コロナ禍でリモートワークが進む中、地方移住を検討する人も多いのではないでしょうか。東京圏からの移住者に対しては国が支援をしていますが、自治体も各自の支援策を展開しています。
そこで、東京圏以外からの移住者も活用できる全国の地方自治体の魅力的な取り組みをご紹介、地方移住を検討しているが地域を決め切れていない人や、今はまだ地方移住に具体的な興味を抱いていない人にも参考になる情報をお届けします。今回は、『日立市(茨城県)』です。
今回ご紹介する日立市の移住支援事業の詳しいお話やまちの魅力について、日立市住政策推進課の石井さんにお話を伺いました。
1.日立市ってどんなまち?
日立市データ(参照以外は日立市HPの情報)
夜の空は星が綺麗で波の音が心地良く、都会では味わえない自然に恵まれた環境を日立市は数多く有しています。
都心から車でも電車でも、90分以内で着く利便性も兼ね備えています。
市内には北関東最大級の「かみね動物園」や、全天候対応型子どもの遊び場、「Hiタッチらんど・ハレニコ!」を始め、レジャーランドや大型ショッピングセンター、プラネタリウムや科学館など、子どもから大人まで大満足のスポットが目白押しです。
また、県外の企業に勤めながらテレワークをする方にも手厚い支援を用意していますので、新しいワークスタイルを探している人にもピッタリの地域です。
自然環境に恵まれながらのびのび子育てをしたい方、景色のいい環境で優雅にテレワークしたい方などは、日立市移住ポータルサイト「ひたちぐらし」をぜひご覧ください。
今でも日立駅から見える朝日は絶景で、見渡す限りの水平線から徳川光圀公が惚れ込んだ朝日を見ることができます。
海を眺望できるオシャレなカフェも併設されており、SNS映えするスポットとして人気を集めています。
その発展とともに人口の増加、産業の集積が進みました。
産業の発展過程で発生した公害問題に対し、自然環境を回復するために桜の植栽に取り組んできたことから、市内各所に市の花「サクラ」を見ることができ、特に「かみね公園」「平和通り」は、日本のさくら名所100 選に選ばれています。
2.日立市に移住したくなる移住支援制度
日立市では、移住を考える人に対して補助制度やサポート体制が整っています。
- わくわく茨城生活実現事業
- ひたちテレワーク移住促進助成事業
詳しく伺っていきましょう。
2-1.日立市UIターン住就職等支援金(全国型)給付事業
まずは「わくわく茨城生活実現事業」について教えてください。
「わくわく茨城生活実現事業」
【補助金額】
世帯 100万円
※18歳未満の世帯員を帯同する場合は1人につき30万円を加算
単身 60万円
【対象】
東京23区に在住または、東京圏在住で23区に通勤している人が、茨城県に移住し、就業又は起業等しようとする場合
日立市でも、主に若い世代の移住・定住を促進するために、積極的に取り組んでいます。
東京圏からテレワークで移住してくる方は、「ひたちテレワーク移住促進助成金」(※後述)との併用が可能で、最大261万5千円の助成を受けることできます。
移住後の不安も軽減できそうです。
2023年度からは、18歳未満の子どもがいる場合に一人当たり30万円の子供加算も支給されますので、子育て世帯の移住も今後増えることが予想されます。
特に東京圏からUターンで日立市に戻ってくる方が増えてきています。
2-2.ひたちテレワーク移住促進助成事業
「ひたちテレワーク移住促進助成事業」
【補助金額】
■住宅取得をする場合
令和2年10月1日以降に住宅取得に関する契約を締結した方で、令和5年3月31日までに建物の所有権保存登記が完了する方
項 目 |
補助経費 | |
住 宅 |
100万円 | |
同居・近居 |
同居 | 20万円 |
近居 | 10万円 | |
水道料金 |
1万5千円 | |
テレワーク助成 | 通信機器整備費 | 20万円 |
交通費相当額 | 10万円 | |
コワーキング施設利用料(※) | 10万円 | |
計 | (最大) 161万5千円 |
■アパート等を賃借する場合
令和2年10月1日以降に戸建住宅やアパート等の賃貸契約を締結した方
項 目 | 補助経費 | |
住 宅 | 初期費用(引越等) | 10万円 |
家賃(4万×12月) | 48万円(※) | |
同居・近居 | 同居 | 20万円 |
近居 | 10万円 | |
水道料金 | 1万5千円 | |
テレワーク助成 | 通信機器整備費 | 20万円 |
交通費相当額 | 10万円 | |
