有利に戦えそうな職種を選ぶ
職種を選ぶときは、受験資格だけでなく、試験内容や倍率も確認した上で、自分が有利に戦えそうな受験先を選ぶ必要があります。
というのも、公務員にはさまざまな職種が存在し、さらに一般枠(大卒程度)か民間経験者枠かによっても、受験科目・倍率・受験資格が大きく異なるからです。
例えば、1次試験の教養科目では、基本的に高校で学ぶ内容、また大卒程度試験では、専門科目でミクロ経済学や憲法、民法といった、大学で学ぶ内容を問われます。
つまり、学生時代の勉強経験が公務員試験に直結すると言えるので、受験先を選ぶときは、自分が有利に戦えそうな試験内容の受験先を選ぶべきです。
5-2. 学習計画を立てる
仕事をしているとどうしても勉強時間が限られてしまいますが、試験日から逆算し無理のない学習計画を立て、それを地道に実践することが、公務員試験合格のカギとなります。
公務員試験で合格するには、合計で1,000時間以上の勉強が必要だと言われており、実際に合格した人たちは、試験の1年も前から、毎日3~4時間の勉強をコツコツと積み重ねています。
ですので、試験日から逆算し、実現可能な学習計画を立てましょう。
5-3. 隙間時間を上手に活用して勉強時間を確保する
独学でも通信講座でも、仕事をしながら毎日3時間のまとまった勉強時間を確保することは容易ではないので、隙間時間を上手に活用することが重要です。
そのため、朝いつもより早く起きて勉強する時間を確保したり、通勤時間・通学時間や昼休みなどの休憩時間などの隙間時間を見つけ、活用することが大切です。
今はスマホでも勉強ができるため、いつでもどこでも隙間時間を見つけて勉強しやすい環境が整っています。
「10分空いたから暗記を進めよう」「30分あるから問題を解こう」など、隙間時間を上手に活用して、コツコツと勉強していきましょう。
5-4. 仕事は絶対やめない
公務員試験に合格するためには勉強時間が必要だと聞いて「じゃあ、仕事を辞めて勉強に専念しよう」と思い切ったことを考える人がいますが、おすすめしません。
というのも、今の仕事を辞めて公務員試験を受けたからと言って、必ず公務員になれる保証はないからです。
公務員試験は難しいといっても、司法書士試験のように勉強だけに専念しないと合格が難しいというレベルではなく、働きながらでも十分に合格を狙える試験です。
ですので、今の仕事は辞めずに勉強と両立して試験合格を目指しましょう。
6. 公務員の採用・求人情報の探し方
公務員試験の採用・求人情報の探し方としては、下記の2つの手段が考えられます。
それぞれ見ていきましょう。
6-1. 『こむいん』で調べる
『こむいん』は、全国の公務員試験の情報を網羅的にまとめてある、公務員試験受験生であれば誰でも知っている公務員求人サイトです。
このサイトさえ見れば、各公務員試験の試験日、申込締切日、年齢制限など、各試験の基本情報を把握することができます。
また、各官庁や自治体のホームページへのリンクが貼られているため、試験情報や職員採用ページへとすぐにアクセスすることができます。
「こむいん」は予備校の先生もイチオシの情報サイトで、信頼性も高いので、必ずチェックしておきましょう。
こむいんサイト:
https://comin.tank.jp/
6-2. 転職サイトで探す
転職サイトの求人は一般的に民間企業のものが多いですが、最近では公務員関連の求人も増えてきています。
ですので、以下で紹介する大手転職サイトに会員登録しておき、公務員関連の求人が出た時にメールで求人情報を受け取れるように設定しておくことがおすすめです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
doda|求人数No.1の総合転職サイト
『doda』は「転職サイト」と「転職エージェント」の2つのサービスを提供しています。
doda転職サイトは10万件以上の求人を保有しており、希望に合った会社を見つけることが可能です。
ただし、手軽に一人で転職活動を行いたいのであれば、転職サイトがおすすめですが、基本的にはサポートの手厚い『doda転職エージェント』を利用するのがおすすめです。
doda公式サイト:
https://doda.jp
リクナビNEXT|リクルート運営の転職サイト
『リクナビNEXT』は、転職業界最大手のリクルートが運営する求人型サイトです。
求人件数も首位で(具体的な数値は非公開)、会員数については約1,200万人、2番手が800万前後と言われていますから、国内での優位性は圧倒的No.1です。
年収600万円を超えるようなハイクラス人材であれば、『リクルートダイレクトスカウト』がおすすめですが、年収600万円に満たない方であれば、すべての人におすすめできる転職サイトです。
公式サイトから登録する:
https://next.rikunabi.com/
type|優良企業を多数紹介してくれる
『type』は、東証一部上場の株式会社キャリアデザインセンターサイトが運営する求人型サイトです。
求人数はもちろん、サイトの操作性が非常に良く『リクナビNEXT』と同様の人気度です。求人の幅を広げるためにも、登録しておきましょう。
また、Typeは転職サイトだけではなく、エージェントサービスも提供しているので、サポートの手厚い『type転職エージェント』の利用もおすすめです。
type公式サイト:
https://type.jp/
7. おわりに
公務員に転職するための方法について解説してきましたが、いかがでしたか?
実際、民間企業から公務員への転職は可能ですが、働きながら公務員試験に合格するためには、計画的に準備をする必要があります。
ですので、「公務員に転職する前に知っておくべきポイント」と「働きながら公務員試験に合格するためのコツ」を押さえながら、コツコツと準備していきましょう。
公務員への転職を考えている方は以下のようなサービスを利用していきましょう。
あなたの転職活動が上手くいくよう、心から願っています。
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