オペ室看護師ってどんな仕事?手術室での業務内容や役割を徹底解説

オペ室看護師

オペ室看護師(手術室看護師・オペ看)は、手術において患者・医師の双方をサポートする仕事です。

例えばテレビドラマでよくある「医師にメスを渡す」のような業務は、オペ室看護師の仕事の一つです。担当業務は他にも「手術器械の準備」や「手術前後の患者のフォロー」など多岐に渡ります。

看護師資格以外に特段必要な資格はありませんが、専門的かつ高度な技術が求められる仕事です。

この記事では、オペ室看護師の仕事内容や役割について、どこよりも分かりやすく網羅的に解説します。

  1. オペ室看護師の2つの役割
  2. オペ室看護師の1日のスケジュール
  3. 魅力とやりがいから分かるオペ室看護師のメリット
  4. ストレス・辛い点から分かるオペ室看護師のデメリット
  5. 病棟看護師とオペ室看護師の違い
  6. オペ室看護師に求められる3つのスキル
  7. オペ室看護師の適性|向いてる性格・向いてない性格
  8. オペ室看護師へのキャリアチェンジ|転職先選びのポイント
  9. オペ室看護師に関するよくある質問

すべて読めば、オペ室看護師の仕事内容や働き方をリアルにイメージできるでしょう。

1.オペ室看護師の2つの役割

オペ室看護師は、(1).器械出し看護師(2).外回り看護師に分類され、それぞれ異なる役割を担います。

まずは器械出し看護師から詳しく解説します。

器械出し看護師は、執刀医が必要とする器械を渡す担当で、オペ室看護師という言葉から連想される仕事はこれに該当します。

1-1.器械出し看護師(直接介助)

器械出し看護師は、執刀医のそばで手術を直接サポートする役割です。(直接介助と呼ばれることもあります)

器械出し看護師の主な業務内容は、以下の3つです。

詳しく解説します。

(1).手術の準備を行う

器械出し看護師は、以下のような手術機器の準備を担当します。

  • 器具を滅菌・洗浄(滅菌済みの物であれば、滅菌有効期限の確認)
  • 器具を手術の流れに応じて並べておく
  • 摩耗やねじのゆるみをチェック
  • 器具の咬合具合やラチェットの固さに不備がないかチェック

準備は、術前に診療記録の評価やカンファレンス参加の上、術式の変更なども考慮したうえで行います。

器械が常にベストな状態で使用できるよう、術中も臨機応変にメンテナンスを行うこともあります。

(2).医療器具を渡す

器械出し看護師は、手術中常に執刀医のそばに立ち、執刀医が必要とする器械(メスやペアン、医療用ピンセット)を状況に応じて手渡します。

医療器具の名称や用途は、十分に理解し、スムーズに取り扱えるようにしておかなければなりません。

指示に対して行動するだけでなく、手術の進行状況や周囲のスタッフの動きにも目を配り、先を予測しながら適切なタイミングで適切な処置を行います。

とくに鏡視下手術などでは、画像モニターをチェックし、必要な器械を予測したうえで提供するなど、臨機応変な対応も求められます。

手術を正確かつスムーズに進行するための重要な業務です。

(3).安全管理

オペ室内の環境を安全な状態に保つのも、オペ室看護師の仕事です。

  • 中材業務(※業者や看護助手が担当する病院もある)
  • 体内遺残防止

中材業務とは、手術器械の洗浄や滅菌を行うことです。オペ室では、病原菌が存在しない清潔な空間保つために、病棟よりも徹底した滅菌対策が求められます。

看護師は滅菌ガウンを着用し、手洗い・滅菌手袋装着の上、直接器械に触れます。

体内遺残防止とは、手術の前と後で、器械やガーゼの数が合うか確認することです。微細な器械やガーゼが、患者の体に残留していないか、徹底的にチェックします。

これは器械出し看護師だけでなく、後述する外回り看護師など、スタッフ全員と協力して行います。

1-2.外回り看護師(間接介助)

外回り看護師は、手術におけるマネージャーのような役割で、各職種間の調整やサポートを担います。(間接介助とも呼ばれます)

