「転職には軸が必要」
「転職では、新卒の就活時よりも明確な軸が問われる」
などという言葉を耳にしたことがある方も、多いのではないでしょうか?
でも、突然「転職の軸」などと言われても、どんなものなのか、どうやって決めればいいのかだなんて、すぐには考えつかないものです。
転職の軸とは、あなたが仕事・企業(職場)に求める条件のことであり、
応募・就職先企業を選ぶ際の基準になるものです。
たとえば「育児・介護休暇が取りやすい」といった福利厚生面や、
「裁量が大きい/若いうちからプロジェクトを任せてもらえる」などの業務・社風に関する面などがあります。
しかし「●●がある/ない」のレベルに軸を留めるのは禁物。
なぜ自分がその条件を求めるのか、また最低限、「●●」によって自分の人生がどう良くなるのかを考えていなければ、優れた軸とはなりません。
皆さん自身の人生と結びついたものが「転職の軸」であり、より深くまで考えた軸によって応募先・内定先の企業を見極めることで、転職先とのミスマッチが起きてしまうようなリスクを減らすことができるのです。
この記事では、元キャリアコーチの私が、転職の軸の概要や考え方、軸を決めるにあたって気を付けなくてはならないポイントを徹底解説します。
「転職の軸」決めの方法がわからないという方はもちろん、既に自分なりの軸を考え終えたという方がその軸を見直す際にも有用な情報を盛り込んでいますので、ぜひご活用ください。
この記事を読むとわかること
- 転職軸の意味
- 転職軸の決め方
- 軸に迷ったときの対処法
- 科学的にNGな7つのキャリアの考え方
- 転職の軸とは
- よくある転職の軸一覧&例
- 「転職の軸を考える」とはどういうことか
- 【軸の決め方:前編】仕事・企業に求める条件をリストアップする
- 【軸の決め方:後編】リストアップした条件に優先度をつける
- 軸決めに迷った際に思い出したい3つのこと
- 【まとめ】満足のいくキャリア選択のために、転職の軸を深く検討しましょう
それでは、転職の軸について詳しく解説していきます。
まずは多くの方が転職の軸として設定しがちなNG項目を見ておきましょう。
働くことに悩み「自分の価値ってなんなんだろう」「もう、自分でも自分のことがわからなくなってしまった」とすら思ってしまっている人もいるのではないでしょうか。
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目次
1. 科学的にNGな7つのキャリアの考え方
仕事や職場を選ぶにあたっては、選択の基準にしてしまうと後悔につながるかもしれないNG項目というものがあります。
過去、以下のような基準で選んだことはありませんか?
(鈴木祐:科学的な適職.クロスメディア・パブリッシング,2019.pp. 40-41を基に作成)
上の7項目は、サイエンスライターの鈴木祐氏が著書『科学的な適職』(2019)のなかで、仕事選びにおいて誰もが陥りがちな「人間の幸福とは関係ない要素」(「仕事選びにおける7つの大罪」)と紹介している項目です。
これらのものは、たとえ短期的な喜びをもたらしたとしても、長い目で見ると人生の満足度には何の貢献もせず、それどころか不幸の原因にすらなり得ると鈴木氏は指摘します。
たとえば、収入を増やすために転職を検討し、実際に給料の高い求人情報を優先的に確認している方も多いでしょう。
しかしながら、自分が本当に必要としているものが何かを見定めないまま、ただ「収入の大小」だけで仕事・職場を選ぼうとするのはよくありません。
もちろん、ある程度の収入がもたらす暮らしの質が、人生の幸福度に寄与することはたしかだと言えるでしょう。
お金がないと人は不幸せになります。しかしその一方で、お金そのものが人を幸せにするわけではありません。
思い描いていた人生プランの実現など暮らしぶりの質を高めたり、自己投資のための資金に充てたりと、稼いだお金によって得られる何かが、人生に満足をもたらすものではないでしょうか。
