2023年|キャリア・グロースさせるために、今やるべきこと

田中 研之輔 様
法政大学の教授として教鞭をとる傍ら、民間企業の取締役や社外顧問も数多く務め、社会の変化に応じ、自分の意思で自由にキャリアを形成していく考え方、「プロティアン・キャリア論」を提唱する田中研之輔氏。

今回、そんな田中氏に新年を迎えたタイミングで、「2023年、あなたのキャリアをグロース(成長)させるために、今やるべきこと」をテーマに記事を寄稿していただきました。

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この記事を書いた人:田中 研之輔(たなか けんのすけ)
法政大学キャリアデザイン学部教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事/明光キャリアアカデミー学長/
UC. Berkeley元客員研究員 University of Melbourne元客員研究員 日本学術振興会特別研究員SPD 東京大学 /博士:社会学。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。専門はキャリア論、組織論。社外取締役・社外顧問を29社歴任。個人投資家。著書26冊。『辞める研修 辞めない研修–新人育成の組織エスノグラフィー』『先生は教えてくれない就活のトリセツ』『ルポ不法移民』『丼家の経営』『都市に刻む軌跡』『走らないトヨタ』、訳書に『ボディ&ソウル』『ストリートのコード』など。ソフトバンクアカデミア外部一期生。専門社会調査士。最新刊『プロティアン教育』、主著『プロティアン―70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本論』、『ビジトレ−今日から始めるミドルシニアのキャリア開発』。日経ビジネス 日経STYLE他メディア多数連載 プログラム開発・新規事業開発を得意とする。

関連リンク:
https://twitter.com/KennosukeTanaka

キャリアの悩みを受け入れること

2021年、これからの働き方や生き方について悩んだ人も少なくないでしょう。

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20代女性
コロナでオンラインワークが増え、同僚や上司の仕事ぶりもみえにくくなりました。私自身も求められている仕事ができているのか、不安です。

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30代男性
入社してから様々な部署で仕事をしてきましたが、私には専門性という強みがありません。それもあってか、職場内で思うように評価されません。

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40代男性
任されている仕事量や責任に対して、給料が低いと感じます。これからこの職場で働き続けても給料は上がりません。

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20代女性
これからの先のキャリアのことがみえません。働くこととライフイベントをうまく調整しながらやっていけるのかが心配です。このままでいいのでしょうか?

これらは、私が企業向けのキャリア講演や社内研修に講師として登壇した際に、実際に耳にした言葉の数々です。

私は大企業、中小企業、ベンチャー企業まで、様々な業種の企業現場の方々にキャリアの考え方を伝えています。累計で4万人以上のビジネスパーソンの方々にキャリアについての知見を伝達する機会を得ました。

登壇の機会に心がけているのが、ビジネスパーソンのキャリアの悩みに耳を傾けるようにすることです。対面研修では定員は多くても100名程度まででしたが、コロナ禍以降のオンライン研修では500名近くになることもしばしばあります。

オンライン研修で「あなたが抱えているキャリアの課題や悩みは何ですか?」と質問を投げかけると、数百のコメントを読むことができます。

自己紹介が遅れました。

法政大学でキャリア論を専門として研究している田中研之輔です。タナケンで覚えてくださいね!

私は大学でキャリア論を教える傍らで、企業の社外顧問を勤めています。これまでに29社の企業顧問を歴任してきました。大学でも企業現場においても、大切にしていることは同じです。

