自己都合退職でも失業保険を最大まで受け取るための全知識

自己都合 失業保険

「退職しようと思うのだけど、自己都合退職でも失業保険って受け取れるのだろうか?」「失業保険を受け取っているんだけど、制度がいまいちわからない」など、自己都合退職の失業保険についての疑問は多いですよね。

実際には制度をよく知らないせいで、もらえるはずの手当をもらえていない人もいます。そして、逆にあるポイントを理解して最大の手当を受給している人もいます。

このページでは、前職を自己都合で辞める際自身で徹底的に制度を調べ上げ、きっちり失業保険を受給した経験を持つ筆者が、受給に当たって重要と考える下記の4点について解説します。

  1. 自己都合退職で貰える失業保険の総額
  2. 自己都合退社時の確実に受給するための流れ
  3. 受給時の4つの注意事項
  4. 失業保険を最大まで受け取る3つのコツ

このページを読むと、自己都合について手続きから受給まですべて理解できます。フル活用すれば月収の1年分の額の失業保険が手に入ることもありますので、ぜひご活用ください。

1. 自己都合退職でもらえる失業保険の総額

条件に差はありますが、自己都合退職であっても失業保険はもらえます。失業手当の総額は、雇用保険の加入期間今までの賃金で変わってきます。

早速、基本手当をもらえる期間と金額等を見てみましょう。

1-1. 失業保険の給付期間

まず、自己都合退職の際の給付期間は下記のようになっています。

雇用保険の加入期間 〜10年 10年〜20年 20年〜
いつから(最短) 待期期間
※終了後3ヶ月後
何日間 90日 120日 150日

「待期期間」とは離職後、ハローワークに行き受給資格者であることを確認してからの7日間です。詳しくは後ほどご説明します。

ご覧の通り、自己都合退職だと退職してから3ヶ月は給付を待つ必要があります。しかし、会社都合の場合、離職後すぐにもらえるケースが多く、さらに受給期間も長いです。

つまり会社都合退職の方がお得なので、このページの「4. 失業保険を最大まで受け取る3つのコツ」で、自己都合の退社でも会社都合退職にできるかもしれないケースをいくつか紹介したので、参考にしてみてください。

実際にどれだけ自己都合退職と会社都合退職でもらえる日数が違うのか、下記に会社都合の場合の給付期間をまとめました。

雇用保険の加入期間 〜10年 10年〜20年 20年〜
いつから(最短) 待期期間終了後すぐ
何日間 90〜240日 180〜270日 240〜330日

会社都合の場合、給付日数は年齢等によって変わります。

1-2. 失業保険の給付金額

失業手当は「賃金日額」が基準になります。

賃金日額=退職前6ヶ月間の給料の総額÷180日

ちなみに「給料」には、ボーナスは含めませんが、残業代と手当ては含みます。
例えば残業代込みで月30万円の給料を貰っていたとしたら、「賃金日額」は30万円×6ヶ月÷180日=1万円となります。

この、算出した賃金日額に対して年齢や収入の条件別にある割合を乗じたものになり、45%〜80%相当が1日あたりの手当てとなります。さらに1−1で算出した日数を掛け合わせたものが、「手当ての総額」となります。

1日あたりの手当の計算方法は、とても複雑で、しかも毎年計算式が見直されています。どうしても知りたい場合、一番手っ取り早いのは、ハローワークに問い合わせてしまうことです。

2. 自己都合退社時の確実に受給するための流れ

失業手当をもらうまでの手順は、自己都合・会社都合ともに分かりにくいため、下記に失業手当をもらうまでの手順をまとめました。

失業手当てのロードマップ

2-1. 退職前の準備

①「雇用保険被保険者証」の確認

「雇用保険被保険者証」を受け取っていた場合無くしてないか確認しておきます。この時、無くした場合は勤務先に再交付の依頼します。多くの場合は会社で保管しているようです。