また、術前・後の患者のフォローなども行います。

オペ室に配属となった看護師は、たいていの場合まず器械出しを担当し、数年のキャリアを重ねたうえで外回りを担当することが多いです。

外回り看護師の主な業務内容は、以下の4つです。

それぞれ詳しく解説します。

(1).術前・術後の病棟訪問

手術前に患者のいる病棟を訪問し、情報収集や手術内容の説明などを行います。

患者の手術直前の状態(身体的・精神的な状態)を把握し、どの程度手術を受ける準備ができているかを確かめます。

病棟訪問は、手術の同意を得ることと、患者の緊張・不安を軽減することが目的です。

多くの患者にとってオペ室は未知の不安な空間となりますが、そこに顔見知りの看護師がいるだけで安心することもあります。そのためにも、事前にコミュニケーションを図り、信頼関係を成立させておくのも大事な役割です。

また術後も同様に患者を訪問し、術後の状態のケアを行います。(身体的な変化は見られないかなど)

病棟看護師との連携も行う

外回り看護師は病棟看護師と連携しながら、患者の状態を理解し、手術中の看護ケアに活かします。

術前には絶飲食の確認や内服の有無、既往歴などの申し送りを受けます。

また手術あとは、患者が受けた手術内容(麻酔方法や経過)を申し送りします。

(2).手術環境を整える

オペ室内の環境を万全な状態に整えるのも、外回り看護師の役割です。

  • 麻酔器や医療機器の配置
  • 手術台や機材などの準備
  • 室温の調整

手術前の準備は、器械出し看護師と連携して行います。

(3).麻酔診療の介助

麻酔導入時には、必要な器具を麻酔科医に渡したり、患者の体を支えるなど、麻酔診療の介助全般を行います。

また麻酔下での患者の生体反応(呼吸や循環)も逐一チェックし、手術の進行に応じて起こり得る変化を予測しながら、速やかな対処ができるようにします。

(4).手術看護記録を取る・状態を観察する

手術看護記録を取るのも外回り看護師の役割です。

手術看護記録とは、手術の一連の過程を記録したものです。

時間・薬・使用器具・患者の変化、出血量のカウントなどを、具体的に記録します。術前・術後訪問の内容も含みます。

2.オペ室看護師の1日のスケジュール

オペ室看護師の具体的な1日のスケジュールは、以下の通りです。(例)

手術室看護師のスケジュール

オペ室看護師の業務は、手術はスケジュールに沿って進めていくため、過密スケジュールになることはあまりなく、ある程度余裕をもって業務に取り組めます。

手術以外の時間は、オペ室の準備や器械の洗浄・滅菌などを行います。

休憩はきっちり1時間取れることが多いです。長時間の手術の場合も、交代で休憩が取れるように調整されます。

3.魅力とやりがいから分かるオペ室看護師のメリット

オペ室看護師は、配属希望が少ないと言われがちな仕事ですが、以下のようなオペ室看護師ならではの魅力・やりがいも多々あります。

本章ではオペ室看護師を対象に行われた研究調査の内容をもとに、オペ室看護師の魅力・やりがいを解説します。(参考:日本赤十字看護学会誌『オペ室看護師が経験しているオペ室看護の魅力』)

3-1.専門的なスキルを身につけられ、成長を実感できる

専門的なスキルを身につけられるのは、オペ室看護師の大きな魅力の一つです。

一般病棟では経験できない仕事を通して、看護師としての技術を磨けるのは大きなメリットでしょう。

例えば、オペ室看護師の仕事では全身麻酔に伴う気管挿管などを行うことがありますが、これを病棟で経験することはまずありません。また手術を直接目の前で見られるため、解剖についての知識も得られます。

実際に働く看護師からは、少しずつステップアップする達成感が得られるといった声が多いです。

器械出しの技術を身に付ける過程で手技とか上達していく実感がやっぱり1年2年めまぐるしくありますね。

またある程度慣れてくると、執刀医のニーズや意図を先読みして行動できるようになり、「手術の進行に貢献している」とやりがいを実感できるようになったという方もいるようでした。

待つ時間が少なくなるとすごく流れは良くなるので。次、何がいるんだろうっていうのがわかるようになる。(中略)医師の呼吸が読めて来て、1秒もロスしないように準備して、もう大体そうやってくるとやっぱり直接介助をやっていて、ああ面白いな、ただ純粋に、面白いなって思う

スキルを着実に身につけられ、それによって手術医療に貢献している実感を得られるのは、オペ室看護師ならではの魅力です。

3-2.チームの一員としてサポートできる

手術は執刀医や麻酔医、看護師で連携して遂行するものです。共通の目標に向かって一体感を持ち進んでいくという結束感や、そのチームの一員として、使命感を持って仕事に臨めるという点をやりがいに感じる看護師も多いようです。