重要なのは「収入を求めることの是非」ではなく、なぜ収入を求めるのか、その動機や目的です。
豊かな収入が可能にする何か、その何かは自分の人生にとってどれだけ重要か。
そして、具体的にはどの程度の収入が必要なのか。
そこまでを検討して初めて、収入が仕事選びの基準たり得るでしょう。
2. 転職の軸とは
新卒で初めて就職活動をするときに、「就活の軸」という言葉を耳にした方も多いでしょう。
この言葉は「仕事・企業選びの基準」を意味しており、それは「転職の軸」でも同様です。
ただし転職にあたっては、新卒の頃とは異なり、実務経験を踏まえたより明確・具体的な軸が求められます。
2-1. 転職の軸は「幸せ」の実現に必要な仕事・職場の条件
「転職の軸」がなぜ必要か。それは人生の幸福につながるキャリア選択をするためです。
2018年発表の日本人2万人を対象とした調査によれば、自ら選択・決定することは、幸福度を決定する上で健康や人間関係に次ぐ重要な要因であり、その重要度は所得よりも大きいとされています。
このことから、自ら人生の選択をすることが、選択した行動の動機づけ・満足度を強め、幸福度を高めていると考えられます(西村・八木:幸福感と自己決定――日本における実証研究,改訂版.RIETI Discussion Paper Series 18-J-026,2020.)。
転職の軸とは、人生の選択における指標にほかなりません。
満足・幸福につながる自己決定を行うためにも、明確な「転職の軸」を欠かすことはできないのです。
2-2. 自分だけの転職軸を明確にする方法
転職の軸は一般に、「●●が整っている」など、次の章で例示するような仕事内容・待遇・環境などをめぐる条件であることが多いです。
実際にそうしたものが「転職の軸」と考えて差支えないのですが、ただ希望の条件を述べただけでは、あなた自身の「基準」とは言えません。
たとえば福利厚生面などは、誰にとっても、いくらだってあっても、損のないものだからです。
こういった条件をあなた固有の「軸」にするためには、自身の半生と結びついたものとしなくてはなりません。
つまり、これまでのキャリアや人生経験において、きっかけとなる出来事などがあり、そこから生じた動機・目的のために、その条件が必要だと言えることが重要です。
ここまでしてやっと、「●●が整っている」はあなたの転職の軸となるのです。
3. よくある転職の軸一覧&例
実際に転職の軸として置かれるのはどのようなものかを見てみましょう。
○ 経験を活かせる
○ 資格を活かせる
○ スキルを活かせる
○ 公益性の高い仕事
○ 語学を活かせる
○ 裁量の度合い
○ フレックスタイム
○ 裁量労働制
○ 時短勤務
○ 通勤手段・時間
○ テレワークOK
○ 残業時間
○ 介護支援
○ 生理(月経)休暇
○ 休日・有給休暇
○ 従業員数の規模感
○ グローバル企業
○ 事業会社である
○ 老舗/ベンチャー
○ 自己研鑽を奨励
○ 女性が活躍中
○ 賞与が多い
○ インセンティブあり
実際にこのリストにある項目に対して、「絶対欲しい」「できれば欲しい」ものをリストアップすることが、「軸」を考える第一歩です。
上記のような項目から、どれが自分が持つ転職の軸としてふさわしいかを考えてみてください。
次の章からは、実際に転職の軸を考える方法を解説していきます。
4.「転職の軸を考える」とはどういうことか
「転職の軸」には、①仕事・職場に求める条件と、②その条件を求める動機・目的、そして③複数の条件のなかで譲れないものや優先順位といったランク付けがなくてはなりません。
ところが実際には、多くの人が「『●●がある』企業がいい」という条件のピックアップどまりで、その動機・目的や優先度までは検討していないようです。
そのまま面接に行ったら、どうなるかを見てみましょう。
面接官:企業選びで重視していることは?
