コロナ禍でリモートワークが進む中、地方移住を検討する人も多いのではないでしょうか。東京圏からの移住者に対しては国が支援をしていますが、自治体も各自の支援策を展開しています。
そこで、東京圏以外からの移住者も活用できる全国の地方自治体の魅力的な取り組みをご紹介、地方移住を検討しているが地域を決め切れていない人や、今はまだ地方移住に具体的な興味を抱いていない人にも参考になる情報をお届けします。今回は、『福井市(福井県)』です。
今回ご紹介する福井市の移住支援事業の詳しいお話やまちの魅力について、福井市移住定住推進室の荒川さんにお話を伺いました。
1.福井市ってどんなまち?
福井市データ(参照以外は福井市HPの情報)
子どもの学力、体力も全国トップクラスで、待機児童ゼロなど子育て環境が整っています。また、海と山の幸など食も豊かです。
また、桜の名所百選に選ばれている足羽川の桜並木(約2.2km)は圧巻です。海も山もあり自然が豊かなまちです。
2024年には北陸新幹線が金沢(石川県)から敦賀まで延伸し、福井開業となります。
さらに2026年には中部縦貫自動車道の全面開通を控えており、首都圏や中京圏とのアクセスも良くなります。
2.福井市に移住したくなる移住支援制度
福井市では、移住を考える人に対して補助制度やサポート体制が整っています。
- 福井市UIターン移住就職等支援金(全国型)給付事業
- 福井市UIターン移住就職等促進支援金(東京圏型)給付事業
詳しく伺っていきましょう。
2-1.福井市UIターン移住就職等支援金(全国型)給付事業
まずは「福井市UIターン移住就職等支援金(全国型)給付事業」について教えてください。
■福井市UIターン移住就職等支援金(全国型)給付事業
世帯 | 補助金額 |
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単身世帯 | 10万円 | 5万円 | |
18歳以上40歳未満の単身女性 | 15万円 | 10万円 | |
2人以上の世帯 | 20万円 | 10万円 | |
若年夫婦世帯※1 | 30万円 | 20万円 | |
子育て世帯 | 子ども1人 ※2 | 30万円 | 20万円 |
子ども2人 | 40万円 | 30万円 | |
子ども3人以上 | 50万円 | 40万円 |
※1:若年夫婦世帯…夫婦のいずれかが40歳未満の夫婦のみで構成される世帯のこと。
※2:子ども…中学校を卒業するまでの子のこと。
【対象】 以下の要件にすべて当てはまる人
- 18歳以上50歳未満
- 住民票を福井市へ移す直前の住所が、連続して3年以上福井県外にある
- 移住支援金の申請日から3年以上、継続して本市に居住する意思を有している
- 転入後15か月以内であること。ただし、転入と就業の要件を満たしてから3カ月以内の申請が必要
※その他、就業要件の詳細などは市のホームページでご確認ください。
子育て環境が整った住みやすいまちですので、
子育て世帯など、比較的若い年齢層の移住に期待しております。
2-2.福井市UIターン移住就職等促進支援金(東京圏型)給付事業
「福井市UIターン移住就職等促進支援金(東京圏型)給付事業」
補助金額 | |
2人以上の世帯 | 100万円 |
単身世帯 | 60万円 |
★満15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある世帯員(「子ども」という)を帯同して移住する場合
→子ども1人につき30万を加算する
【対象】 (1)移住元の要件、(2)移住先の要件、(3)就業の要件、または(4)起業の要件、(5)その他の要件のすべてに該当する方が交付対象
←左右にスクロールできます→
移住元の条件 (ア)(イ)の全てを満たすこと |
(ア)住民票を移す直前の10年間のうち、通算5年以上、東京23区内に在住又は東京圏のうちの条件不利地域以外の地域に在住し、 東京23区内への通勤(雇用者としての通勤の場合にあっては、雇用保険の被保険者としての通勤に限る。)をしていたこと。 ただし、東京圏のうちの条件不利地域以外の地域に在住しつつ東京23区内の大学などへ進学し、東京23区内の企業等へ就業 した者については、通学期間も本事業の移住元の対象期間とすることができる。 |
(イ)住民票を移す直前に、連続して1年以上、 東京23区内に在住又は東京圏のうちの条件不利地域以外の地域に在住し、 東京23区内への通勤(雇用者としての通勤の場合にあっては、雇用保険の 被保険者としての通勤に限る。)をしていたこと。 ただし、東京23区内への通勤の期間については、住民票を移す3ヶ月前まで を当該1年の起算点とすることができる。 |