麻酔科医や主治医と密接していて、先生同士と近いし、スタッフ間がすごく熱いというか、結束が固いと思います。

また他職種とサポートし合いながら、互いに刺激を受ける空間で働くことが、成長へのモチベーションにつながるという看護師の方もいるようでした。

3-3.イメージと異なり激務ではなく、働きやすい

「激務」のようなイメージを持たれがちなオペ室看護師ですが、実は非常に働きやすいという特徴があります。

例えば病棟看護師と違って、ナースコール対応もなく、手術は基本日中に行われるので夜勤もあまりありません。一部の病院では夜勤もありますが、回数は多くても月に数回程度です。

また体力的な負担もそれほど大きくなく、もちろん長時間立ちっぱなしにはなりますが、身体介助などの重労働は基本的にありません。

オペ室内は空調が完璧に整えられていて過ごしやすいのも特徴的です。(帝王切開手術なども、体温調節ができない新生児がいるが、専用のウォーマーを使用するため、高室温にはならない)

本章のまとめ

オペ室看護師のやりがいや魅力を紹介しました。

  • 専門的なスキルを身につけられ、成長を実感できる
  • チームの一員としてサポートできる
  • イメージと異なり激務ではなく、働きやすい

ただオペ室という特殊な環境で働くため、ストレスや辛い点も多々あるようです。次章ではオペ室看護師ならではの辛い点を紹介します。

4.ストレス・辛い点から分かるオペ室看護師のデメリット

オペ室配属は、看護師の中でもやや特殊なため、以下のようなストレスや辛い点もあります。

本章では、オペ室看護師を対象に行われた研究調査の内容をもとにストレス要因を解説します。(参考:香川大学看護学雑誌『オペ室に配置転換となった看護師のストレス要因に関する文献研究』)

4-1.常に高いプレッシャー下にある

患者の生命の危険と隣り合わせのオペ室は、常に高いプレッシャー下にあり、緊張感に疲弊するという看護師が多いです。

手術中、患者の容体は刻一刻と変化しますし、想定外の事態に対しては臨機応変に対処しなければなりません。

生命の危険が隣り合わせなので時間との戦い。刻一刻と患者の状況が変わる緊迫した環境

オペ室では針刺し事故が多い

オペ室では、薬液を扱う・局所麻酔をするなど、注射針を使うことが多いですが、病棟で扱うものとは異なり、オペ室で扱う注射針には安全装置がついていないことがほとんどです。

それゆえ「針刺し事故」の件数も、病院の中でもトップクラスに多いと言われています。

またベテランの看護師でも、医師からのプレッシャーで慌ててしまい、手元がくるってしまうということもあるようです。

4-2.独特の環境に適応できない

オペ室は他の職場にはない独特な環境のため、全く適応できないという人もいるようです。

例えばオペ室でよく用いられる器具の一つに「電気メス」がありますが、これで患者の体を切開する際、タンパク質を焼き付けるにおいがオペ室に充満します。

肉が焦げるような(焼き肉など)独特なにおいで、これに耐えられず、吐き気をもよおす人もいます。

鼻から電気メスの臭い消えなくて頭痛いし吐きそう

他にも、骨関連の手術で、骨をトンカチで叩いて大工のような音がするというのも、生理的な受け付けなさがあるようです。

またオペ室は完全無菌の状態を保つために、看護師はアルコールやイソジン用いた徹底的な滅菌対策を取りますが、肌が弱い人やアトピー体質の方は、肌がボロボロになってしまうことも珍しくありません。

4-3.医師や他の看護師との人間関係に悩む

前述の通り、オペ室は張りつめた緊張感のため、執刀医も常にピリピリした状態のことが多く、人間関係に悩むという方もいるようです。

病棟では医者に怒鳴られるなんてないが、ここでは普通に怒鳴られる

執刀医だけでなく、麻酔医や他の看護師とのコミュニケーションがうまくいかないということも多く、特に新人のうちは業務がこなせないという負い目もあって、つらい思いをすることも多いようです。