求職者:仕事の裁量と年収です。
面接官:どの程度必要なのですか?
求職者:えーっと……。
条件を満たす/満たさないだけで企業を選ぼうとすると、面接の冒頭段階で会話が終了してしまいますね。
裁量や収入を求めるのであれば、具体的にどの程度のものを求めるのか、もっと具体的に検討しておく必要があるでしょう。
裁量や収入の具体的な要求値を考える上では、「なぜそれが必要か」という観点が欠かせません。
収入などは考えやすい例で、「最近生まれた子どもの養育費や持ち家のローンをまかないたいから」という動機・目的があれば、具体的に「年収●●●万円は欲しい」と考えることができるでしょう。
またこの場合、子ども・持ち家といったお金の支出先が既に存在している以上、年収についてはある程度妥協できないラインというのも定まってきます。
その人にとっては、その下限ラインは必須のものとして、他の条件よりも優先度が高いはずです。
「転職の軸」を考えるにあたっては、条件のピックアップだけでなく、上述のような動機・目的の検証と、優先度付けが必要なのです。
5.【軸の決め方:前編】仕事・企業に求める条件をリストアップする
まずは、あなたが求める条件を整理してみましょう。
先ほど例に挙げたような「裁量の大きな仕事を任せてもらえる」「給与が高い」などといった仕事・職場に対する要求事項(条件)をリストアップすることが、「転職の軸」決めの第1段階です。
5-1.条件をMust(必須)・Want(できれば欲しい)で考えよう
はじめに、3章に挙げたようなジャンル・項目を参考に、自分が仕事・職場に求める事項をリストアップしてみてください。
このとき、できれば各事項に対して、それがあなたにとって「Must(必須)」なのか、それとも「Want(できればあるといい)」なのかもセットで考えておくと、後が楽になります。
このときの「Must」「Want」は、現時点でそうだと思う程度の認識のもので結構です。
なんとなくでも構わないので、「これは絶対欲しい条件だと思う」「あったらいいけど、『絶対』というほどではないな」くらいの感覚でリストアップしていきましょう。
6.【軸の決め方:後編】リストアップした条件に優先度をつける
仕事・職場に求める条件をざっくばらんにリストアップし終えたら、ここからが「転職の軸」を考えることの本番です。
各要素が自分にとって必要なのかどうかを動機・目的によって検討し、最後に条件間の優先順位を決定します。
6-1.条件を希望する理由(動機・目的)で肉付けしよう
仕事・職場に求める条件は、その人がどうしてそれを重視するのかという理由(動機・目的)と不可分のものです。
動機・目的を考えるにあたっては、そこへ至った経緯(ストーリー)とセットで考えるといいでしょう。
先ほどの「裁量と収入を重視したい」事例の、続きを見てみましょう。
面接官:裁量の大きさが重要だと感じる理由は?
求職者:働くモチベーションになるからです。
面接官:具体的には?
求職者:プロジェクトリーダーを歴任していて、自由度が高く責任感のある仕事の達成感は大きくて……〔略〕。
面接官:では、収入を重視する理由は?
求職者:成果を出しているわりに給料が上がらないんです。ちゃんと評価されてないというか。
面接官:現職への不満になっているということですね。
このように、その人が「●●」や「▲▲」を重視する動機・目的と、そうした動機・目的を持つに至ったストーリー(経緯)が明らかになると、その人が何を勤め先に求めているのかがよくわかりますね。
仕事・企業に求める条件が思いついたら、まずは上に見たような動機・目的をストーリー(言葉)にできるかどうかを考えましょう。
6-2.新しい職場で働き、暮らしていく上での影響度で順位付けする
仕事・職場に求める「条件」をそれぞれ「動機・目的」で肉付けしたら、今度はそれらの条件間における優劣(優先順位)を考えましょう。
先ほどの求職者の事例で言えば、もし「裁量は大きいが、給料は高くない」ような内定を貰ったとき、この求職者はどういう選択をするのでしょうか?