一般就業 | 福井暮らすはたらくサポートセンターのホームページ「291JOBS」にて、 【移住支援金対象】と掲載されている求人に新規就業された方で、以下の就業要件に該当する方次に掲げる事項の全てに該当すること。 (ア)勤務地が、東京圏以外の地域または東京圏内の条件不利地域に所在すること。 (イ)就業先が、「291JOBS」の【移住支援金対象】と掲載されている企業であること。 (ウ)就業者にとって3親等以内の親族が代表者、取締役などの経営を担う職務を務めている法人でないこと。 (エ)週20時間以上の無期雇用契約に基づいて就業し、申請時において連続して3か月以上在職していること。 (オ)上記求人への応募日が、「291JOBS」に、移住支援金の対象求人として掲載された日以降であること。 (カ)当該法人に、移住支援金の申請日から5年以上、継続して勤務する意思を有していること。 (キ)転勤、出向、出張、研修等による勤務地の変更ではなく、新規雇用であること。 |
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専門人材の就業 | 内閣地方推進室が実施するプロフェッショナル人材事業又は 先導的人材マッチング事業を利用して移住及び就業し、以下の各号全てに該当すること。 (ア)勤務地が東京圏以外の地域又は東京圏内の条件不利地域に所在すること。 (イ)週20時間以上の無期雇用契約に基づいて就業し、申請時において連続して3か月以上在職していること。 (ウ)就業先に、移住支援金の申請日から5年以上、継続して勤務する意思を有していること。 (エ)転勤、出向、出張、研修等による勤務地の変更ではなく、新規雇用であること。 (オ)目的達成の解散を前提とした個別プロジェクトへの参加等、新規の雇用であること。 |
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テレワーク就業 | テレワークに関する要件として、以下の各号のすべてに該当すること (ア)所属先企業等からの命令ではなく、自己の意思により移住した場合であって、 移住先を生活の本拠とし、移住元での業務を引き続き行うこと。 (イ)内閣府地方創生推進室が実施する地方創生テレワーク交付金を活用した取り組みの中で、 所属先企業等から当該移住者に資金提供されていないこと。 |
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関係人口就業 | 関係人口に関する要件として、本市や地域と人々のかかわりを有する者(関係人口)のうち、 本市が当該移住者を個別に本事業における関係人口と認め、かつ次に掲げる事項に該当すること。 (ア)本事業における関係人口の対象範囲については別に定める。 参照:https://www.city.fukui.lg.jp/sisei/plan/connect/ijyusienkin_d/fil/kankeijinnkounohani.pdf |
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起業の要件 | 移住支援金の申請日前1年以内に、福井県がUIターン移住創業支援事業助成金交付要領に従 い実施する起業支援事業に係る起業支援金の交付決定を受けていること。 |
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その他の要件 | 次に掲げる事項の全てに該当すること。
(ア)暴力団等の反社会的勢力又は反社会的勢力と関係を有する者でないこと。 |
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世帯に関する要件 ※世帯向けの交付金(100万円) を申請する場合のみ |
(ア)申請者を含む2人以上の世帯員が移住元において、同一世帯に属していたこと。 (イ)申請者を含む2人以上の世帯員が申請時において、同一世帯に属していること。 (ウ)申請者を含む2人以上の世帯員がいずれも、平成31年4月1日以降に転入したこと。 (エ)申請者を含む2人以上の世帯員がいずれも、支給申請時において転入後3か月以上1年以内であること。 (オ)申請者を含む2人以上の世帯員がいずれも、暴力団等の反社会的勢力または反社会的勢力と関係を有する者でないこと。 |
テレワークなど働き方も多様化しているため、この支援制度を活用し本市への移住者が増えることを期待しています。
現状では、年に5件程度利用いただいています。
3.福井市はUIターン者への就業サポートも手厚い
続いて、移住者限定の一次産業就業に関するサポートについて伺いましょう。
- 週末就活(就職支援事業)
- 農林水産業U・Iターン者見学補助金
- U・Iターン者見学補助金(林業、水産業)
- 中心市街地オフィス立地助成金
- 熱意ある創業支援事業
3-1.週末就活(就職支援事業)
「週末就活(就職支援事業)」
【対象】福井県外に在住の社会人
【内容】1日又は1泊2日で実施する就職支援事業
- 家族と一緒に参加でき、交通費や宿泊料の一部を助成
- 原則、週末(金曜日・土曜日) に開催
- 希望する就業先とのマッチング(企業訪問)
- 就職・移住支援の情報提供
- 福井市内の生活環境確認
福井暮らしが初めての方は、ぜひご参加ください!
