面接官が心得を知らないのはNG?理想の進め方やタブーな質問を徹底解説!

面接官を任されることになって

「良い面接官とは?」
「どんな心得が必要なのだろう」

と考えていませんか?

面接官は会社の顔であり、言動や態度は応募者の志望度に大きく影響します。

そのため、人材を見抜くと共に、応募者が話しやすい雰囲気をつくり、良い印象を与えるよう努めることが大切です。

そこでこの記事では、人事コンサルタントとして多くの面接をサポートしてきた私が、面接官の心得から面接を進める上でのポイントまで詳しく紹介していきます。

  1. 面接官の2つの役割を理解しておく
  2. 面接官の心得と有意義な面接を行うポイント
  3. 面接の具体的な流れと進め方
  4. 採用面接で優秀な人材を見抜くための質問例
  5. 【要注意】面接官が知っておきたいタブーな質問

全て読めば、面接官としての心得がわかり、失敗のない採用活動ができるでしょう。

1.面接官の2つの役割を理解しておく

面接官は「選ぶ役割」と「選ばれる役割」の2つを担っています。

この面接官の役割を理解しておかなければ、自社にとって必要な人材を獲得できず、また会社の悪評が流れてしまう恐れもあるため、まず把握しておくことが大切です。

応募者を選ぶ役割

面接官の1つ目の役割は、応募者を「選ぶ」ことです。

応募者と直接会わなければ得られない情報を引き出し、自社にとって必要な人材かどうかを見極めます。

履歴書だけでは応募者を知ることはできないため、スキルや知識、コミュニケーション能力、価値観など、会話でしか得られない情報を引き出すことに注力しましょう。

応募者に選ばれる役割

面接官の2つ目の役割は、応募者から「選ばれる」ことです。

面接官は「応募者を面接している」のと同時に、「応募者から面接されている」という意識を持ちましょう。

面接では面接官が企業の顔となるため、面接官の態度によって会社のイメージが左右され、志望動機に大きな影響を与えます。

また一次面接の場合、いくつか応募した企業の中の一つである可能性が高く、自社の魅力を伝えて志望度を高めてもらう必要もあります。

優秀な人材を惹きつけ、ぜひ入社したいと思ってもらうためにも、自社の魅力や、入社後の成長機会などについて最大限に伝えることを意識しましょう。

2.面接官の心得と有意義な面接を行うポイント

面接で優秀な人材を見抜き、また会社の魅力を伝えるためには、採用側も入念な準備が必要です。

面接を成功させるために、以下のポイントを押さえておきましょう。

それぞれ説明していきます。

2-1.応募者がリラックスできる空気を作る

まずは応募者がリラックスできる雰囲気づくりを意識しましょう。

面接で重要なのは、応募者の普段通りの様子を知ることです。

応募者が緊張してしまい、本来の魅力を発揮できなければ、応募者と採用側双方にとってデメリットとなります。

アイスブレイクを丁寧に行ったり、笑顔で頷きながら傾聴することを意識したりして、話しやすい空気を作りましょう。

2-2.言葉遣いや態度に気をつける

言葉遣いや態度には十分配慮しましょう。

面接は「対等な交渉の場」であるということを忘れてしまう採用担当は多く、特に新卒領域で高圧的な態度をとってしまう方がいます。

実際『人事のミカタ』の調査によると、約85%の求職者が面接を受けて「この会社には入社したくない」と思ったことがあると回答しています。

出典:『人事のミカタ』

また、面接で「この会社には入社したくない」と思った理由の約75%が「面接官の不快な態度や言動」となっています。

出典:『人事のミカタ』

面接官は「選ぶ役割」だけでなく「選ばれる役割」も担っていることを忘れずに、謙虚な姿勢で臨むことが大切です。

さらに、もしも採用に至らなかった場合も丁寧な態度を心がけていれば、やがて噂となって企業のイメージアップにつながる可能性もあります。

そのため、応募者が自社とは合わないと感じた場合も、応募者をぞんざいに扱うような態度は取らないようにしましょう。

2-3.明瞭な質問を丁寧にする

面接では、応募者がわかりやすい言葉を使って、答えやすい質問を心がけましょう。

というのも、一般的に使われないような専門用語や、「アジェンダ」「ペンディング」のような横文字のビジネス用語を多用すると、応募者に伝わらない可能性があるからです。

キャリア採用で経験者を面接する際にはある程度大丈夫ですが、新卒採用やポテンシャル採用では専門用語を分かりやすい言葉に変換して伝えると親切です。

口コミ・評判

匿名 さん
プログラミング勉強しててわかんない横文字はすぐに調べた方がいいです
面接でよく分からん横文字並べられたときはほんとに焦りました
分からない単語はちゃんと調べよう

