「忙しい科って、どこだろう?」「働くなら、忙しい職場はできるだけ避けたい」と、気になりますよね。
結論から申し上げると、看護師さんが「忙しい」と感じやすい診療科は、以下の5つです。
- ICU
- 救急部門
- 外科系の診療科
- 手術室
- 精神科
この記事では、大学病院に勤務し様々な診療科で働く看護師を見てきた私が、看護師「忙しい」と感じやすい診療科や、忙しい理由、業務内容をご紹介いたします。
また、忙しい診療科を選ぶ際のメリットとデメリット、注意点も合わせてお伝えしていきます。
- 看護師が「忙しい」と感じやすい診療科
- 忙しい診療科を選ぶ3つのメリットとデメリット
- 診療科だけじゃない!看護師の忙しさを左右する5つのポイント
- 希望の診療科の探し方
- 転職を検討している方向け|おすすめ看護師専門転職サイト
この記事を読めば、どんな診療科の、どういった業務が忙しいのかを知ることができ、今後診療科を選ぶ際に役立つ情報が得られるでしょう。
※本記事は看護roo!、レバウェル看護、マイナビ看護師、ナースではたらこ、ナース専科 転職などのPRを含みます
1. 看護師が「忙しい」と感じやすい診療科
看護師の仕事は、医師の診療の介助、疾患に合わせた看護、退院に向けた支援など、様々な種類があります。
診療科によっては、業務が多岐にわたることや、時間に追われながら業務をこなすこともあるので、忙しさを感じることが多くなります。
特に、看護師が「忙しい」と感じやすい診療科は、次の5つです。
具体的にどのような点で「忙しい」と感じるのか、順番にご紹介していきます。
1-1. ICU
ICUは、診療科を問わず、集中管理を必要とする患者さんの診療を行います。
ICUが忙しく感じるポイントは、主に以下の4つです。
<ICU看護師が忙しく感じるポイント>
- 高度な治療が必要な患者さんのケアや、異常があればすぐに対応するため、気が抜けない
- ADLが全介助の患者さんがいたり、業務量が多く、体力が必要
- 勤務時間意外も、治療に関わる機器、薬剤、ケアなど様々なことを勉強するので、オンオフの切り替えが上手くできず、「アラームの音や心電図の音が耳から離れない」「休めない」という人もいる
- 看護師のなかには口調が強い人もいるので、人間関係に疲れてしまうことも
ICUでは、以下の患者に対して看護ケアを実施します。
- 病棟で状態が急変し集中管理が必要
- 救急搬送後の初療を終え継続した管理が必要
- 手術後に高度な管理を必要
看護師の役割は、患者さんの状態管理や異常の早期発見を行うことです。
異常を発見した場合は、正確なアセスメントを行ったうえで、医師に報告し、必要な処置にあたる必要があります。異常に気付いてから対応するまで、一刻の猶予も許さない状況もあるので、常に細心の注意を払いながら業務を行うことが大切です。
また、意識障害の患者さんも多いため、体位変換や保清などのケアでは体力を使います。ほかにも、せん妄や夜間不穏を防ぐために、昼夜のリズムを意識した関わりや、コミュニケーションは欠かせません。
このように、ICU看護師は、患者さんの生命と向き合いながら、様々な業務をこなさなくてはならず、「忙しい」と感じる方も多いです。
医療スタッフのなかには、口調が強い方もいるので、人間関係に摩擦を感じ、精神的に疲れてしまう方もいるようです。
ICUで働くことで、急性期の看護を専門的かつ網羅的に学ぶことができますが、一方で身体的・精神的負担は強いようです。
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1-2. 救急部門
救急部門は、救急搬送された患者さんの治療を行う部門です。
救急部門が忙しく感じるポイントは、主に以下の4つです。
<救急看護師が忙しく感じるポイント>
- 緊急度の高い患者さんの対応や、初療から退院までの継続看護を行うため、幅広い知識や技術が求められる
- ADLの介助が必要な患者さんが多く、緊急時には俊敏な対応が必要なので、普段からの体力づくりが大切
- 患者さんが亡くなることもあり、オンオフの切り替えが難しいことも
- チームで診療にあたるので、忙しい中でもコミュニケーションが欠かせない
救急部門で行う初療とは、救急搬送された患者さんに対して、トリアージを行い、初療室で診療を行うことです。
