3分でわかる在宅医療薬剤師の働き方となるための3つのコツ

在宅医療 薬剤師

「在宅医療での薬剤師ってどんな仕事なの?」と考えていませんか?

現在、少子高齢化という流れにある日本において、「在宅医療」の在り方が注目を集めています。このページでは、在宅医療での薬剤師の役割や、在宅医療を目指す薬剤師が学ぶべきことをご紹介します。

  1. 薬剤師が行う在宅医療とは
  2. 在宅医療時での「お薬」困りごと4選
  3. 在宅医療薬剤師の役割3選
  4. 在宅医療薬剤師の仕事
  5. 在宅医療薬剤師に求められるスキルや条件
  6. 在宅医療薬剤師になるコツ3選

このページを読めば、在宅医療薬剤師について理解が進み、「在宅医療における薬剤師の働き方」「在宅医療薬剤師になるコツ」がわかるでしょう。

1. 薬剤師が行う在宅医療とは?

薬剤師が行う在宅医療とは、どんな仕事をするのでしょうか?

薬剤師が行う在宅医療とは、在宅で療養や治療を行っている患者さんに対して、薬の専門家として医師の指示にもとづいて訪問し、薬の正しい飲み方の説明や副作用・相互作用の確認、保管方法の説明などを行う事を指します。

1-1. 今までの在宅医療における薬剤師

今までは、医師と看護師が在宅医療の中心的な役割を担ってきました。というのも、在宅医療は「入院」や「外来」に替わるものとして考えられていたため、診察と治療を中心とした医療サービスが行われていたのです。

よって、処方箋までを出すものの、「薬は調剤薬局でもらってくださいね」となり、薬剤師の存在は在宅医療にありませんでした

また、在宅介護の現場でも、介護の状況に応じて連携をとるために、介護スタッフやケアマネジャーが医者や看護師とチーム介護を進めていますが、なかなか薬剤師はチームに入れていない状況が続いていました。

1-2. これからの在宅医療における薬剤師

上記の通り、今までは「入院」「外来」「介護」といった医療現場の代替としてあった在宅医療ですが、地域全体で協力して患者さんをフォローする体制が求められる時代に変わってきました。医者・看護師・ケアマネジャーといった多くの関係者が患者さんに関わるようになり、薬剤の知識を正しくアドバイスする事が求められているのです。

また、調剤報酬の切り下げなどで経営環境が変わってきており、調剤薬局は今まで以上に在宅医療に取り組もうとしています。

【参考】

アインファーマシーズ 在宅医療への取り組み

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日本調剤 在宅医療 薬剤師訪問サービス

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なのはな薬局 薬剤師の在宅訪問

2. 在宅医療での「お薬」困りごと4選

在宅医療に薬剤師が参加する意義は分かりました。実際に、どんな困りごとに応えるのでしょうか?

では次に、在宅医療現場で、薬剤師がどんなお困りごとに役立っているのかを説明するために、代表的な患者さんのお困りごとをご紹介します。

在宅医療での「お薬」困りごと4選

  • 体が不自由で薬局に行けない…自宅に薬を届けて欲しい。
  • 処方された薬が多すぎる!ゴチャゴチャして、いつも飲み忘れてしまう…
  • 皮膚科と内科と心療内科と眼科で薬を処方された。一緒に飲んで大丈夫なの?
  • 最近、薬を飲み込めなくなった…

2-1. 体が不自由で薬局に行けない…自宅に薬を届けて欲しい。

まず、代表的なお困りごとが「体が不自由で薬局に行けず、自宅に薬を届けて欲しい」という要望です。薬剤師が、患者さんの家や施設に行き、直接薬を届けるのです。

特に最近、少子高齢化が進んだ事とライフスタイルの変化から、子供や孫と同居していない患者の方が定期的に薬局に行く事が難しいケースが増えてきました。

今までの調剤薬局は「受けの姿勢」で、患者の方が持ってきた処方箋に対してのみの調剤処方が中心でしたが、自宅まで薬剤師が配送するサービスを始めています。

2-2. 処方された薬が多すぎる!ゴチャゴチャして、いつも飲み忘れてしまう…。

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【参考】日本薬剤師会 在宅服薬支援マニュアル

次に多いお困りごとが、「処方された薬が多すぎて、飲み忘れしてしまう」です。

上記の写真は一例ですが、複数の病院に通っている高齢者の場合、10種類以上の薬を処方される事はよくあります。また、その内容も「朝夜2回」や「食前食後」など飲むタイミングがバラバラで、つい飲み忘れが発生してしまい、結果的に病状が悪化するケースがあるのです。

薬の副作用や飲み合わせの確認は、在宅医療薬剤師の重要な役割と言えるでしょう。患者さんご本人だけでなく、家族・ケアマネジャーにも薬の飲み方と必要性をしっかりと伝え、場合によっては一包化や服薬カレンダーを提供していく事が求められています。

2-3. 皮膚科と内科と心療内科と眼科で薬を処方された。一緒に飲んで大丈夫なの?