少人数で毎日同じメンバーなのでよいところも悪いところも見えてしまう

看護師経験が自分の方が上なのに,オペ室経験のある人から,すごいないがしろな言い方をされることがあって,かちんと来る時がある

またオペ室という閉鎖的な環境も、人間関係の問題に拍車をかけます。

人間関係でだめな時,病棟では,患者さんと接したり,一人になる場所があり,気分を切り替えられるけど,オペ室にはない

チーム医療に携われるのはオペ室看護師の魅力でもありましたが、裏を返せば、「閉鎖的な環境で、性格が合わない人とも長時間顔を合わせなければならない仕事」とも言えるでしょう。

4-4.ゼロから知識を習得しなければならない

ゼロから知識を習得しなければならないのも、オペ室看護師が直面する壁の一つです。

特にオペ室は、他の医療現場では目にしないような特殊な医療機器(分離肺換気時の挿管チューブなど)が多く、器械出し看護師として働くようになれば、ME 機器や複雑な鋼製小物の名称などをすべて短期間で身につけなければなりません。

病棟経験が役に立つ場面はほとんどなく、戸惑いやギャップを感じる方が多いようです。

手術中の器械出しは病棟勤務においては獲得することのできない技術であり,看護師経験を活かすことはできない

クリーン業務から直介業務,外回り業務まで大体こなせるようになるまで 1 年くらいかかった

高い専門性が求められるオペ室看護師は、一連の業務を覚えるまでに困難を極める仕事と言えます。

4-5.患者の関わりがほとんどない

患者と関わる時間が短いというのも、オペ室看護師が辛いと言われる理由の一つです。

もちろん術前・後の訪問を行うことはありますが、それも手術前後数日で、それほど長い時間ではありません。(15~20分)

そのため、「患者さんとの関わりを持ちたい」という看護師にとっては、やりがいを感じられにくいでしょう。

患者さんと触れ合う時間が少ない。同じ手術に入って一緒にがんばって終わったという感覚にならない

本章のまとめ

オペ室看護師には、以下のような辛い点があることが分かりました。

  • 常に高いプレッシャー下にある
  • 独特の環境に適応できない
  • 医師や他の看護師との人間関係に悩む
  • ゼロから知識を習得しなければならない
  • 患者の関わりがほとんどない

一般的な病棟看護とは異なる点が多く、それゆえに戸惑いを感じる方も多いようです。

病棟看護との違いについては、次の章でまとめて解説します。

関連記事:
オペ室(オペ室)看護師が辛い…!ストレスや辞めたいと感じる原因と向いてる人を解説

5.病棟看護師とオペ室看護師の違い

病棟看護師とオペ室看護師を比べた場合、以下のような違いがあります。

オペ室看護師は、

  • 業務内容:特殊なので他の職場に活かしづらい
  • 働きやすさ:病棟看護師よりも優れている
  • 給料:病棟看護師とあまり変わらない

詳しい違いを以下にまとめました。

オペ室病棟
業務内容手術のサポート全般入院患者の看護全般
患者・家族との関わり少ない多い
業務の汎用性
(他の職場で活かせるか)
汎用性低い汎用性高い
夜勤少ない多い
オンコールありあり
残業少ない多い
医療スタッフとの関わり多い多い
シフト平日勤務、土日休みがメイン不規則

5-1.業務内容が特殊なので他の職場に活かしづらい

オペ室看護師の仕事内容はかなり特殊で、汎用性が低いです。要するに、オペ室で身につけたスキルは、他の就業先(病棟やクリニック)では、直接活かすことができません。

例えば、採血やルート確保、介助、口腔ケア、清拭などオペ室看護師が病棟看護師にとって日常的な業務(以下参照)を行うことは、基本的にありません。

そのため、むしろ病棟に異動した際には、慣れない業務に戸惑うかもしれません。

他の就業先への転職に有利にはなることはあまりありませんが、整形外科クリニック・美容外科クリニックなどでは、オペ室での業務が活かせる場合があり、選考の際は優遇される傾向にあります。

他にも救急・ICUなどの部署でも、経験が役立つことはあるでしょう。

5-2.働きやすさは病棟看護師よりも比較的優れている

オペ室看護師の働きやすさは、病棟看護師よりも優れていると言えるでしょう。

一般的に外科手術は平日の昼間に行われるため、勤務シフトは規則的になります。

また夜勤はありますが、病棟と比べてその頻度はかなり低く、大学病院などでは月に数回程度のこともあるようです。

補足:オペ室看護師でもオンコール対応はある

手術は緊急で行われることもあるため、ほとんどの職場でオンコール対応を行っています。

オペ室の勤務形態は,交代勤務ではないことや緊急手術のオンコール体制など特殊です

そのため「いつ呼び出されるか分からず落ち着かない」こともあります。

もちろんオンコール対応なしの求人も存在しますが、その数は非常に少なく、大手看護師転職サイト『マイナビ看護師』に掲載された求人では、わずか4%ほどしかありませんでした。(2021年7月調査)