救急部門は、救急外来や初療室だけではなく、ICUや一般病床を併設している病院もあるため、搬送されてから回復するまでの継続治療にあたります。
看護師は、主に診療や検査の補助を行いますが、一分一秒を争う病状の患者さんもいるので、医師の指示通りに動くだけではなく、的確な判断と行動が重要になってきます。
また、近年では、医師と共にドクターヘリで事故現場に赴き診療を行うフライトナース、災害派遣の現場で診療を行う災害支援ナース、災害急性期(災害発生後約48時間以内)に医師・看護師・業務調整員などのチームを組んで診療にあたるDMATなど、救急医療の活躍の場が広がっています。
看護師には、こうした現場に対応できるような、広範囲の知識や技術、緊急時にとっさに動くための体力が求められます。
ときには、休日に勉強会や研修に参加して自己研鑽に励む必要もあるので、「なかなか休まる時間がない」と話す看護師も多いです。
きっかけは、東日本大震災で災害派遣ナースとして働いたことです。
当時、僕は内科系の病棟で働いていて、どちらかといえば慢性期の患者さんの看護を行うことが多かったのですが、被災地で看護師として働く中で、自分の経験の浅さを痛感し、スキルアップがしたくて、救急看護の分野に足を踏み入れることにしました。
始めは、わからないことばかりで、医師や先輩に怒られることも多く、かなり落ち込みました。でも、必死に勉強して、少しずつ出来ることが増えるようになると、周りのスタッフともコミュニケーションがとれるようになり、今は忙しいながらも、充実した毎日を過ごせています。
補足
救急搬送されてくる患者さんのなかには、様々な背景を抱えている方もいます。
たとえば、精神的に追い込まれ睡眠薬を大量に飲み自殺未遂を図った薬物中毒患者、刑事事件に巻き込まれ外傷のある患者、火事に巻き込まれ熱傷処置が必要な患者など、多種多様な患者さんばかりです。
看護師として、患者さんの現状に動揺してしまうこともあるかもしれません。
このことから、救急部門の看護師には、冷静かつ臨機応変な対応が求められるでしょう。
1-3. 外科系の診療科
外科系の診療科では、手術を行う患者さんに対して、術前・術後、退院までの診療を行います。
外科系診療科の看護師が忙しく感じるポイントは、主に以下の3つです。
<外科系看護師が忙しく感じるポイント>
- 周手術期の看護、退院後の生活を見据えた関わり、急変対応などができるように、網羅的な知識と技術が要求される
- 患者さんの移送や移動、術後のADL介助などがあり、体力仕事も多い
- 業務量が多いなかでも、優先度をつけながら、時間内に終わるよう指導される傾向があり、「時間に追われる」と感じることも
外科系の診療科は、専門分野ごとに分かれており、たとえば以下の診療科が挙げられます。
- 脳神経外科
- 呼吸器外科
- 心臓血管外科
- 消化器外科
- 整形外科
- 婦人科
看護師は、入院前に手術に関するオリエンテーションを行ったり、入院後の検査の介助や術前処置、術後の創部や全身状態の管理、退院に向けた支援をするなど、急性期から回復期まで継続して看護を行っていきます。
そのため、疾患に関する勉強だけではなく、手術により起こり得る合併症、ドレーン管理の仕方、フィジカルアセスメントなどの専門性の高い知識と技術が求められます。
また、ICUや救急部門のように急変に遭遇する場面もしばしばあるので、急変対応が出来るようになることも、重要です。
このように、外科系の看護師は、常に患者さんの状態に気を配りながら業務を行っています。その忙しさは、仕事中「座っている時間がない」と話す方がいるくらいなので、かなり慌ただしい状況であることは間違いないでしょう。
その頃は、業務に追われ、毎日残業は当たり前。
先輩方の、愛のある、厳しい指導に毎日泣いてましたが、そのおかげで看護師としての基礎ができ、どこの科に行っても、通用する技術と度胸がつきましたよ。
外科は忙しいですし、手術室に患者さんを移送したりと体力仕事が多いです。
もし外科系の看護に興味があるなら、なるべく早めに挑戦したほうがいいかもしれませんよ。
補足
外科系の診療科では、よくある手術や疾患に対しては、クリニカルパスを用いて看護を行うこともあります。