キャリア論の専門家の立場から皆さんに伝えたいこと。

それは、「キャリアの悩みは、あなたの成長源である」ということです。キャリアについて悩むことは、決して悪いことではないのです。

働く・稼ぐ・生きるのバランスをとること

これまでの経験を経て言えることは、ビジネスパーソンが抱えるキャリアの悩みは、個別具体的でありながらも、業界や職種を越えて、悩みの内容は似ているということです。

ビジネスパーソンが抱えるキャリアの悩みは多くの場合、

  • 働くこと
  • 稼ぐこと
  • 生きていくこと

この3つのバランスがうまくとれないことに起因します。

人生100年時代を生きる私たちには、先輩たちが過ごした時間よりもはるかに長い人生のキャリアマネジメントをしていかなければならないのです。

うまくいかないことに目をつむり、我慢しながら逃げきるには、あまりに長い時間を享受しているのです。

できることなら、自分らしく人生を全うしたいですよね。「でも、どうやって?」そのやり方を学ぶ機会がビジネスパーソンにはありません。

私たちは成長していくことで、自分らしくあることを隠すようになります。組織の中で、「自分らしく」あることは、容易ではないのです。

組織の色にあわせて、「自分らしく」を隠し働く方がよっぽど楽なのです。

加えて、社会人として独り立ちして働くようになると、両親に無駄な心配をかけるわけにはいきません。友達や同僚に相談することも気がひけるでしょう。

勉強は、学校の先生や塾の講師が教えてくれました。習い事は、先生やコーチが教えてくれました。

しかし、「働き方・稼ぎ方・生き方」を教えてくれるような先生は残念ながら、居ないのが現状です。それぞれのキャリアを築いていく上で大切なことは、誰も教えてくれないのです。

「誰にも相談できず、打ち明けにくい不安や悩みを一人で抱え込む」そこから抜け出せずに、悪循環に陥り心の病を抱える人も少なくはありません。

私のところにくるキャリア相談の件数は増えてきており、悩みもより深刻なものになってきています。

「Career Theory」でキャリアの悩みは9割解決できる

私たちが生きていく限り、悩みは尽きないものです。

とはいえ、私たちが抱えるそれぞれの個人的な悩みは、他の誰かが同じように抱えている、この社会が生み出すみんなの悩みといっても過言ではないのです。

  • 仕事や職場の悩み
  • 人間関係の悩み
  • 恋愛・家族・子育て・介護の悩み
  • 健康・老後の悩み
  • お金・家計の悩み

みんなそれぞれ、何らかの悩みを抱え向き合いながら、生きています。また、変化の渦中で私たちが抱えている悩みは、いつの時代にも本質的には変わらないものなのです。

悩みがない人は、いません。

となると、「悩みがある・悩みがない」という2軸で判断するのではなく、悩みの内容と深刻さの問題、それゆえ、悩みへの向きあい方が大切なのです。

キャリアの悩みにむきあう前に、私たちは二つの洗脳を解かなければなりません。

  • 他人と自分とを比べてしまうこと
  • 組織に依存してしまうこと

すでに様々な経験や知見がこれまでのキャリア形成を通じて刷り込まれていますから、意識的に認識し、そこからの脱却を図らない限り、現状を好転させることはできません。

「2021年、他人のキャリアとあなたのキャリアを比べたときはありましたか?」
「2021年、組織に依存していませんでしたか?」

問いかけてみてください。

あなた自身がこれまでのキャリアを受け入れ、キャリアに関する間違った洗脳を解くことで、悩みを和らげることができるのです。

悩みや苦しみを軽くすることができれば、毎日が楽になり、精神的に豊かな気持ちで過ごすことができます。仕事も人間関係にも、好循環をつくりだすことができるのです。

では、どうしたら私たちは悩みを軽減できるのでしょうか?