5-3.給料は病棟看護師とあまり変わらない

オペ室看護師の給料は、病棟看護師と比べてもそれほど変わりません。

夜勤の回数が比較的少なくなる代わりに、危険手当などがつく場合があるので、ほとんど差額が発生しないのです。

6.オペ室看護師に求められる3つのスキル

オペ室看護師=優秀といったイメージを持たれやすい仕事です。

実際のところは、特段優秀である必要はないですが、以下のようなスキルが求められるため、向き不向きがあるのは事実です。

本章ではオペ室看護師に求められる3つのスキルを解説します。

6-1.広範囲の深い医療知識

オペ室看護師は広範囲の深い医療知識が必要です。

総合病院の場合、オペ室看護師が担当する手術には診療科の区分がなく、ほぼすべての診療科の患者を担当します。

そのため分野を問わず幅広い知識が欠かせません。

ベテランの看護師になると、それぞれの診療科で使っている手術器械を把握しておき、「○○科ではこんな器械を使っています」と医師に提案することもあるようです。

6-2.洞察力

オペ室看護師として活躍する上で、洞察力は必須です。

優秀なオペ室看護師は、執刀医の一挙手一投足に目を向けています。

例えば、渡した器具の角度を執刀医が調整したなら、その角度で渡せるように準備をしておくなどです。このような配慮をすることで、執刀医がスムーズに手術を遂行できるようになります。

特に器械出し看護師は、術野から目を離さず「いま何が行われているか」を常に理解しておく必要があります。

6-3.臨機応変な対応力

臨機応変な対応力も、オペ室看護師には欠かせません。特に外回り看護師は、どんな状況にも迅速な対応を取ることが求められます。

手術中の状態を逐一観察し、薬剤によるアレルギー反応や大量出血、異常体温などの不測の事態が起きた際は、状況を素早く理解し、処置を行います。(このため外回り看護師は、ある程度キャリアを積んだオペ室看護師が担当します)

また患者の状態が急変した際には、麻酔医や器械出し看護師と即座に連携し、看護にあたります。

本章のまとめ

オペ室看護師ならではの求められるスキルは、以下の通りでした。

  • 広範囲の深い医療知識
  • 洞察力
  • 臨機応変な対応力

ここまでの内容を踏まえて、次章ではオペ室看護師の適性をまとめます。特にオペ室看護師の適性は、本人の性格などによってある程度判断が可能です。

7.オペ室看護師の適性|向いてる性格・向いてない性格

以下に該当する方は、オペ室看護師に向いていると言えるでしょう。

オペ室看護師に向いている人

  • 潔癖で整理整頓が得意
  • 臨機応変な対応力がある
  • 長時間の集中力がある
  • 長時間の緊張感にも耐えれる
  • 洞察力が高い
  • 最新の術式や機械について知識を深めたい

一方で、以下に該当する方は、向いていない可能性が高いです。

オペ室看護師に向いてない人

  • 患者さんと関わるのが好き
  • 長時間立っているのが苦手
  • 臓器を見るのが苦手

性格面以外では、「平日勤務・土日休みの働き方が良い」「夜勤は少ない方が良い」という方はオペ室看護師という働き方が合っていると言えるでしょう。

ここまでは主にオペ室看護師の仕事内容を解説しましたが、職場によって働き方や勤務のしやすさは異なります。

オペ室看護師として働くことを検討している方向けに、次章では、自分にあった職場選びのポイントを解説します。

8.オペ室看護師へのキャリアチェンジ|転職先選びのポイント

オペ室看護師へのキャリアチェンジを検討している方は、(1)総合病院・地域の病院の違い(2)給与以外の条件のチェックポイントを押さえて転職先選びを行いましょう。

8-1.総合病院・地域の専門病院の違い

「総合病院」ではオペ室での看護業務がほとんどです。それに対し、「地域の病院」では他の部署との兼務となる場合があります。

総合病院では、規模によりますが年間数千件の手術を行うことがあり、多くの症例に携われます。国立系総合病院や大学病院では、移植など大掛かりな手術を行うこともあります。