「複数の薬局で薬を処方されたが、飲み合わせは大丈夫か」というお困りごともよく聞くものです。

特に、最近薬局で処方されるものの中には「効き目が強い」薬も含まれています。製薬企業・病院・調剤薬局ともに、飲み合わせには細心の注意を払っていますが、どうしても患者の方は気になるもの。

飲み合わせ以外にも、不必要な薬の漫然投与を未然に防ぐなど、在宅医療での薬剤師の役割は増えてきています。

2-4. 最近、薬を飲み込めなくなった…

意外と多いお困りごとが「薬を飲み込めなくなった」です。

特に高齢者で錠剤の嚥下が厳しくなる方がいらっしゃいますが、「飲み込めないから」と錠剤を粉々に砕いて服用されるケースがあります。中には介護スタッフが「良かれ」と思って対応する場合もあるのです。

高齢者の状況に応じて、適切な薬を投与する事も在宅医療における薬剤師の役目です。

3. 在宅医療薬剤師の役割3選

在宅医療での患者さんは困ってられるのですね…。では薬剤師が果たす役割がどんなものがあるのでしょうか?

3-1. 飲み忘れを無くすために、一包化や服薬カレンダーの提供

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【参考】日本薬剤師会 在宅服薬支援マニュアル

まず初めに取り組む役割は、「飲み忘れを無くす」です。

在宅医療中の患者さんにお伺いし、服薬状況をヒアリングします。状況がよく無ければ改善策を検討し、一包化や服薬カレンダーの提供などで「飲み忘れを無くす」という在宅医療の基礎を確立させるのです。

その他、今までの飲み忘れで残薬がある場合は、余っている薬を医師と連携し、余分に薬が処方されないように管理するなど、患者さんの実態に沿ったフォローをする事が大事です。

3-2. 薬の副作用や飲み合わせの確認

次に取り組む役割は、「副作用や飲み合わせの確認」です。

製薬企業・病院・調剤薬局ともに、飲み合わせには細心の注意を払っていますので、処方される薬の飲み合わせで副作用が出る事は99%無いと言えますが、「常用している健康食品との飲み合わせ」や「漫然投与されている薬の副作用」など、チェックする観点はいくつかあります。

食事や排泄、睡眠などの体調を把握して、最適な薬の投与をつうじて生活の質向上に努める大切な役割です。

3-3. 飲みやすく、効き目の良い薬への変更

役割の3つ目は、「飲みやすく効き目の良い薬への変更」です。

特に錠剤が飲み込めなくなってきた患者さんに対して、粉末状の薬や口の中で溶ける崩壊錠など「楽に服用できる」薬への変更を検討します。

意外にも「今まで本当に辛かった錠剤を飲まなくていいなんて!」と、一番患者さんに喜ばれる役割です。多くの高齢者の方は、今まで飲んできたからという理由で辛い服薬を続けている人も多く、これからの時代は薬剤師も患者さんのQOLを高める役割を担っていると言えるでしょう。

4. 在宅医療薬剤師の仕事

在宅医療薬剤師には大切な役割があるのですね。実際の仕事はどのようなものでしょうか?

在宅医療薬剤師の業務は、決して一人で成り立つものではありません。医師や看護師と連携しながら進める事が必要です。この章では、簡単に在宅医療薬剤師の仕事についてご説明します。

在宅医療薬剤師の仕事

  • 医師と共に処方設計を行う
  • 処方箋に沿って調剤を行う
  • 調剤した薬を届ける
  • 医師・看護師に情報を共有する

4-1. 医師と共に処方設計を行う

医師の指示のもと、訪問薬剤管理指導を行います。

患者さんの体調や病状に合わせて、副作用の有無・飲みやすさ・調剤する薬の種類などを考慮する必要があります。多くの在宅医療薬剤師の方が、患者さんから信頼して頂けるよう医者と共に直接会って会話する事を大事にされています。

4-2. 処方箋に沿って調剤を行う

処方設計を元に、粉砕可否・薬の一包化などを確認して調剤を行います。

4-3. 調剤した薬を届ける

施設や自宅などに、調剤した薬を届けます。

薬を渡すだけでなく、飲み方や保管方法についての説明、体調や病状の確認などをしっかり行い、変化があればすぐに対応します。

4-4. 医師・看護師に情報を共有する

説明内容や、確認できた病状などを医師・看護師にフィードバックを行います。特に病状に変化があった際にはすぐに共有し、対応策を検討します。

5. 在宅医療薬剤師に求められるスキルや条件

在宅医療の役割は理解できました。では、求められるスキルや条件は何がありますか?