コワーキング施設利用料(※) | 10万円 | |
計(最大) | 111万5千円 |
※家賃の1月2日(最大4万円)
※家賃は半年払い
※初期費用と家賃の計(最大50万円)
■実家等に住む場合
令和2年10月1日以降に県外から日立市内の実家に戻る方
項 目 | 補助経費 | |
テレワーク助成 | 通信機器整備費 | 20万円 |
交通費相当額 | 10万円 | |
コワーキング施設利用料(※) | 10万円 | |
計(最大) | 40万円 |
(※)コワーキング施設利用料は、協力店(コワーキング施設・カフェ)の施設利用料の支払いに使えるチケット「ひたちテレワーク応援チケット」(1枚500円の金券10万円分)を贈呈します。
日立市への移住者(39歳まで・令和2年10月1日以降の転入者)で、いずれかの条件に該当する方
- (1) 県外企業への勤務を継続しながら、テレワークを実施する方
※テレワーク勤務証明書を提出 - (2) 県外企業等から受注し、リモートワークにより仕事を継続するフリーランスの方
※税務署への開業届(写し)及び直近の確定申告書(写し)又は納税証明書(写し)を提出
※その他詳細は、市の該当ページでご確認ください。
テレワークは定期的な出勤を要さないことにより、「転職なき移住」を可能にしました。
その結果、会社の近くに住む必要が無くなった方の中で、生まれ育った地域へのUターン移住や、地方への移住に関心を示す人が多くなっています。
県外への勤務等を継続しながらテレワークを行うために本市に移住した方に、住宅の「取得」や「賃借」、「帰郷(実家住まい)」の3パターンの支援制度を用意しています。
※ひたちテレワーク移住促進助成事業について、5章「実際に日立市に移住した人の声」でも紹介しています。
3.日立市は起業・就業支援も充実
続いて、起業・就業支援に関して伺いましょう。
- 女性の就業専門資格取得等補助金
- 日立市若者資格取得補助金
- まちなか空き店舗活用事業
3-1.女性の就業専門資格取得等補助金
「女性の就業専門資格取得等補助金」
【対象】
1または2のいずれかにあてはまる市内在住の女性で、
最終学歴(通信制大学を除く)の在籍年度から5年を経過しているかた。
- 無職、または非正規雇用で就業している女性が対象の資格を取得し、その資格を活用して就業しようとする場合
- 幼稚園教諭免許状を持つ女性が、認定こども園や幼稚園へ就職するために免許状更新講習を受講した場合
(常勤・非常勤を問わず現職は除く)
【内容】
資格取得や幼稚園教諭免許更新で就業をめざす女性のための補助金。
出産・育児・介護などのために離職した女性や就業したことのない女性の就業を応援するため、就業に役立つ資格を取得する際の経費の一部を補助。
【補助金額】
補助対象経費の2分の1(上限10万円)※千円未満は切り捨て
◆補助対象経費が2万円を超える場合(20,001円以上)に限る
(例) 補助対象経費 16万5,000円×1/2=8万2,500円
千円未満は切り捨てなので、補助額は 82,000円
※対象とならないケース
- 他の制度によって、補助対象経費の2分の1以上に相当する額の補助金、給付金、就学支
援金等を申請、または受給している場合 - 過去にこの補助金を受けている場合
◆申請方法
資格取得から4カ月以内に指定の補助金交付申請書などを提出
一度離職してブランクがあると、離職前と同程度の条件で就職することは困難であり、多くの女性が非正規雇用労働者(パートタイマー、アルバイトなど)として就業する傾向がみられます。
男女共同参画局によると、2020年における非正規雇用労働者の割合は女性は54.4%、男性は22.2%だそうです(参照:内閣府男女共同参画局)。
出産・育児・介護などのために離職した女性や就業したことのない女性の就業機会の拡大及び、非正規雇用労働者として働く女性の雇用の安定を図ることを目的に、就業に有利な資格取得に要した経費の一部を補助しています。
平成29年7月から始まったこの事業は、現在までに60人を超える女性が補助を活用しています。
3-2.日立市若者資格取得補助金
「日立市若者資格取得補助金」
【内容】
若者の更なる能力向上(キャリアアップ)や就業機会の拡大を応援するため、各種資格の取得に係る経費の一部を補助
【対象】
次の要件をいずれも満たす方
(1) 申請日に日立市に住所のある、満18歳以上満39歳以下の方
(2) 対象資格の試験に合格した方
※ 試験を要しない講習などの場合は、講習を修了した方
- 申請は、同一年度につき一人1回です。