出典;Twitter

また、「学生生活はどうしたか?」「前職ではどんな感じでしたか?」のように、どのように答えれば良いかわかりにくい質問も避けた方が良いです。

コミュニケーション能力を計るためにあえて漠然とした質問をすることがありますが、それ以外の場合は質問の意図が伝わりやすい聞き方を心掛けましょう。

2-4.メモに集中しすぎない

面接ではメモは極力取らないことをおすすめします。

応募者は面接官がメモをとる様子を見て、自分のどの発言が拾われたのかを気にするため、あまりに細かく書き留められていくと話しづらくなってしまいます。

応募者に不安を与えないためにも、メモは重要な部分のみとし、メモよりも応募者の回答内容や表情・仕草にフォーカスしていきましょう。

2-5.タイムテーブルを用意しておく

面接をなんとなく進めていくと、質問のし忘れや時間が足りないなどの問題が発生するため、必ずタイムテーブルを用意しておきましょう。

面接のタイムテーブル

  • アイスブレイクで面接の雰囲気をつくる:5分
  • 会社の説明をする:10~15分
  • 応募者へ質問する:15~20分
  • 応募者からの質問に答える:10~15分
  • 事務的な確認をする:5分

時間が足りなくなっていくと、応募者からの逆質問の時間にしわ寄せがいくことが多いです。

終了時間が迫っていることは応募者も敏感に感じ取ってしまい、遠慮させたり焦らせてしまったりするため、落ち着て話せるように時間を管理しましょう。

面接の具体的な流れと進め方については、次章で詳しくお話しています。3章にスキップ≫≫

2-6.身だしなみに注意する

面接官の態度や身だしなみは、候補者の企業へのイメージや志望度に大きく影響します。

業種や部署によっても異なりますが、どんな場合でも最低限以下の2つを意識しましょう。

それぞれ詳しく説明していきます。

(1)清潔感があるか

面接官の身だしなみにおいて最も大切なのは清潔感です。

以下の4点に特に注意しましょう。

髪は整えられているか

男女問わず髪型には注意が必要です。
櫛で梳かしたりワックスで整えたりして、だらしない印象を与えないようにしましょう。

服は汚れていないか、シワはないか

シャツの襟や袖口が汚れていないか、シワが寄っていないかに注意しましょう。
ネクタイを締めている場合は、ネクタイが緩んでいないか・曲がっていないかも確認してください。

髭は整えられているか

男性の場合、髭は毎日綺麗に剃っておくのが理想です。
髭を生やしている場合も、だらしない印象を与えないよう毎日整えると良いでしょう。

メイクはTPOに合っているか

女性の場合、メイクにも注意しましょう。
業種にもよりますが、過度に濃いメイクやすっぴんは避けた方が無難です。
普段あまりメイクをせず慣れていないという方も、眉毛・リップ・チークにメイクを施すだけで印象が変わります。