参加を希望される方は『週末就活』ポータルサイトからお申込みください。
3-2.農林水産業U・Iターン者見学補助金
まずは、市単独の補助事業「農林水産業U・Iターン者見学補助金」について、教えてください。
「農林水産業U・Iターン者見学補助金」
【対象】
福井市での農林水産業への就業を目指し県外から現場を見学に来る60歳未満の人
【補助額】
旅費:全額
宿泊費:5,000円
【内容】
鉄道運賃と宿泊費を補助
*その他要件あり
申請は常時受け付けています。
3-3.農林水産業U・Iターン者奨励金
農林水産業U・Iターン者奨励金
【補助】
年額30万円(最大2年間)
【内容】
60歳未満のU・Iターン者が新規に就業、もしくは、研修を受講し市内で就業見込みの場合、奨励金を支給
*その他要件あり
福井への就業や定住につなげたいと考えています。2021年度の交付人数は3人でした。
申請は常時受け付けていますので、ぜひお問い合わせください。
国や県の支援
- 新規就農者経営支援事業(就農奨励金、小農具等整備奨励金、住宅確保助成金)
- 経営発展支援事業
- 経営開始資金
こういった支援を利用し、新規就農者が増加することを期待しています。
4.福井市は起業支援も手厚い!
福井市は起業に対してもしっかりとサポートしてくれます。
4-1.中心市街地オフィス立地助成金
「中心市街地オフィス立地助成金」
【補助】
家賃補助:
1/2(最大3年間)・従業員数に応じて、月額上限10万~30万円
雇用奨励金:
上限300万円
新規雇用1名につき20万円、転属者1名につき10万円
【内容】
中心市街地で空きオフィスを活用する事業者に対し、助成金を交付
【要件】
市に事前に登録されている空きオフィス(面積20㎡以上)を賃借し、
従業員2名以上のオフィスを新設する
*その他要件あり
4-2.熱意ある創業支援事業
「熱意ある創業支援事業」
【補助】
上限:100万円(補助対象経費の1/2)
【内容】
地域課題の解決につながる創業に対し、初期費用の 一部を補助
【要件】
- 市内に主たる事務所を設置すること
- 交付申請日の属する年度の前年4月1日から創業日の前日までの間に県外から市内に移住し、創業日から3年間市内に居住する者
- 福井市創業支援等事業計画で定めるセミナーの受講*その他要件あり
5.実際に福井市に移住した人の声
実際に福井市に移住した人々はどのような感想を抱いているのでしょうか。
ここでは、移住した人の声をご紹介します。
東京23区内から福井市に家族でIターン
Q.移住を考えたきっかけと、福井市を選んだ理由を教えてください。A.子供のことを考え環境のいいところで生活したいと考えていました。
北は北海道、南は沖縄までネットで情報を調べていたら、福井が学力、子育て環境、子供の身体能力などの分野で高い評価を受けていることがわかり、早速、移住相談を申込みました。
お話を聞いて、子どもへのサポートが他の自治体と比べてわかりやすく、移住して「住む」イメージが一番湧いたのが福井市でした。
Q.実際に移住してみて福井の印象や、驚いたことはありますか。
A.一軒家で庭付きの家が多いことに驚き、土地も豊富にあるので魅力的であると感じ、将来マイホームを持つことが楽しみになりました。
また、移住直後に記録的な大雪に見舞われ、人生初のスタックで途方に暮れていたところ、どこからともなく人が集まり助けてくれ、困ったときはみんなで助け合うという習慣が根付いているのを感じました。
印象としては、福井は東京に比べて夜が静かで、時間がゆっくり流れている感じがして、穏やかに過ごすことができています。
Q.移住後生活スタイルは変わりましたか。
A.移住前は、車中心の生活をイメージできなかったが、福井で免許取得し、いざ車を使った生活がはじまると、「めっちゃ楽!」。
駐車場は基本的に無料で広く、カートを押していけるので買い物が楽しくなった。
通勤に時間を取られなくなったことから、家にいる時間が長くなり、家族と過ごす時間が増えました。
Q.福井市への移住を検討している方にアドバイスをお願いします。
A.実際に移住するまでは不安に思えることもあるけれど、先入観を持たず、気楽に移住していいと思いました。
子どもの遊びスポットが多く、毎週末「次はどこに行こうか」と考えるのが楽しいですよ。
6.まとめ
ぜひ一度、遊びに来てみてください。
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