クリニカルパスは、治療の経過などがわかりやすくまとまられているものが多く、患者さんの術前オリエンテーションにも有効利用できるので、外科系の診療科に興味のある方は、一度確認してみると良いでしょう。
1-4. 手術室
手術室では、疾患の根治や回復を目的とした手術が行われます。
手術室の看護師が忙しく感じるポイントは、主に以下の4つです。
<手術室看護師が忙しく感じるポイント>
- 少しのミスで、患者さんの生命を危険に晒す可能性があるため、1つ1つの業務に神経をつかう
- 多領域の勉強が必要で、例えば、手術看護、担当する疾患に関する知識、解剖学や生理学の知識、麻酔に関する知識など
- 全身麻酔状態の患者さんを移動・移送したり、手術時間に応じて除圧したりと、体力を使う場面は多い
- 口調が強い人もいるが、裏表なく「ダメなところはダメ」と言ってくれるので、成長に繋がる
手術を行うのは、普段から患者さんの診療を担当している医師であるため、手術室には様々な診療科の医師が出入りをします。
手術室の看護師の仕事は、大きく2つに分かれます。
- 医師に器械を手渡す作業を行う『器械だし(直接介助)』
この業務は、術前に手術室の準備をすることから始まり、手術が滞りなく進むように状況を見極めながら、サポートする役割があります。 - 器械だし以外の業務を行う『外回り(間接介助)』
この業務では、手術に使用する薬剤のチェックや、術中のモニター管理、物品の補充、使った器械や医療物品のカウントなどを行い、手術がスムーズに進行できるようにアシストしていきます。
どちらも、患者さんの疾患や、術式、使用する器械、麻酔に関する知識、解剖学・生理学など様々なことを勉強した上で、業務に臨む必要があります。
また、手術室の看護師の業務は手術室だけに限りません。術前訪問を行うことで患者さんの手術に関する不安を受け止めたり、術後訪問を行いながら患者さんの状態観察と術中の看護の評価を行ったりします。
手術時間が短いことで、患者さんの術後の回復具合が変わるため、手術室には常に張り詰めた空気感があります。
少しのミスが、命取りになる現場だからこそ、「時間を気にしなくてはならず、せわしなく感じる」と話す看護師もいます。
内科的な治療で亡くなる患者さんを見てきて、外科的領域を学びながら、回復する患者さんの姿を見たいと思ったからです。
少しずつ業務を覚えていく中で、難易度の難しい手術や、手術時間が長い手術の介助を任されるようになり、日々プレッシャーと闘いながら仕事をしています。
忙しくはありますが、手術が成功し、医師や看護師に一体感が生まれる瞬間もあり、仕事はとても楽しいですよ。
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手術室看護師(オペ看)ってどんな仕事?オペ室での業務内容や役割を徹底解説
1-5. 精神科
意外かもしれませんが、精神科も忙しい診療科の一つといえます。
その理由は、ここまで紹介してきた診療科の忙しさとは異なり、精神的な余裕を持ちにくい点にあるでしょう。
ほかにも、精神科看護師は、以下の3つのポイントで、忙しさを感じやすいようです。
<精神科看護師が忙しさを感じるポイント>
- 薬剤や服薬管理に関する知識、疾患に応じた看護だけではなく、精神保健福祉法といった法律にかかわる知識も履修しなくてはならない
- 患者さんとの関わり方に正解は無く、良いと思った関わりが裏目に出てしまうこともあり、「答えがない」ことに、疲れてしまう
- ADLの介助、状況に応じた身体拘束などで、体力を使う場面もある
精神科では、精神症状が落ち着かない患者さんに対して、鍵のかかる閉鎖病棟での管理を行ったり、自己あるいは他者に危害を与えるリスクのある患者さんに対して、隔離や身体拘束という処置をとらなくてはならない状況に陥ることもあります。
また、認知症により食事や排泄の介助が必要な患者さん、身体合併症によりADLの介助が必要な患者さんが入院してくるケースもあり、業務内容は様々です。
一方、精神症状が落ち着いている慢性期の患者さんに対しては、コミュニケーションを通して心理的なケアを行ったり、医師、精神保健福祉士、臨床心理士、薬剤師、精神作業療法士など多職種とカンファレンスをしながら、退院に向けた支援を行います。