ここで問題になるのが、「裁量」「収入」という2つの条件、どちらが優先されるのか、あるいはそのどちらも譲れないのかということです。
もしも裁量の大きさを優先するなら内定承諾もあり得る選択肢でしょうし、どちらも譲れないならば、この内定は辞退するほかなさそうです。
面接官:「裁量は大きいが、収入は高くない」企業からしか内定をもらえなかったら転職する?
求職者:うーん……。
面接官:裁量・年収のどちらも譲れない?
求職者:うーん……。
面接官:反対に「裁量は小さいが、収入が高い」内定があった場合は?
求職者:辞退します。いくらお金をもらえても、仕事の充実感が得られないなら……。
このように、それぞれの条件が満たされたケースを想像してみると、自分にとって優先度の高いものや譲れないものを探るのが簡単になります。
例にある求職者の場合を図にしてみると、裁量の大小・収入の高低が異なる企業からのオファーがあったときには、次のような意向でした。
このように、ピックアップした条件同士について、「いずれかがあり、別のいずれかがない場合」を考えてみると、両者の間における優先度合いを把握しやすくなります。
比較が難しいときは、2つずつ、上の四象限マトリクスのように図式化すると、より考えやすいでしょう。
6-3.本当に自分にとって重要な条件かを検証する
動機・目的や優先度を考えるなかで、最初にピックアップした条件が、実はそれほど重要でなかったということもあります。
それは多くの場合、ピックアップした条件の背後にもっと本質的・明瞭な欲求が隠れているといったものです。
再び事例を見てみましょう。
◆事例でみる「転職の軸」の考え方 ~その4~
面接官:現職で給料を相応に上げてもらったら、転職をやめる?
求職者:それでも転職したいかも。
面接官:会社から適切な評価を受けていないと感じている?
求職者:そうです。
面接官:でも、給料が上がっても現勤務先には納得ができない。
求職者:はい……。
面接官:問題は「給与」ではなく「評価」なのでは?
求職者:そういえば、幹部が成果を認知してくれてないと感じたことがあって……〔略〕。
面接官:では、給料は現状並みでも、明確な評価制度・上下の風通しが良い環境なら?
求職者:それなら職場に満足できると思います!
このように、優先度が低かったり、優先度の判断をしにくい条件については、「よく考えてみれば別のものを求めていた」ということもよくあります。
欲しいと思った条件が自分のどんな欲求や動機・目的に結びついているのか、よく検証することが大切です。
また、そうした条件が満たされた場合の自分の人生・納得感へのインパクトを考えることで、キャリア選びの基準を明確にできるのです。
6-4.【実践編】肉付け・優先度決めの考え方
実際に、前編(5章)でピックアップした各条件に対して、肉付けと優先順位決めを行ってみましょう
まずは各条件について、次のことを考えてみてください。
【肉付け】どうしてその条件が必要/欲しいと考えるのか?
◆「理由となる出来事・経験はあるか?」
ストーリーを思い出してみましょう。
いつ頃からそう感じるようになっていたか、どんなときにその感が強くなるのかといったところに、ヒントが隠されています。
また、要因となる出来事は、1つとは限らない点に注意しましょう。
◆「その条件が満たされることで、今の自分の状況などは変わるのか?」
体験から考えると、現状の不満につながる要因を裏返したものが「条件」になることが多いです。
ここで注意が必要なのは、現状の不満を解決することは、マイナスがプラスマイナスゼロになるだけかもしれないということ。
現職でその条件が満たされたら、転職をやめるのかも考えてみるといいでしょう。
また、ゼロからプラスへ押し上げるためにもその条件が必要か、それとも他の何かが必要なのかも考えてみましょう。
◆「1つの条件の中に、別の条件が隠れていないか?」
たとえば「風通しがよい」という条件は、一見してわかりやすいように思われますが、指し示す範囲が広すぎて具体性を欠く場合があります。
どんなことがあればあなたは「風通しがよい組織だ」と感じるのか、どんな状況を「風通しが悪い」と感じるのか。
実例を考えてみると、より具体性のある条件が見つかるかもしれません。
◆「その条件は、別の条件を隠れ蓑にしていないか?」
重要だと思っていた問題(条件)が、実はそれほど大きな問題ではなかった場合もあります。
たとえば「収入が高い」といったようなものは、実は「納得度の高い給与査定・人事評価制度がある」ことのほうが重要で、金額の大小自体は問題になっていないといったこともあり得るでしょう。
【優先度決め】各条件は、自分が働く日々やその後の人生に、どの程度の影響を与えるか?