その解決策こそ、本サイトで紹介されている実践的なノウハウの数々です。

キャリアナレッジは、「キャリアの悩みを解決するための処方箋」

この「Career Theory」の中で、これから私が伝えていきたいのが、キャリアナレッジです。

キャリアナレッジとは、キャリアの悩みを一つ一つ解決していくために、具体的に取り組むことのできる鍵となる思考法を集めた「知の基盤」です。

キャリアナレッジには、3つの狙いがあります。

  • 形式的な知識(Formal Knowledge)ではなく、実践的な知識(Practical Knowledge)であること
  • 転職・副業・兼業・起業などのキャリアの「転機」だけではなく、日頃の働き方や生き方を考えるいわば、キャリアの「日常」から活用できること
  • キャリアを過去のものではなく、過去−現在−未来の時間軸の中で捉え、自ら構築していくものであると認識すること

キャリアナレッジが目指すゴールは、これら3つの狙いを明確にしながら、私たち一人ひとりが「自分らしく生きる」ことを実現していくことです。

自分らしく生きることとは、自分勝手に生きるではありません。自分らしく生きることと、組織貢献しながら働くことは両立できます。

ただし、何もしなければ、様々な悩みに押しつぶされそうになり、キャリア形成が円滑に進まないのです。

自分らしく生きることは、関わりあう人びとや組織に感謝しながら生をまっとうすることです。

だからこそ、キャリアナレッジを習得し、日々、実践していくことで、自分らしく生きるを構築していくのです。

本当に大切なのは、実際に行動すること

キャリアナレッジを机上の空論にしないことです。知識の伝達よりも、知識の活用に重点をおいています。

たとえば、私が研究に取り組み、大学や企業現場で伝えているプロティアン・キャリアという理論があります。

プロティアン・キャリア論の理論的特性についての情報を伝えることよりも、プロティアン・キャリア論の考え方をいかに活用していくかを一緒に考えるようにしているのです。

キャリアナレッジは、どれもキャリア理論をルーツに持ちます。

キャリア理論を日常生活に活用できる形で実践的にバージョンアップしたのが、キャリアナレッジになります。

キャリアナレッジとは、問題を発見し、分析し、そして解決に導く、キャリア理論をベースにした術=テクニックです。

わかりやすくまとめると、人生のさまざまな悩みを科学的かつ具体的に解決していくのが、キャリアナレッジです。

私自身、キャリア理論に出会い、習得することで、人生の悩みが軽くなりました。悩む時間がなくなり、戦略的に考え構想する時間になりました。

悩んで堂々巡りを繰り返すなら、手数を増やし、動くようになりました。生き方が変わっていったといっても過言ではないのです。

しかも激変でしたのです。その知見を皆様に伝えていきますね。

キャリアとは、これまで生きてきたすべての経験からなるあなたの足跡であり、これからを生きていく羅針盤です。

私たちは、一人ひとり、それぞれのキャリアを生きているのです。キャリアという考え方は、これまでの過去をみつめ、あなたが置かれている今をみつめ、これからの未来を創り出すためにあります。

キャリアナレッジは、これまでの過去を受け入れ、あなたが置かれている今を最大限に活かし、これからの未来を自らより良くしていくためにあります。

2023年をキャリア・グロースさせるために

さいごに、たった10分で今すぐできるオススメのキャリアワークを伝達しておきます。

  • ①2021年にあなたが成し遂げたことを書き出す:
    どんなことでも構いません。書き出すことで、整理されます。
  • ②2023年のあなたのキャリア目標を3つ書き出す:
    簡単な箇条書きでOKです。

ちなみに、私の目標は次のものです。

2023年のキャリア目標

  • キャリアに関する本を2冊出版する
  • 最新のキャリア理論・プロティアン知見を10万人に伝達する(現在4万人)
  • 関わりあう人のキャリア成長をプロデュースしていく

キャリア目標をたてると、目の前のアクションが変わります。スマホに流れてくる情報も、キャリア目標に関連する内容を注視するようになります。

キャリア目標は、あなた自身のために設定します。他人軸ではなく、自分軸で毎日を過ごすようにしていくのです。

そして、1ヶ月に1回、15分で良いので、キャリア目標の進捗を振り返るようにしてみてください。

コロナ・パンデミックという未曾有の危機を乗り越えた新しい1年がやってきます。

あなたの手で、あなたのキャリアをグロース(成長)させるそんな1年にしていきましょう。