精神科には、外見や数値を見ながら治療を行う診療科とは違う難しさがあり、「気持ちが落ち着かない」「穏やかではいられない」と話す看護師もいます。
患者さんのネガティブな思考に共感するあまり、精神的に病んでしまう看護師もいるため、患者さんとの適度な距離感を保ち、境界線を引いた上で関わることも必要になってきます。
実際に患者さんの看護を行うなかで、患者さんの心が病んでしまった背景を知り、ときには私自身が苦しくなってしまうこともあります。
そんな時は、先輩や同期に相談して、自分と患者さんと適度な距離感を保つことで、自分を守るように努めます。
精神看護は、治療や看護に正解はなくて、本当に難しい領域だと思っています。
他の診療科とは違ったせわしなさはありますが、小さな関わりの一つ一つが、患者さんにとって意味があると考えると、深ぼりのしがいがある科だと思いますよ。
この章のまとめ
看護師が「忙しい」と感じやすい診療科は、次の5つでした。
- ICU
- 救急部門
- 外科系の診療科
- 手術室
- 精神科
次の章では、忙しい診療科を選ぶメリットや、デメリットをご説明いたします。
関連記事
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2. 忙しい診療科を選ぶメリットとデメリット
まずは、メリットについてご説明します。
2-1. 忙しい診療科を選ぶメリット
忙しい診療科を選ぶメリットは、以下の3つです。
では、順番に詳しい内容を見ていきましょう。
(1). スキルアップに繋がりやすい
忙しい診療科では、他の診療科より専門性の高い診療を行っている場合が多いです。
当然、看護師に求められる知識や技術も高度になるため、仕事をしているだけでスキルアップに繋がりやすいです。
特に、急性期の診療科では、状況判断力やアセスメント力、急変対応力などが身につくため、看護師としての自信が持てるようになるでしょう。
以上のことから、スキルアップを考えている看護師にとって、忙しい診療科を選ぶメリットは大きいといえるでしょう。
参考
例えば、1章でご紹介したICUでは、専門分野を細分化した部門を併設していることもあります。具体例を、下記にいくつかあげます。
- HCU(高度治療室)…ICUと一般病棟の間に位置づけられ、継続治療を行う
- CCU(冠動脈疾患集中治療室)…主に心筋梗塞や狭心症の集中治療を行う
- SCU(脳卒中集中治療室)…主に脳出血、くも膜下出血、脳梗塞の集中治療を行う
- MFICU(母体・胎児集中治療室)…妊娠中の母親及び胎児の集中管理を行う
- NICU(新生児集中治療室)…低出生体重児、先天性奇形などで集中管理が必要な新生児の治療を行う
- PICU(小児集中治療室)…重症または術後の小児患者の治療を行う
あえて忙しい環境に身を置いて、高度医療を学んでみたいという方は、上記のような部門を選択肢に入れてみるのも、良いでしょう。
(2)優先度のつけ方や、タイムマネジメント能力が身につく
タイムマネジメント能力が身につくのも、忙しい診療科ならではのメリットといえるでしょう。
適切なタイミングで、患者さんに必要なケアを届けるためには、優先度をつけて働くことは重要です。
たとえば、患者さんからトイレ介助のナースコールが鳴ったと同時に、心電図モニターからアラーム音が鳴った場合、トイレ介助は他の看護師に託して、心電図モニターを装着している患者さんのもとに向かい異常がないか確認すべきですよね。
こうした優先度のつけ方は、状況によって正解が異なることもあり、先輩方の業務を見たり、経験を積むことで学んでいく必要があります。
また、忙しいからこそ、全体の業務量や業務にかかる所要時間を把握したほうが、仕事を効率よく進めることができます。
(3)忙しさの中から、やりがいを感じやすい
忙しい診療科と聞くと、「業務をこなすだけで終わりそう」と考える方もいるかもしれませんが、そこには忙しい診療科ならではの看護が存在します。
忙しい業務の中でも、患者さんとコミュニケーションをとることで、やりがいを感じる場面に出会えるかもしれません。
また、急性期治療を行うなかで、患者さんの生命を救うことができたり、回復していく姿を見たりすることで、やりがいを感じる看護師も多いです。
