コロナ禍でリモートワークが進む中、地方移住を検討する人も多いのではないでしょうか。東京圏からの移住者に対しては国が支援をしていますが、自治体も各自の支援策を展開しています。
そこで、東京圏以外からの移住者も活用できる全国の地方自治体の魅力的な取り組みをご紹介、地方移住を検討しているが地域を決め切れていない人や、今はまだ地方移住に具体的な興味を抱いていない人にも参考になる情報をお届けします。今回は、『飛騨市(岐阜県)』です。
今回ご紹介する飛騨市の移住支援事業の詳しいお話やまちの魅力について、飛騨市ふるさと応援係の橋本真之介氏にお話を伺いました。
1.飛騨市ってどんなまち?
飛騨市データ(参照以外は飛騨市HPの情報)
1-1.伝統とチャレンジが混在するまち
飛騨市は2004年2月1日に、古川町、河合村、宮川村、神岡町の2町2村が合併し誕生したまちで、岐阜県の最北端に位置します。
四季を肌で感じられ、冬の厳しい寒さを乗り越えてから迎える春の暖かさは格別です。
私たちの町の宝物は「人と人とのつながり」。
移住者の先輩もたくさんいます。
人口2万2000人ほどの飛騨市では、だれもが地域のプレイヤー、だれもが地域の主人公になれる場所です。
昔から伝わる祭や文化が色濃く残っている一方で、移住された方も含めた地域の方が町のためにさまざまなチャレンジをしており、飛騨市は古いものと新しいものが絶妙に混在しているまちとなっています。
1-2.”お困り”を解決しながら飛騨市とつながる
飛騨市には、「ヒダスケ」という住民と市外の人とが互助的にかかわり合う特徴的な取り組みがあります。
人口減少、少子高齢化が進む中で飛騨市が抱える「お困りごと」を、住民ではないが飛騨市を助けたい、飛騨市と関わりたい、飛騨市が好きという人がプログラムを通じて解決していきます。
プログラムに参加すると、電子地域通貨「さるぼぼコイン」や特産品などが”お返し”としてもらえます。
2.飛騨市に移住したくなる移住支援制度
飛騨市では、移住を考える人に対して「きっかけ」や「おうえん」になるような補助制度が豊富です。(※飛騨市内に居住する二親等以内の親族を持たない方であり、かつ5年以上定住する意思のある人が対象)
- 2-1. 移住検討交通費補助金
- 2-2. 移住検討宿泊費補助金
- 2-3. 移住奨励金
- 2-4. 転入準備品支援事業補助金
- 2-5. 引越し費用補助金
- 2-6. ペーパードライバー講習費用補助金
- 2-7. 雪国デビューパック
- 2-8. 移住者への米贈呈事業 (米10俵プロジェクト事業)
- 2-9. 就職奨励金
- 2-10. 住宅新築・購入支援助成金
- 2-11. 移住者住宅取得等資金利子補給金
2-1.移住検討交通費補助金
まず、「移住検討交通費補助金」について教えてください。
「移住検討交通費補助金」
【補助金額】
最高1万円(住所地によって補助金額が決まります)※一世帯あたり2回まで
【対象】
飛騨市への移住を検討するために移住前に飛騨市を来訪し、飛騨市移住コンシェルジュの案内、または飛騨市住むとこネット登録事業者の案内による空き家見学等を行う方
そのため、電車、バス、車など、どのような手段で来ても費用がかかるため、移住検討のハードルを下げるために飛騨市にお越しくださった際に一部費用を補助しています。
2019年度に始まった本事業は多くの方にご利用いただいています。
補助金を受けとる条件の一つに、飛騨市移住コンシェルジュの案内を受けるか、飛騨市住むとこネット(空き家バンク)の掲載物件の内覧をする必要がありますが、これらを利用することで、より飛騨市への移住がクリアになると思います。
2-2.移住検討宿泊費補助金
移住体験も兼ねているため、対象宿泊施設はある程度自分自身で用意する必要があるゲストハウスか民泊に限定しております。