◆「その条件が満たされたところで働くとき、自分は仕事や職場に満足感を抱けるか?」
1つ1つの条件について、それが満たされた仕事・職場で働く自分を思い描いてみましょう。
そのときのあなたは、そうした環境で働く日々に充実感や納得感を得られているでしょうか。
「あるにこしたことはないが、それほど満足度に大きな影響を与えない」ということがあれば、
その条件の優先度は低いのかもしれません。
◆「その条件が満たされたとき、自分は幸福を感じられるか? もしくは、幸せに近付けているだろうか?」
前の項目と似たような言葉ではありますが、今度はもっと大きなスケールでものを見てみましょう。
満足・納得というところに留まらず、人生の幸福度の次元にまでインパクトがあるならば、それはきっと、あなたにとって極めて重要度の高い条件といえるでしょう。
記事の冒頭で紹介した鈴木祐氏の書籍では、「仕事の幸福度を決める7つの徳目」として、次の7つを挙げています。
- 自由
仕事内容・働き方に自由があること- 達成
前へ進んでいると感じられること- 焦点
モチベーションタイプに合っていること- 明確
なすべきこと、ビジョン、評価軸が明確であること- 多様
作業内容にバリエーションがあること- 仲間
組織内に、助けてくれる友人がいること- 貢献
どれだけ世の中の役に立っているかを実感できること(鈴木祐:前掲書.p.4を参照)
たとえばこれらにつながる項目は、あなたが幸せでいられることに対して大きな影響力を持つと考えられます。
【応用編】面接対策には肉付けしたストーリーを語る
面接の場で、「あなたの転職の軸は何ですか?」と質問されることがあります。
こうした直接的な質問以外にも、志望動機に関する質問は、転職の軸に対する質問を含んでいるとも言えるでしょう。
志望動機に対する回答は「自分は●●なことを求めていて、貴社は▲▲な点がここに合致するから志望した」というのが基本型です。
この「●●なこと」とはあなたが仕事や職場に求める条件であり、つまるところ「転職の軸」以外の何ものでもないのです。
転職の軸を語らなければならないときには、これまで説明してきたような、各条件を求める動機・目的を表現するストーリーとともに説明するといいでしょう。
実際のキャリアや人生経験をふまえたストーリーとともに語ることで、面接官にも伝わりやすく、明確な動機・目的と結びついた軸があることを感じ取ってもらえます。
7. 軸決めに迷った際に思い出したい3つのこと
転職の軸決めや実際に応募先・転職先を選ぶにあたって、なかなか踏ん切りがつかないということもあるでしょう。
迷ったときに思い起こしていただきたい3つのアドバイスを紹介します。
7-1.「何を」が決められないどきは「どんな」で考える
キャリアについては「Will(何をしたいのか)」でビジョンを考えようと言われることがありますが、「●●(何々)がしたい」の「何」、つまりWhatにあたる部分がなかなか思い浮かばないこともあります。
そんなときはWhat(何を)ではなくHow(どんな)で考えるのがおすすめで、転職の軸を考えるときにも応用が可能です。特に、仕事・職場の条件に対する動機・目的付けの際に有用でしょう。
たとえばもっと自由に時間を使い、自己研鑽・趣味や、家族・友人と過ごすための時間に回せる余裕のある日々はどうでしょう。
そうした時間の使い方が人生の充実や幸福に結びつくならば、その人にとっては、そのための時間を確保することが重要です。