看護師のやりがいは、一人ひとり違います。忙しい診療科であっても、あなたなりのやりがいが見つけることで、長続きしやすくなるでしょう。
次に、忙しい診療科を選ぶデメリットをご説明します。
2-2. 忙しい診療科を選ぶデメリット
忙しい診療科を選ぶデメリットは、以下の3つです。
こちらも、順番に詳しい内容を見ていきましょう。
(1). 患者さんとゆっくり関わる余裕がない
忙しい診療科に配属されてすぐは、業務を覚えたり、こなしたりすることに必死で、患者さんとゆっくり関わる余裕が取りにくいです。
この問題は、業務に慣れていくなかで解消できますが、診療科によって、慣れるまで数カ月~数年かかるため、行き場のない思いを抱えながら仕事をしている方もいるかもしれません。
そんな時は、先輩や同期に相談して話しをきいてもらうことで、気持ちが落ち着いたり、場合によっては具体的な解決策が見つかる可能性もあります。
また、普段から、患者さんに挨拶をしたり、短時間でも会話をするよう意識づけるだけでも、患者さんとのコミュニケーションが広がっていくことでしょう。
それでも、「患者さんとじっくり話す時間が欲しい」と思う方は、もしかすると、忙しい診療科は避けたほうがいいかもしれません。
満足のいく仕事をするためにも、診療科を選ぶ際には、忙しくないことを条件にしてみることをおすすめいたします。
(2). 体力的負担が大きく、私生活に支障をきたしやすい
忙しい診療科では、体力仕事も多く、身体にかかる負担は大きいです。
また、獲得すべき知識や看護技術が多く、休日は勉強会や研修でつぶれてしまうこともあります。こうした状況から、オンオフの切り替えができず、私生活に支障をきたす方もいます。
その場合は、趣味に没頭したり、睡眠をとったりすることで気分転換ができ、仕事と私生活にメリハリをつけられることでしょう。
どの診療科であっても、身体は資本になります。しっかりと休息がとれるように、ときには仕事とプライベートを切り離すことも必要かもしれませんね。
(3). 急変対応があり、精神的に負荷を感じることがある
忙しい診療科の多くは、急性期患者さんの診療を行っているため、急変対応は避けられません。
それまで元気に過ごしていた患者さんが、急に体調不良になる姿を見て、動揺しない方はいないかと思います。なかには、急変してからそのまま命を落とされる患者さんもいるため、精神的ショックを感じてしまうこともあるでしょう。
こうした時は、仕事が終わった後に、先輩や同期に気持ちを吐露したり、日記にありのままの感情をぶつけることで、感情の整理ができるかもしれません。
避けることができない急変対応に、どう向き合うかは、看護師の課題のひとつです。あなたなりの感情の整理の仕方を見つけられると、働きやすさも変わってくることでしょう。
以上、忙しい診療科を選ぶことによるメリット・デメリットをご紹介しました。
次の章では、実際に忙しい診療科を選ぶ時の注意点をご紹介します。
3. 診療科だけじゃない!看護師の忙しさを左右する5つのポイント
看護師の忙しさは、診療科だけでは決まりません。
たとえ、一般的に忙しくない診療科を選んだとしても、選び方を誤ると、働いてから「想像と違った」「思ったより大変」といったギャップを感じてしまうこともあります。
そこで、この章では、看護師の忙しさを左右するポイントを、解説いたします。
具体的には、以下の5つです。
詳しい内容を、順番に見ていきましょう。
point1. 医療施設の種類
看護師の仕事が忙しいかどうかは、医療施設の種類によって、違いがあります。
具体的なポイントは、病棟の有無です。
病棟のある医療施設は、入院が必要な患者さんの検査や治療を行っているので、看護師にも高度な医療知識や技術が必要になってきます。
たとえば、1章でご紹介した外科系の診療科は、外来のみのクリニックの場合、入院が必要な患者さんの処置や手術は行いません。
そのため、外科系病棟の看護師と比べて、高度な知識や技術が求められず、勉強会や研修で休日が潰れてしまうといった事態も避けられるでしょう。
以上のことから、病棟の有無は、看護師の忙しさを左右する重要なポイントの1つといえます。
point2. 救急患者の受け入れ態勢
救急患者の受け入れ態勢について、確認してみることは重要です。