5-1. 薬学に留まらない幅広い医療知識

まず、何より求められるのは「薬学に留まらない幅広い医療知識」です。

調剤薬局に勤務する薬剤師の多くは、患者さんが持ってくる処方箋に沿って「正確かつ迅速に薬を処方する」事が求められます。一方、在宅医療では、患者さんの状態に沿って最適な投薬ができるように、医師の処方設計に協力する事が求められます。

時には、今出されている処方と違うものを提言する事も必要です。そのため、患者さんを広く見る事ができるように薬学に留まらない幅広い医療知識が必要になってくるのです。

5-2. コミュニケーション能力

もう一つ求められる能力は「コミュニケーション能力」です。

在宅医療では、医師や看護師、介護士やケアマネジャーといった多くの役割の人たちとチーム医療を組む事になります。もちろん、関係者全員の意思疎通が取れていれば問題無いのですが、別々のケアプランを立てていたり、会話そのものが十分で無かったりするケースもあります。

しっかりと患者さんの役に立つ連携を行うためには、チーム内のコミュニケーション能力が欠かせません。それぞれの立場から必要な事と「会話」し「連携」して、患者本人・患者のご家族、すべての人が円滑に仕事を進める事が求められるのです。

6. 在宅医療薬剤師になるコツ3選

在宅医療薬剤師になる覚悟ができました!では、どうすれば在宅医療薬剤師になれるのでしょうか?

最後に、在宅医療薬剤師になるためのコツを3つお伝えします。必須という訳ではありませんが、「より在宅医療薬剤師になれる可能性が高まる」コツなので、ぜひ知っておいてください。

在宅医療薬剤師になるコツ3選

  • 在宅療養支援認定薬剤師になる
  • 大手の調剤薬局に勤める
  • 病院薬剤師を経験している

6-1. 在宅療養支援認定薬剤師になる

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日本在宅薬学会では、2013年4月1日より在宅療養支援を行うすべての薬剤師の皆様に向けた認定薬剤師制度を開始しました。 在宅医療に関する、【知識】【技能】【態度】を備えたこれからの薬物療養を支える、全く新しい薬剤師を作ろうという制度です。

2014年から毎年、在宅療養支援認定薬剤師を輩出しており、3年間で60名以上の認定薬剤師が誕生しています。在宅医療に強い興味がある方は、ぜひ応募してみてはいかがでしょうか?

6-2. 大手の調剤薬局に勤める

1章でご説明した通り、多くの大手調剤薬局は在宅医療に進出しています。下記の通り、業界最大手のアインファーマシーズ、業界2位の日本調剤は、HPにもしっかり取り組みを記載しています。

大手調剤薬局に転職を検討される方は「薬剤師必見!調剤薬局への転職で絶対後悔しないための全知識」を参考にして下さい。転職を本当にすべきかという判断と、希望条件で調剤薬局に転職するコツがわかり、後悔しない転職が実現できるでしょう。

また、実際に転職する際には「在宅医療をどの程度やっているか?」について、しっかりと確認する事が重要です。調剤薬局・ドラッグストアの人事担当に確認する事が難しいようであれば、転職サービスを行っている転職エージェント・コンサルタントに確認する事をおすすめします。

6-3. 病院薬剤師を経験している

最後のコツは「病院薬剤師の経験」です。

在宅医療の多くは「終末医療」です。多くはモルヒネなどの医療用麻薬を併用する事になるので、ドラッグストアや調剤薬局での勤務内容とは全く違うスキルやノウハウが求められます。

調剤薬局大手企業の在宅医療部門では、病院薬剤師からの転職で運用されています。どうしても在宅医療に関わりたい場合は、病院薬剤師を経験された後にチャレンジする事をおすすめします。

病院薬剤師に転職を検討される方は、病院薬剤師に転職する5つのコツとおすすめ転職サイト5選を参考にしてみて下さい。

さいごに

薬剤師が関わる在宅医療について、コツやノウハウをご紹介してきましたが、いかがでしたか?

在宅医療での薬剤師の重要性は、ようやく近年認知されてきたと言っても過言ではないでしょう。大手調剤薬局も取り組みを進めていますが、一部での導入に留まっているのが現状です。

しかし、少子高齢化が進む日本において、将来必ず日本の地域医療を支える大切な職業になっていく事は間違いありません。在宅医療に携わりたいと考えている方は、「自身のキャリアやスキルを考えて転職する」「在宅療養支援認定薬剤師の資格を取る」にチャレンジしてみて下さいね!

※薬剤師が転職する時の注意点

薬剤師は転職率が高く、「年収アップ」などの理由で転職する人が多い業界ですが、職場雰囲気の悪さや長時間労働に後悔するケースが多いのも事実です。薬剤師の転職で失敗しない!体験談と転職ノウハウの全てを見て、後悔しない転職を実現してください。

特に初めて転職する人は、職場雰囲気のヒアリングや面接対策などのため、転職エージェントを活用することをお勧めします。薬剤師のための転職エージェント全知識|1から理解し徹底活用!を参考にすると良いでしょう。

転職活動は、将来のキャリアや待遇などに悩み、すぐに決められるものではありません。しっかり考えた上で、次の一歩を踏み出してくださいね。

あなたが最高の転職をできることを陰ながら祈っております。