図:雇用保険被保険者証

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参考:ハローワークホームページ

②「離職票」をもらう準備

「離職票」をもらう方法を勤務先と話し合い決めておきます。ちなみに、離職票とは社員が退職後10日以内に勤務先がハローワークに手続きし、発行されるものです。通常は郵送で送られることが多いです。

図:離職票

スクリーンショット 2015-10-17 18.01.57

スクリーンショット 2015-10-17 18.02.20

参考:ハローワークホームページ

③「雇用保険被保険者資格喪失届」「離職証明書」の確認

勤務先が「雇用保険被保険者資格喪失届」「離職証明書」を作成するので内容を確かめ捺印します。

退職前の準備は以上です。もし、退職してしまった後であれば元の職場に確認しましょう。

2-2. 退職後の動き

④「離職票」の受取

職場から「離職票-1,-2」を受け取ったら内容を確認します。特に「離職票-2」に記載されている給与金額や退職理由を確認しておきましょう。2週間経っても受け取れなければ元の職場に確認しましょう。

⑤求職の申込

④の受取後すぐに下記の書類等を持参し、ハローワークの窓口へ行き手続きを行います。

  • 離職票-1,-2
  • 雇用保険被保険者証
  • 写真(上半身を写したヨコ2.5cm×タテ3cm)1枚
  • 身分証明書(免許証やパスポート)
  • 預金通帳(手当ての振込先になる)
  • 認印

この時、窓口で簡単な質問があり、問題なければ受付完了です。

⑥待期期間

⑤の手続後7日間は「待期期間」となり、基本手当てを受け取るためにはこの期間職に就かないことが必要です。

⑦「雇用保険受給説明会」に出席(⑤の手続後およそ10日後)

雇用保険の内容や今後のスケジュールに関する説明をハローワークにて受けます。そして、手当の受取に必要な「失業認定申請書」と「雇用保険受給資格者証」を受け取ります。この時、「1回目の失業認定日(本当に失業しているか確認する日)」が指定されます。

⑧1回目の失業認定日に出席(⑤の手続後およそ4週間後)

⑦の説明会で受け取った「失業認定申請書」にそれまでの就職活動の状況を記入して提出します。この時、「2回目の失業認定日」が指定されます。

⑨2回目の失業認定日に出席(⑦からおよそ3ヶ月後)

⑦の説明会で受け取った「失業認定申請書」に⑦以降の就職活動の状況を記入し提出します。

この時、「3回目の失業認定日」が指定されます。

⑩基本手当の受給

⑨から5〜7日後、指定の銀行口座に振り込まれます。また、これ以降は4週間に1回、指定の「失業認定日」に出席、その度に5~7日後手当が口座に振り込まれます。

以上です。受給期間も定期的にハローワークへ足を運ばなければならないので、気をつけましょう。

3. 受給時の4つの注意事項

受給時、注意してほしいことが4点あります。注意しないと手当がもらえなくなったり、貰いにくくなってしまうので気を付けましょう。

3-1.「求職の申込」の曜日に注意

求職の申込に行った曜日が、それ以降の「失業認定日」になってしまいます。例えば、月曜日に求職の申込に行った場合、「失業認定日」は毎回月曜日になってしまいます。受給を続けるために、「失業認定日」には必ず出席しなければならないので、注意しましょう。

3-2.「求職活動」と認められる活動に注意

雇用保険受給説明会に参加後、失業認定をしてもらうためには「求職活動」と認められる活動をしなければなりません。ここで言う、求職活動とは下記のような事です。

  • ハローワークの窓口での相談
  • ハローワーク主催のセミナーへ参加
  • 求人への応募

1回の認定日に必要な「求職活動」は2回です。

3-3.「就労」とみなされるアルバイトに注意

「就労した」と見なされると、手当はストップしてしまいます。「就労する」ときは、雇用保険に加入しなければならず、加入すると打ち切りとなります。逆に、雇用保険の加入条件に満たない仕事で、加入しなければ大丈夫です。ちなみに雇用保険の加入条件は、

