
- 有効求人倍率ってなんだっけ
- コロナショック後の有効求人倍率を知りたい
と考えていませんか?
有効求人倍率は、「求職者1人あたりどのくらいの求人があるか」を示す値であり、2021年2月現在、厚生労働省が公開している最新情報は『1.06倍(2020年11月時点)』です。
令和2年11月の有効求人倍率は1.06倍で、前月に比べて0.02ポイント上昇。
9月~12月の間で若干上昇傾向にあるものの、依然として低迷状態にあるというのが現状です。
この記事では、有効求人倍率の詳しい計算方法や、景気との関係性、最新データの見方について詳しく解説していきます。
(目次)
すべて読めば、有効求人倍率をもとにした景気の市況感が分かるでしょう。
1.有効求人倍率とは「求職者1人あたりどのくらいの求人があるか」を示す指標
有効求人倍率は、「求職者1人あたりどのくらいの求人があるか」を示す指標です。
「求人の数(有効求人数)を仕事を探す人の数(有効求職者数)で割った値」と定義され、以下の計算方法で導き出されます。
例えば、100人が仕事を探していて、労働市場に120件の求人があると、有効求人倍率は1.2倍となります。
この場合、「求職者1人に対し、1.2件の仕事がある状態」を意味します。
有効求人倍率は、厚生労働省により取りまとめられ、毎月の月初めに発表されます。
用語解説
- 有効求人数
…ハローワーク(公共職業安定所)に企業が出している求人数。前月からの繰り越し求人数と当月の新規求人数の合計 - 有効求職者
…ハローワーク(公共職業安定所)に登録している求職者数。前月からの繰り越し求職者数と当月の新規求職者数の合計
有効求人倍率は景気と連動して上下する
労働・転職市場の動きは、景気とほぼ連動するため、有効求人倍率は景気と連動して上下します。
そのため、景気の良し悪しを把握する指標として用いられることが多いです。
- 景気が良くなると、有効求人倍率は高くなる
…企業が事業拡大などを目的として、人材を募集するようになるため - 景気が悪くなると、有効求人倍率は低くなる
…人件費を抑えるため企業が採用活動を控える一方、倒産や失業により転職市場に求職者が増えるため
特に、有効求人倍率が1倍を下回った場合、「就職難の状態にある」と言えます。
求人の数よりも仕事を探す人の方が多くなってしまうため、「仕事が見つからない」という人も現れるようになります。
2.【最新】有効求人倍率は1.04倍
2020年10月時点の有効求人倍率は、1.04倍です。
有効求人倍率は、2019年の12月以降、下落を続け、現在は低迷状態にあります。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う市況の悪化を、顕著に示していることがわかります。
なお、前年(2019年)の8月は1.58と高い水準を示していました。
このことからも、直近1年の間で、景気が大きく減退したことがわかるでしょう。
都道府県別:有効求人倍率1倍を下回っている地域も多い
2020年10月時点の有効求人倍率を、都道府県別にみてみると、以下の通りです。
※1倍を下回る(人手余り)県は太字
北海道 | 0.97 |
青森県 | 0.95 |
岩手県 | 1.03 |
宮城県 | 1.16 |
秋田県 | 1.21 |
山形県 | 1.05 |
福島県 | 1.18 |
茨城県 | 1.19 |
栃木県 | 0.91 |
群馬県 | 1.15 |
埼玉県 | 0.88 |
千葉県 | 0.86 |
東京都 | 1.19 |
神奈川県 | 0.75 |
新潟県 | 1.17 |
富山県 | 1.17 |
石川県 | 1.12 |
福井県 | 1.49 |
山梨県 | 0.95 |
長野県 | 1.03 |
岐阜県 | 1.23 |
静岡県 | 0.93 |
愛知県 | 1.02 |
三重県 | 1.04 |
滋賀県 | 0.81 |
京都府 | 1.01 |
大阪府 | 1.1 |
兵庫県 | 0.93 |
奈良県 | 1.1 |
和歌山県 | 0.98 |
鳥取県 | 1.2 |
島根県 | 1.36 |
岡山県 | 1.44 |
広島県 | 1.18 |
山口県 | 1.24 |
徳島県 | 1.05 |
香川県 | 1.29 |
愛媛県 | 1.19 |
高知県 | 0.99 |
