保健師と看護師の違いとは?給料や仕事内容、働きながら保健師になる方法を解説

「保健師と看護師って何が違うの…?」
「自分に向いているのはどっち?」

と考えていませんか。

保健師と看護師の大きな違いは、「予防」と「治療」のどちらを対象としているかという点です。

つまり、保健師は病気やけがを未然に防ぐ役割、看護師は病気やけがを治療する役割という大きな違いがあります。

また、保健師の約70%は公務員として、保健所や保健センターなどの行政機関に勤務している点は、半数以上が病院に勤務している看護師との大きな違いであると言えます。

この記事では、保健師・看護師の人材コンサルタントとして、多くの方を転職を成功に導いてきた私が、保健師と看護師の違いの詳細や、仕事の選び方などを徹底解説します。

  1. 保健師は予防、看護師は治療を行う【似ている仕事のようで役割は全く違う】
  2. 保健師と看護師、どのように働きたいかで仕事を選ぶと良い
  3. 保健師と看護師の給料の比較
  4. 保健師・看護師の求人と就業の傾向

この記事を読めば、保健師と看護師の違いが分かり、将来のキャリアプランに役立ちます。

1.保健師は予防、看護師は治療を行う【似ている仕事のようで役割は全く違う】

保健師と看護師の違いは「予防」と「治療」のどちらを対象としているかという点です。

保健師は病気やけがを未然に防ぐ、看護師は病気やけがを治療するという大きな役割の違いをベースに、仕事上での対象者や勤務先などにおいて、以下のような違いが見られます。

 保健師看護師
1.対象健康な人を含む全ての人けがや病気をした人(患者)
2.業務内容保健指導や、健やかに生活するためのケアをおこなう病気や怪我の治療をする
3.主な勤務先行政機関病院
4.必要な資格保健師資格
看護師資格
看護師資格

この章では、その違いを詳しく説明しますので、ご自身の職業観などと照らし合わせてみてください。

それでは、ご紹介します。

1-1.仕事で対象とする人|保健師は全ての人、看護師は病気やけがをした人

保健師は全ての人を対象とし、看護師は病気やけがをした人を対象とします。

保健師と看護師の違いは、保健師看護師助産師法で定められており、その大きな違いは、対する相手が違うという点です。

健康な人を含むすべての人が対象となる保健師に対し、看護師は病人やけが人、いわゆる患者さんを対象者として仕事をします。

また保健師の場合、就業先によって「従業員」や「地域住民」など、関わる人が変わる点も特徴です。

1-2.業務内容|保健師は健康維持、看護師は病気やけがからの回復支援が目的

病気にならないための予防や、啓発教育の活動などを業務とする保健師に対し、看護師の業務は病気やけがをした人向けに看護をすることです。

保健師は、健康診断やメンタルヘルス対応、健康維持を目的とした保健指導の実施、感染症対策などの業務をおこないます。

乳幼児から高齢者までの幅広い世代が健康に過ごせるよう、健康相談や家庭訪問、乳幼児健診や母子健康活動などの個人への支援から、企業単位や学校生活を含む地域全体まで、幅広くサポートする役割です。

一方で看護師は、病院または自宅で病気やけがで療養している人(患者さん)が、健康な状態に回復するよう支援をします。

そのために必要な診療の補助や身の回りのお世話や指導、家族への介助の指導、医師など医療関係者との調整をおこないながら、円滑に療養生活が進むようにフォローする役割です。

病気になる前に対応する保健師に対して、病気になってからの療養を手助けするのが看護師ということになります。

1-3.主な勤務先|保健師は保健所などの行政機関、看護師は病院

保健師、看護師ともに多くの勤務先がありますが、保健師の70%は行政保健師(公務員)として保健所などの行政機関に勤務、看護師の50%以上は病院に勤務しています。

また、以下のように多様な勤務先があります。

保健師看護師
  • 保健所
  • 市町村役場
  • 保健センター
  • 企業
  • 学校
  • 病院
  • 健診センター
  • 地域包括支援センター
  • 介護施設・事業所
  • 病院
  • クリニック
  • 企業
  • 介護施設・事業所
  • 訪問看護ステーション
  • 福祉施設
  • 看護サービス提供企業
  • 看護大学の教員
  • ツアーやイベントへの派遣