  • 1週間の労働時間が20時間以上
  • 雇用期間が31日以上

この2点を同時に満たす場合です。つまり、この2点を同時に満たさない範囲でアルバイト等をする必要があります。

3.4.「虚偽」の申告に注意

「失業申告認定書」に実際に行っていない就職活動を記載したり、自営業や会社役員を行っているのにその事実を書かなかった場合などに該当します。
それ以後の手当が貰えなくなるだけでなく、過去受給したものも返還するよう求められるのでご注意ください。

4. 失業保険を最大まで受け取る3つのコツ

失業手当、1円でも多く貰いたいですよね。ここでは、制度を駆使し少しでも多くもらう方法を幾つか書いていきます。

4-1. 退職前6ヶ月間の給料を増やす

離職6ヶ月前の「残業」や「休日出勤」を増やすことで失業手当の総額を増やすことができます。先程述べた通り、失業手当のベースとなる日額賃金は離職前6ヶ月間の平均賃金で算出されます。ここには残業代も含まれます。

残業できるかどうかは職場次第ですが、日額賃金を増やすために残業時間を増やすことはよくある事のようです。

4-2. 「公共職業訓練」を活用する

独立行政法人や自治体が行っている公共職業訓練を受けましょう。公共職業訓練を受けると3つのメリットがあります。

①手当の支給期間が延びる

公共職業訓練を行っている期間は、手当の期間が延長されます。例えば120日の手当が支給される人がいたとします。支給開始後60日経ってから、180日の職業訓練を受けるとします。すると、訓練終了まで支給期間が延びるため、実質の支給期間は60+180日=240日となり、より長い期間手当を受給できます。

②無料でスキルを上げられる

公共訓練は国が補助金を出してくれるため、無料でスキルを向上させることが可能です。介護やIT等、就職に役立つスキルを身につけられます。カリキュラムなど、詳しくは厚生労働省のホームページをご確認ください。また、公共訓練校によっては失業手当とは別に、受講手当等の各手当を貰える可能性があります。

③訓練校が手続を代行してくれる

先程ご紹介した通り、受給中は定期的にハローワークに通う必要があります。しかし、公共職業訓練の受講によって、月末が失業認定日となり、訓練校が手続を代行してくれるため、わざわざハローワークに行かなくても良くなります。

4-3. 「会社都合退社」にならないか確認してみる

先程、会社都合の方が貰える期間が長い事を紹介しました。会社都合と言われる場合は主に下記の4点です。

  • 会社が「倒産」した場合
  • 会社に「解雇」された場合
  • 会社に「退職勧告」をされた場合
  • 会社で「大量離職」が起こった場合

※大量離職の定義は職場で1ヶ月に30人以上の離職を予定、若くは被保険者の3分の1を超える人員が離職したこと。

ここで「懲戒解雇」や、「退職勧告後、自ら離職を切り出した場合」など例外となることがあります。

上記に加え、あなたが自己都合と思い込んでいても、実は会社都合のケースがあります。下記の9点が主なケースです。その場合、ハローワークに相談することで、「会社都合の退社」であると認めてもらえることがあります。