(2)企業の雰囲気が伝わるかどうか

面接官の服装から、企業の普段の雰囲気が伝わるかどうかも重要なポイントです。

できるだけ普段通りの服装で面接に出席するようにしましょう。

私服勤務が可能な部署であるにもかかわらず、面接があるからとスーツを着てくることは逆効果です。

候補者に対して「もし入社したら、このような服装で勤務することになる」という印象づけができるような格好で臨みましょう。

2-7.仕事に関係のない話は基本的にNG

面接では、仕事と関係のない話題は基本的には避けるようにしましょう。

応募者と打ち解けるために良かれと思ってプライベートな話題を振ったとしても、仕事と無関係な話題はハラスメントや就職差別を疑われる可能性があるからです。

例えば、恋愛観・結婚観・宗教観・政治思想などはセンシティブな話題であり、応募者の適性を図る理由として不適切であるため、このような話題は避けるべきとされています。

詳しい内容は、後ほど解説する「【要注意】面接官が知っておきたいタブーな質問」をチェックしてみてください。

3.面接の具体的な流れと進め方

この章では、面接の基本的な進め方について大きく5つの流れに分けて説明していきます。

順に見ていきましょう。

3-1.アイスブレイクで面接の雰囲気をつくる:5分

まずはアイスブレイクで面接の雰囲気を作りましょう。

応募者の緊張をほぐし、話しやすい空気を作ってあげることで、話を引き出しやすくなります。

その日の天気や時事ネタなど、面接と直接関係のない話をしてみましょう。

トーク例

  • 緊張していませんか?
  • 会場までは何で来ましたか?迷いませんでしたか?
  • 音声が聞き取りづらかったら遠慮なく言ってください。(Web面接)

またここでお互いに自己紹介をする場合には、応募者のコミュニケーション能力を判断することができます。

先にした面接官の自己紹介に対して、応募者がどの程度寄せられるかに注目しましょう。(用意したものをそのまま話すのか、相手の長さに柔軟に合わせるのかなど)

面接官の対応は応募者の「志望度」に影響する

「面接では応募者も会社を選ぶ立場にある」ため、面接官の態度によって志望度が変わる可能性があります。会社の代表であることを意識し、謙虚な姿勢で臨みましょう。

3-2.会社の説明をする:10~15分

アイスブレイクが終わったら、いきなり質問に移る前に会社の説明を簡単にしましょう。

というのも、面接に来た段階で応募者が企業について正しく理解できていることはほとんどないからです。

そのため、まずは以下のような説明をして、より深い理解を促しましょう。

  • 会社沿革・事業内容
  • 今後の展望
  • 募集に至った経緯・求めている人材

また説明を挟むことで、応募者は働くイメージが膨らみ志望度が上がることがあるため、一次面接では特に大切です。

3-3.応募者へ質問する:15~20分

会社の説明を終えたら、応募者への質問を始めます。

質問をする際は、応募者の普段の様子を引き出すように心がけましょう。

ひとつのエピソードについて深掘りしていくと、準備していなかった質問への対応力やその事柄への理解度が分かります。

一方的な質問ではなく、会話のキャッチボールとなるようにしましょう。

採用面接で使える質問例は4章で紹介しています。4章へ進む≫≫

3-4.応募者からの質問に答える:10~15分

面接官からの質問が終わったら、応募者から質問したいことがないか聞きましょう。

質問をするかしないかも入社意欲を判断する材料となります。

応募者が入社後のことをどの程度具体的に考えているかが分かるため、質問内容にも注目してみてください。

【よくある逆質問】

面接官 質問例
 現場責任者
  • 「競合優位性を発揮している、営業社員の強みはどこにあるのでしょうか?」
  • 「現場チームでは、何を大切にして日々仕事されているか教えて下さい。」
  • 「案件の受注から納品まで、どのようなスケジュールで動いていますか?」
人事担当者
  • 「中途社員の比率はどの程度ですか?活躍されている方の特徴はありますか?」
  • 「人事から見た、御社らしさはどのようなものでしょうか?」
  • 「創業理念に共感したのですが、実践のため取り組んでいる事を教えて下さい。」
 役員・社長
  • 「経営者から見た御社の魅力と今後の課題を教えて頂けますか?」
  • 「今後3年の経営を考えた際、従業員には何を求められるのでしょうか?」
  • 「創業理念に共感したのですが、どのような背景から設定されたのですか?」