企業で勤める場合、保健師はメンタルヘルスケアが大きな比重を占めるのに対して、看護師は健康診断後のフォロー面談や、健診に関する資料の整理などデスクワークも多い傾向にあります。

ただ、実際の現場では、保健師と看護師の片方しかいないなど、企業によって実態が異なるため、結果として保健師と看護師の業務に差がなく、明確な線引きがないということも多いのです。

また、学校に勤務する保健師・看護師に関しては、いわゆる保健室の先生である養護教諭とは異なります。

養護教諭は教員免許の取得が必要ですが、公立学校以外の学校に関しては養護教諭の配置が義務付けられておらず、結果として養護教諭と同じような業務をおこなうこともあるようです。

保健師になるには看護師試験と保健師試験の両方の合格が必要

看護師になるためには、看護師試験の合格が必要ですが、保健師になるためには、看護師試験と保健師試験の両方の合格が必要となります。

尚、保健師・看護師ともに国家資格であり、保健師は看護師よりも業務の幅が広いです。

保健師免許の取得には、看護師免許を含めてゼロから取得する場合、看護師免許をすでに取得している場合など、状況に応じて複数のルートがあります。

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2.保健師と看護師、どのように働きたいかで仕事を選ぶと良い

保健師と看護師のどちらを選ぶべきか悩まれている場合、どのように働きたいかで仕事を選ぶことがおすすめです。

保健師をおすすめする人看護師をおすすめする人
  • 健康管理や予防、保健指導がやりたい
  • 多くの人のお役に立ちたい
  • 社会全体に広く貢献する仕事がしたい
  • 看護業務をやりたい
  • 関わった患者さんの喜ぶ顔を見るのが好き
  • 看護や医療の専門性を極めたい

まず、保健師と看護師の仕事は明確に違うため、本当にやりたい仕事が「予防や保健指導」と「看護」のどちらなのかを考えることは重要でしょう。

中には、生活リズムや待遇面の観点から、保健師を選ぼうかと考えている人もいるでしょう。

しかし、実際に看護師から保健師に転職した人の中には、保健師になった後に、健康指導よりも看護を通じて患者さんの喜ぶ顔を見たいと感じていることに気付いたという人もいるのです。

ご自身の状況や将来のキャリアプランによっても保健師と看護師のどちらを選ぶかは変わってくるため、ご自身が希望する働き方に沿うのはどちらか、よく吟味したうえで決定することが大切です。

3.保健師と看護師の給料の比較

この章では、保健師と看護師の給料の比較をおこないます。

保健師は看護師資格に加えてさらに資格を取得している分、平均年収が高くなっており、その差は45.7万円となっています。

保健師(行政)※1看護師 ※2
平均年収537.5万円491.8万円
平均月収32.7万円33.8万円
平均賞与145.1万円85.8万円

出典※1総務省
出典※2令和2年賃金構造基本統計調査

保健師は給与面での優位性が人気の高さにつながっている

保健師は基本的に夜勤がなく、看護師よりも給与面において優れている点が、後述する保健師の人気の高さにつながっていると言えます。

尚、ジョブメドレーの独自調査によると、保健師の契約形態別の給与は以下の通りです。

【保健師】
契約形態別
平均給与
(上限)
平均給与
(下限)
正職員(月収)302,077円245,363円
契約職員(月収)289,643円241,857円
パート・アルバイト(時給)1,682円1,388円