2-3.移住奨励金
「移住奨励金」
【補助金額】
さるぼぼコイン(電子地域通貨)または古川町商品券、神岡町商店会連合会
単身世帯:10万円相当、2名以上の世帯:15万円相当
【対象】
飛騨市に移住者された方
地域通貨が使えるお店は基本的に大手チェーン店でなく、地元資本のお店なので、飛騨市ならではのお店で利用いただき、早く地域になじんでもらうことを狙っています。
自然と地域の方との会話が増えそうです。
2-4.転入準備品支援事業補助金
「転入準備品支援事業補助金」
【補助金額】
- 保育園等:1万円
- 小学校:2万円、中学校:6万円
【対象】
- 飛驒市に住所を有する保育園等の入園の認定があった園児の保護者
- 飛驒市に住所を有する市内小中学校に在籍する交付対象児の保護者
※ 飛騨市内での取り扱いが無い物品を除き原則飛騨市内業者からの購入品に限る。
特に、中学校では学生服が必要となり、お金がよりかかるため、中学生の転校はより手厚く補助しております。
2-5.引越し費用補助金
「引越し費用補助金」
【補助金額】
総額1/2以内 上限5万円 ※1世帯1回限り
【対象】
移住者のうち飛驒市に引っ越した日から1ヶ月以内に転入の届出をした者で、引越しをする際に運送業者を利用した者
2-6.ペーパードライバー講習費用補助金
「ペーパードライバー講習費用補助金」
【補助金額】
1人2回まで(全額)
【対象】
移住者のうち自動車学校でペーパードライバー講習を受講した者
お店が分散しており、生活していく上では車が必要となります。
都市部の生活などで長らく車の運転をされなかった方の不安を解消するために、自動車学校が行うペーパードライバー講習の費用を補助しております。
かゆい所に手が届く施策ですね。
2-7.雪国デビューパック
「雪国デビューパック」
【補助金額】
- 除雪用品
総額1/2以内 上限1万円 ※1世帯につき1回限り - スタッドレスタイヤ
車両1台につき 総額1/2以内 上限3万円 ※1回限り
【対象】
- 除雪用品
移住者本人が使用する為に購入した除雪用具費用。豪雪地帯対策特別措置法第2条の規定による指定地域以外から飛驒市に転入した移住者※ 飛騨市内業者からの購入品に限る。 - スタッドレスタイヤ
移住者本人が使用する為に購入したスタッドレスタイヤ費用。豪雪地帯対策特別措置法第2条の規定による指定地域以外から飛驒市に転入した移住者※ 飛騨市内業者からの購入品に限る。
雪国暮らしでは雪かき用のスコップや、スタッドレスタイヤ(冬タイヤ)が必須アイテムになるため、それらの購入費用を一部補助しています。
また、毎年冬には移住者と移住検討者を対象とした「屋根の雪下ろし講習会」を実施しており、安心安全な屋根の雪下ろしをベテランの方が伝授しています。
講習会もありがたいですね。
2-8.米10俵プロジェクト事業
お米を贈呈されるというとてもユニークな制度ですね。
「移住者への米贈呈事業 (米10俵プロジェクト事業)」
【補助金額】
1世帯1年度あたり1俵(60kg)の米を10年間贈呈
【対象】
次のいずれにも該当する方
- 転入してから3年以内に、住宅を取得した方
- 「1」に該当になった日から1年を経過していない方
- 市内に2親等以内の親族がいない方 他
特徴的なこの取り組みは全国から注目いただき、移住者の助けにもなっています。
2-9.就職奨励金
「就職奨励金」
【補助金額】
- 学卒者等就職者 7万円
- UIタ一ン就職者 5万円
【対象】
次のいずれかを満たし、市内事業所に3年以上常用労働者として勤務し、引き続き本市民である意思を持つ方(対象外の業種あり)
- 学卒者等就職者:中学校、高等学校、大学、各種学校及び職業訓練所を卒業又は中退後、3年以内に飛騨市民として就職した方