①残業が多かった

離職直前の6ヶ月のうち残業が

  • 3ヶ月連続で45時間
  • 1ヶ月で100時間
  • 2〜6ヶ月の平均が80時間

を超えていて、行政機関等から指摘があったのに改善されなかった時に当てはまります。

◎ハローワークへの相談に必要なもの

  • 「タイムカード」や自身で作成した記録等残業時間がわかるもの
  • 賃金台帳
  • 給与明細など

②給料が減額した

今までの給料を85%未満に減らされた場合該当します。しかし、下記の場合は例外です。

  • 降格による減俸
  • 出来高払いの場合

◎ハローワークへの相談に必要なもの

  • 賃金規定
  • 賃金低下の通知書
  • 労働契約書
  • 就業規則など

③給料が払われなかった、若くは遅延した

給料の1/3が支払われなかったことが2か月続いた、若くは退職前直前の6ヶ月で3回あったことが原因で離職した場合、該当します。

◎ハローワークへの相談に必要なもの

  • 賃金規定
  • 賃金低下の通知書
  • 労働契約書
  • 就業規則
  • 給与明細
  • 給与振込み用の預金通帳など

④勤務地が遠くなった

事業所の移転により、勤務地と自宅が著しく遠く(往復4時間超え)なり、3ヶ月以内に辞職した場合がこれに当たります。

◎ハローワークへの相談に必要なもの

  • 事業所移転の通知
  • 通勤経路の時刻表など

⑤仕事内容が当初の予定と大きく変わった

採用時の契約と仕事内容・勤務地が変わったことがきっかけで退職する場合、該当します。主に下記の4点です。

  • 採用時結んだ、労働契約上の内容と変更があった場合にて仕事内容と違う仕事をすることとなり、それに伴い給料が下がり、職務転換後すぐにやめた場合
  • 仕事内容が変わったのに、雇用主が十分な教育訓練を行わなかったことによって、新たな職場に適応できず離職した場合
  • 労働契約上、勤務地が特定されていたのに、遠隔地(勤務地と自宅が往復4時間超え)への転勤を命じられたため離職した場合
  • 家族事情(両親の介護等)を抱えるのに、上記のような遠隔地への転勤を命じられた場合

◎ハローワークへの相談に必要なもの

  • 採用時の労働契約書
  • 辞令
  • 賃金台帳など

⑥労働契約書が更新されなかった

労働契約書の内容が更新されないために離職した場合も会社都合に該当します。主に下記の2点の場合適用されます。

  • 労働契約の更新で3年以上引き続き雇用されるのに、労働契約書が更新されないため離職した場合
  • 本来更新されるはずであった労働契約書が更新されないため離職した場合

◎ハローワークへの相談に必要なもの

  • 労働契約書
  • 雇用通知書
  • 就業規則
  • 契約更新の通知書
  • タイムカードなど

⑦職場でパワハラ、セクハラがあった

職場でパワハラやセクハラがあったため仕事を続けるのが困難になり退職した場合該当します。セクハラの場合は事業主や公的機関に訴えていても改善されなかった場合に該当します。

◎ハローワークへの相談に必要なもの

  • 労働契約書
  • パワハラを受けた証となるものなど

⑧会社が長期間休業した

会社が会社の責任で3ヶ月以上連続し、休業手当を貰っていた場合該当します。しかし、休業手当の支給が終了してしまうと基準に当てはまらなくなります。

◎ハローワークへの相談に必要なもの

  • 賃金台帳
  • 給与明細など

⑨会社の業務が法令に違反していた

事業所が法令違反の製品を恒常的に製造もしくは販売していて、それを知ってから3か月以内に離職した場合該当します。

◎ハローワークへの相談に必要なもの

  • 会社が法令違反をした事がわかる資料など

以上9点に当てはまる場合は自己都合ではなく、会社都合での退職と見なされる場合があるのでハローワークで相談してみるのもいいかと思います。

しかし、転職の際に、会社都合の退職であった場合、「何か問題があって解雇されたのではないか」と疑う面接官もいるようです。今後のキャリアを考えた上でどちらかを選びましょう。

5. さいごに

失業保険に関して、自己都合退社のケースを中心に4つのポイントをご紹介してきましたが、いかがでしたか?

重要なのは、きちんと制度を把握した上で、手順通りに手続きを行う事が大切です。

あなたの退職後の人生がより明るいものである事を心から祈っています。

※退職後の転職先が未定の方へ

退職後の転職活動は心身ともに負担になることが多いですから、無理をしない範囲で今のうちから準備を進めていくことをおすすめします。その際は、『転職のプロが教える安心して転職に臨むための準備のすべて』を参考にしながら、少しずつご自身のペースで次のキャリアをお考えください。