出典:ジョブメドレー

保健師は約70%が行政保健師(公務員)ですが、その他の約30%の保健師は、企業や学校などの法人に勤務しており、給料に開きが出る場合もあります。

看護師は夜勤手当によって給与が変動しやすい

また、看護師の給与では、夜勤手当の占める割合が大きく、勤務先の夜勤の有無やその回数によって、給与差が広がる傾向です。

下記は、1回あたりの夜勤手当の比較です。

【看護師】夜勤手当(1回あたり)
三交代二交代
準夜勤4,154円11,286円
深夜勤5,122円

出典:病院看護実態調査

実際に夜勤の回数が多い部署(ICUなど)では、行政保健師と同じかそれ以上の給料を得ている看護師もいます。

ただ、夜勤が体力的につらいと感じている人も多いため、仕事内容などと照らし合わせて考える必要があるでしょう。

4.保健師・看護師の求人と就業の傾向

保健師と看護師をくらべると、保健師の方が就業者数が少ないうえに、人気が高い職種であることが分かります。

看護師よりも保健師の方が倍率が高く、人気が高い

保健師は夜勤がないうえに看護師よりも給料も高いという特徴があり、実際に求人倍率の観点からも、看護師よりも保健師の方が人気が高いと言えます。

保健師看護師
求人倍率0.77倍2.69倍
平均年収537.5万円491.8万円
勤務体系土日休みが多いシフト制が多い
夜勤の有無ほとんどの職場で無し多くの職場で有り

出典:日本看護協会

尚、助産師の求人倍率は1.78倍准看護師は1.46倍であり、他の職種と比較しても保健師の競争率の高さがうかがえるでしょう。

ただ、あくまで過去の調査であり、コロナ禍における転職活動はさらに厳しくなっている傾向があるため、注意が必要です。

保健師・看護師ともに正規雇用は約8割、しかし保健師は全体数が少ない

厚生労働省の調査によると、保健師の82.5%、看護師の82.2%が正規雇用として勤務しています。

ただ、以下のように全体数に大きな差がある点を考慮すると、保健師の方が入口が狭く、難易度が高いと言えるでしょう。

また、保健師・看護師の就業者数は、以下の通り、いずれも年々増加の一途をたどっています。

保健師数看護師数
平成20年(2008年)43,446877,182
平成22年(2010年)45,028952,723
平成24年(2012年)47,2791,015,744
平成26年(2014年)48,4521,086,779
平成28年(2016年)51,2801,149,397
平成30年(2018年)52,9551,218,606

出典:厚生労働省

尚、保健師数、看護師数ともに増加傾向にある理由としては、高齢化社会の進行にともない、保健師・看護師のニーズが高まっていることが大きな要因として挙げられます。

また、保健師の場合、新型コロナウイルス蔓延前から、様々な制度や法令変更に伴う保健師業務の増加や、複雑困難事例の増加により、慢性的に人材が不足しており、人員強化に力を入れていました。

同時に、看護師も就業者数を増やすべく、看護学校の新設や養成数の増加、離職・復職対策などをおこなった結果であると考えられます。

しかし、昨今のコロナ禍より保健師・看護師の業務はさらに増加しているうえ、2025年には医療需要がピークになると言われており、今後も保健師・看護師の需要は高い状態が続くでしょう。

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さいごに

保健師と看護師の違いについて、詳しくお話してきました。

保健師と看護師は「予防」と「治療」のどちらを対象とした仕事かという明確な違いがあります。

保健師をおすすめする人看護師をおすすめする人
  • 健康管理や予防、保健指導がやりたい
  • 多くの人のお役に立ちたい
  • 社会全体に広く貢献する仕事がしたい
  • 看護業務をやりたい
  • 関わった患者さんの喜ぶ顔を見るのが好き
  • 看護や医療の専門性を極めたい

給与面や待遇なども大切ですが、一番はご自身がどのように働きたいかを考え、保健師と看護師のどちらが良いかを選択すると良いでしょう。

あなたのキャリアが充実することを祈っています。