会社HPを見ればすぐにわかる質問や、待遇を気にしすぎている質問をされる場合は、応募者の仕事に対する熱意が低い可能性があるため注意しましょう。

関連記事

以下の記事では、応募者が逆質問でどのようなことを聞くのか詳しく紹介しています。
転職面接のラスト2分で合格を勝ち取るための逆質問21選

3-5.事務的な確認をする:5分

面接の最後に事務的な確認をしましょう。

  • 次の面接日程
  • 採否の通知方法
  • 入社日・希望年収

上記以外に伝えておきたい諸連絡を伝えて面接は終了ですが、面接の最中に合格と判断できた場合は、その場で次回の日程調整まで行ってしまうこともあります。

その際、簡単な面接のフィードバック(なぜ合格としたのか)も伝えると良いでしょう。

「選考がスピーディーに進む+好意的な評価をされている」と感じることで、応募者側の志望度を上げる効果が期待できます。

以上が面接の大まかな流れとなります。

4.採用面接で優秀な人材を見抜くための質問例

採用面接で優秀な人材を見抜くためには、限られた時間の中で有意義な質問をする必要があります。

以下に面接で使える質問例をまとめたので、参考にしてみてください。

評価項目 質問例
コミュニケーション能力
  • 上司や同僚とコミュニケーションをとる上で、大事なことは何だと思いますか?
  • 好きなことは何ですか?
スキル・経験値
  • 入社後はどのようにして活躍したいですか?
  • 今までで一番やりがいを感じたプロジェクトについて教えてください。
問題解決能力
  • 今までで一番失敗した経験を教えてください。また、どのように解決しましたか?
  • 最近上司から受けたフィードバックは何ですか?
  • 初めての仕事を担当することになった場合、まずどのような行動をとりますか?
ストレス耐性
  • 前職ではどんな時にストレスを感じていましたか?
  • ストレスを感じたときにどう対処していますか?
マネジメント能力
  • 現在の職場の課題とその解決策を教えてください
  • リームリーダーとして新しい仕事をする際、まず初めにどのような行動をとりますか
志向性
  • 自分の成長を実感したことはありますか?それはいつですか?
  • 5年後、10年後に到達していたい将来像はありますか?
カルチャーマッチ
  • どんな軸で会社を選んでいますか?
  • どういった企業が候補に挙がっており、その中で弊社はどのように見えていますか?
  • 最終的な入社の意思決定の決め手は何ですか?
志望度
  • 弊社のどこに興味を持ちましたか?
  • 入社後に何を実現したいですか?
  • 最短でいつ入社できますか?

以下の記事で採用面接の質問について詳しく紹介しています。

関連記事:採用面接で優秀な人材を見抜くための質問とは?面接のポイントを徹底解説!

5.【要注意】面接官が知っておきたいタブーな質問

面接において、応募者に聞いてはいけない質問があります。

厚生労働省によると、面接官は「基本的人権を尊重すること」「純粋な適正・能力のみを評価基準とすること」を意識し、以下のような質問は配慮すべきとされています。

a. 本人に責任のない事項の把握

本人の努力では解決できない事柄が採否の判断材料となることを防ぐため、以下のような質問はしないようにしましょう。

  • 本籍・出生地に関すること
    「出身地はどこですか?」「 生まれてから、ずっと現住所に住んでいるのですか?」
  • 家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)
    「ご両親の職業を教えてください。」「ご両親は共働きですか?」
  • 住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
    「自宅付近の略図を書いてください」「自宅は一戸建てですか?」
  • 生活環境・家庭環境などに関すること
    「お住まいはどのような環境ですか?」「片親となっているのはなぜですか?」

b. 本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握

信教の自由、思想・信条の自由などは憲法で保障されており、採用選考に持ち込むことで基本的人権を侵してしまう可能性があります。

直接質問する場合に加え、質問の形を変えて間接的に思想・信条を確認しようとすることも控えるべきです。

  • 宗教に関すること
    「信仰している宗教はありますか?」
  • 支持政党に関すること
    「政治や政党に興味はありますか?」
  • 人生観、生活信条に関すること
    「将来どのような人になりたいですか?」
  • 尊敬する人物に関すること
    「尊敬している人を教えてください」
  • 思想に関すること
    「現代社会についてどう考えていますか?」
  • 労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
    「学校以外で加入している団体を教えてください」
  • 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
    「家では何新聞を読んでいますか?」

特に、出身地や尊敬する人物はアイスブレイクなどでも聞いてしまいがちであるため、注意しましょう。

まとめ

いかがでしたか?

面接官の態度や質問は、人材採用を成功につなげる重要な要素です。

応募者に敬意を払い、面接官も「選ばれる」存在であることを意識すれば、面接はうまく進行できるでしょう。

この記事が「面接マニュアル」としてお役に立てれば幸いです。