キャリアアップを考えている方は、総合病院や大学病院が適しているでしょう。

対して、地域の専門病院では、外来と兼務でオペは週一で行うケースが多いです。この場合、オンコールはなく定時で帰宅しやすいので、家庭との両立などを検討する方におすすめです。

8-2.給与以外の条件のチェックポイント

働きやすさは病院の形態以外にも、条件によって異なります。求人を比較する際は、以下の項目をチェックしてください。

チェックポイント

  • 夜勤の有無(頻度)
  • シフトのパターン
  • オンコールの有無(到着までの時間)
  • 手当(危険手当や特殊手当の有無)
  • オペ室の数、看護師の数
  • まずは何かの手術から担当するか
  • 年間の症例数や症例内容

症例については、病院の公式ホームページなどで説明されていることが多いです。

条件や業務内容などを事前により詳しく知っておきたい方は、転職サイトなどを活用してみるのもおすすめです。

転職サイトとは

転職サイトは、キャリアコンサルタント(転職のプロ)からのサポートを受けながら、理想の職場探しができるサービスです。

看護roo!』や『レバウェル看護(旧 看護のお仕事)』などの大手サイトは看護師からの評価が高く、扱っている求人数も多いので、「オペ室看護師への転職を検討している」という方はぜひ活用してみてください。

看護師へのアンケート調査をもとに作成したおすすめサイトまとめは、『看護師723人が選ぶ転職サイトおすすめランキング』の記事で解説しています。

9.オペ室看護師に関するよくある質問

オペ室看護師に関するよくある質問をまとめました。

気になることがあれば、ここで解消しておきましょう。

Q1.平日は休みにくいですか?

オペ室専任の場合、平日休みはあまり取れないでしょう。

手術は基本的に平日の日中に行われることが多いため、看護師の勤務もそれに合わせます。

ただ透析室やICU(集中治療室)と兼任の場合は、夜勤や不定期シフトになることもあるので、平日も休めます。

Q2.オペ室からの異動は、どの部署になることが多いですか?

総合病院でオペ室から異動する場合、外科病棟やICU(集中治療室)など、比較的重度の患者の診療科が多いです。

この場合、オペ室での経験を新しい部署でも活かせます。

ただオペ室業務は専門性が高いため、異動するケースはあまりなく、オペ室看護師一筋という方も少なくありません。

Q3.日勤と夜勤で業務に違いはありますか?

基本的には同じですが、夜勤の場合は緊急のオペが入ることがあります。

予定通り行われるオペと違い、迅速かつ的確な対応をしなければなりません。

Q4.医師と長時間一緒になると緊張しそうで不安です。

オペ室は特に神経を張りつめる空間なので、適度な緊張感があるのは、むしろ好ましいと考えるべきでしょう。

なお、医師の性格にもよりますが、厳しい方ばかりではありません。長時間同じ空間で過ごすので、他の部署よりも距離が近づくこともあります。(全身麻酔がかかる長時間の手術では、会話が交わされることが多いようです)

Q5.仕事に慣れるまでにはどれくらいかかりますか?

最低でも1年はかかると理解しておきましょう。

オペ室看護は、ベテランの看護師でも慣れるのに時間がかかると言われています。器械の名称を覚えるまでに半年かかることもあるようです。

3ヵ月間は,本当にがむしゃらだったが,6ヵ月から仕事に慣れ,ちょっと上向きになり,完璧にはこなせないが,ちょっと気が楽になったのは 1 年たったくらいだった

出典:オペ室に配置転換となった看護師のストレス要因に関する文献研究

Q6.新卒でオペ室看護師になるのはやめたほうがいいですか?

強い希望があるなら、新卒でも問題ありません。むしろ早期からオペ室業務に慣れておくことは、将来的に手術看護のエキスパートを目指せるでしょう。

ただオペ室の業務は特殊なので、もし入職後数年で「別の部署に異動したい」と思った時に、なかなかスムーズにいかない可能性もあります。

さいごに

手術看護師の仕事内容や役割について解説しました。

他の部署にはない魅力があり、専門的な知識・スキルを身につけられる仕事なので、興味のある方はキャリアの選択肢に入れてみるのもおすすめです。