こういうことを考えると、残業の多い職場や、業務時間が不規則な仕事などは、その人にとっては好ましくない条件です。
反対に、これらの時間を工面しやすい仕事ならば、働く日々に対する納得感も高いでしょう。
つまり、「残業がない」「就労時間や業務繁忙の波がない」などは、その人の仕事・職場選びの基準たり得ます。
このように、Howから逆算することで条件の動機・目的へアプローチすることも可能です
7-2.迷ったときは将来の選択肢が多く保たれるほうへ
もしあなたが求める条件(転職の軸)を満たす複数の企業からオファーがあって迷ったときには、将来の選択肢が多くなるほうを選びましょう。
たとえば、似たような条件でスキルが身に付きそうな企業とあまりスキルが得られそうな企業があるならば、もちろん前者がベターです。
ですがもし前者のほうがやや給与が低かったとしても、その差が深刻なものでなければ、前者を選ぶことを強くおすすめします。
昔から「潰しが利く」と言われるように、たとえばポータブルスキル(別の職場に行ってからも通用するスキル)が得られるならば、何かあったときにとれる選択の幅が広がります。
人生100年時代と言われ定年退職の年齢引き上げが行われることもある今日、これからの長いキャリアの道のりで、何が起こるかはわかりません。
大切なのは、不測の事態を回避しようとすることではなく、そうした状況に遭遇したときに、できる限り納得度の高い選択ができるよう、選択肢を多く保持しておくことです。
そうすることで、いざというとき満足につながる選択肢を選べる可能性が高くなります。
目の前にある選択肢の間で迷ったときは、たとえば応用の利くスキル・業務経験が獲得できるような、将来より多くの方向へと展開していけそうなほうを選ぶことをおすすめします。
7-3.重要なのは自分で決定すること
転職の軸が決まり、実際に転職活動を進めていく過程は、選択の連続です。
どの企業に応募するか/しないか、どの企業の選考スケジュールを優先するか、内定を承諾するか/しないかなど、さまざまなことを選ばなくてはなりません。
自分の人生は、自分だけのものです。転職エージェントやキャリアアドバイザーを積極的に活用し、相談を重ねてから決定しても構いません。
ただし、最後の決断は、必ず自分の意思で決めることが必要です。これは転職の軸も同様で、自分で考えた基準によって、自分で選ぶことが大切です。
アドバイスはあくまでアドバイス。それを受け入れ、決定するのは、常に自分自身でなくてはなりません。
選択・決定を他責(誰かのせい)にせず、自分の選択だと胸を張れるように心がけてください。
そうすることで、その選択がもたらした幸福もまた、あなたが自分で掴み取ったものだと胸を張れることでしょう。
【まとめ】満足のいくキャリア選択のために、転職の軸を深く検討しましょう
転職の軸は、転職後に満足のいく人生を送れるかということにつながる、大切な指標です。
自分が何を求めるのかをよく考え、その動機・目的を、あなたがこれまでに経験してきたことや心情と結びつけて具体化しましょう。
その上で、そういった要求が満たされた場合に自分の人生・幸福にどれだけインパクトがあるかを想像し、優先順位や、譲れるものと譲れないものを明確にします。
こうした吟味によって真にあなたが求める条件=転職の軸を定め、後悔のない選択をしていくようにしましょう。
現役の転職コンサルタント集団。大手人材会社に在籍しているメンバーが多いため、執筆内容に制約がかからないように『匿名性』とし、裏事情やノウハウを包み隠さずにご紹介しています。