福岡県 | 1 |
佐賀県 | 1.04 |
長崎県 | 0.9 |
熊本県 | 1.13 |
大分県 | 1.11 |
宮崎県 | 1.15 |
鹿児島県 | 1.08 |
沖縄県 | 0.66 |
参考:労働政策研究・研修機構
有効求人倍率がもっとも低い地域は沖縄県で0.66、もっとも高い地域でも福井県で1.49にとどまりました。
なお、昨年同月では、およそ38の都道府県で有効求人倍率1.5倍を上回っていましたが、現時点同水準に達している県は一つもありません。
このことから、全国的に景気が後退していると言えるでしょう。
3.過去20年間の有効求人倍率推移で、もっとも大きな下落幅
過去20年間の有効求人倍率の推移をグラフにまとめました。
年単位でみてみると、コロナショックによって有効求人倍率は過去20年間でもっとも勢いよく下落していることが分かります。
なお、リーマンショック時の有効求人倍率は、2008年から2009年で「0.88→0.47(マイナス0.41)」まで下落しました。
現状、今回のコロナショックは、リーマンショック時の水準にまでは落ちていません。
しかし、前年比マイナス0.62と、リーマンショック時よりも急落していることから、景気への影響もその分大きいと考えられます。
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今回のコロナショックは、転職市場にも大きな影響を与えています。詳しくは『【随時更新】コロナが転職活動に与える10の影響とは?| プロの目線で徹底解説』で解説していますので、転職を検討している方はぜひ参考にしてください。
3-1.リーマンショック時は景気回復まで4年かかった
リーマンショックが起きた2009年は、企業の倒産が相次ぎ、有効求人倍率は1倍を割り込みました。
その後、この有効求人倍率が1倍を超えたのは2013年、景気回復と言えるまでに4年もの歳月がかかったのです。
3-2.リーマンショック時以上に不況が長引く可能性もある
コロナショックは、リーマンショック時以上に不況が長引く可能性もあります。
リーマンショックはお金の流通が滞ることで、徐々に景気に影響を与えていましたが、今回のコロナショックは、あらゆる業界へ一気に打撃をもたらしているためです。
経済へのダメージは、リーマンショック以上のものになることも予想されます。
GoToトラベルキャンペーンなど、様々な経済施策により、景気減退に歯止めがかかる可能性はありますが、有効求人倍率が右肩上がりに戻るまでは、数年を要することになるでしょう。
4.有効求人倍率を読み解く際の注意点
有効求人倍率を読み解く際の注意点は、以下の通りです。
それぞれ詳しく解説します。
4-1.有効求人倍率は季節調整値を見る
有効求人倍率から景気動向を読み取る際には、実数値ではなく「季節調整値」を参照してください。
季節調整値とは、月による稼働日数や祝日の違いなど、季節による影響を除いて算出した値のことです。
これにより前月・前年とのより正確な比較が可能になります。
4-2.新規求人倍率と有効求人倍率の違いを知っておく
求人倍率は、厳密にいうと「有効求人倍率」と「新規求人倍率」の2種類の指標が存在します。
有効求人倍率と新規求人倍率の違い
- 有効求人倍率
…前月から繰り越された求人数と求職者数に、当月に受け付けた求人数と求職者数を加えて算出する - 新規求人倍率
…「当月に新しく受け付けた求人数と求職者数」をもとに算出する
新規求人倍率の方がより直近情報ではあるものの、景気指標としては「有効求人倍率」が用いられるのが一般的です。
これは有効求人倍率が、景気動向指数の一致系列(景気に連動して反応する指標)に採用されているためです。
4-3.求人サイトの情報は含まれていない
有効求人倍率は、転職求人サイトなどに掲載されている情報は含まれていません。
ハローワークで扱う求人・求職者数をもとに算出されるためです。
そのため、仕事の探しやすさを見極める際には、あくまで目安の値であると考えておくべきでしょう。
さいごに
有効求人倍率の見方や最新のデータを紹介しました。
有効求人倍率は、景気や労働市場の動きをリアルに反映する値です。
「転職を考えている」「景気の先行きが不安」という方は、最新の有効求人倍率をチェックしておきましょう。