「非公開求人ってよく聞くけど何のこと?」と考えていませんか。
非公開求人とは、企業の公式サイトや転職サイト、ハローワークなどでは一切公開されていない求人情報のことです。
広く公開すると、応募が殺到するような人気企業・好条件の求人が多い傾向にあります。
非公開求人は、転職エージェントに登録し、担当者から紹介してもらうことではじめて応募できるようになります。
この記事では、転職のプロとして数多くの転職希望者をサポートしてきた私が、非公開求人とは何か、どういった背景で非公開扱いになっているのか、なぜ転職エージェント経由でしか情報にアクセスできないのかについて詳しく説明します。
目次
1. 非公開求人とは
非公開求人とは、転職エージェントが保有する、一般には公開されていない求人情報のことです。
転職エージェントに登録した人だけが、求人を紹介してもらうことが出来ます。
公開して募集してしまうと、応募が殺到してしまうような好条件の求人が多くなっています。
非公開求人と公開求人の違い
公開求人とは求人媒体や応募条件、採用倍率などに違いがあります。
非公開求人 | 公開求人 | |
求人媒体 | 転職エージェントのみ | 転職サイト・ハローワーク・企業ホームページ |
求人を見れる人 | 転職エージェント登録者だけ | 誰でも |
競争率 | 低 | 高 |
特徴 | 人気企業・好条件の募集が多い | マイペースに仕事探しができる |
公開求人はサイトに登録をしていなくても誰でも求人情報を確認することが出来ますが、非公開求人は求人を扱う転職エージェントに登録しなければ確認することが出来ません。
求人に応募できる人が限られているため、競争率は公開求人に比べて低くなっています。
2. 非公開で求人募集をする理由
企業側が非公開で求人募集をするのには、以下の3つの理由があります。
2-1. 効率良く選考を進めるため
企業が自社求人を非公開にする最大の理由は、効率よく選考を進めるためです。
転職エージェントに登録している人だけに求人を公開すると、応募人数が制限されるので、選考を短縮できます。
誰でも応募できる公開求人では、人気企業や優良求人に応募が殺到することが多く、企業の採用担当者は、毎日数十件もの履歴書や職務経歴書に目を通し、面接を行わなければなりません。
企業のニーズとはマッチしない人でも応募できてしまうため、絞り込みに時間がかかり非効率と言えるでしょう。
ですが、求人を非公開にして、「転職エージェントが”この人は企業のニーズにぴったりだ”と判断した人だけが応募してくる仕組み」にすることで、選考を効率的に進められるようになるのです。
2-2. 事業内容を競合他社に公表したくない
新規事業の立ち上げや極秘プロジェクトを、競合他社に知られないようにする目的もあります。
良い人材を集めるためには、「自社がどんなことをしているのか」「どういう人材が不足しているのか」を開示しなければなりませんが、そういった情報を誰でも見られる状態にしておくのは、相応のリスクがあります。
例えば、仕事内容や募集背景が詳細に記載されていれば、進めているプロジェクトや新商品情報を競合他社が把握されてしまうこともあります。
このようなリスクを最小限にするために、特に事業に関わるポジションの求人ほど、非公開で募集されるのが一般的です。
他にも、エージェントを用いて優秀な人材を獲得している場合、「競合他社に自社の採用ルートを知られたくない」という理由で非公開にしている企業もあります。
事業内容や人材状況を他社に知られるのはリスクがあるため、非公開で募集をしているのです。
2-3. 自社の社員に求人情報を知られないようにする
自社の社員に求人情報を知られないように、非公開で募集をすることもあります。
社内においても、求人情報を公開するのには、様々なデメリットが存在します。
例えば、社内重要ポストを募集していることが分かると、「そのポストに就いている◯◯さんが退職するのではないか」と噂されてしまう可能性があります。
また、現職の社員より高い給料で募集した場合、待遇の差に不満を持つ社員が出てくることも考えられます。
他にも、重要ポストを社外から集めることで、「自分に昇進機会はない」「自分のポストはあるのか」と不安を抱くかもしれません。
このようなデメリットを防ぐために、非公開で募集をすることがあります。
3. 非公開求人の4つのメリット
非公開求人には4つのメリットがあります。
3-1. 好条件求人が多い
非公開求人は、好条件求人が多い傾向にあります。
前述の通り、企業は選考を効率的に進め、選考期間を短縮化するために非公開で募集をしています。
言い方を変えると、公開すると募集が殺到するような魅力的な企業ほど、一般的な転職サイトやハローワークには公開しないのです。
この結果、非公開求人は高年収・好待遇のものが多くなり、もし転職エージェントに紹介してもらえれば、更なる年収アップも期待できます。
3-2. 求人の選択肢が圧倒的に増える
転職エージェントを活用すると、非公開求人を選択肢に入れられるので、転職先候補がグッと増えます。