- 高等学校、大学、短期大学及び高等専門学校の在籍者は除きます。
- 日立市奨学生ふるさと定住促進補助金及び日立市奨学生医療・介護・福祉職就業支援補助金を受給している方又は受給を予定している方は除きます。
- 日立市母子家庭等高等職業訓練促進給付や資格取得を目的とした市の制度を受給している方、又は受給を予定している方は除きます。
- 上記に記載のある制度以外の制度により、補助対象経費の2分の1以上の額を受給している方、又は受給を予定している方は除きます。
- 資格取得から4カ月以内に申請してください。
【対象となる資格】
教育訓練給付制度において、厚生労働大臣が指定する講座で取得可能な国家資格・公的資格など
(例)看護師、保育士、宅建士、建築士、理・美容師、調理師、気象予報士、インテリアコーディネーター、簿記 など
※その他多数対象となる資格があります。
対象資格は教育訓練講座検索システムで検索できます。
「ひたち若者かがやきプラン」では18歳から39歳までの若者世代が、自分らしい生き方を見つけ、夢や目標を実現し、幸せを感じられる暮らしができることを願い、本市での暮らしが、育ちの場、学びの場、成長の場、安住、活躍の場となるよう、若者のチャレンジを応援することとしています。
若者世代が資格を取得したことにより、就職や就業先でのキャリアアップにつながることはもとより、チャレンジしたことで自信を持ち、潤いのある豊かな暮らしと充実感が得られることを願い、資格取得に要した経費の一部を補助する制度で、2021年7月から実施しています。
3-3.まちなか空き店舗活用事業
「まちなか空き店舗活用事業」
【内容】
市内駅から1キロメートル以内、またはBRT(私鉄線路跡を利用したバス高速輸送システム)停車場から500メートル以内の商業地域の空き店舗において、新たに飲食店や物販店、サービス提供店舗を出店する際の費用を補助する制度
【対象業種】
小売業、飲食業、サービス業などで次の条件を満たすもの。
- 風俗営業法該当事業、異性紹介事業に該当する事業ではないこと
- フランチャイズ契約に基づく加盟店でないもの
- 出店後3年以上継続して営業する予定のもの
- 市内の他の場所から移転する場合、移転前の店舗を空き店舗としないもの
- 1日5時間以上かつ週5日以上営業するもの
空き店舗の条件や支援額については詳細な規定があるため、市の該当ページでご確認ください。
100万円を上限として、内外装工事費、備品購入費、広告宣伝費を補助します。
4.日立市は子育ても強力サポート
日立市は独自の子育て支援も充実しています。
- 日立市乳児おむつ等購入費助成事業
- 産前・産後ママサポート事業
- ランドセルの無償支給
- 新入学生徒用スクールカバン購入事業
それぞれについて、伺ってみましょう。
4-1.ひたちすこやか赤ちゃんクーポン券の贈呈
「ひたちすこやか赤ちゃんクーポン券の贈呈」
【内容】
乳児用おむつ、おしりふき、ミルクを購入できる「ひたちすこやか赤ちゃんクーポン券」8万円分を贈呈。
【対象】
日立市に住所を有し、市内の産科医療機関(日立総合病院)で出生した乳児と同居する保護者の方
※クーポンの申請方法など詳細については市の該当ページをご覧ください。
36の市内指定取扱店舗で使用できます。
4-2.産前・産後ママサポート事業
そのようなお母さんたちをサポートするため、妊娠中または出産後の方で、日中に頼れる親族などがいない方を対象に、家事や育児をサポートする事業です。
市と委託契約した事業者のホームヘルパーがご自宅へ訪問して支援を行います。
産前・産後ママサポート事業
【利用料】
無料
【補助サポートの内容】
(1) 家事に関すること
- 食事の準備、後片付け
- 衣類などの洗濯
- 居室などの清掃及び整理整頓
- 生活必需品の買物
- その他、必要な家事支援
(2) 育児に関すること
- 調乳の準備、後片付け
- 沐浴の準備、後片付け
- その他、必要な育児支援(沐浴介助やおむつ替えなど)
【利用回数】
1世帯当たり1日につき1回
産前・産後で20回を限度(多胎児の場合は、40回を限度)
※利用手続きや注意事項などは市の該当ページをご覧ください。
利用実績はいかがですか?
4-3.ランドセルの無償支給
小学校新1年生に、軽くて便利なファスナー式薄型ランドセルを入学式当日に贈呈しています。
日立市へ転入した方にも希望があればランドセルを贈呈しています。
4-4.新入学生徒用スクールカバン購入事業
「新入学生徒用スクールカバン購入事業」とはどのようなものですか?
