2023年10月最新:有効求人倍率とは?コロナ後の推移をイラスト図解&グラフで解説

求人倍率とは

「有効求人倍率ってなんだっけ」「コロナの影響を知りたい」と考えていませんか?

有効求人倍率は、「求職者1人あたりどのくらいの求人があるか」を示す値であり、2023年10月現在、厚生労働省が公開している最新情報は『1.16倍』です。

前の年の同じ月と比べると、わずかながら上昇しており、回復傾向にあると言えます。

この記事では、有効求人倍率の詳しい計算方法や、景気との関係性、最新データの見方について詳しく解説していきます。

  1. 有効求人倍率とは「求職者1人につき、いくつ求人があるか」を示す指標
  2. 【2023年10月最新】有効求人倍率は1.16倍
  3. コロナ禍で景気の回復は完全にストップ
  4. 有効求人倍率を読み解く際の注意点

すべて読めば、有効求人倍率をもとにした景気の動向が分かります。

1.有効求人倍率とは「求職者1人につき、いくつ求人があるか」を示す指標

有効求人倍率は、「求職者1人あたり、どのくらいの求人があるか」を示す指標です。

ハローワークの情報(求人の数・仕事を探す人の数)をもとに算出されます。

有効求人倍率の計算式

例えば、100人が仕事を探していて、労働市場に120件の求人があると、有効求人倍率は1.2倍となります。

この場合、「求職者1人に対し、1.2件の仕事がある状態」を意味します。

有効求人倍率の計算例

有効求人倍率は、厚生労働省により取りまとめられ、毎月の月初めに発表されます。

用語解説

  • 有効求人数
    …ハローワーク(公共職業安定所)で募集が出ている求人数。前月からの繰り越し求人数と当月の新規求人数の合計
  • 有効求職者
    …ハローワーク(公共職業安定所)に登録している求職者数。前月からの繰り越し求職者数と当月の新規求職者数の合計

就職・転職活動時は有効求人倍率が1を上回っているかを目安にする

就職や転職を検討している際は、有効求人倍率が1を上回っているかを目安にしておきましょう。

有効求人倍率が1を超える状況を、売り手市場と呼びます。求人が多く、求職者は仕事を選べる立場にあるため、就職・転職活動がスムーズに進みやすくなります。

これに対して、有効求人倍率が1を下回る状況を買い手市場と呼びます。求人が少なく、なかなか条件の良い仕事が見つかりにくくなるため、就職・転職活動が難航しやすくなります。

有効求人倍率は景気と連動する

有効求人倍率は、景気の良し悪しと連動します。

  • 景気が良くなると、有効求人倍率は高くなる
    …企業が事業拡大などを目的として、人材を募集するようになる
  • 景気が悪くなると、有効求人倍率は低くなる
    …人件費を抑えるため企業が採用活動を控える上に、倒産や失業により転職市場に求職者が増える

景気の良し悪しは、「景気動向指数」という指標で数値化されますが、これを導き出す際に有効求人倍率が用いられます。

景気動向指数は、生産、雇用など様々な経済活動での重要かつ景気に敏感に反応する指標の動きを統合することによって、景気の現状把握及び将来予測に資するために作成された指標である。

引用:内閣府

景気動向指数は、他にも日経商品指数や法人税収入などの指標をもとに算出されますが、労働市場の好況・不況は有効求人倍率とかなり一致しています。

例えば、1990年代初頭から2010年頃までは、長期にわたって不況が続いたことから「失われた20年」と呼ばれますが、この間に有効求人倍率が1を上回った年は5回しかありません。

特に2009年のリーマンショック不況時は、0.45とかなり低い水準まで落ち込みました。

2.【2023年10月最新】有効求人倍率は1.16倍

2023年10月時点で発表されている最新の有効求人倍率は、1.16倍です。

新型コロナウイルス感染拡大の影響が経済活動に及び始めた2020年1月以降、有効求人倍率は低迷が続いています。

2019年時点では1.5倍を超えていたので、コロナ前の水準には及ばない状況ですが、前年同月と比べて0.1ポイントアップとやや上昇してはいることから、回復傾向ではあると言えます。

都道府県別:一部のエリアを除き、求人倍率は1を超えるようになった

最新の有効求人倍率を都道府県別にまとめると、一部のエリアを除き、ほとんどの地域で1倍を超えていることが分かります。

前年同月(2020年12月)時点と比較すると、2021年12月のデータでは1倍を下回る県が減少しており、「前の年と比べると、転職活動はしやすくなった」と言えます。