例を挙げると、リクルート社が運営する『リクナビNEXT(転職サイト)』と『リクルートエージェント(転職エージェント)』では求人数を比較すると、転職エージェントの方がより多くの求人を保有していることがわかります。
なぜこれほど差が生まれるかというと、一般的に転職エージェントは、公開求人よりも非公開求人を多く保有しているからです。
実際に、「リクルートエージェント」の求人内訳をみると、
- 公開求人:約15万件
- 非公開求人:約20万件
と非公開求人の方が多いです。
求人数が多ければ多いほど、自分の希望条件に合う求人が見つかりやすくなります。
3-3. 求められるスキル・経験が明確でミスマッチが起こりにくい
ミスマッチが起こりにくいのも、実は非公開求人に応募するメリットです。
というのも、企業がエージェントを介して非公開で人材を募集する際、「どういった人材が欲しいか」について、エージェントの担当者と綿密な打ち合わせをするからです。
そしてエージェントの担当者は、求職者とのキャリア面談を通して「この人ならあの企業の採用ニーズにぴったりだ」と判断した上で、求職者に求人を紹介します。
このように、エージェントが仲介してマッチングを判断してくれることで、双方のミスマッチを限りなく低くしてくれるのです。
また、非公開であることで、競合他社には知られたくない事業内容や、求められている役職などの情報を詳しく開示できるので、転職後のイメージも掴みやすいメリットもあります。
3-4. 内定までの期間が短い
非公開求人は公開求人に比べて、採用までの期間が短いです。
そもそも企業は、採用を効率化・短縮する目的で、情報を非公開にしています。つまり、「できるだけ早く人材を集めたい」と考えていることが多く、選考もサクサクと進んでいきます。
また、非公開求人は転職エージェント経由でしか応募できない時点で、応募総数が限られるので、「既に応募者をある程度絞り込んだ状態」からスタートします。そのため、選考がスムーズになるのです。
4. 非公開求人のデメリット
非公開求人は好条件のものが多い一方、以下のような注意点も押さえておく必要があります。
4-1. 誰でも応募できるわけではない
非公開求人は転職エージェントに登録したとしても、誰でも応募できるものではありません。
非公開求人は、担当者が企業のニーズとマッチしていると判断して初めて紹介される求人だからです。
非公開求人応募までの流れ
- 転職エージェントの担当者(キャリアアドバイザー)と求職者が面談
- 担当者が「この人にはこの非公開求人の企業が合うのでは」と判断した場合のみ求人を提案
- 提案された非公開求人に応募
求職者のスキルや経験は、転職エージェント登録時に行うキャリア面談で、企業の採用ニーズと合うのか判断されています。そのため、求人を紹介されるのは、転職エージェントによるフィルターを通過した人だけとなっているのです。
入りたい企業が明確にある場合でも、求められているスキルを満たしていないと判断されれば、紹介されることはありません。
転職エージェントに登録すれば、非公開求人に応募できるようになると誤解しないようにしましょう。
4-2. 自分から非公開求人を検索できない
転職エージェントに登録している場合でも、自分で非公開求人を検索することはできません。
非公開求人の情報は、企業と提携している転職エージェントに登録をしている人が、紹介でのみ知ることができます。
そのため、転職エージェントに登録していても、自分から求人検索をして希望に合った求人を見つけることはできないのです。
「転職エージェントに登録すれば非公開求人を検索できるようになるわけではない」点は理解しておきましょう。
まとめ:非公開求人も選択肢に入れるべき人
非公開求人のメリット・デメリットを踏まえた上で、自分が非公開求人を選択肢に入れるべきか検討してみましょう。
メリット | デメリット |
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これらを踏まえた上で、非公開求人を選択肢に入れるべき人の特徴は以下の通りです。
- 経験・スキルが活かせる職場に転職したい人
- 年収アップを狙っている人
- すぐに転職したい人
非公開求人は、採用までの期間が短めなので、すぐに待遇の良い職場へ転職したい人におすすめです。
一方で、未経験職種や経験が浅い状態で転職する人は、非公開求人には向いていないと言えます。
5. 非公開求人に応募するには転職エージェントへの登録が必須
前章でも説明したように、非公開求人に応募するには転職エージェントへの登録が必須です。
登録した上で、多くの非公開求人を紹介してもらうため、以下の2点を抑えておきましょう。
5-1. 担当者には自身の経験・スキルを正確に伝える
経歴やスキルは正確に伝えるように心がけましょう。
実績を伝える際は、業務内容や役職を漠然と伝えるのではなく、具体的な数値を交えて分かりやすく伝えられるように準備しておきましょう。