その理由は、救急患者を受け入れている場合、時間外勤務や急患対応など、通常業務以外の業務が出てくるからです。多くの病院は、救急医療指定病院として、地域の救急医療に貢献しています。
この救急医療は、緊急度や病状から、一次救急、二次救急、三次救急と種類が分かれています。
「急患対応は学びたいけど、重症な患者さんばかりは大変そう」と不安な方は、働きたい病院の救急医療体制について、事前に調べておくことで、心の準備ができるでしょう。
point3. 業務の内容や量
診療科だけを基準に選んでも、病院によって業務量が多かったり、業務内容が難しく、過度な負担を感じてしまったりすることもあります。
たとえば、1章でご紹介したICUや救急部門は、超急性期の患者さんの対応を行う診療科であるため、看護師としては花形のようなイメージを持ち、希望する看護師も少なくありません。
しかし、業務量の多さや過酷さ、勉強する内容の難しさを考えると、安易な気持ちで選ぶことはおすすめできません。
実際に、筆者が働いていた病院には、『新卒の看護師はICUや救急部門に配属しない』という方針がありました。これは、新卒者のバーンアウトや離職を防ぐためで、最低でも他の診療科で2~3年経験を踏まないと、配属してもらえませんでした。
このように、忙しい診療科で働く場合は、ある程度の覚悟が必要になってきます。
「忙しい診療科は避けたい」とお考えの方は、業務の量や内容にも注意して診療科選びをすることをおすすめいたします。
point4. 人間関係
忙しさとはまた別の問題にはなりますが、仕事のしやすさという点で、人間関係は重要なポイントといえるでしょう。
事実、当サイトで看護師100人を対象に辞めたいと思った理由聞いたところ、最も多くの人が人間関係を理由に退職を考えていました。
正直なところ、実際の人間関係は働いてみないと見えてこない部分も多くあります。そのため、働きたい病院に知人が働いている場合は相談をしてみたり、看護師の病院口コミサイト『ナスコミ』を利用してみると良いでしょう。
しかし、上記で有効な情報が得られない場合は、転職サイトを利用し、専門のキャリアアドバイザーに相談してみることで、病院の内部事情を聞くことが出来るかもしれません。
関連記事
看護師を辞めたい!キツイ・辛い毎日から抜け出すための全知識
point5. 人員の充足度
看護師の人員が不足していると、一人一人にかかる負荷は大きくなり、結果として忙しさを感じることに繋がります。
たとえ、人手不足であっても、患者さんの数や業務量が減ることはないでしょう。
とくに、2021年現在、新型コロナウイルスの流行拡大に伴い、医療現場での人手不足は、加速し続けています。
一人でこなすには多すぎる業務を抱え、常に時間に終われて仕事をし続けると、患者さんとコミュニケーションを取る余裕は持てず、それどころか確認ミスからインシデントを起こすリスクも出てきます。
診療科を選ぶ際は、働きたい病院の人員の充足度についても、確認しておいたほうが賢明といえるでしょう。
この章のまとめ
診療科以外で、看護師の忙しさを左右するポイントは、以下の5つでした。
- point1. 医療施設の種類
- point2. 救急患者の受け入れ態勢
- point3. 業務の内容や量
- point4. 人間関係
- point5. 人員の充足度
次の章では、『希望の診療科の探し方』と題し、やりたい看護の見つけ方について解説いたします。
4. 希望の診療科の探し方
診療科を選ぶ際に、プライベートとの両立を考えて、「忙しいかどうか」を条件にする方は多いでしょう。
しかし、仕事をしていく過程で、やりがいや成長を実感できないと、有意義な時間を過ごせず、仕事が苦痛になってくるかもしれません。
そこで、診療科を選ぶ前に、今後のキャリアやプライベートについて考える時間をとるのはいかがでしょうか。ご自身の考えを整理し、今後のキャリアを見据えた上で選択したほうが、あなたにとってベストな選択ができるかもしれません。
希望の診療科の探し方として、下記の方法をご紹介しますので、参考にしてみてください。
(1). 『理想の看護師像』を考えよう
診療科を選ぶ際に、まずは『理想の看護師像』を明確にしましょう。
『理想の看護師像』とは、将来的にどんな看護師になりたいか、ということです。