全国1.16
北海道1.09
青森県1.22
岩手県1.34
宮城県1.23
秋田県1.50
山形県1.41
福島県1.42
茨城県1.40
栃木県1.11
群馬県1.39
埼玉県0.99
千葉県0.98
東京都0.90
神奈川県0.86
新潟県1.43
富山県1.60
石川県1.33
福井県1.82
山梨県1.41
長野県1.47
岐阜県1.56
静岡県1.19
愛知県1.22
三重県1.40
滋賀県1.13
京都府1.05
大阪府0.95
兵庫県1.02
奈良県1.22
和歌山県1.17
鳥取県1.48
島根県1.64
岡山県1.37
広島県1.29
山口県1.59
徳島県1.32
香川県1.55
愛媛県1.40
高知県1.14
福岡県0.99
佐賀県1.39
長崎県1.24
熊本県1.41
大分県1.32
宮崎県1.43
鹿児島県1.36
沖縄県0.82

参考:厚生労働省・一般職業紹介状況

なお、転職のしやすさは都道府県によって差があり、有効求人倍率が最も低い地域は沖縄県で0.82、最も高い地域で福井県で1.82と、2倍以上の差があることが分かります。

3.コロナ禍で景気の回復は完全にストップ

2009年のリーマンショック以降、有効求人倍率は9年連続で回復していましたが、新型コロナウイルスの影響で、その流れは頭打ちになってしまい、一気に下降傾向に転じました。

求人倍率推移

2009年以降の景気回復は2019年で頭打ちに

今回の下げ幅は過去20年のうちで最も大きく(リーマンショック時は前年比マイナス0.41、コロナショックは前年比マイナス0.62)、その分景気への影響も甚大と考えられます。

3-1.リーマンショック時は景気回復まで4年かかった

リーマンショックが起きた2009年は、企業の倒産が相次ぎ、有効求人倍率は1倍を割り込みました。

その後、この有効求人倍率が1倍を超えたのは2013年、景気回復と言えるまでに4年もの歳月がかかったのです。

3-2.リーマンショック時以上に不況が長引く可能性もある

コロナショックは、リーマンショック時以上に不況が長引く可能性もあります。

リーマンショックはお金の流通が滞ることで、徐々に景気に影響を与えていましたが、今回のコロナショックは、あらゆる業界へ一気に打撃をもたらしているためです。

経済へのダメージは、リーマンショック以上のものになることも予想されます。

4.有効求人倍率を読み解く際の注意点

有効求人倍率を読み解く際の注意点は、以下の通りです。

  1. 有効求人倍率は季節調整値を見る
  2. 新規求人倍率と有効求人倍率の違いを知っておく
  3. 求人サイトの情報は含まれていない

それぞれ詳しく解説します。

4-1.有効求人倍率は季節調整値を見る

有効求人倍率から景気動向を読み取る際には、実数値ではなく「季節調整値」を参照してください。

季節調整値とは、月による稼働日数や祝日の違いなど、季節による影響を除いて算出した値のことです。

これにより前月・前年とのより正確な比較が可能になります。

4-2.新規求人倍率と有効求人倍率の違いを知っておく

求人倍率は、厳密にいうと「有効求人倍率」と「新規求人倍率」の2種類の指標が存在します。

有効求人倍率と新規求人倍率の違い

  • 有効求人倍率
    …前月から繰り越された求人数と求職者数に、当月に受け付けた求人数と求職者数を加えて算出する
  • 新規求人倍率
    …「当月に新しく受け付けた求人数と求職者数」をもとに算出する

新規求人倍率の方がより直近情報ではあるものの、景気指標としては「有効求人倍率」が用いられるのが一般的です。

これは有効求人倍率が、景気動向指数の一致系列(景気に連動して反応する指標)に採用されているためです。

4-3.求人サイトの情報は含まれていない

有効求人倍率は、転職求人サイトなどに掲載されている情報は含まれていません。

ハローワークで扱う求人・求職者数をもとに算出されるためです。

そのため、仕事の探しやすさを見極める際には、あくまで目安の値であると考えておくべきでしょう。

さいごに

有効求人倍率の見方や最新のデータを紹介しました。

有効求人倍率は、景気や労働市場の動きをリアルに反映する値です。

「転職を考えている」「景気の先行きが不安」という方は、最新の有効求人倍率をチェックしておきましょう。