- UIターン就職者:飛騨市に転入と就職を3年以内に行い、就職時の年齢が満45歳以下の方
都市部と比べると業種はある程度限られていますが、地元を愛し地元に愛される魅力的な企業がたくさんあります。飛騨市では、企業ステーションHidaという企業情報サイトも開設しています。
2-10.住宅新築・購入支援助成金
「住宅新築・購入支援助成金」
【補助金額】
次に示す基本額・加算額のうち、対象者が該当する金額を合計した額(最大230万円 新築又は購入価格が上限)
■基本額
- 住宅取得額1000万円未満:10万円
- 同 1000万~2000万円未満:20万円
- 同 2000万円以上:30万円
■加算額
- 転入世帯:50万円(単身赴任で転出している場合を除く)
- 市内業者の新築施工:30万円(建売住宅購入を含む)
- 移住世帯の住宅改修工事費の1/3(上限額150万円)
【対象】
飛騨市内に定住する目的で住宅を取得する方 (契約を締結し取得の手続きを終えた住宅が対象)
移住者を含めた転入世帯に対しては助成金が加算され、また、飛騨市の空き家バンク「住むとこネット」内の空き家物件を購入しリフォームした際も、そのリフォーム費用の補助をしております。
中古物件を購入して、自分で好みに合わせたリフォームをするのも、選択肢の一つだと思います。
2-11.移住者住宅取得等資金利子補給金
移住者住宅取得等資金利子補給金
【補助金額】
1月から12月までに支払った住宅ローン(リフォームローン含む。)の利子のうち、年利1パーセントに相当する額を36ヶ月間補給
【対象】
転入の日から前後3年以内に生活の本拠とする住宅を取得した移住者の方で、金融機関から住宅ローン(リフォームローン含む。)を借り入れて、当該住宅の取得、または転入の日から3年以内に当該住宅の改修工事を行った方。
3.実際に飛騨市に移住した人の声
実際に飛騨市に移住した人々はどのような感想を抱いているのでしょうか。
ここでは、移住した人の声をご紹介します。
井関さんご一家
夫:大阪府寝屋川市出身 妻:名古屋市出身 子ども:一男一女もともとものづくりが好きで、高校卒業後、木工の勉強をするために高山市にやってきたという夫の貴文さん。木工会社に勤務後、アルバイトでの農業体験でその面白さに開眼して7年前に新規就農しました。
飛騨市に移住したきっかけは、有機農業に取り組む飛騨市在住の仲間の存在。「水が良かった」という理由で決めた住宅に飛騨市で出会ったのも決め手になりました。
広葉樹の多い森からもたらされる水は水量も豊富で、上流に人家がないことで受ける影響が少なく、日当たりもよいなど農業をするための条件にぴったりだったと言います。
妻の美穂さんは、以前住んでいた家では、道路に車の往来が多く、なかなか自由に遊ばせられる環境ではなかったといい、「子どもを外で自由に遊ばせたかった」「今は周囲が自然豊かで、安心して子どもを遊ばせられます」と話します。
(※移住者の声は2023年10月号の「広報ひだ」の内容を、市の許可を得て一部再編集し掲載しています。詳しくはぜひ、本編をお読みください。)
4.まとめ
飛騨市では移住を検討されている方への交通費等を補助しておりますし、飛騨市職員や移住コンシェルジュが移住のアドバイスをしています。
地域の方との関わりを体験するために「ヒダスケ」に一度参加してみるのもおススメです!まずは一度、お気軽に飛騨市にお越しください。
飛騨市移住お役立ちサイト
- 飛騨市公式ページ
- 飛騨市移住支援サイト「飛騨に暮らす」
- ヒダスケ!公式ページ
現役の転職コンサルタント集団。大手人材会社に在籍しているメンバーが多いため、執筆内容に制約がかからないように『匿名性』とし、裏事情やノウハウを包み隠さずにご紹介しています。