「患者さんに優しい看護師」、「仕事が早い看護師」…といった、抽象的なイメージでも良いですが、できるだけ、1年後、3年後、5年後、10年後にどういったキャリアを築いていたいか、具体的な将来像を描いてみましょう。
期限を決めて、具体的な将来像を描くことで、「今何をすべきか」がハッキリと見えてくると思います。
このように、期限とゴールを設定することで、スモールステップを踏んでいきやすくなり、結果的に目標が達成しやすくなります。
(2). 『プライベートで大切にしたいこと』を考える
次に、『プライベートで大切にしたいこと』を明らかにしましょう。
内容は、日常に関するささいなことで構いません。
たとえば、「趣味に没頭する時間は確保したい」「家族と仲よく過ごしたい」といった内容で大丈夫です。その際、あえて口に出したり、紙に書き出したりすることをおすすめします。
なぜなら、そうした作業を通して、自分が大切にしたいことに気付くことができたり、今後のキャリアを考える上でヒントが得られるかもしれないからです。
キャリアのことを考える時、つい仕事に関することばかりを考えてしまいがちですが、人生は仕事だけで構成されている訳ではありませんよね。
結婚、出産、妊娠、介護などのライフステージの変化は、人生において避けることができないものです。
実際に、ライフステージの変化が起きた際に、普段から『プライベートで大切にしたいこと』を明らかにしておくと、自分軸を持った選択がしやすくなりますよ。
(3). 整理した考えを軸に、希望の求人を探す
(1)では仕事上の目標を、(2)ではプライベートで重視したいことを、それぞれ明確にしました。
この2つを考慮したうえで、希望の診療科を探してみましょう。
たとえば、「今まで外科系で忙しく働いたから、次は忙しくない科に転職したい」という方がいるとします。
でも、(1)や(2)の方法を通して、「今までのように、プライベートを犠牲にはしたくない。でも、忙しくない科とはいっても、テキパキ動くことが好きだから、のんびりとした診療科は合わないかも。同じ外科系のクリニックに行って、仕事とプライベートが両立できる働き方をしたいな」といった考えが浮かぶかもしれませんよね。
このように、考えを整理することで、あなたがやりたい看護や、具体的なキャリアが見えてくる可能性があります。看護師が活躍できる場は多種多様ですから、一度立ち止まって、自分自身の考えを整理しても良いかもしれません。
補足
考えを整理しても、自分がやりたい看護や、今後のキャリアが考えられないと思う方もいるかもしれません。
その場合は、転職サイトに登録し、専門のキャリアアドバイザーに相談することで、自身のキャリアに関する相談に乗ってもらうことができます。
転職サイトについては、次の章で詳しくご紹介いたします。
5. 転職を検討している方向け|おすすめ看護師専門転職サイト
数ある転職サイトのなかから、以下を基準に、「利用者からの満足度の高い看護師向け転職サイト」をピックアップしました。
転職サイト選定基準
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6. まとめ
看護師が「忙しい」と感じやすい診療科は、以下の5つでした。
- ICU
- 救急部門
- 外科系の診療科
- 手術室
- 精神科
忙しい診療科を選んだとしても、スキルアップできるか、やりがいを感じられるかは個人の努力や価値観によって左右されます。
そのため、まずは、キャリアに関するご自身の考えを整理することから始めてみることをおすすめいたします。
一人で悩んでいる方は、転職サイトに登録し、専門のキャリアアドバイザーに相談することで、解決の糸口が掴めるかもしれません。
あなたの人生が輝かしいものになることを、陰ながら祈っております。
患者さんの状態観察、急変時の対応、日々の業務に追われて、始めの頃は、余裕なんて1ミリもありませんでしたよ。
ある時、夜勤の先輩に申し送りをした後、記録をするために残業していたら、申し送った先輩に「あの患者さんのルート類、どうなってるの?常に整理しておかないと、いざという時に対応が遅れることもあるのよ!」と怒鳴られ、泣きながらルートの整理をしたこともあります。今となっては、それも今では思い出ですが、当時は本当に大変でしたね。