保護者の経済的な負担の軽減を目的として、新たに市立中学校へ入学する新中学1年生に、大容量で丈夫なスクールカバンを贈呈しています。
5.実際に日立市に移住した人の声
実際に日立市に移住した人々はどのような感想を抱いているのでしょうか。
ここでは、移住した人の声をご紹介します。
◆モンゴル出身、都内企業に勤めながら日立市に移住
DASHDEMBEREL BATCHUNAG
(ダシュデンベレル バトチュナグ)さん
1990年生まれ、モンゴル出身、日本在住11年目(2021年現在)モンゴルで生まれ育ち、高校卒業後、大学に留学するため来日。東京工業大学 情報理工学院で情報科学を学ぶ。卒業後は大手企業に就職し、ソフトエンジニアとしてWeb開発を担当。
来日後は東京に住んでいたが、コロナ禍で完全テレワークが可能になり、移住を考え始める。友人が茨城に住んでいたこと、趣味のサーフィンがしやすいこと、海と山の距離が近く自然が豊かであることから、移住先を日立市に決定。
2021年6月に移住し、ワークライフバランスの充実した日々を送っている。
Q.数ある市町村の中で、日立市を選んだ理由を教えてください。
A.趣味のサーフィンをしに訪れていた茨城と伊豆が候補に挙がり、どちらにしようと考えていく中で、一緒にサーフィンをする仲間がいたほうが楽しいだろうなと思い、友人が住んでいる茨城に決めました。
海だけでなく山も大好きだから、キャンプやハイキングもできる場所がいいなと思い、
Google earthを見ていたら、海岸と山間部の距離が近い日立市を見つけたんです。
Q.日立市の移住支援制度「ひたちテレワーク移住促進助成事業」を活用されているそうですが、実際に利用しての感想を聞かせてください。
A.助成制度の中には、コワーキング施設やカフェでテレワークした際の施設利用料の支払いに使える「ひたちテレワーク応援チケット」というものがあります。
資金面での支援はありがたいですし、日立市のいろいろな場所を知るきっかけにもなりました。
チケットは、3ヵ所のコワーキングスペースと、4つのカフェで使えます。私は、常陸多賀駅から徒歩1分の「マイクロクリエイションオフィス晴耕雨読」や、日立駅構内にある「シーバーズカフェ」などを利用しました。
車を持っていないので、駅の近くの施設を選んでくれたのはありがたいです。
車を手に入れたら、他の場所も利用してみたいと思います。
また、制度の中にはテレワーク助成として、通信機器の整備費補助も含まれています。
おかげでルーター、インターネット工事などがスムーズに済み、家で作業できる環境を整えることができました。
Q.テレワークという働き方のメリット&デメリットについて教えてください。
A.テレワークのメリットは、時間や場所の制約がないことです。
午前中はコワーキングスペースやカフェで、午後は自宅でというように、場所を選ばず、自由な時間でフレキシブルに仕事ができます。
オフィスへの出社に関してですが、私は完全テレワークなので、移住後一度も出社せずに働いています。
デメリットは、コミュニケーションのとり方が難しいことです。
同じ空間にいると自然に会話ができますが、テレワークだとそうはいきません。
自分から積極的にコミュニケーションをとるよう、努力しなくてはと思っています。
また、テレワークは通勤時間がなくなる分、運動不足にもなります。
健康維持のために、月50キロメートルを目標にランニングを頑張っています。
Q.ワークライフバランスに変化はありましたか?
A.移住をしたことで、サーフィンをする頻度が増えました。
東京にいた頃は休日しかできなかったので…。
私は仕事時間の融通も利くので、移住後は平日の朝8時から2〜3時間サーフィンをして仕事をするという日もあります。
朝好きなことをすると、気分が良くなり仕事も捗ります。
移住して良かったです。
6.まとめ
また、JR常磐線、国道6号、常磐自動車道などのネットワークで結ばれており、交通条件にも恵まれた地域で、県庁所在地である水戸市や首都圏にもアクセスしやすい地域となっております。
自然と利便性の調和が取れた日立市で、新しい生活『ひたちぐらし』を始めてみませんか。日立市への移住に興味があれば、いつでも移住相談窓口にお問い合わせください。
現役の転職コンサルタント集団。大手人材会社に在籍しているメンバーが多いため、執筆内容に制約がかからないように『匿名性』とし、裏事情やノウハウを包み隠さずにご紹介しています。