例えば、「1日30件に訪問営業を行い、月平均10人の新規顧客を獲得していました。」「昨年度の販売数は5軒で、部署内17人中3位という実績を残しました。」など具体的に伝えると分かりやすいです。
曖昧な表現では、応募条件を満たしているか判断できず、担当者もどの求人を紹介すれば良いのか分からなくなってしまいます。また、事実でない内容が発覚した場合、信用を失うことになるので、気をつけましょう。
5-2. 転職意欲の高さをアピールする
「良い会社があればすぐにでも転職したい」と転職意欲の高さをアピールしましょう。
転職エージェントは、紹介した企業への内定が決まると企業から紹介料を受け取ることで利益を得ているので、早く転職している人を優先的にサポートするからです。
登録者の希望に合いそうな求人を積極的に探してくれるようになるので、非公開求人を紹介されやすくなります。
また、転職先の希望条件や妥協できる点など、「転職の軸」を明確に伝えることも効果的です。
初回面談時に転職意欲をアピールして、非公開求人を紹介してもらいやすい関係を築きましょう。
6. 非公開求人を多数保有する転職エージェント
最後に、非公開求人を多く保有している転職エージェントをご紹介します。
数ある転職エージェントの中から、以下を基準に、「利用者からの満足度の高い転職エージェント」をピックアップしました。
転職サイト選定基準
- 求人の数 …総求人数が多いほど、理想にぴったりの求人を見つけやすい
- 利用者満足度(提案&サポート力) …利用者の口コミをもとにサービスの質を評価。優秀なキャリアコンサルタントに担当してもらえれば、理想の職場を提案&手厚いサポートが期待できる
利用者の総合評価順にランキング形式でまとめると、おすすめの転職エージェントは、以下の通りとなりました。
転職エージェント | 公開求人数|総合満足度 |
---|---|
1位 リクルートエージェント |
約37万件| 4.1 業界最大手エージェント。選択肢を増やしたいなら登録必須 |
2位 dodaエージェント |
約18.8万件|3.9 顧客満足度No.1(2023年 オリコン顧客満足度®調査 転職エージェント20代 第1位)の転職エージェント |
3位 マイナビエージェント |
6.3万件|4.3 サポートが充実しており、はじめての転職に強い。 |
〔求人数〕2023年4月7日時点
※この記事では3つに厳選しています。より詳しく知りたい方は、『転職エージェントおすすめランキング|500人の評判比較!』を参考にしてください。
1位.リクルートエージェント
『リクルートエージェント』は、求人数No.1の総合転職エージェントです。
公開求人は約37万件、登録者のみ閲覧できる「非公開求人」を合わせると約62万件以上の求人を扱っています(2023年4月7日時点)。
業界最大の転職支援実績があり(厚労省「人材サービス総合サイト」より2019年実績)、サポートも充実しているので、転職を検討しているなら必ず登録すべき1社です。
転職成功率を上げるには、『dodaエージェント』や、サポートへの評判が高い『パソナキャリア』や『マイナビエージェント』を併用すると良いでしょう。
◆補足:リクルートが運営している関連サービス
- リクルートダイレクトスカウト(年収700万円ある人向け)
- リクルートエージェントIT(エンジニア向け)
2位.dodaエージェント
『dodaエージェント』は、パーソルキャリア(旧:インテリジェンス)が運営する国内最大級、顧客満足度No.1(2024年 オリコン顧客満足度®調査 転職エージェント20代 第1位)を誇る転職エージェントです。
提案力・求人数ともにトップレベルで、かつ「悪い口コミ」も見当たらず、担当者の当たり外れが少ないエージェントだと言われています。
首都圏の20代30代にはもちろん強く、他にも地方での転職や、高齢での転職など、他の転職エージェントで断られるような場合でも、dodaであれば案件が見つかるとの口コミが見受けられたので、『全ての人におすすめできる転職エージェント』と言えます。
3位.マイナビエージェント
『マイナビ IT AGENT』は、丁寧なサポートがウリの20代向け転職エージェントです。
求人数だけではリクルートやdodaといった大手ほどではありませんが、首都圏の20代に焦点を当てれば1番の満足度(4.2/5.0点)を誇ります。
そのため、求人数が豊富な大手(例えば、『リクルートエージェント』や『dodaエージェント』など)と併用することをおすすめします。
7. まとめ
非公開求人について、公開求人との違いやメリット・デメリットを紹介しました。
非公開求人は、即戦力を募集しているため、誰でも応募できるものではありませんが、その分待遇が良く年収アップが狙える求人です。
スキルや経験を活かして転職したい人、短い期間で転職したい人は非公開求人を視野に入れるべきと言えます。
あなたの未来が明るくなることを祈っております。
現役の転職コンサルタント集団。大手人材会社に在籍しているメンバーが多いため、執筆内容に制約がかからないように『匿名性』とし、裏事情やノウハウを包み隠さずにご紹介しています。